大倶利伽羅
31huji_tou
MAIKING5/29に出したいくりみつ現パロ/狼でひとの大倶利伽羅くんと大学講師の光忠さん、の後日談予定
★無校正の書きっぱなしです、ご愛嬌。
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ふい、と顔を上げて空を見るのに釣られ、光忠も視線を上げた。明るく澄んだ青が広がっている。ところどころに散らばる雲の白さがそろそろ眩しい。もう夏はすぐそこだ。いい天気だけど、と思うのを待っていたかのように大倶利伽羅が口を開く。
「…雨だ」
「すぐに降るかい?」
「――あぁ、近い」
なにかを確かめるようにじいと一点を見つめていた金色が光忠を映した。頷く動きで髪が揺れる。頬に落ちる影は色濃く、日差しの強さを教えてくれていたが、雨が降るらしい。
大倶利伽羅が言うのなら確実に降る。初めて教えてくれたときから外れたことなんて一度もなかった。
「じゃあ、急いで帰ろうか」
「………、」
もしかすると、急いだとしてもマンションに着くまでに降るのかもしれない。大倶利伽羅の眉根が少しばかり寄っているのに気づき、光忠は小さく笑う。狼であっても、人であっても、雨に濡れるのはあまり好きではないようなのだ。むつりと口を噤む大倶利伽羅の腕をゆるく引いて促し、足早に坂道を下りた。
1376「…雨だ」
「すぐに降るかい?」
「――あぁ、近い」
なにかを確かめるようにじいと一点を見つめていた金色が光忠を映した。頷く動きで髪が揺れる。頬に落ちる影は色濃く、日差しの強さを教えてくれていたが、雨が降るらしい。
大倶利伽羅が言うのなら確実に降る。初めて教えてくれたときから外れたことなんて一度もなかった。
「じゃあ、急いで帰ろうか」
「………、」
もしかすると、急いだとしてもマンションに着くまでに降るのかもしれない。大倶利伽羅の眉根が少しばかり寄っているのに気づき、光忠は小さく笑う。狼であっても、人であっても、雨に濡れるのはあまり好きではないようなのだ。むつりと口を噤む大倶利伽羅の腕をゆるく引いて促し、足早に坂道を下りた。
佐々本
DOODLEお風呂上がりの大倶利伽羅に遭遇したらいちごミルクくれたの図どうも髪の毛バッとひと拭きしておしまいにしちゃうイメージがある…
それでみっちゃんや貞ちゃんに怒られて捕まる日は捕まって乾かされる
水気放っていれば誰も近寄ってこないだろうと思っているのか、
それが逆に伊達の刀にはかまちょの種になっているのは確信犯か
ながら(半分収納場)
MOURNING顕現した鶴丸とお目付け役の大倶利伽羅。月間つるくりゆるゆる創作さんの12月お題「仏の顔も三度まで」 で没にした、自分に意味を見出さない鶴丸とそれが納得できない大倶利伽羅の話。
せめてひとよのかれむぐら「きみと再び見えるだなんて、随分と都合のいい夢じゃないか」
は、と乾いた笑いの欠片とともにその唇から洩れ出た言葉に、ああ、これは確かにあの刀だと確信する。かつて、暫くの間、同じ家にあった太刀の付喪神。
「…そうだな。いつかは醒める夢だ」
同意の言葉にぱちりと双つの黄水晶が瞬く。それを置き去りにして、大倶利伽羅は審神者の元へと足を向けた。
「自分の手足で動けるというのもなかなか不思議なものだな」
面を通した審神者の隣には旧知の刀。一通りの説明を受けたのちに、その旧知に連れてこられたのは板張りの道場であった。木刀が一本、投げて寄越される。
「真剣じゃあないのかい」
「ここは抜刀禁止だ」
「そりゃあ残念」
「…はじめは此処で手合わせだ。その器に慣れろ。刀を握るのはそれからだ」
2811は、と乾いた笑いの欠片とともにその唇から洩れ出た言葉に、ああ、これは確かにあの刀だと確信する。かつて、暫くの間、同じ家にあった太刀の付喪神。
「…そうだな。いつかは醒める夢だ」
同意の言葉にぱちりと双つの黄水晶が瞬く。それを置き去りにして、大倶利伽羅は審神者の元へと足を向けた。
「自分の手足で動けるというのもなかなか不思議なものだな」
面を通した審神者の隣には旧知の刀。一通りの説明を受けたのちに、その旧知に連れてこられたのは板張りの道場であった。木刀が一本、投げて寄越される。
「真剣じゃあないのかい」
「ここは抜刀禁止だ」
「そりゃあ残念」
「…はじめは此処で手合わせだ。その器に慣れろ。刀を握るのはそれからだ」
ちゅきこ
DONE(みつくり×現パロ)ヨルシカさんの「爆弾魔」の雰囲気なんとなくで描き始めた終わりの見えない妄想です。
リーマン光忠さん×高校生大倶利伽羅
実在の地名が出てきますが緩めのファンタジーとして見てください。
大倶利伽羅の身体の一部に欠損の描写が出ます。
大丈夫な方だけどうぞ!
