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    和解

    hanihoney820

    DOODLE円満和解壁崩壊後前提乱寂。
    宇宙に飛ばされそうになる先生と、なんとかしてそれを止めたい乱数のお話。
    エセSF(少し不思議)、暴力表現あり。その他なんでも許せる方向け。
    宇宙に行かなかった。88




    「それでは神宮寺寂雷殿、乱数のこと、くれぐれもよろしく頼みましたよ」
    「ええ、謹んで承りましょう」
    「ちょっとぉ〜? 僕のことペットかなにかみたいに扱うのやめてくんな〜い?」

     乱数の不満は「乱数(君)は黙っていてください!」という迫力のある二重奏に恙無く却下された。
     幻太郎に首根っこを掴まれ、そのまま寂雷に引き渡される姿は、まさに旅行前に預けられるペットそのもの。あまりに人権を無視された扱いに後ろにいる帝統に「ダイス〜! ヘルプ〜!」と助けを求めるが、彼は彼で「頼むからおとなしくしててくれ……」と頭を抱えていた。

     あの後──全国放送のニュースで乱数の過去が赤裸々に放送された後。笑ってばかりで埒があかない乱数を置き去りに、乱数のスマホを取り上げた幻太郎と寂雷との間で一通りの話がまとまったらしい。あんなことが報道された後だ。乱数の事務所なんて、数分と待たず数多の好奇心と悪意の格好の標的となる。だから急遽乱数は寂雷が身を隠すホテルで一時急場を凌ぐということで話がまとまったようだった。もちろん現在世間の注目を一身に集めるふたりを一纏めにするのに幻太郎も寂雷も躊躇いはあったようだが──曰く、「ひとりにすると何をやらかすかわからないから」。
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    hanihoney820

    DOODLE円満和解壁崩壊後前提乱寂。
    宇宙に飛ばされそうになる先生と、なんとかしてそれを止めたい乱数のお話。
    エセSF(少し不思議)、暴力表現あり。その他なんでも許せる方向け。
    宇宙に行かなかった。77




    「──こんなとこにいたのか」

     聞こえてきた声に、顔を上げた。そこにいたのは一郎で、あまり予想していなかった存在に素直に驚く。困ったように、でも優しく笑った彼はごく自然な動きで乱数の隣に腰を下ろした。地面に直接、何も敷くことなく道端に蹲る、乱数の隣に。

    「夢野さんと有栖川さんが、心配してたぞ」
    「うん……そっか、ごめん、もうこんな時間だったんだ。気付かなかったな」
    「はは、ぼーっとしてたのか?」
    「うん、ぼーっとしてた」

     乱数がこの場所に──一郎と描いていた未完成のグラフィティの前に来た頃、まだ周囲は明るかったはずだった。それなのに今辺りはとっぷりと日が暮れて真っ暗で、それなりに人通りもあるはずの道にも人っこひとりいない。いったい今は何時なのだろう、一郎は乱数を探してこんな時間にこんな所まで来てくれたのだろうか。だとしたらあまりに悪い、仮にも未成年をこんな時間まで──。反射的にそう考えかけて思い出す。一郎はもうだいぶ前に、成人を迎えたのだった。
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    hanihoney820

    DOODLE円満和解壁崩壊後前提乱寂。
    宇宙に飛ばされそうになる先生と、なんとかしてそれを止めたい乱数のお話。
    エセSF(少し不思議)、暴力表現あり。その他なんでも許せる方向け。
    宇宙に行かなかった。5.65




    「──と、いうわけで。こうして神宮寺寂雷は、宇宙には行きませんでしたとさ。おしまい」

     めでたしめでたし、で話を結んだ乱数の前で、拍手喝采の代わりに幻太郎がコン、と湯呑みを置いた音が軽く響いた。

     こうして幻太郎と面と向かって会うのは、とても久しぶりだった。何せ彼は今や時の人。大成功を約束された大スター様。最終調整やらサイン会やらテレビに雑誌にラジオやら普通に他原稿の締め切りやらで大忙しで、なかなか会う時間を取れなかった。そんな中でのようやくのオフ。聞きたいことも聞いて欲しいこともたくさんあって、今まさに聞いて欲しいことを話している最中。
    神宮寺寂雷が、宇宙に行かなかった。ただそれだけの話を。

    「いや〜、まさか本当にやめるなんて、正直思ってなかったんだけどね。確固たる鉄の意思とか、あるんだと思ってたんだけど。まあああ見えて結構勢いというか? 思いつきというか? 一回突っ走り始めると止まらなくなるとこあるしねぇ」
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    aki_aki960807

