Recent Search
    Create an account to bookmark works.
    Sign Up, Sign In

    ろひ

    111strokes111

    MAIKINGクロヒルとロレマリ、ミルディンからグロンダーズまでです。書くことが……書くことが多い……。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    14. A-(side:H) ガルグ=マクからミルディン大橋へ行くにはグロスタール領を通過せねばならない。領内を通過するにあたって父親と戦いたくないローレンツは近頃ため息ばかりついている。

    「ねえクロードくん、本当にローレンツくんのおうちのこと大丈夫なの?」

     育てている薬草の様子を見るため温室にやってきたクロードにヒルダは話しかけた。一応見合いした仲ではあるし親友の好きな人でもある。酷い目にあってほしくない。

    「もう手配は済ませたからグロスタール伯は領地の北側に兵を集中せざるを得ない。俺たちの通り道はがら空きの予定だ」

     近頃は詳細が分からず不安に苛まれているローレンツをマリアンヌが心配そうに見ていた。瓦礫だらけの聖堂で祈りを捧げる時も食事の時も傍にいる。だが彼女は無言で何もローレンツに語りかけない。マリアンヌが口籠るのは何を言うべきか分からないから、ではなく何を言うべきではないのか分からないから、ということをヒルダは知っている。彼女の中には沢山の言葉が詰まっているのだ。
    9288

    111strokes111

    MAIKINGロレマリに続きようやくクロヒルの方もちょっとそれっぽくなってきたかもしれません。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    7.B(side:L) ローレンツが厩舎の管理をマリアンヌと共に担当していた時に上空警備を担当していたクロードとヒルダが戻ってきた。金鹿の学級で軽業師の真似事が流行ったことがある。ナイフ投げも軽業もレオニーが飛び抜けて上手いのだがクロードも負けていない。下馬の際に左足を鎧から抜き忘れた人の真似、というのがクロードの得意技だ。羽ばたきやペガサスの嗎に混ざってヒルダが楽しそうに笑っている声が聞こえる。

    「また同じことを繰り返して……ヒルダさんも飽きたと言ってやれば良いのに寛容なことだ」
    「最初拝見した時は心臓が止まりそうになりました……」

     それはそうだろう。普通の馬であったとしても肝が冷える光景だがクロードはなんとそれを上空でやっているのだ。何かひとつでも間違いがあれば死にかねない。好きな人に良いところを見せたいと言う気持ちは分からなくもないがレスター諸侯同盟の次期盟主として相応しくない振る舞いなのは言うまでもなかった。
    2092

    111strokes111

    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    4.C(side:H) マリアンヌの鉄筆をすぐに拾ってやれたことからも分かる通りローレンツは気になることがあるとつい目で追ってしまう癖があるようだ。そして自分が見られていることには無頓着らしい。断りきれずに食事を共にした女子学生はさぞ居心地が悪かっただろう、とヒルダは思う。

    「マリアンヌちゃん、何か困っていることはない?」

     先日、マリアンヌに書庫整理の手伝いをしてもらった結果全て自分で作業をする羽目になったヒルダは本格的に彼女が心配になった。マリアンヌには何か根本的な欠落がある。

    「特にないつもりです……」

     養父であるエドマンド辺境伯はマリアンヌとの関係を良好たしたいと考えているのだろう。こまめに手紙や差し入れが届く。だがローレンツから託された手紙をヒルダが渡した時マリアンヌは戸惑っていた。きっと理由を聞いても教えてくれないのだろう。無駄なことはしないに限る。身内になれない他人が踏み込むべきではない領域があるのだ。そう思ってヒルダがマリアンヌに対して引いていた線を数日前、ローレンツはあっさり越えた。
    2090

    111strokes111

    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    3.C(side:L) ローレンツは大荷物を抱えて忙しそうにしているベレトに手伝いを頼まれた。

    「そろそろ雨が降る。では頼んだ」

     ベレトの指差す方向を見てみれば確かに雲が密集し色濃くなっている。彼から渡された学生宛の手紙は雨に降られる前に配った方がよさそうだった。

     結構な量の手紙の束を確認してみると改めて平民と貴族の違いがよく分かる。貴族の学生宛の手紙は中の手紙を守るため頑丈な紙で出来た封筒に入れられているしその封筒はきちんとその家に伝わる印璽で閉じられている。知識がある者がみれば差出人の名を読まずとも印璽だけでどの家の者が出した手紙なのか分かるのだ。一方で平民の学生宛の手紙は封筒に入っていない。紙が高価だからだ。平民たちは手紙のやり取りをする際、三つ折りにした紙の真ん中に宛先を書き本文はその裏側に書く。書き終わったら中身が見えないように再び三つ折りにして左右の端を折り蝋で閉じるが印璽など持っていないので適当な意匠の印章で閉じる。封筒に守られていないものから早く渡してやる必要があった。いささか焦りながらも敷地内を歩いて回ると皆がどう放課後を過ごしているのかがよく分かる。
    2090

