トール
いと@it0c0c
MEMOCoC「THESEUS」KP 生月秀真
PC/PL (HO兼立ち絵左順)
火ノ鳥 朱雀/むらた
北條 ほなみ/とーる
アンジュ/いと
雨音 紗/十千葉
(敬称略)
24/12/1.2.3.10.11.13.15
年もまたいで半年以上前になりますが
通過させて頂きました!
個性派揃いで大変楽しい班でした🥳
遅くなりましたが改めて同卓ありがとうございました!
そのこ
DOODLE6/26のビクトールさん側。ビクトールさんはフリックに甘えられるのをなんか平然と受け入れてたらいいとかそういう。2025-06-27
砂漠の入口になっている街のそこそこ良い宿の一室にしばらく滞在する事にしていた。そこの店主と知り合いで、いくつか仕事をこなしてくれれば宿代は格安で良いという。部屋は確かにそんなに広くないけど、俺は帰って寝るだけだし、フリックのほうもカギのかかる部屋で清潔なベッドでねれりゃ百点だと言っていた。風呂もあるし、飯もうまい。仕事は店主が所属している商人ギルドが抱えている案件で、ちょっと時間も手間もかかりそうだった。
離れたところでサウスウィンドウが戦争なんかしてるからな、この辺の治安維持まで手が回んねえんだろうな。まあ俺としちゃあ、食い扶持に困らなくて助かるってもんだけど。
心配事と言えば、体が全然まともじゃなかったフリックの体調だ。砂漠を渡り切る間は、隊商の馬車に乗っていたとはいえちゃんと活動していたというのに、渡り切った途端にまた寝付いてしまった。
1973砂漠の入口になっている街のそこそこ良い宿の一室にしばらく滞在する事にしていた。そこの店主と知り合いで、いくつか仕事をこなしてくれれば宿代は格安で良いという。部屋は確かにそんなに広くないけど、俺は帰って寝るだけだし、フリックのほうもカギのかかる部屋で清潔なベッドでねれりゃ百点だと言っていた。風呂もあるし、飯もうまい。仕事は店主が所属している商人ギルドが抱えている案件で、ちょっと時間も手間もかかりそうだった。
離れたところでサウスウィンドウが戦争なんかしてるからな、この辺の治安維持まで手が回んねえんだろうな。まあ俺としちゃあ、食い扶持に困らなくて助かるってもんだけど。
心配事と言えば、体が全然まともじゃなかったフリックの体調だ。砂漠を渡り切る間は、隊商の馬車に乗っていたとはいえちゃんと活動していたというのに、渡り切った途端にまた寝付いてしまった。
そのこ
DOODLE砂漠越えた後。フリックがビクトールさんに甘えてるからビクフリですよ。多分。ビクトールさんが一日いなくて、ちょっと寂しい。2025-06-26
砂漠を渡って玄関口にあたる町は人が多くて騒がしい。トランとサウスウィンドウがやりあっている場所から少し離れているから、戦火を避けて人が流入しているんだ。宿をとるのだって大変だったはずなのに、ビクトールはいつの間にやらちょっといい宿を見つけてみせるんだから大したものだと思う。
正直、本当にありがたかった。あいつ、大したことがないとか言いやがって。こっちは一冬寝付いたばかりだって分かってたんだろうか。砂漠というか、礫砂漠というか、荒れ地というか。水が少なくて、全部茶色で、空ばかりが真っ青な世界。日がある間は遮るものなんて何もない本当に熱いところで、そのくせ日が落ちれば一転して凍えるほどの寒さになる。あれもトランだってんだからな。世界は広いな。
2255砂漠を渡って玄関口にあたる町は人が多くて騒がしい。トランとサウスウィンドウがやりあっている場所から少し離れているから、戦火を避けて人が流入しているんだ。宿をとるのだって大変だったはずなのに、ビクトールはいつの間にやらちょっといい宿を見つけてみせるんだから大したものだと思う。
正直、本当にありがたかった。あいつ、大したことがないとか言いやがって。こっちは一冬寝付いたばかりだって分かってたんだろうか。砂漠というか、礫砂漠というか、荒れ地というか。水が少なくて、全部茶色で、空ばかりが真っ青な世界。日がある間は遮るものなんて何もない本当に熱いところで、そのくせ日が落ちれば一転して凍えるほどの寒さになる。あれもトランだってんだからな。世界は広いな。
そのこ
DOODLE解放戦争後、一緒に行く腐れ縁。ビクトールさんから誘ったとは思うんですよね。多分ね。2025-06-25
グレッグミンスターにほど近い小さな街の小さな宿屋。店主とは解放軍とは無関係に顔見知りで、それなりに貸しもある。だから季節が一つめぐるぐらいなら長滞在を許されたし、特に事情も聞かれない。国の形が変わったと解放軍の奴らが喧伝に来たときに、少しだけ聞きたげな仕草を見せたが、俺が一つ首を振ればそれでおしまい。
ジョウストンからの人間と渡りをつけるような店主だ。人それぞれに事情があるなんて知り尽くしている。もしここがなければ、俺だってさっさとあのけが人を解放軍に返していただろう。自分が戻る事はなかったとしても、だ。
流石に季節が一つ巡れば、床を上げることは出来る。解放軍がどうなったかも、他の滞在者から聞いているに違いない。じゃあその次は、と言うわけだ。春が来る。俺もそろそろどうするか決めないとな。
2229グレッグミンスターにほど近い小さな街の小さな宿屋。店主とは解放軍とは無関係に顔見知りで、それなりに貸しもある。だから季節が一つめぐるぐらいなら長滞在を許されたし、特に事情も聞かれない。国の形が変わったと解放軍の奴らが喧伝に来たときに、少しだけ聞きたげな仕草を見せたが、俺が一つ首を振ればそれでおしまい。