瞬く星は終に爆ぜない渋谷で捕まえた男の子を家まで連れ帰った。名前は知らない、住んでいるところも、今は何歳で、どこの学校に通っているかも聞いていない。いくつかの質問は聞こえなかったかのように流されて、続きを問うのを諦めた。
タクシーを降りてマンションのエントランスに入る。少し足を引き摺っているような動きだ。怪我でもしているのだろうか。
はじめは職場の隣のビルで起こった小火だった。終業過ぎ、かなり立て込んだ案件で深くまで残業した日の夜だった。
消防のサイレンを聞きつけ、野次馬となり外へ出た時に、その群衆に彼がいたのを見たのだ。小火が出たビルの上階をじっと見て、慌てる様子もなくそこへ佇んでいた。
次に見かけたのはセンター街だった。金曜の夜に同僚と飲んだ帰り、潰れた同期を支えながら駅までだらだらと歩いていく。その時になぜ嗅ぎ分けられたのかは分からないが、急にきな臭さを感じた。
8658タクシーを降りてマンションのエントランスに入る。少し足を引き摺っているような動きだ。怪我でもしているのだろうか。
はじめは職場の隣のビルで起こった小火だった。終業過ぎ、かなり立て込んだ案件で深くまで残業した日の夜だった。
消防のサイレンを聞きつけ、野次馬となり外へ出た時に、その群衆に彼がいたのを見たのだ。小火が出たビルの上階をじっと見て、慌てる様子もなくそこへ佇んでいた。
次に見かけたのはセンター街だった。金曜の夜に同僚と飲んだ帰り、潰れた同期を支えながら駅までだらだらと歩いていく。その時になぜ嗅ぎ分けられたのかは分からないが、急にきな臭さを感じた。
kuusui
TRAINING本丸で光忠のお兄ちゃんの歓迎会が開かれ、そこで日本号との回想が繰り広げられて、それを大倶利伽羅が目撃したというIFくりみつ。光忠回想も合わせて目撃しています。梅の木で逢いましょうのお話の続き。
拗らせ大倶利伽羅さんがその特別に気付いちゃったお話。
※ちゃん呼びを最初は嫌がっていたという捏造を含みます。
※同室くりみつのいるとある本丸設定のお話。
梅の木で逢いましょう 04 俺の好きな奴には、その両手で抱きしめるほどの世界がある。
朝起きておはようの声とともに、腹の減るような米の匂いがする。飯椀を無言で押し付ければ、にこやかな笑顔とともに炊き立てのご飯がこんもりと返って来る。アイツが洗濯物を干せば、調子の外れたよくわからない唄を口ずさむ。あまりにも楽しそうなのでそれを茶化すものもいない。
そのあたたかな、郷愁すら呼び起こしそうな温もりのあるやさしい世界。それはアイツにはよく似合っていると心から思う。光忠はそんな世界に必要とされている。
だから――そんなお前の、”世界”を取り上げることができたらなんて。
俺は一体、何度その傲慢を思い描いて来たことだろうか。
活気のある宴会部屋を離れ、縁側の廊下を伝って静かな自室へと帰って来た。
7038朝起きておはようの声とともに、腹の減るような米の匂いがする。飯椀を無言で押し付ければ、にこやかな笑顔とともに炊き立てのご飯がこんもりと返って来る。アイツが洗濯物を干せば、調子の外れたよくわからない唄を口ずさむ。あまりにも楽しそうなのでそれを茶化すものもいない。
そのあたたかな、郷愁すら呼び起こしそうな温もりのあるやさしい世界。それはアイツにはよく似合っていると心から思う。光忠はそんな世界に必要とされている。
だから――そんなお前の、”世界”を取り上げることができたらなんて。
俺は一体、何度その傲慢を思い描いて来たことだろうか。
活気のある宴会部屋を離れ、縁側の廊下を伝って静かな自室へと帰って来た。
永劫ミカン
TRAININGくりんばワンドロワンライ一本勝負様よりお題をお借りしました第3回 お題【バレンタイン】
自本丸設定。大倶利伽羅がちょろすぎて心配(笑)
お題【バレンタイン】元来"なれつも"が信条の大倶利伽羅にとって今年の二月某日は非常に大きな意味があった。
