Merry Christmas クリスマスだと言って何も変わったことはない。街中の浮かれた雰囲気を恨めしげに見る二人にとって、12月24日はクリスマスイブではなく、年末の忙しい1日である。
訪れる先では笑顔で「メリークリスマス!」と挨拶をするが、他人の目が無ければ二人揃って大きな溜息を吐き、疲労困憊の表情に戻る。
「一応聞くけど、プレゼント何が欲しい」
「休みが欲しいです……」
「却下」
二人は再び大きな溜息を吐き、次のスケジュールへと向かう。
サンタの格好をした無惨と、トナカイの角をつけた黒死牟が児童館で子供たちにお菓子を配るイベントを終えると、やっと午前の予定が終わる。時計を見ると午後2時である。
「腹が減った」
「同じく」
二人は近くのカフェに入り、パスタセットを頼み、無惨はジェノベーゼ、黒死牟はナポリタンをチョイスする。
2143