ジョウストンからの人間と渡りをつけるような店主だ。人それぞれに事情があるなんて知り尽くしている。もしここがなければ、俺だってさっさとあのけが人を解放軍に返していただろう。自分が戻る事はなかったとしても、だ。
流石に季節が一つ巡れば、床を上げることは出来る。解放軍がどうなったかも、他の滞在者から聞いているに違いない。じゃあその次は、と言うわけだ。春が来る。俺もそろそろどうするか決めないとな。
そのこ
DOODLEキスするビクフリ続き。オデッサ抜きでフリックを語ることはできないんで、フリックの事が好きだよってんならオデッサごとになるのは道理なんですけど、それは微妙に嫌だねえとビクトールさんは思っている。2025-06-24
レナンカンプのアジトだ。オデッサのほかにも数人いるが、名前はちょっと思い出せない。あの時に死んだのかもしれない。なんだか妙に動きづらいから、これは夢だと気づいた。長い髪を揺らして、オデッサがこちらを見る。
なんだか妙に不機嫌そうにその柔らかな唇を尖らせて、こちらに向かってくる。化粧気のない、それでも華やかな容貌が下からずいとのぞき込んでくる。
「言ったわよね、ビクトール」
皆に対する、優しくて柔らかくて力強いそれではなくて、年相応の娘の声だ。好きなものがあって、それを独り占めしたいと願う子供の声。
「あの子は私のものなの。ずっと、ずっとそうなの」
そんなこと、生前のオデッサに言われたことはない。
1748レナンカンプのアジトだ。オデッサのほかにも数人いるが、名前はちょっと思い出せない。あの時に死んだのかもしれない。なんだか妙に動きづらいから、これは夢だと気づいた。長い髪を揺らして、オデッサがこちらを見る。
なんだか妙に不機嫌そうにその柔らかな唇を尖らせて、こちらに向かってくる。化粧気のない、それでも華やかな容貌が下からずいとのぞき込んでくる。
「言ったわよね、ビクトール」
皆に対する、優しくて柔らかくて力強いそれではなくて、年相応の娘の声だ。好きなものがあって、それを独り占めしたいと願う子供の声。
「あの子は私のものなの。ずっと、ずっとそうなの」
そんなこと、生前のオデッサに言われたことはない。
そのこ
DOODLE砦。昨日(6/22)を読んでて、まあ多少は変化があるよな、と思ったので砦。ビクトールが勝手に回復した分もあるし、誰か(フリックなりなんなり)がいることで救われてる面もあろう。2025-06-23
夜遅く、ようやく帰ってきた砦の食堂兼酒場には明かりがついていた。そこ以外は闇に包まれていて、砦全体が眠っているような深夜だ。いつ帰るとも言っていなかったから、酒場の主人を待たせてしまっていたとしたら申し訳ないな。少し腹は空いているけれど、なにかを食べる時間でも、用意があるとも思えなかった。
薄暗い戸口から酒場の中を覗く。化粧も落としたレオナと寝間着姿のビクトールの姿がある。あとはもう寝るだけの風情に少しだけ安心した。
床がきしんだのに気づいたのか、ビクトールがこちらを見る。ちょうど立ち上がったレオナも振り向いて微笑んだ。
「おかえり」
当然のあいさつだが、いまだに一瞬面食らってしまう。言うのがビクトールだからなおさらだ。
1588夜遅く、ようやく帰ってきた砦の食堂兼酒場には明かりがついていた。そこ以外は闇に包まれていて、砦全体が眠っているような深夜だ。いつ帰るとも言っていなかったから、酒場の主人を待たせてしまっていたとしたら申し訳ないな。少し腹は空いているけれど、なにかを食べる時間でも、用意があるとも思えなかった。
薄暗い戸口から酒場の中を覗く。化粧も落としたレオナと寝間着姿のビクトールの姿がある。あとはもう寝るだけの風情に少しだけ安心した。
床がきしんだのに気づいたのか、ビクトールがこちらを見る。ちょうど立ち上がったレオナも振り向いて微笑んだ。
「おかえり」
当然のあいさつだが、いまだに一瞬面食らってしまう。言うのがビクトールだからなおさらだ。
そのこ
DOODLE1のちょっと前、二人で飲むフリックとビクトール。フリックはビクトールの飲み方に文句があるんだけど、オデッサも似たような飲み方するから似たような対応をとっちゃうとかそういう。2025-06-22
根城にしている宿に併設された酒場のドアを開けた。店主も慣れたもので、特に確認もされずに奥まったいつもの席に案内された。夜も遅いから、誰もいないんじゃないかと思ったが一人だけが座っている。
よそで食おうかな、と踵を返しかけ、あからさまな拒絶をするのも良くはないな、と逡巡したのがまずかった。顔を上げたビクトールが、酔いもない目で俺を見てへらりと笑った。
「俺が出迎えで悪いな」
「……そんなこと言ってない」
「顔に書いてある。まあ、たまには良いだろ」
オデッサは何もなければ早くに寝てしまうし、ハンフリーは明日早くて、サンチェスは纏めたい書類があるらしい。他の数人も、さっきまで待っていてくれたそうだが、日付が変わるような時間だ。寝床へ帰っていてくれて逆にありがたいまであった。
1788根城にしている宿に併設された酒場のドアを開けた。店主も慣れたもので、特に確認もされずに奥まったいつもの席に案内された。夜も遅いから、誰もいないんじゃないかと思ったが一人だけが座っている。
よそで食おうかな、と踵を返しかけ、あからさまな拒絶をするのも良くはないな、と逡巡したのがまずかった。顔を上げたビクトールが、酔いもない目で俺を見てへらりと笑った。
「俺が出迎えで悪いな」
「……そんなこと言ってない」
「顔に書いてある。まあ、たまには良いだろ」