例年この日と言えば、燭台切光忠をはじめ加州や短刀たちから寄越される"チョコレート"をウンザリしながらしぶしぶ受け取り一ヶ月後には素っ気なく返礼の菓子を渡し、その後数ヶ月かけてやっとの思いで大量過ぎるチョコをただ黙々と消費する、それだけのやっかいな催しだった。
だが今回は違う。密かに想いを抱いてきた相手との恋をついに実らせ付き合うに至った、そう山姥切国広がいる。
この日に彼の方からチョコレートを貰おうなどと浅はかな望みは毛頭なかった。自分から嬉々として贈り物をしてくる性格でないのは端から承知している。ただ、山姥切も大倶利伽羅同様貰ったチョコは無下にせずきちんと返しているのも知っていた。
2579例年この日と言えば、燭台切光忠をはじめ加州や短刀たちから寄越される"チョコレート"をウンザリしながらしぶしぶ受け取り一ヶ月後には素っ気なく返礼の菓子を渡し、その後数ヶ月かけてやっとの思いで大量過ぎるチョコをただ黙々と消費する、それだけのやっかいな催しだった。
だが今回は違う。密かに想いを抱いてきた相手との恋をついに実らせ付き合うに至った、そう山姥切国広がいる。
この日に彼の方からチョコレートを貰おうなどと浅はかな望みは毛頭なかった。自分から嬉々として贈り物をしてくる性格でないのは端から承知している。ただ、山姥切も大倶利伽羅同様貰ったチョコは無下にせずきちんと返しているのも知っていた。
かさちこ
DONE大倶利伽羅の真剣必殺の台詞とくりひぜに思いを馳せた結果。帰 土埃、硝煙の香り、地鳴りのような怒号、鍔迫り合いの音、立ち込める血の臭い。
脇腹を掠めた刃が思ったよりも深く肉を抉り白いシャツに夥しい赤を滲ませているが、既に痛みを越えじくじくとした熱さしか感じない。それよりも肌の彼方此方に付けられた大小の傷が土埃に触れる度の鈍い痛みに軽く眉をひそめ、つくづく何故、戦う為の受肉に人の身と同じような痛覚や血が必要だったのかと思考の片隅で思いながら、刀に纏った瘴気のような敵の血を振って払う。上がった呼吸を整え、ぼやけ始めた視界で敵を見据える。
どうやら身から流れた血が多過ぎたようだ。だが、ここで倒れる訳には行かない。
滑らないよう柄をきつく握り直し、口をついて出る言葉は、
1066脇腹を掠めた刃が思ったよりも深く肉を抉り白いシャツに夥しい赤を滲ませているが、既に痛みを越えじくじくとした熱さしか感じない。それよりも肌の彼方此方に付けられた大小の傷が土埃に触れる度の鈍い痛みに軽く眉をひそめ、つくづく何故、戦う為の受肉に人の身と同じような痛覚や血が必要だったのかと思考の片隅で思いながら、刀に纏った瘴気のような敵の血を振って払う。上がった呼吸を整え、ぼやけ始めた視界で敵を見据える。
どうやら身から流れた血が多過ぎたようだ。だが、ここで倒れる訳には行かない。
滑らないよう柄をきつく握り直し、口をついて出る言葉は、
永劫ミカン
TRAININGくりんばワンドロワンライ一本勝負(@krnb_1dr1wr)様よりお題をお借りしました第2回より『節分』『豆まき』
大倶利伽羅目線、モダモダとじれったいくりんば(笑)
【節分】 とある本丸。月が冴える如月の夜空を見上げる影が二つ。
今日は節分。昼間は本丸総出で豆まき大会、日が暮れてからは燭台切や歌仙の指揮の下、彩り良く仕上げられた太巻きと御神酒が供され、宴のただ中。一時の間抜け出してきた大倶利伽羅と山姥切国広だった。
特に言葉を交わさずとも、大倶利伽羅は傍らに国広の気配を感じながらの静寂を愉しんでいた。
その時予測だにしなかった事が起こった。
「…大倶利伽羅?」
おや?という様子で大倶利伽羅に視線を向けた国広がそっとうなじの辺りの髪、そう癖が強いその辺りに手を差し入れてきたのだ
ざわり
瞬間、大倶利伽羅は自分でも訳が分からないほどに込み上げてきた感覚に動揺し、身を固くした。それは国広にも伝わってしまい、
1418今日は節分。昼間は本丸総出で豆まき大会、日が暮れてからは燭台切や歌仙の指揮の下、彩り良く仕上げられた太巻きと御神酒が供され、宴のただ中。一時の間抜け出してきた大倶利伽羅と山姥切国広だった。