    111strokes111

    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    2.C-(side:H) クロードは他人の喉元に入り込むのが上手い。ヒルダ自身も楽をするために他人の喉元に入り込む自覚があるのですぐに分かった。それにしても十代の男子が女子の体調を気遣うなんて珍しい。ディミトリもメルセデス辺りに頼んでいるのだろうか。そんな訳で不本意ながらヒルダは女子学生の意見をまとめクロードに伝える係をやっている。レオニーは臆さないが盟主の嫡子と言うだけで萎縮してしまう学生もいるのだ。

     一度役割を任されてしまえば期待に応えないわけにいかない。だからこそヒルダは期待をかけられることを嫌い責任というものから逃げ回っていたのだがそうなってみるとどうしても気になる同級生がいた。マリアンヌだ。とにかく何も話さずすぐに一人で厩舎へ行ってしまうので噂話だけが流れている。ダフネル家の代わりに五大諸侯に加わったやり手のエドマンド辺境伯は注目度が高い。おそらくヒルダの兄ホルストの次くらいに学生たちから注目されている。マリアンヌは彼のお眼鏡に叶って養女になったとか目ぼしい若者が彼女しかいなかったから仕方なく彼女を養女にしたとかそんな噂だ。クロードの耳にも当然入っている。
    2052

    111strokes111

    MAIKING何話か進めばクロヒルかつロレマリになる予定です。

    書いてる人間はこの2年間クロロレのR18本しか出していないのでTwitterアカウントは閲覧注意かもしれません。タイトルはそのうち決めます。
    1.C-(side:L) ガルグ=マクにはフォドラ中の者が集まる。出身地別に学級は分かれるがそれでも一年間身分に関係なく共に同じ学び舎で学ぶ。礼服に身を包んだローレンツは級長になれなかったことで落胆していた。ただあの胡散臭いクロード=フォン=リーガンを見極める機会は得られたし生涯の伴侶をガルグ=マクで見つけることができるかもしれない。士官学校で見つけられなければ見合いをするようにと言われている。結婚した後で妻を愛せるようになるのだろうと思っていてもローレンツは最初から親を頼るのは嫌だった。

     職員の指示に従い壮麗な聖堂での長い式典の後それぞれの教室で待機することになった。こうして改めて学友たちを眺めてみると金鹿の学級は他の学級と比べて平民の学生の割合が多く逆にグロスタール家の嫡子であるローレンツが気を使わねばならないような名家の出の者は少ない。ゴネリル家、エドマンド家、コーデリア家のご令嬢くらいだろうか。ローレンツは彼女たちとは初対面だが失礼のないように名前と髪の色、瞳の色は先に覚えておいた。
    2049

    mame

    DONE出ロデ プロヒ×パイロット
    ※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり
    設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)
    完結の巻(後編)前編はhttps://poipiku.com/1356905/6192603.html
     展望デッキ、と書かれている案内を頼りにたどり着いたそこは随分と開けた場所だった。
    ターミナルの六階に設置された展望デッキは、ごげちゃいろの板張りの床が滑走路に沿って長く伸びている。眼下には旅客機が何機も並んでいて、出久が周りをみている今も一機、滑走路を離れ、轟音とともに空へ羽ばたいていった。
    「こんなとこあったんだなあ……」
     本日の天候は晴れ。真冬は過ぎ、わずかにソメイヨシノの蕾がつきはじめた。開花まではまだ時間がかかるが、ずいぶんと過ごしやすくなった。しかし飛行機が離陸すると同時に巻き起こる風はまだまだ冷たい。
    空の下にある展望デッキには薄手のアウターを来た利用客がぱらぱらといて、中にはカメラを構える人もいた。一組一組の間に距離がしっかりあって、会話を聞かれることはないだろう。いい意味で他人に無関心であれる場所だなと思った。カメラを持っている人は飛行機を撮るんだろうか、とまた一機大空に向かって飛び立っていく飛行機を見上げていれば、後ろから声を掛けられる。
    11749