オデッサは何もなければ早くに寝てしまうし、ハンフリーは明日早くて、サンチェスは纏めたい書類があるらしい。他の数人も、さっきまで待っていてくれたそうだが、日付が変わるような時間だ。寝床へ帰っていてくれて逆にありがたいまであった。
そのこ
DOODLE短い。そういうときもある。フリックさん、自分より体格のいい人間とは無意識に距離をとるけど、ビクトールさんにはしないよっていう話がしたかったんですよ。2025-06-20
時々、皆と話すフリックを外から眺める事がある。傭兵連中なんて大概がやくざで、自分の腕一本で食ってるような奴らばっかりだから、外見はやたらと柄が悪いしでけえ奴らもいっぱいいる。
フリックだって当然鍛えちゃいるけど、傭兵たちの中にまぎれたら何かの間違いみたいに見える。文官が仕事で付き合ってるのかな、とか戦わないんだろ、とかもうさんざん言われているのを見てきた。
傭兵隊を作った時、元から知り合いだった連中はともかく、そとから応募してきたやつらなんて、端からフリックの事を舐め腐っていたのが今はいっそ懐かしい。フリックのそばで、仲良さそうに談笑しているあいつも、注いだ酒を差し出しているあいつも、かつてはそんな舐めた口を聞いていたはずだ。
753時々、皆と話すフリックを外から眺める事がある。傭兵連中なんて大概がやくざで、自分の腕一本で食ってるような奴らばっかりだから、外見はやたらと柄が悪いしでけえ奴らもいっぱいいる。
フリックだって当然鍛えちゃいるけど、傭兵たちの中にまぎれたら何かの間違いみたいに見える。文官が仕事で付き合ってるのかな、とか戦わないんだろ、とかもうさんざん言われているのを見てきた。
傭兵隊を作った時、元から知り合いだった連中はともかく、そとから応募してきたやつらなんて、端からフリックの事を舐め腐っていたのが今はいっそ懐かしい。フリックのそばで、仲良さそうに談笑しているあいつも、注いだ酒を差し出しているあいつも、かつてはそんな舐めた口を聞いていたはずだ。
そのこ
DOODLE傭兵隊結成前。酔っ払いフリックとそこそこ素面のビクトールさん。ビクフリ未満。ビクトールさんが赤月に来たのは別に理由はなかった、はずなんですよ。SPでなんか言われない限りは。2025-06-16
一階にあるレオナの酒場の喧騒が、うすぼんやりと聞こえる。ベッドと小さな卓だけが詰め込まれた宿の部屋には俺と、頭を卓の上に預けたまま半分ぐらいは寝ているフリックだけがいる。ベッドに寝かしてやらねえとなあとは思うのに、思うだけで俺はちっとも動かない。
根本的に体力が戻っていなくて、今日は傭兵連中と何やら騒いでいたから疲れきっていて、おまけに奴らに飲まされたのは俺だってちょっと飲むのをためらうような強い酒だ。飲まなかったからって侮るような奴らばかりではないだろうが、あんまり柄がよくなかったのかもしれねえな。
部屋まで自力で戻っただけで万々歳だ。明日は二日酔いでえらいめにあうんだろうな。ちょっと可哀そうだな。
1828一階にあるレオナの酒場の喧騒が、うすぼんやりと聞こえる。ベッドと小さな卓だけが詰め込まれた宿の部屋には俺と、頭を卓の上に預けたまま半分ぐらいは寝ているフリックだけがいる。ベッドに寝かしてやらねえとなあとは思うのに、思うだけで俺はちっとも動かない。
根本的に体力が戻っていなくて、今日は傭兵連中と何やら騒いでいたから疲れきっていて、おまけに奴らに飲まされたのは俺だってちょっと飲むのをためらうような強い酒だ。飲まなかったからって侮るような奴らばかりではないだろうが、あんまり柄がよくなかったのかもしれねえな。
部屋まで自力で戻っただけで万々歳だ。明日は二日酔いでえらいめにあうんだろうな。ちょっと可哀そうだな。
hakkabox
DOODLE三都105のペーパー用に書いてたSSもどき。SPのビクトール視点1人称で、ちょいと見目のいい細っこいフリックを揶揄ってみたりなど。思ったような単純な反応じゃないのが楽しいらしい。ペーパー用なのでオチはないよ!SPが出る前の妄想そのいち(熊→細っこいガキ) ――なんとまあ、随分とわかりやすいお子様達だこって。
そいつがまずはあいつらに対する第一印象。
ガキくさい、まだ幼ささえ残した顔立ちに線の細い出来上がりにはほど遠い体躯。袖口をぐっとまくり上げてさらけ出した肘から先の腕っ節はそれなりに鍛え上げた様子はあるものの、それとていかにも見せつけてやるといったガキっぽい顕示欲にしか見えやしない。
まあ、お嬢ちゃんの前で粋がっていいとこみせたいってなあ、年齢相応の可愛げっちゃ可愛げだが、惚れた女に寄りつくやつは許さんと言わんばかりに矛先を向けられるほうとしちゃ、あの突き刺すような眼差しで睨み付けられるのはいい加減面白いもんじゃない。だからちょいと世間ってもんを知らしめるってな名目で、やっこさんをちょいとばかりやり込めてやろう、なんてのは、まあむしろ年長者としての優しさってやつなもんだ。
1899そいつがまずはあいつらに対する第一印象。
ガキくさい、まだ幼ささえ残した顔立ちに線の細い出来上がりにはほど遠い体躯。袖口をぐっとまくり上げてさらけ出した肘から先の腕っ節はそれなりに鍛え上げた様子はあるものの、それとていかにも見せつけてやるといったガキっぽい顕示欲にしか見えやしない。
まあ、お嬢ちゃんの前で粋がっていいとこみせたいってなあ、年齢相応の可愛げっちゃ可愛げだが、惚れた女に寄りつくやつは許さんと言わんばかりに矛先を向けられるほうとしちゃ、あの突き刺すような眼差しで睨み付けられるのはいい加減面白いもんじゃない。だからちょいと世間ってもんを知らしめるってな名目で、やっこさんをちょいとばかりやり込めてやろう、なんてのは、まあむしろ年長者としての優しさってやつなもんだ。