特に言葉を交わさずとも、大倶利伽羅は傍らに国広の気配を感じながらの静寂を愉しんでいた。
その時予測だにしなかった事が起こった。
「…大倶利伽羅?」
おや?という様子で大倶利伽羅に視線を向けた国広がそっとうなじの辺りの髪、そう癖が強いその辺りに手を差し入れてきたのだ
ざわり
瞬間、大倶利伽羅は自分でも訳が分からないほどに込み上げてきた感覚に動揺し、身を固くした。それは国広にも伝わってしまい、
Norskskogkatta
DOODLE猫になった大倶利伽羅が主のところに結局来てしまう話大倶利伽羅、猫になったってよ「大倶利伽羅が猫になってしまったらしい……」
「……今度は猫かぁ」
刀剣男士はなにかと不安定なのだろうか。女の子の次は猫になったらしい。
「その当事者はどうした?」
「主に面会するよう言ったのだけど、どうせ言葉は話せないのだからと断られてしまったよ」
初期刀が申し訳なさそうにするのをあいつだから仕方ないさと肩を叩く。
運がいいのか悪いのか、今日は大倶利伽羅は出陣部隊ではなかった。顔を見せてくれないのは信頼されてないのかとほんの少し胸の内がもやつくが、この本丸の古参で伊達男の打刀だ。無様な姿を晒したくないと考えているのかもしれない。
「あとで俺のほうから様子を見に行くからさ、そこまで気にするなよ蜂須賀」
「そうだね、まずは今日の仕事を片付けてしまおう」
3440「……今度は猫かぁ」
刀剣男士はなにかと不安定なのだろうか。女の子の次は猫になったらしい。
「その当事者はどうした?」
「主に面会するよう言ったのだけど、どうせ言葉は話せないのだからと断られてしまったよ」
初期刀が申し訳なさそうにするのをあいつだから仕方ないさと肩を叩く。
運がいいのか悪いのか、今日は大倶利伽羅は出陣部隊ではなかった。顔を見せてくれないのは信頼されてないのかとほんの少し胸の内がもやつくが、この本丸の古参で伊達男の打刀だ。無様な姿を晒したくないと考えているのかもしれない。
「あとで俺のほうから様子を見に行くからさ、そこまで気にするなよ蜂須賀」
「そうだね、まずは今日の仕事を片付けてしまおう」
Norskskogkatta
DOODLE以前に書いた飲み会に残って主を待ってる大倶利伽羅の面倒を見ていた鶴丸、のその後の主くり酔っ払ってふにゃふにゃしてる大倶利伽羅がいます
だれのもの酔っ払った大倶利伽羅に肩を貸して大広間を抜け出す。体格差はほとんどないとはいえ、半分意識のない引き締まった肉体は重い。
「ほら、部屋帰るぞ」
鶴丸に知らない振りをしてくれと言ったが酔っ払い相手をどうこうするつもりはなかった。だから自室とは逆方向にある大倶利伽羅の部屋へと方向転換しようとしたのだが身体が動かない。ぐでんと力なくうなだれていると思った大倶利伽羅が足を踏ん張ったのだ。
「おーい、起きてるなら自分で歩けー」
「……やだ」
「やだって……」
「あんたのへやにいく」
子どもみたいにぐずり始めたが力は大倶利伽羅の方が強いし体幹が良すぎて引きずっていくこともできない。
口調はふにゃふにゃとしているのにぐいぐいとこちらを引っ張っていく。引きずられながらどうやってこの酔っ払いを寝かしつけようかと考えているうちに足が止まった。
2469「ほら、部屋帰るぞ」
鶴丸に知らない振りをしてくれと言ったが酔っ払い相手をどうこうするつもりはなかった。だから自室とは逆方向にある大倶利伽羅の部屋へと方向転換しようとしたのだが身体が動かない。ぐでんと力なくうなだれていると思った大倶利伽羅が足を踏ん張ったのだ。
「おーい、起きてるなら自分で歩けー」
「……やだ」
「やだって……」
「あんたのへやにいく」
子どもみたいにぐずり始めたが力は大倶利伽羅の方が強いし体幹が良すぎて引きずっていくこともできない。
口調はふにゃふにゃとしているのにぐいぐいとこちらを引っ張っていく。引きずられながらどうやってこの酔っ払いを寝かしつけようかと考えているうちに足が止まった。
