死者は目覚めない「長くはもちませんよ」
静かな声だった。冷静な男だから、自分の状況をよく理解したうえで、ミスルンに冷酷に告げることが正しいと感じたのだろう。
「もたせる」
「もう、蘇生はできないんです。ましてダンジョン外でなど」
「わかっている……わかっている!」
ミスルンは自身の腿を拳で強く叩きつけた。
「落ち着いて。……今こうして会話ができるのもいつまでかわからない。その前に、あなたと別れをすませたい。折角得た時間なのですから」
ミスルンは、死した自分の男を、禁じられた術で蘇らせた。ほうぼう手を尽くしたが、術は不完全だった。現に少し腐りかけている。
だってカブルーはまだ37で、ちょっとした国の小競り合いに巻き込まれてしまっただけだったのだ。それでどうして死ななければならない。
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