そのこ
DOODLE昨日の続き。カミューさんとお話しするビクトールさん。自分はカミューとフリックが仲良しなのが好きなんですよね。なので二人は仲良しです。2025-06-13
今日の仕事を片づけて商店街をぶらぶらと歩いていたカミューは店先に知人の姿を認めて立ち止まった。様々な種類のダンプリングを売る店で、グラスランド風の味付けも扱っていてカミューも時折利用する店だ。
店主と慣れた様子で談笑する男に近づき、カミューは笑みを浮かべて声をかける。
「こんばんは、ビクトールさん」
振り返ったビクトールは人懐っこい笑みを浮かべている。
「おう。お前も仕事終わりか」
「ええ。ビクトールさんもですか?」
「いらっしゃい。あんたもどうだい」
カミューにも愛想よく声をかけながら、店主が手際よくビクトールの注文をさばいていく。差し出した金物の器にこの店名物の肉餡が入ったダンプリングを四つほど入れて、大鍋から金色のスープを注ぎ入れる。かと思えば、油からスープに入っているよりも少しだけ小ぶりな団子を取り出して、油紙に包んでいく。手際がよく、まるで踊りのようにも見える店主の動きを見るのがカミューは好きだった。
2568今日の仕事を片づけて商店街をぶらぶらと歩いていたカミューは店先に知人の姿を認めて立ち止まった。様々な種類のダンプリングを売る店で、グラスランド風の味付けも扱っていてカミューも時折利用する店だ。
店主と慣れた様子で談笑する男に近づき、カミューは笑みを浮かべて声をかける。
「こんばんは、ビクトールさん」
振り返ったビクトールは人懐っこい笑みを浮かべている。
「おう。お前も仕事終わりか」
「ええ。ビクトールさんもですか?」
「いらっしゃい。あんたもどうだい」
カミューにも愛想よく声をかけながら、店主が手際よくビクトールの注文をさばいていく。差し出した金物の器にこの店名物の肉餡が入ったダンプリングを四つほど入れて、大鍋から金色のスープを注ぎ入れる。かと思えば、油からスープに入っているよりも少しだけ小ぶりな団子を取り出して、油紙に包んでいく。手際がよく、まるで踊りのようにも見える店主の動きを見るのがカミューは好きだった。
そのこ
DOODLEシーナとフリック。シーナがビクトールにかくまってもらうって、なに!??2025-06-11
新同盟軍の本拠地を、まるで住人のように慣れた歩調でシーナは歩く。うわさに聞くところによれば何だかんだと攻め込まれているというのに、住んでいる人間の顔は明るい。そこここに見られる露店には様々な商品が多少割高なれど並び、買い求める人も列をなすという事はない。物資の流れが民間レベルでも力強い。
ハイランドとここの力の差は依然大きいが、それでも踏み潰されるほど弱くはないということだ。
そこまで考えて、シーナは内心笑ってしまう。なんの責任があってそんな事を考えるのか。自分はいつでも逃げられる気楽な立場だと言うのに。
腰に佩いたレパントからの預かり物が音を立てるのを抑え込む。
別に偵察に来たわけではない。ほんの少し力の加減を間違えた女の子の気持ちが冷えるまで、知人に匿ってもらおうとやってきたのだ。軍に属している体をしておけば、そばに居られない事に納得する女の子は多いから、傭兵の知り合いはありがたい。これが正規軍なら入隊も除隊も簡単ではないだろう。
2384新同盟軍の本拠地を、まるで住人のように慣れた歩調でシーナは歩く。うわさに聞くところによれば何だかんだと攻め込まれているというのに、住んでいる人間の顔は明るい。そこここに見られる露店には様々な商品が多少割高なれど並び、買い求める人も列をなすという事はない。物資の流れが民間レベルでも力強い。
ハイランドとここの力の差は依然大きいが、それでも踏み潰されるほど弱くはないということだ。
そこまで考えて、シーナは内心笑ってしまう。なんの責任があってそんな事を考えるのか。自分はいつでも逃げられる気楽な立場だと言うのに。
腰に佩いたレパントからの預かり物が音を立てるのを抑え込む。
別に偵察に来たわけではない。ほんの少し力の加減を間違えた女の子の気持ちが冷えるまで、知人に匿ってもらおうとやってきたのだ。軍に属している体をしておけば、そばに居られない事に納得する女の子は多いから、傭兵の知り合いはありがたい。これが正規軍なら入隊も除隊も簡単ではないだろう。
そのこ
DOODLEキスをねだるビクフリ。フリックさんはビクトールさんの事がなんだかんだと好きなので、ねだられれば際限はないです。2025-06-09
今日はなんだか暇な日で、早々に風呂に入って夕飯も食べて部屋でぼんやりと本をめくっていた。興味を惹かれて借りてきた兵法書だが、同じ個所を何度も読んでいる事に気づいて、自嘲気味に閉じる事にした。つい先日まで異様に忙しかったから、いまいち余暇の過ごし方と言うのが思い出せない。そもそもそんなに得意ではなかったというのもあるけれど。
行儀悪く、本の隅をはじくようにめくっていく。もう寝てしまおうか、それともそろそろ返ってくるだろうビクトールのやつを待っていてやろうか。
そんなことを思っている時点で、決まっているようなものだ。本を卓の上に置いて、グラスと酒を取り出すために立ち上がった。
自分の酒とグラス、少しだけ考えてビクトールのボトルはやめておく事にした。ビクトールの同室のここには、当然奴の私物もぽつぽつと存在している。お互いにそこまで荷物を持たないが、しばらく滞在していればそれだけ自然と増えるものもあるのだ。
