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    ろひ

    mame

    DONE出ロデ プロヒ×パイロット
    ※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり
    設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)
    完結の巻(後編)前編はhttps://poipiku.com/1356905/6192603.html
     展望デッキ、と書かれている案内を頼りにたどり着いたそこは随分と開けた場所だった。
    ターミナルの六階に設置された展望デッキは、ごげちゃいろの板張りの床が滑走路に沿って長く伸びている。眼下には旅客機が何機も並んでいて、出久が周りをみている今も一機、滑走路を離れ、轟音とともに空へ羽ばたいていった。
    「こんなとこあったんだなあ……」
     本日の天候は晴れ。真冬は過ぎ、わずかにソメイヨシノの蕾がつきはじめた。開花まではまだ時間がかかるが、ずいぶんと過ごしやすくなった。しかし飛行機が離陸すると同時に巻き起こる風はまだまだ冷たい。
    空の下にある展望デッキには薄手のアウターを来た利用客がぱらぱらといて、中にはカメラを構える人もいた。一組一組の間に距離がしっかりあって、会話を聞かれることはないだろう。いい意味で他人に無関心であれる場所だなと思った。カメラを持っている人は飛行機を撮るんだろうか、とまた一機大空に向かって飛び立っていく飛行機を見上げていれば、後ろから声を掛けられる。
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    mame

    DONE出ロデ プロヒ×パイロット
    ※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり
    設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)
    おわりのはじまりの巻
     玄関に実家で持たされた大量の紙袋を床へ下ろして、出久は壁に手をつきながら片足ずつ赤いスニーカーを脱ぐ。いつのまにか出久のトレードマークみたいになっている赤いスニーカーを、以前ロディは「デクが赤って意外だよな」といって、出久が発言するよりもはやく、呆れた顔をして「ああ、オールマイトか」とひとりで一問一答し、納得していた。理解が早くて助かった。
     そんなことを思い出しながら、ヒーロー活動よりも疲れた体で大量の紙袋を持ち直し、部屋に上がる。今日休みが取れたので、昨日は仕事終わりのその足で実家に帰っていたのだ。そして夕方にこのセカンドハウスに帰宅したわけである。
    ダイニングテーブルにどさりと紙袋を置くと、持たされた品が視界にはいる。青色の蓋がされたタッパーには大根と手羽先の煮物、ホウレンソウのおひたし、ポテトサラダ、から揚げが入っている。昨晩の内に母親が作ってくれていたらしい。出久が滅多に自炊しないことを知っているので、実家の食卓でしっかりとおふくろの味を堪能させてもらったのに、さらに作り置きまで用意してくれた。付箋で作られた日付と何日以内に食べてねとぺたりと貼られているそれを見て、出久は苦笑する。大人になったと思っていても、母親にとって出久は何歳になっても子どもらしい。
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    mame

    DONE出ロデ プロヒ×パイロット
    ※互いに両想いなのはわかってるけど付き合ってないふたり
    設定・過去作( https://twitter.com/i/events/1431533338406178824)
    初の自宅へご招待の巻・中(前作/https://poipiku.com/1356905/6121882.html の続き)
     仕事を終わらせ、一度セカンドハウスに寄り、部屋を片付けた出久が最寄り駅についたのは、ロディがトークアプリに送ってくれた到着予定時刻からして十分前だった。ちょっと気合が入りすぎているだろうか、なんて照れ臭くなりながら、ロディに出久が中央改札前で待っていることを送れば、すぐ既読が付き、シンプルにAightと返ってくる。これはよくロディが使う単語だ。初回はどういう意味かわからず調べたところ、日本でいう「りょ」と一緒の意味だとわかった。わかったと同時に、かわいいな、と反射で考えた時点で出久は大分末期だと思う。その癖にロディへの想いを自覚したのは最近だ。
     そんなことを考えていれば、改札の向こうに一気に電車から降りてきたのだろう乗客たちが押し寄せていて、その中にキャメルのロングコートと暗めのワインレッドのマフラーを巻いたロディを見つける。ロディが出久の生活圏に足を踏み入れてくれたことが嬉しくて思わず大きく手を振ってしまい、ICカードを改札に押し付けたロディが出久に気づくと同時に息を漏らしながら笑った。白い息が冷たい空気に溶ける。ロディが改札を抜けたタイミングでピノが先行して人の間をすり抜け、出久の元へ小さい羽をパタパタと動かしながら飛んでくるのが酷く愛しい。ふにゃりと笑いながら、手袋をつけたままの右手を持ち上げると、ピノはすっかり慣れた様子で止まり木替わりに着地する。
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    kureko1703

    MOURNINGプロヒ勝×拉致監禁被害者デ
    サラッとだけどモブレ要素あり。別垢で書いてて力尽きたやつ。デが無自覚に可哀想走ってる。
    無題1つ…2つ…3つ…と、あまりの疲れと物理的に揺さぶられることで回る視界で、ぼんやりと天井のシミの数を数える。今日だけでいったい何人相手にしたかなど、片手を超えたあたりで面倒になりやめてしまった。「あっあっ」と揺さぶられる度に、高い声が気持ちよくもないのに生理的に出た。

    そろそろ、疲労が限界に達していることにも気がついていたが、今日は組織内が何処かピリついていて僕が気絶しようがしまいがこの行為は終わらないということだけは確かだった。
    別段それに関しては最早不満はない。むしろ、好き勝手させるだけでご飯が貰えて、命を保証してもらえるのだから儲けものだろう。

    まだ僕は死にたくない。

    僕…は、129番。本名はもう忘れてしまった。5歳の時にはここに居て、この組織の愛玩動物をしてる。それよりも前のことは覚えていない。楽しかった気もするし、苦しかった気もする。…ただ知っている事と言えば母が死んで借金が払えなくなったからこの組織が引き取ったということ。その時の年齢と、個性(?)が無いせいで碌に借金返済も出来ないからということで愛玩動物として飼われることになったって言うこと。
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    mame

    DONE付き合ってない出ロデ プロヒ×パイロット
    副題:ろで~そ~るの脱出大作戦
    ノック・ノック・ノック① 昔から、物の構造を把握したりするのは得意な方だった。おごり高ぶることなく、ロディは自身のことをそう評価している。
     父親がパズルを与えてくれたり、家で飛行機や車のプラモデルを作ったり、飛行機の操縦教本に載っていた図解を食い入るように見つめていたりと、おそらくそういうことが影響していたのだとロディは思う。
     だからといって、まさか自分に『鍵開け』なんて芸当ができるとは露ほどにも思っていなかったのだけれど。

     ロディがそんな自分の知られざる才能を知るきっかけになったのは運び屋時代だ。言ってはなんだが、間抜けなヴィランとの仕事の時だった。
     その日のロディの仕事は街外れのレストランの店主から受け取ったスーツケースを反対側の街外れの酒場に持っていくこと。どうやら貸し切っているらしい酒場に入る前にピノをコートのポケットに隠し、引き渡し相手であるヴィランに鍵付きのスーツケースを渡して、酒場の中で報酬の支払い待ちをしていたのだが、どういうわけかロディがケースを渡して以降、やけに焦りはじめたヴィランがなかなか支払いをしてくれなかった。
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