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    パイロ

    mame

    DONE出ロデ プロヒ×パイロット
    ※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり
    設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)
    ふたりの再会のはなしの巻(時系列でいうと一番最初の話になります)
     その日の出久は早番で、仕事を終え足取り軽く事務所を出たときには正しく晴天であった。ヒグラシが鳴き始めた、空と街に青とオレンジが入り混じる時間帯。肌を焦がすような夏の暑さは先日訪れた台風が連れ去っていってくれた。随分涼しくなったなあと秋の入り口がやってきた気配に頬を緩めながら、出久は夕飯の買い物をすべく自宅近くのスーパーに立ち寄った。
     お目当ての総菜を何パックか購入して店を出た。そういえば米のストックがないとレジに並ぶ直前に気付き、無洗米も十キロの物を購入したのでしっかりと脇に抱える。基本的に自炊をあまりしない出久だが、米だけは炊くようにしている。実際これも面倒なときは電子レンジでチンするだけで食べられるパックのものを使ってしまうのだけれど。まあ、便利なものは使うに限るので。安い早い旨いの三拍子は忙しい社会人にとって最強の味方だ。総菜だってバランスを考えて購入すれば体にだっていいし、自炊に慣れていない自分が作るよりよほどコストパフォーマンスがいいと出久は思っている。
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    mame

    DONE出ロデ(プロヒ×パイロット)
    自我強め善良モブ視点
    このモブ視点と同じ世界線です(https://twitter.com/mamemane_open2/status/1435895803646644225?s=20)
     大通りから道を三本挟んで、さらに二つ目の角を曲がる。そんな、少し――というか結構、人通りが落ち着いた路地に俺の両親が営むコーヒー焙煎所はある。
     両親の趣味であるブルックリンスタイルの落ち着いた色合いの店内には、これまた両親の趣味であるブラックミュージックが音量を押さえて流れている。基本的に五種類のコーヒー豆を常に販売している店で、店内に飲食スペースはないが、テイクアウト用のコーヒー販売はしている。これが結構好評だ。混雑することはないが、まったく人が来ないという日もない。大繁盛と言うわけではないが、店の経営を難なく維持できる程度には利益が上がっている。そんな店である。
     俺は大学四年生で、無事就職も決まり、卒業単位も無事とれる見込みがあって、あとは卒論の準備に本腰を入れるだけなのだが、友達とお祝いだと称して夏休みに連日飲み歩いたせいで激しい金欠に陥っていた。夏休みが終わったところで、居酒屋のアルバイトだけではおそらく来月あるサークルのハロウィンパーティーの金が足りないことに気付いて絶望した。どれだけシフトを詰め込んでも、給料日的にハロウィンに間に合わない。そういうわけで母親に相談したところ、じゃあ給料を現金で払うから連休中、店番してと言われ、現在、俺は店のカウンター内に立っているわけだ。
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    ネオン(どシコりシコ太郎)

    PROGRESS・パイロンとデッドローンのアレから豊かな妄想を膨らませた、イマジナリ香港マフィアパロ?話
    ・九龍城塞が世界で唯一都市となった微小特異点という世界設定
    ・九龍城塞をモチーフにしている以外の世界感がかなり捏造ばかりなのでご留意を
    ・パイデの衆人環視スケベを書くために書き始めたネタなのに…
    ・ラストまでストーリーラインできてしまったから8月後とかにできれば最後まで書きたい
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    「……ツボ」

    血の色の長袍(チャンパオ)を纏った、老翁というには精悍な白髪の短髪が、低く小さく呟く。白々しく光る蛍光灯を受けても、小さな正円のサングラスに隠れた瞳は覗かれることを良しとしていないようだった。

    「任された! アンタたち、しっかり目ん玉開いて見ておきな! 壺をかぶるよ」

    中盆の翁の進行を受け、場を挟んでその真正面に座っていた女の、張艶のある声が響く。後頭部の高い位置で一括りにされたマゼンタのロングヘアがしなやかに揺れる。
    ここはこのエリア――少し前までは九龍(カオルーン)と呼ばれていた、とある国の半島地区であり、今となっては世界に唯一存在する都市――の中で数少ない、公認されている賭場のうちのひとつである。
    いま執り行われているのは「丁半」というダイスを使った賭け事だ。世界が矮小化される前に存在していた「二ホン」という国の古い賭博で、それに合わせてなのかこの賭場の内装もその二ホンの伝統的な造りを模したものになっていた。床材は畳――板に藺草(いぐさ)と呼ばれる植物を織り上げた、目の細かい、微かに青みがかった色のもの――が何枚 5619