1731今日はなんだか暇な日で、早々に風呂に入って夕飯も食べて部屋でぼんやりと本をめくっていた。興味を惹かれて借りてきた兵法書だが、同じ個所を何度も読んでいる事に気づいて、自嘲気味に閉じる事にした。つい先日まで異様に忙しかったから、いまいち余暇の過ごし方と言うのが思い出せない。そもそもそんなに得意ではなかったというのもあるけれど。
行儀悪く、本の隅をはじくようにめくっていく。もう寝てしまおうか、それともそろそろ返ってくるだろうビクトールのやつを待っていてやろうか。
そんなことを思っている時点で、決まっているようなものだ。本を卓の上に置いて、グラスと酒を取り出すために立ち上がった。
自分の酒とグラス、少しだけ考えてビクトールのボトルはやめておく事にした。ビクトールの同室のここには、当然奴の私物もぽつぽつと存在している。お互いにそこまで荷物を持たないが、しばらく滞在していればそれだけ自然と増えるものもあるのだ。
そのこ
DOODLEキバ戦前。ラダトに行くのを「気分転換になる」とビクトールさんが評したのは、2主君が完全に誰かの庇護下にいる状態にできるから、とかそういうあれ。2025-06-07
ラダトに偵察に行くと簡単に言ったって、行って帰って一日はかかる。城からビクトールさんと二人で出発して、サウスウィンドウで一泊するのが普通の工程だ。
「飯、あれが食いたいんだよな」
ビクトールさんが出してきた名前は、定宿にしている宿屋から五分ほど歩いた賑やかな定食屋さんの看板メニューだ。ジューシーな唐揚げに野菜たっぷりの餡がかかっているもので、少し甘めの味付けがご飯を進ませる。僕も食べたくなってきて、二つ返事で頷いた。
サウスウィンドウまではまだハイランドの手が回っていなくて、物資も人もきちんと流れていた。一人二人待っていた定食屋さんに二人で並び、他愛のない話をする。僕がマチルダに行っていた間の笑い話とか、ビクトールさんが旅をしていた間に体験したちょっと怖い話とか。
2026ラダトに偵察に行くと簡単に言ったって、行って帰って一日はかかる。城からビクトールさんと二人で出発して、サウスウィンドウで一泊するのが普通の工程だ。
「飯、あれが食いたいんだよな」
ビクトールさんが出してきた名前は、定宿にしている宿屋から五分ほど歩いた賑やかな定食屋さんの看板メニューだ。ジューシーな唐揚げに野菜たっぷりの餡がかかっているもので、少し甘めの味付けがご飯を進ませる。僕も食べたくなってきて、二つ返事で頷いた。
サウスウィンドウまではまだハイランドの手が回っていなくて、物資も人もきちんと流れていた。一人二人待っていた定食屋さんに二人で並び、他愛のない話をする。僕がマチルダに行っていた間の笑い話とか、ビクトールさんが旅をしていた間に体験したちょっと怖い話とか。
kinon_trpg
INFO2025.6.5CoC 6th シナリオ
『レゾンデトール』
KP:へいどぅーさん
PC/PL:
HO1:狐塚 貫志(tamさん)
HO2:唐戸 綿(キノ)
エンドC-1両生還にてシナリオ閉幕!
唐戸さんこれから好きな物が見つかるといいね!
狐塚君、唐戸さんを支えてやってください...頼んます。
ももはま
DONEでみめんアンソロ記念のビンタンさんです設定資料見ながら太もものパツパツ具合とか足の爪とかに見惚れてしまいましたね……。でみめんってゲームを遊べば会えるんですか?どこでインストールできます?
そのこ
DOODLEハンフリーとフリック。書きそびれてますが、視点はビクトールさん。ハンフリーさんとフリック、ビクトールよりずっと付き合いが長いと思ってたんだけどな……2025-05-29
別にわざと黙っていたわけではないと誓って言えるが、なんだかだまし討ちみたいな事になったのは確かだ。
マチルダの街道沿いの小さな町でハンフリーと再会して、竜騎士のフッチが竜を得て、ミューズはもうさんざんで、騎士の奴らは誓いを破った。いろいろあったし、何よりもハンフリーは口数が少ない。言いたいことがあるのに黙ってしまうと言うよりは、特に言いたい事を思いつかないから黙っている、の方が近いと短くもない付き合いから判断していた。
タイラギにつき従った俺と顔を合わせた時も、ただ一言だけ、「生きていたのか」と言っただけだ。ほんとうにそれだけ。グレッグミンスターで帰ってこなかった俺が、こうしてピンピンしているのを確認した。生きていて良かった。そういう思いをこめて、でも一言だけ。
1701別にわざと黙っていたわけではないと誓って言えるが、なんだかだまし討ちみたいな事になったのは確かだ。
マチルダの街道沿いの小さな町でハンフリーと再会して、竜騎士のフッチが竜を得て、ミューズはもうさんざんで、騎士の奴らは誓いを破った。いろいろあったし、何よりもハンフリーは口数が少ない。言いたいことがあるのに黙ってしまうと言うよりは、特に言いたい事を思いつかないから黙っている、の方が近いと短くもない付き合いから判断していた。
タイラギにつき従った俺と顔を合わせた時も、ただ一言だけ、「生きていたのか」と言っただけだ。ほんとうにそれだけ。グレッグミンスターで帰ってこなかった俺が、こうしてピンピンしているのを確認した。生きていて良かった。そういう思いをこめて、でも一言だけ。
そのこ
DOODLEWリーダーによるビクトール評。2主君はビクトールさんが好きだし、坊はほっぽり出されたことがあるので点がちょっと辛い。2025-05-28
