距離七海さんがいらっしゃる。
眼鏡をかけた目でぼんやり見えるほどの距離。
夕方になりつつある空の下で電話をかけているのが見えた。
任務が終わったのだろうか。それとも、これから任務なのだろうか。
スマホで呪術師の任務をまとめたカレンダーを確認してみる。
『七海さん……もう任務はないみたいですね』
数日任務に出ずっぱりで申し訳なくなっていたため良かったと胸を撫で下ろす。
『今夜、会えるでしょうか』
そんな期待を込めながら再び七海さんを見た。
******
向こうに伊地知くんがいる。
窓を隔てているため、光が反射して見えにくいが確かに伊地知くんだった。
『七海さん?』
「……失礼」
今回の任務の詳細を担当の補助監督に報告する為、会話を続ける。
1240