    mame

    DONE出ロデ プロヒ×パイロット
    ※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり
    設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)
    おわりのはじまりの巻
     玄関に実家で持たされた大量の紙袋を床へ下ろして、出久は壁に手をつきながら片足ずつ赤いスニーカーを脱ぐ。いつのまにか出久のトレードマークみたいになっている赤いスニーカーを、以前ロディは「デクが赤って意外だよな」といって、出久が発言するよりもはやく、呆れた顔をして「ああ、オールマイトか」とひとりで一問一答し、納得していた。理解が早くて助かった。
     そんなことを思い出しながら、ヒーロー活動よりも疲れた体で大量の紙袋を持ち直し、部屋に上がる。今日休みが取れたので、昨日は仕事終わりのその足で実家に帰っていたのだ。そして夕方にこのセカンドハウスに帰宅したわけである。
    ダイニングテーブルにどさりと紙袋を置くと、持たされた品が視界にはいる。青色の蓋がされたタッパーには大根と手羽先の煮物、ホウレンソウのおひたし、ポテトサラダ、から揚げが入っている。昨晩の内に母親が作ってくれていたらしい。出久が滅多に自炊しないことを知っているので、実家の食卓でしっかりとおふくろの味を堪能させてもらったのに、さらに作り置きまで用意してくれた。付箋で作られた日付と何日以内に食べてねとぺたりと貼られているそれを見て、出久は苦笑する。大人になったと思っていても、母親にとって出久は何歳になっても子どもらしい。
    6861

    mame

    DONE出ロデ プロヒ×パイロット
    ※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり
    設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)
    初の自宅へご招待の巻・中(前作/https://poipiku.com/1356905/6121882.html の続き)
     仕事を終わらせ、一度セカンドハウスに寄り、部屋を片付けた出久が最寄り駅についたのは、ロディがトークアプリに送ってくれた到着予定時刻からして十分前だった。ちょっと気合が入りすぎているだろうか、なんて照れ臭くなりながら、ロディに出久が中央改札前で待っていることを送れば、すぐ既読が付き、シンプルにAightと返ってくる。これはよくロディが使う単語だ。初回はどういう意味かわからず調べたところ、日本でいう「りょ」と一緒の意味だとわかった。わかったと同時に、かわいいな、と反射で考えた時点で出久は大分末期だと思う。その癖にロディへの想いを自覚したのは最近だ。
     そんなことを考えていれば、改札の向こうに一気に電車から降りてきたのだろう乗客たちが押し寄せていて、その中にキャメルのロングコートと暗めのワインレッドのマフラーを巻いたロディを見つける。ロディが出久の生活圏に足を踏み入れてくれたことが嬉しくて思わず大きく手を振ってしまい、ICカードを改札に押し付けたロディが出久に気づくと同時に息を漏らしながら笑った。白い息が冷たい空気に溶ける。ロディが改札を抜けたタイミングでピノが先行して人の間をすり抜け、出久の元へ小さい羽をパタパタと動かしながら飛んでくるのが酷く愛しい。ふにゃりと笑いながら、手袋をつけたままの右手を持ち上げると、ピノはすっかり慣れた様子で止まり木替わりに着地する。
    3812

    kureko1703

    MOURNINGプロヒ勝×拉致監禁被害者デ
    サラッとだけどモブレ要素あり。別垢で書いてて力尽きたやつ。デが無自覚に可哀想走ってる。
    無題1つ…2つ…3つ…と、あまりの疲れと物理的に揺さぶられることで回る視界で、ぼんやりと天井のシミの数を数える。今日だけでいったい何人相手にしたかなど、片手を超えたあたりで面倒になりやめてしまった。「あっあっ」と揺さぶられる度に、高い声が気持ちよくもないのに生理的に出た。

    そろそろ、疲労が限界に達していることにも気がついていたが、今日は組織内が何処かピリついていて僕が気絶しようがしまいがこの行為は終わらないということだけは確かだった。
    別段それに関しては最早不満はない。むしろ、好き勝手させるだけでご飯が貰えて、命を保証してもらえるのだから儲けものだろう。

    まだ僕は死にたくない。

    僕…は、129番。本名はもう忘れてしまった。5歳の時にはここに居て、この組織の愛玩動物をしてる。それよりも前のことは覚えていない。楽しかった気もするし、苦しかった気もする。…ただ知っている事と言えば母が死んで借金が払えなくなったからこの組織が引き取ったということ。その時の年齢と、個性(?)が無いせいで碌に借金返済も出来ないからということで愛玩動物として飼われることになったって言うこと。
    5743