ビクトールの復讐は終わっていなかったのだと、僕はタイラギから聞いた。いくらか話した本人からはそんな事は読み取れず、読み取れなかったという事それそのものにも僕はひどく驚いている。
「だってビクトールさんは、本当は出ていきたかったはずなんですよね」
その場にいなかった僕にどうこう言う権利はないので、黙って頷いた。
昔はノースウィンドウという名前だった廃村にその面影はない。新同盟軍の本拠地として、日々改修され、人々が行き交う賑やかな街だ。新同盟軍の主であるタイラギに誘われて、僕はしばらくここに滞在することにしていた。
戦争中だが物資はそこそこ豊かで、人の顔も明るい。僕が率いていた解放軍が集う砦はやっぱり軍事的な色が濃かったな。まあ、湖の真ん中にあったんだしな。
1676ビクトールの復讐は終わっていなかったのだと、僕はタイラギから聞いた。いくらか話した本人からはそんな事は読み取れず、読み取れなかったという事それそのものにも僕はひどく驚いている。
「だってビクトールさんは、本当は出ていきたかったはずなんですよね」
その場にいなかった僕にどうこう言う権利はないので、黙って頷いた。
昔はノースウィンドウという名前だった廃村にその面影はない。新同盟軍の本拠地として、日々改修され、人々が行き交う賑やかな街だ。新同盟軍の主であるタイラギに誘われて、僕はしばらくここに滞在することにしていた。
戦争中だが物資はそこそこ豊かで、人の顔も明るい。僕が率いていた解放軍が集う砦はやっぱり軍事的な色が濃かったな。まあ、湖の真ん中にあったんだしな。
🦊うつせみ🧀
INFOCoC「サルヴァトール・デア」KP:うつせみ
PC / PL
HO1:ジェームス・バトラー / 尋さん
HO2:マーガレット・テイラー / 誤字さん
HO3:ヘレン・C・アトウェル / みこしばさん
HO4:ライアル・クラーク / 誤字さん
HO5:パトリック・カヤ・エジソン / みこしばさん
HO6:ルネ・ブーシェ / うつせみ
HO7:アルバート・パーソン / 尋さん
そのこ
DOODLEビクフリ。ちょっかいかけるビクトールさんとからかわれるフリックのやつ。2025-05-26
「いつ帰ってくるんだ?」
自分はまだベッドに転がったまま、身支度をするフリックに聞いた。そこここに薄い傷跡が残る肌が、洗いざらしの服に隠されていく。何にも残ってねえなあ。ベッドを共にしたのはもう何週間も前の話で、それに普段から不満を抱えているというわけでもないのだが。
「一週間ぐらいかかるから……」
日付を聞いて、なんだか本当に、心の底から困ってしまった。
行先も教えてくれない軍師の任務だ。どうせ厄介ごとなんだろう。人が動き出すような時間にしれっといなくなって、さくっと帰ってくる。まったく良いように使ってくれるもんだ。
手際よく荷物をまとめ、昨日書いたらしき引継ぎの書類の確認をする。シャツから伸びる細い首筋とか、適当にまくった袖から見える腕とかそういうの。
1683「いつ帰ってくるんだ?」
自分はまだベッドに転がったまま、身支度をするフリックに聞いた。そこここに薄い傷跡が残る肌が、洗いざらしの服に隠されていく。何にも残ってねえなあ。ベッドを共にしたのはもう何週間も前の話で、それに普段から不満を抱えているというわけでもないのだが。
「一週間ぐらいかかるから……」
日付を聞いて、なんだか本当に、心の底から困ってしまった。
行先も教えてくれない軍師の任務だ。どうせ厄介ごとなんだろう。人が動き出すような時間にしれっといなくなって、さくっと帰ってくる。まったく良いように使ってくれるもんだ。
手際よく荷物をまとめ、昨日書いたらしき引継ぎの書類の確認をする。シャツから伸びる細い首筋とか、適当にまくった袖から見える腕とかそういうの。
そのこ
DOODLEちょっと酔ったフリックとビクトール。ビクフリというか、片思いというか。2025-05-25
疲れているからここまでにしとこう。そう言うのを見誤る時がある。良い時か、悪い時かはそれぞれだが、今日は機嫌よく飲んでて、部屋に帰りがたくて見誤ったパターンだ。
すぎたな、と思うのは見慣れた俺ぐらいで、他の奴らにしてみたらそんなに変わらなく見えていただろう。それでも、皆に向ける視線とか、そういうのがいつもよりも柔らかくてよく笑う。楽しそうだから、それは別に良いんだけども。
まだ飲むのだ、という部隊の連中を残して二人で帰路についた。常夜灯がいつもは通らない道を照らしている。まだ整わない石畳の上を、フリックと二人じゃりじゃり言わせながら歩くのはなんだか久しぶりだった。
歩く姿を後ろから眺めながらついていく。上機嫌なのは後ろ姿からでも見て取れた。あっちへ一歩踏み出し、向こうへ進み、時折立ち止まって俺が追いつくのを待っている。追いついた俺に、笑いかける顔は緩んでただ柔らかくて、いやまったくの上機嫌。あんまりふりまかねえほうが良いと思うがね、こういう顔はよ。
1768疲れているからここまでにしとこう。そう言うのを見誤る時がある。良い時か、悪い時かはそれぞれだが、今日は機嫌よく飲んでて、部屋に帰りがたくて見誤ったパターンだ。
すぎたな、と思うのは見慣れた俺ぐらいで、他の奴らにしてみたらそんなに変わらなく見えていただろう。それでも、皆に向ける視線とか、そういうのがいつもよりも柔らかくてよく笑う。楽しそうだから、それは別に良いんだけども。
まだ飲むのだ、という部隊の連中を残して二人で帰路についた。常夜灯がいつもは通らない道を照らしている。まだ整わない石畳の上を、フリックと二人じゃりじゃり言わせながら歩くのはなんだか久しぶりだった。