aiporonica
DONE刀ミュ新作のパライソ前日譚序章部。観劇後にご覧下さい。今回は主にその後の部分のみ。前日譚に関しては随時ポイピクに投げていきます。年明けくらい纏め&書き下ろしを添えて本にします。
【全体を通しての内容はこんな感じ】
鶴丸は二度目の島原の乱だった
三日月と鶴丸が二人だけで出陣した過去がある
今回よりももっと凄惨な歴史改変を試みている
鶴丸国永が山田右衛門作に残した仕掛けの話
みかつるではない
酷薄のインフェるノ「――オロロン、オロロン、オロロン、バイ」
男は、海に向かって謡っていた。
白髪頭、皺が寄った手、決して若くはない。
太陽が赤く染まる逢魔時、その男は海に向かって歩き出した。
◆
彼らが本丸に帰城したのは、黎明の刻。言葉も交わさず、それぞれが自室へと帰って行く。しかし、出陣した六振りのうち一振りだけはこの本丸の主である審神者のもとへと向かった。
白く美しい眞白の刀、平安時代に五条国永の手によってこの世に生まれた名刀、鶴丸国永。あちこちを転々として辿り着いた先は明治天皇のもと。今では御物として納められ、人目に触れることはない。彼は今、刀剣男士として顕現を果たし、歴史改変を目論むとされる歴史修正主義者と相対する者としてこの世に存在している。今回の出陣で部隊長を務めたのは彼だった。
6443男は、海に向かって謡っていた。
白髪頭、皺が寄った手、決して若くはない。
太陽が赤く染まる逢魔時、その男は海に向かって歩き出した。
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彼らが本丸に帰城したのは、黎明の刻。言葉も交わさず、それぞれが自室へと帰って行く。しかし、出陣した六振りのうち一振りだけはこの本丸の主である審神者のもとへと向かった。
白く美しい眞白の刀、平安時代に五条国永の手によってこの世に生まれた名刀、鶴丸国永。あちこちを転々として辿り着いた先は明治天皇のもと。今では御物として納められ、人目に触れることはない。彼は今、刀剣男士として顕現を果たし、歴史改変を目論むとされる歴史修正主義者と相対する者としてこの世に存在している。今回の出陣で部隊長を務めたのは彼だった。
嵩之のらくがき
DONE秋でも朝夕には息が白くなる時期になってきたのでこんなのを小夜の内番服が寒そうだからって今着てない自分のジャージ貸してあげてる大倶利伽羅の図
たぶんちゃんと着たら膝より下にいくだろうからそのままよりはまだ暖かいだろうとふんでの貸し与え
ちゅきこ
DONE脳神経内科医・光忠さんと、脳神経外科医・伽羅ちゃん、伊達組+αのみんなが脳血管センターのドクターとして働いている話。今回は光忠入局2年目、大倶利伽羅研修医2年目の話。
光忠の実家を訪れ、二人の関係を報告します。
上中下の3部構成の中、燭台切父の独白から始まります。
【刀×医パロ(🍯🌰)】㉕鍔際(中)父は僕と伽羅ちゃんを見つめたまま、いつも以上に落ち着き払って、淡々と回顧を始めた。
*****
相州という男は私の理想だった。
私と彼は刀医の同期で、1年の時から何をするのも一緒、ずっといい級友だった。私は二世医者で親の七光りという感じだったから、常に自らの意思があって邁進する彼がとても眩しかった。
彼は熱心で研究も好きだったし、臨床では脳をやりたいと言って外科医になった。
私もそれは面白いと思って一緒になってやってたら、いつの間にか神経内科医になっていたよ。
当時は臨床研修医制度もなくて、卒後に入局したらそれっきりだったから、私も相州も若手で入局したての頃はそれこそ馬車馬のように働いた。
そのうち相州は論文をよく書くようになり、海外の学術誌にも掲載され、脳波計の開発で産学の橋渡しをするようになった。
7216*****
相州という男は私の理想だった。
私と彼は刀医の同期で、1年の時から何をするのも一緒、ずっといい級友だった。私は二世医者で親の七光りという感じだったから、常に自らの意思があって邁進する彼がとても眩しかった。
