バンさん不意打ちの感動に弱そう。その14!「壁直したのにまた壊しちゃだめでしょ!」
あの後バンとメリオダスのたのしい喧嘩は、エリザベスとエレインに大いに叱られてあっさりお開きとなったのだった。が、エレインはバンにでこピンしてまだ怒っている。流石のバンも久々でつい悪ノリしすぎた、と、まるで主に叱られた犬のようにしゅんとなった。
いや、この場合狐かな。
それを見ていたトリスタンは、口が裂けても言えないけどと思いながらも、つい考えてしまう。
それにしてもエレイン様、怒ると怖いんだな。まるでママ上みたい。あ、ママ上か、ランスロットの。
「あっ」
そもそもそのランスロットから、バン王のお誕生日祝だからそっちでよろしく、と頼まれた事を忘れかけていた事に気がついた。危ない、危ない。
「んじゃ、そろそろお暇すっか♪」
そこでバンとエレインが次の目的地に向けて旅立とうとしたのでトリスタンは慌てた。
「あ、あの!」
「どーした、トリスタン♪ 遊び足りねぇか〜♬」
「いやもうお腹いっぱいです! ではなく、お誕生日のお祝いの品を……!」
そう言ったトリスタンが召使に持ってこさせたのは、ドライフラワーで出来た小さなブローチだ。エレインの分もあり色違いのリボンが結んである。それをたどたどしい手つきで胸につけてくれた。
「ま……母上と庭のお花で作ったんです。いい旅路になりますように」
王族の贈り物としてはあまりに慎ましく、けれども何より真心がこもったそれに、バンもエレインも目を細める。珍しくバンも茶化さず「ありがとよ♬」とトリスタンの頭をなでた。
「姫さんもな♪」
「いいえ、喜んでもらえて嬉しいです!」
「それにしても団ちょよお、お互い、いいセガレに恵まれたよな♪」
「にししっ、全くだ。……そうだ、バン。《旅行チケット》、ちょっと見せてみ」
「おう?」
メリオダスは《旅行チケット》に何かを書き加え「帰りにここに寄れ。おもしれーもん見られるぞ」と笑った。
「何企んでんだか……ま、行ってみるさ♪」
「フフッ、楽しみ! 行き先が増えたわね」
こうして一番の友達とのひとときを過ごしたバントエレインは、少しばかり後ろ髪を引かれつつもリオネスを後にしたのだった。
団ちょといっぱい遊んだぜ! トリスタンもなかなか強くなってたぜ。エレイン姫さんとおしゃべりを楽しめたらしい。ダチと遊ぶのはやっぱいいもんだな♬
トリスタンとランスロットはどうだろうか、なんてつい考えちまう。いけねぇな。
思いがけねぇプレゼントも貰った。エレインにはともかく俺にみ手作りの花のブローチだ。笑えるぜ。
(ばんはとってもうれしいのね。わたしもうれしいかったです。)
つぎへGO