歩く姿を後ろから眺めながらついていく。上機嫌なのは後ろ姿からでも見て取れた。あっちへ一歩踏み出し、向こうへ進み、時折立ち止まって俺が追いつくのを待っている。追いついた俺に、笑いかける顔は緩んでただ柔らかくて、いやまったくの上機嫌。あんまりふりまかねえほうが良いと思うがね、こういう顔はよ。
sabasavasabasav
DOODLE坊+ビクトール+フリック。テオ・マクドール戦後。血の表現あります、ご注意ください。パセラチャレンジでビクトールばかり引いた記念に。
▽
百戦百勝と謳われたテオ・マクドールの大隊を打ち破ってからというもの、解放軍の士気は明らかに高まっていた。
赤月帝国随一といわれた精鋭等からもぎ取った勝利に、兵たちが沸き立ったからだった。
それが解放軍リーダーの実の父親だと知る者も知らぬ者も、帝国打倒へ続く道を、同じ熱量で受け入れた。
五将軍の半数を討ち取り、各地に散らばった帝国兵の統率も崩れている。解放軍へ寝返る兵が増えていることが、その証左だった。
高揚を抑えきれない兵たちは、北の関所を守るカシム・ハジルを討とうと気勢を上げ、マッシュがそれを制止する光景も、今や珍しくないものとなっていた。
士気が高まる今、戦を仕掛けることには利も不利もある。
2784百戦百勝と謳われたテオ・マクドールの大隊を打ち破ってからというもの、解放軍の士気は明らかに高まっていた。
赤月帝国随一といわれた精鋭等からもぎ取った勝利に、兵たちが沸き立ったからだった。
それが解放軍リーダーの実の父親だと知る者も知らぬ者も、帝国打倒へ続く道を、同じ熱量で受け入れた。
五将軍の半数を討ち取り、各地に散らばった帝国兵の統率も崩れている。解放軍へ寝返る兵が増えていることが、その証左だった。
高揚を抑えきれない兵たちは、北の関所を守るカシム・ハジルを討とうと気勢を上げ、マッシュがそれを制止する光景も、今や珍しくないものとなっていた。
士気が高まる今、戦を仕掛けることには利も不利もある。
そのこ
DOODLEニナちゃんにとって伝えることで得られる安心感があるからフリックに「好きです」っていうし、ビクトールさんは伝えない事で心地よい距離を保っているみたいな。2025-05-23
グリンヒルからニナが来てからというもの、フリックの心労に割と大きめのものが加わったなという印象がある。元々女と子供が苦手な奴だ。その両方となるとまあ大変だよな。だからと言って、邪険にしきるわけじゃないのも正直よく分からない。手を引かれればついていくし、あとで本当に憔悴した顔で部屋に帰ってくる割にはきっぱりと断ろうとはしない。
それはそれで良くないと思うんだよな。期待を持たせてるだけじゃねえのか。
「俺もそう思う」
「そう思うんなら是正しろよ。何考えてんだ」
小さな卓の上で行儀悪く頬杖をついたフリックは、少しだけ眉を寄せて目を閉じた。苦虫と一緒にナッツをかみ砕き、言う。
「ニナ、賢いなと思うのはさ」
1460グリンヒルからニナが来てからというもの、フリックの心労に割と大きめのものが加わったなという印象がある。元々女と子供が苦手な奴だ。その両方となるとまあ大変だよな。だからと言って、邪険にしきるわけじゃないのも正直よく分からない。手を引かれればついていくし、あとで本当に憔悴した顔で部屋に帰ってくる割にはきっぱりと断ろうとはしない。
それはそれで良くないと思うんだよな。期待を持たせてるだけじゃねえのか。
「俺もそう思う」
「そう思うんなら是正しろよ。何考えてんだ」
小さな卓の上で行儀悪く頬杖をついたフリックは、少しだけ眉を寄せて目を閉じた。苦虫と一緒にナッツをかみ砕き、言う。
「ニナ、賢いなと思うのはさ」
そのこ
DOODLEフリオデについてニナとビクトール。フリオデ、わりと文脈を読ませるカプだよなという感想はある。2025-05-20
「心に決めた人ってだれなの」
ニナの大きな緑の目がまっすぐに俺を見つめてくる。真昼間のレオナの酒場。次の仕事までに開いた時間で昼飯を、いままさに食おうとしていた俺めがけて歩いてきたニナが開口一番言ったのだ。
馴染み客だけに出される昨日の残り物サンドイッチに食いつきながら、俺は内心首をかしげた。この娘がフリックに熱を上げているのは流石に知っている。フリック側が逃げ回っているのも理解しているし、そこに介入するつもりもあんまりない。
勝手にやるだろ。あいつだって大人だし、ガキに手を出すような奴じゃないことなど百も承知。何よりオデッサの事がある。
「誰に聞いても知らないの。リッチモンドさんは教えてくれないし」
1786「心に決めた人ってだれなの」
ニナの大きな緑の目がまっすぐに俺を見つめてくる。真昼間のレオナの酒場。次の仕事までに開いた時間で昼飯を、いままさに食おうとしていた俺めがけて歩いてきたニナが開口一番言ったのだ。
馴染み客だけに出される昨日の残り物サンドイッチに食いつきながら、俺は内心首をかしげた。この娘がフリックに熱を上げているのは流石に知っている。フリック側が逃げ回っているのも理解しているし、そこに介入するつもりもあんまりない。
勝手にやるだろ。あいつだって大人だし、ガキに手を出すような奴じゃないことなど百も承知。何よりオデッサの事がある。
「誰に聞いても知らないの。リッチモンドさんは教えてくれないし」
そのこ
DOODLESP準拠でオデッサとビクトール。髪を伸ばすといえば願掛けでは。という素直な発想。2025-05-18
別に理由はあんまりない。砂漠を越える時に切ったりする余裕があんまりなくて伸ばしっぱなしにしといたら括れる長さになったからそのままにしているだけだ。
