バレンタインにチョコなんていらない「チョコないん?」
「ないです」
「なんでやねん。今日はバレンタインやぞ。ないのはおかしいやろ」
「あんな体に悪いものを用意する方が、頭おかしいですよ」
「さり気なくおかしさのレベルが上がっとんのやけど」
「そのくらい体にも頭にも悪いってことでしょ。値段も高くて懐にも優しくない。悪徳の塊ですよね」
「こんな日くらい甘いもん食べたってええやんか」
じゃあ、と聞こえた気がしたが、確かめる暇はなかった。 要の口が俺の唇を塞ぎ、強引に割り込んで口ん中をめちゃくちゃに掻き回したから。
要の舌が俺の舌に絡み、ほどけ、歯列を確認して口蓋をなぞった。強引な舌の動きと気持ちよさに唾液が溢れ、口端から垂れていった。
「たまに思うんですけど」
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