彼は熱心で研究も好きだったし、臨床では脳をやりたいと言って外科医になった。
私もそれは面白いと思って一緒になってやってたら、いつの間にか神経内科医になっていたよ。
当時は臨床研修医制度もなくて、卒後に入局したらそれっきりだったから、私も相州も若手で入局したての頃はそれこそ馬車馬のように働いた。
そのうち相州は論文をよく書くようになり、海外の学術誌にも掲載され、脳波計の開発で産学の橋渡しをするようになった。
ちゅきこ
DONE脳神経内科医・光忠さんと、脳神経外科医・伽羅ちゃん、伊達組+αのみんなが脳血管センターのドクターとして働いている話。今回は光忠入局2年目、大倶利伽羅研修医2年目の話。
光忠の実家を訪れ、二人の関係を報告します。
上中下の3部構成の予定。
【刀×医パロ(🍯🌰)】㉕鍔際(上)「光忠、もう休憩させろ…」
「待って!ごめん忘れてた、これ選んだら終わりだよ!ほら、3つしかないからすぐ決まると思う…お願い伽羅ちゃん、座ってて!」
伽羅ちゃんは今日、たまのオフに僕に付き合わされてスーツの新調に来ている。1時間で終わるかと思っていたけど、彼の様子で分かる通り、信じられないくらい時間があっという間に過ぎていた。
僕は店員さんに出してもらったカフスを通したり手首のところに当てたりして、4つに絞ったネクタイと一緒に見比べて吟味する。
「伽羅ちゃん、強いて言うなら何色がいいとかあるかい?」
「…赤」
「そっか!それを先に聞いておけばよかったね。オーケー、じゃあ赤コーデでいこう。
あっ、そういえばジャケットの裏地って赤に替えてもらえるのかな?」
7416「待って!ごめん忘れてた、これ選んだら終わりだよ!ほら、3つしかないからすぐ決まると思う…お願い伽羅ちゃん、座ってて!」
伽羅ちゃんは今日、たまのオフに僕に付き合わされてスーツの新調に来ている。1時間で終わるかと思っていたけど、彼の様子で分かる通り、信じられないくらい時間があっという間に過ぎていた。
僕は店員さんに出してもらったカフスを通したり手首のところに当てたりして、4つに絞ったネクタイと一緒に見比べて吟味する。
「伽羅ちゃん、強いて言うなら何色がいいとかあるかい?」
「…赤」
「そっか!それを先に聞いておけばよかったね。オーケー、じゃあ赤コーデでいこう。
あっ、そういえばジャケットの裏地って赤に替えてもらえるのかな?」
hydroxidestar
DONEパライソを見てのぶぜまつ(登場するのは大倶利伽羅と豊前江です)山に来ていた大倶利伽羅は、豊前江とばったり遭遇する。一緒に秋の味覚を味わうことになった二人だが、大倶利伽羅は島原のことを聞いてみようと思い……
君のために謡う歌大倶利伽羅は秋の味覚を味わうために山に来ていた。さて、今日はなにを食べようか。握り飯も持ってきたから、七輪であぶって焼きおにぎりにするのもいい。準備をしていると、目の前に顔のいい男――豊前江が歩いてくるのが見えた。
「……豊前江」
「おお、大倶利伽羅さんよ。島原以外だな」
「そうだな」
「なにしてんだ?」
「お前も食べるか?秋の味覚祭りだ」
「お、いいねえ!さっき、下の川で魚釣ったからこれも食べようぜ!」
豊前江の肩には活きのいい魚がびちびちと跳ねている。男前は服が濡れても気にしないのだろうか。不思議な男だ。
豊前江は最初は大倶利伽羅を「くりさん」と呼んでいたのだが、恥ずかしいから「大倶利伽羅でいい」と伝えてある。
1215「……豊前江」
「おお、大倶利伽羅さんよ。島原以外だな」
「そうだな」
「なにしてんだ?」
「お前も食べるか?秋の味覚祭りだ」
「お、いいねえ!さっき、下の川で魚釣ったからこれも食べようぜ!」
豊前江の肩には活きのいい魚がびちびちと跳ねている。男前は服が濡れても気にしないのだろうか。不思議な男だ。
豊前江は最初は大倶利伽羅を「くりさん」と呼んでいたのだが、恥ずかしいから「大倶利伽羅でいい」と伝えてある。