朝ひげを当たるついでにちょこっと括る程度だから面倒でもないし、短いころよりも適当に出来ている気がする。前髪だけは邪魔くさいから切ってるけどこっちは自分でできる話だしな。
「何かお願い事でもあるのかと思ってた」
朝、洗面所で顔を合わせたオデッサが長い髪を丁寧にとかしながら言った。お嬢さんの感性だとそうなるんだろうな。
綺麗なブラシでゆっくりと長い髪を撫でていく。時折止まって、もつれた部分をほぐす指先もちゃんと整えられていて、このお嬢さんが本当ならこんなところにいるはずもない人間だという事なんて見ればすぐに分かった。
1778別に理由はあんまりない。砂漠を越える時に切ったりする余裕があんまりなくて伸ばしっぱなしにしといたら括れる長さになったからそのままにしているだけだ。
朝ひげを当たるついでにちょこっと括る程度だから面倒でもないし、短いころよりも適当に出来ている気がする。前髪だけは邪魔くさいから切ってるけどこっちは自分でできる話だしな。
「何かお願い事でもあるのかと思ってた」
朝、洗面所で顔を合わせたオデッサが長い髪を丁寧にとかしながら言った。お嬢さんの感性だとそうなるんだろうな。
綺麗なブラシでゆっくりと長い髪を撫でていく。時折止まって、もつれた部分をほぐす指先もちゃんと整えられていて、このお嬢さんが本当ならこんなところにいるはずもない人間だという事なんて見ればすぐに分かった。
sansumi_
INFO◆2025年星に願いを◆研日オンリー
◆研日漫画「ずっと一緒にいようよ」全年齢 38p
発行予定の研日漫画サンプルです。
🌷研磨に対する気持ちを考えてる日向の話しです🌷
前回よりラブラブしてたりモブの女性やエイトール(🇧🇷でのペアの人物)が出てくるので苦手な方はご注意下さい🙇 4
侑哉🐺💣
DOODLEレザヘク「赤は君の色」レザラの爪とかアクセが赤色なのワンポイントの差し色だとは思うんだけど赤ってそういうことじゃん!!!!!!ってなってる概念に弱いオタク
あとヘクトールのオッドアイって黄色と赤なんですよね・・・
黄色ってそういうことじゃん!!!!
そのこ
DOODLEイチャついてるだけのビクフリ。きゃっきゃ。ビクトールさん、髪が長かった時期があるのはあんまり想像してなかったな。いいんですねそんな私に都合のいいことあって。2025-05-16
風呂から帰ってきたビクトールがそのまま戸棚に直行して中をかき回している。何をしているのか、と明かりをもって近寄れば、ちょうど爪の手入れ用具が入ったおばこを取り出すところだった。
ビクトールは今日の午後まで数日かけての野戦訓練に出かけていた。風呂に入って全身綺麗にしたとはいえ、流石に爪の先までは完璧に泥を落とすとまでは行かなかったようだ。
「おつかれ」
「つかれたぜ。ギルバートのやつと賭けをしたんだけどよ」
卓の上に戻した明かりのそばに肘をつき、ビクトールはしゃべりながら小箱から取り出した小刀を爪に当てた。安定しない卓を動かさないよう、俺ももう一つの椅子に座りなおし促すように一つ頷く。
1272風呂から帰ってきたビクトールがそのまま戸棚に直行して中をかき回している。何をしているのか、と明かりをもって近寄れば、ちょうど爪の手入れ用具が入ったおばこを取り出すところだった。
ビクトールは今日の午後まで数日かけての野戦訓練に出かけていた。風呂に入って全身綺麗にしたとはいえ、流石に爪の先までは完璧に泥を落とすとまでは行かなかったようだ。
「おつかれ」
「つかれたぜ。ギルバートのやつと賭けをしたんだけどよ」
卓の上に戻した明かりのそばに肘をつき、ビクトールはしゃべりながら小箱から取り出した小刀を爪に当てた。安定しない卓を動かさないよう、俺ももう一つの椅子に座りなおし促すように一つ頷く。
そのこ
DOODLEグリンヒルに行く前、なんかちょっとビクトールさんが嫌そうだから……ビクフリです。ちゃんと。2025-05-13
占領された街に侵入して、市長代行を助け出せ。まあ無理難題を押し付けてくるもんだ。テレーズ市長代行をタイラギが助け出したという物語が大切な事は理解する。だが実際に敵地で動くのはあの子たちじゃなくて、今手慣れた様子で荷づくりをするこいつだ。
明日の朝には城を出て、しばらくは帰ってこない。帰ってくるかも分からない。
思えば、生死も分からない状態で離れるのは本当に久しぶりだ。それこそ、解放戦争の時ぐらいじゃないか。
自分のベッドに座り込んで、荷づくりを進める背中を見つめる自分の顔が不機嫌にゆがんでいるなんて分かっていた。仕方のない事だってのは分かっている。タイラギたちを守れて、敵地で単独で動ける人間なんて俺かこいつぐらい。目立たない、まで条件を絞れば、シュウがこいつを指名する理由だって納得が出来る。
1423占領された街に侵入して、市長代行を助け出せ。まあ無理難題を押し付けてくるもんだ。テレーズ市長代行をタイラギが助け出したという物語が大切な事は理解する。だが実際に敵地で動くのはあの子たちじゃなくて、今手慣れた様子で荷づくりをするこいつだ。
明日の朝には城を出て、しばらくは帰ってこない。帰ってくるかも分からない。
思えば、生死も分からない状態で離れるのは本当に久しぶりだ。それこそ、解放戦争の時ぐらいじゃないか。
自分のベッドに座り込んで、荷づくりを進める背中を見つめる自分の顔が不機嫌にゆがんでいるなんて分かっていた。仕方のない事だってのは分かっている。タイラギたちを守れて、敵地で単独で動ける人間なんて俺かこいつぐらい。目立たない、まで条件を絞れば、シュウがこいつを指名する理由だって納得が出来る。