    DONEシクトリ5の無配。パス外しました!
    ハロ嫁観て書きたくなったお話です。降谷さんは桜組をちゃんと心の中で整理付けてる感じがしたので。むしろ赤井さんの方が引きずってる?
    映画のネタバレ無し。(映画の内容には触れていません)
    そしかい前後、和解済、同棲している二人。日本の警察に手を貸すFBI。一年に一度だけ弱音を吐く赤井さんに、降谷さんは……。(季節無視ww)
    師走の雨 大きなクリスマスツリーが飾られた、東都の街の一角。建築中のビルの屋上には、ライフルを直置きし、うつ伏せでスコープを覗く赤井の姿がある。そこから直線で六百メートル離れた場所で、今まさに立てこもり事件が発生していた。
     犯人と警察がにらみ合うこと、すでに五時間以上。部屋にはカーテンが引かれ、中にいる人質の安否も分からず、膠着状態が続いている。

     やがて、現場一帯は雨が降り始めた。夜の帳が降りると気温は急降下。呼吸をするたび、まるでタバコの煙を吐くように、赤井の口から白い息が漏れた。
     緊張の糸を張り詰めたまま、時間は刻一刻と過ぎていく。無情に降る雨は雨脚を強くして、赤井のニット帽を濡らした。
     現場に詰める警察官たちの顏にも、疲れの色が見える。にらみ合いはこのまま朝まで続くのか、と誰もがそう思い始めた時——。
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    hanihoney820

    DOODLE円満和解壁崩壊後前提乱寂。
    宇宙に飛ばされそうになる先生と、なんとかしてそれを止めたい乱数のお話。
    エセSF(少し不思議)、暴力表現あり。その他なんでも許せる方向け。
    宇宙に行かなかった。10




    結局、神宮寺寂雷は宇宙に行かなかった。

    ただ、それだけの話だ。




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    『皆さん、こんばんは。トキメキハラハライケメンパラダイス学園学長の夢野幻太郎です。本日の朝礼では、皆さんに人生におけるとても大切な三つの袋の話をしたいと思います。まずひとつめは袋小路。まあ駄目なものは駄目なのでさっさと諦めるが吉、ということなのですが──え? おふざけ禁止? 尺が無くなる? 失礼な。小生は至って真面目なんですがねぇ……。とはいえ誰かの真面目が誰かの不真面目であることもこれまた真理。大切なのはそう、ふたつ目の堪忍袋──はいはいすみませんでした。それでは早速本題に入りましょう。改めまして、こんばんは。シブヤディビジョン代表Fling Posseのメンバーであり、小説家の夢野幻太郎です。誠に光栄ながら本日から五週連続、エフエム東都さんにて午後九時のゴールデンタイムに一時間ほどお時間を頂き、こうしてお話をさせて頂くことになりました。題して【夢野幻太郎と歩く宇宙の旅】。というのも、この度小生の作品である【Stella】の長編アニメ映画化が決定致しました。これも偏に読者の皆々様、出版に関わって下さった方々、そしてモデルとなったFling Posseのふたり、飴村乱数と有栖川帝統のおかげです。本当に、ありがとうございます』
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    kohiruno

    MOURNING元勇者と地底魔城で育った子供が、天才無免許医と旅先で出会う話

    橙✕BJクロスオーバー。  
    タイトル通りのお話です。誰でも一度はこの時点の和解を願うのではと思い、私の心の供養のために書きました。
    手塚神に寄せたパロディ絵の漫画で描ききって完成されればこそ意味があるので、アイデア供養。ご自身の記憶の中の間黒男先生とともに再生してくださる、何でも許せる方に見ていただければ嬉しいです。
    川辺にて※医療に関する記載は、ファンのBJ愛の代物として寛容に見てくださると幸いです。

    曇り空の昼の宿場町。豪雨による増水で渡し船が欠航になっていて足止めを食らう旅人たち。混み合う宿屋の食堂。眼鏡を掛けた青年と銀髪の子供が食事をしている。子供は一礼して席を立つ。そこに相席をするBJ。
    「失礼。お気を使わせましたね。弟さんですか」
    「いえ、彼は弟子なんです。世間を知る旅の途中でして」
    「へえ、では武者修行の先生だ」
    「まあ、そんなところです」
     ワインを酌み交わす二人。
    「賢そうなお子さんですね」
    「彼はね、私の敵の根城で育てられた子供なんです。父親代わりの幹部を見逃す際、託されました」
    BJはじっと青年を見つめる。

     宿屋の裏で、剣の稽古に励む少年。
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