二十四節気
JENNIFER
DOODLE今日の🛠落書き。🛠と二十四節気 大雪。#KOUGU維新ファンアート
大雪 今年は12月7日 鱈 ダイコン 南天 / 指矩
(※ 12月13日(金)付けで新しくスクショし加工の後再掲載しました)
つーり
PAST「あなたと歩いた二十四節気」より清明の章「思し召し距離」を再録
世の二十四節気も清明を迎えた頃なので、せっかくと思いこちらの章だけ再録しておきます。春に中てられる二人のお話。三年後杉ㇼパさんです。
思し召し距離 踏んだ地面の感触が柔らかい。根雪が解け、固く凍っていた地面がふんわりと緩み、やがて新芽が若草色の毛布を敷き詰める。惨淡としていた山がところどころ色づき、朗らかな空気が匂い立つ。
アシㇼパは杉元と共に、春の山を歩いていた。北の大地にもようやく春と呼べる風景が広がっていた。
淡い水色の空が広がる。穏やかな天気はここ数日続いていた。時折吹く風は涼しいものの、降り注ぐ日差しは地上の万物に行き届くように、明るくて強かだ。空を見上げては深呼吸をし、萌え出る若芽を見ては目を細める。何度噛み締めても足りないくらい、冬を超えた喜びは新鮮に湧き上がる。くすんでいた山が少しずつ鮮やかになっていく様は、飽かず眺めていられた。
3340アシㇼパは杉元と共に、春の山を歩いていた。北の大地にもようやく春と呼べる風景が広がっていた。
淡い水色の空が広がる。穏やかな天気はここ数日続いていた。時折吹く風は涼しいものの、降り注ぐ日差しは地上の万物に行き届くように、明るくて強かだ。空を見上げては深呼吸をし、萌え出る若芽を見ては目を細める。何度噛み締めても足りないくらい、冬を超えた喜びは新鮮に湧き上がる。くすんでいた山が少しずつ鮮やかになっていく様は、飽かず眺めていられた。
610sugarless
DONEおれからいちいち言わせんな3展示SSです!
2024年はカラ一yearということで、かねてより構想のあった二十四節気にまつわるカラ一のお話を書いて行こうと思っています!
二十四節気では一年の始まりは立春、そして奇しくも2024年の立春は2月4日です👏👏👏
この善き日に始まるふたりの物語を、どうぞ見届けていただければ幸いです✨✨✨ 9
ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その15)この風見くんはいつも降谷さんへの贈り物を受け取ってもらえてないですね
20_小雪(11月22日頃) 風見が上司の車に乗り込むと、見慣れない物が目に入った。ダッシュボードに小さなお守りが置いてあったのだ。白いお守り袋に金の糸で「交通安全御守」と刺繍されている。
「どうされたんですか、これ」
風見は思わず聞いた。
「お守りだけど」
降谷はお守りを買うようなタイプではない。
「ええと、――なぜここに?」
どのような経緯で持っているのだろうと純粋に思った。押収品だろうか、と一瞬過ったが、すぐに否定された。
「マスターが酉の市に行ったついでに、僕と梓さんの分も用意してくれたんだ」
「酉の市?」
よく見ると、お守りには小さな熊手と小判の飾りが付いている。
「商売繁盛の、熊手の、あれですか」
「そう。深夜のうちに馴染みのところで買ってきたみたいで。僕にはこっちの方が必要じゃないかって」
1953「どうされたんですか、これ」
風見は思わず聞いた。
「お守りだけど」
降谷はお守りを買うようなタイプではない。
「ええと、――なぜここに?」
どのような経緯で持っているのだろうと純粋に思った。押収品だろうか、と一瞬過ったが、すぐに否定された。
「マスターが酉の市に行ったついでに、僕と梓さんの分も用意してくれたんだ」
「酉の市?」
よく見ると、お守りには小さな熊手と小判の飾りが付いている。
「商売繁盛の、熊手の、あれですか」
「そう。深夜のうちに馴染みのところで買ってきたみたいで。僕にはこっちの方が必要じゃないかって」
Linco_juju
DONE棘くんお誕生日おめでとう🎉10月23日は一般的に霜降と呼ばれているんですね。二十四節気をキャラの誕生日とリンクさせているらしいげげ先生のメッセージを超拡大解釈して、棘くんの在り方を伏視点で妄想してみました。
未満伏棘。恋愛感情すら抱いていないけれど、伏の中では確かな存在になりつつある先輩。伏が陰から狗巻先輩へ憧憬の眼差しを向けるのがヘキなので詰め込みました。お口に合えば💕
psw→棘の誕生日 2
ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その14)まじで勝手なイメージなんですけど、風見は社会と図工が好きなんじゃね?と思う
012_大暑(7月23日頃) 信号待ちをしていると、青いプランターを抱えた小学生が何人か横断歩道を横切った。黄色いランドセルカバーを付けているので一年生たちだろう。
「もう夏休みの時期なんですね」
風見は助手席に座る降谷に話しかけた。街路樹からはアブラゼミの鳴く声が聞こえてくる。
「朝顔の観察日記か。僕もやったな」
「自分もです」
夏休み中に朝顔を育てて観察する宿題は昔も今も変わらず、降谷が安室透として接する小学生たちも皆あの青いプランターを持ち帰っているらしい。あの頭の切れる眼鏡の少年も年相応に朝顔に水をやるのかと思うと少し不思議な気分になる。風見の近所に住んでいる子供たちも同じようなプランターを持ち帰っているらしく、玄関先に置いてあるのを見かける。持ち帰った直後と思われるのに、すでに葉が黄色く変色してしまっている家もあり個性が出ているようで面白い。自分の責任で面倒を見ずに植物を枯らしてしまうのも、一つの経験として考えてもいいのかもしれない。
1319「もう夏休みの時期なんですね」
風見は助手席に座る降谷に話しかけた。街路樹からはアブラゼミの鳴く声が聞こえてくる。
「朝顔の観察日記か。僕もやったな」
「自分もです」
夏休み中に朝顔を育てて観察する宿題は昔も今も変わらず、降谷が安室透として接する小学生たちも皆あの青いプランターを持ち帰っているらしい。あの頭の切れる眼鏡の少年も年相応に朝顔に水をやるのかと思うと少し不思議な気分になる。風見の近所に住んでいる子供たちも同じようなプランターを持ち帰っているらしく、玄関先に置いてあるのを見かける。持ち帰った直後と思われるのに、すでに葉が黄色く変色してしまっている家もあり個性が出ているようで面白い。自分の責任で面倒を見ずに植物を枯らしてしまうのも、一つの経験として考えてもいいのかもしれない。
ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その13)上司からしたら冗談くらいのテンションでも部下は頑張っちゃうとかあると思います。
011_小暑(7月7日頃) 風見にとって、七夕の時期は曇りや雨が多いイメージがある。七夕の当日は、お天気キャスターが織姫と彦星の逢瀬が達成されるか否かを必ず口にしているが、今年の予報も曇りだった。晴れようが曇ろうが、都心では天の川が見えることはないため、仕事に支障がなければ風見にはあまり関係のないことだった。
風見が所用で訪れた警察署の玄関には、七夕の笹が飾り付けられていた。金銀の網飾りが生暖かい風になびいて、鈍い光を放っている。多くの警察署では地域の保育園や小学校と連携して、子供たちに七夕の飾り付けをしてもらうイベントが催される。笹のすぐ近くに協力団体の名が掲示してあった。
色とりどりの短冊には、つたない字で願い事が書き記されていた。ゲームソフトが欲しいだの、友達ともっと仲良くなれますようにだの、子供らしい純粋な願い事が並ぶ。よくよく見てみると、警視庁からのテコ入れがあるのか、交通安全の標語のような文言も入り交じっており、折り紙で作られたパトカーまである。その中に「お父さんがじこにあいませんように」と健気さを感じるものを見つけ、思わず風見は頬を緩めた。
1770風見が所用で訪れた警察署の玄関には、七夕の笹が飾り付けられていた。金銀の網飾りが生暖かい風になびいて、鈍い光を放っている。多くの警察署では地域の保育園や小学校と連携して、子供たちに七夕の飾り付けをしてもらうイベントが催される。笹のすぐ近くに協力団体の名が掲示してあった。
色とりどりの短冊には、つたない字で願い事が書き記されていた。ゲームソフトが欲しいだの、友達ともっと仲良くなれますようにだの、子供らしい純粋な願い事が並ぶ。よくよく見てみると、警視庁からのテコ入れがあるのか、交通安全の標語のような文言も入り交じっており、折り紙で作られたパトカーまである。その中に「お父さんがじこにあいませんように」と健気さを感じるものを見つけ、思わず風見は頬を緩めた。
ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その12)かっこいい感じにしたかったんです……
010_夏至(6月21日頃) 風見は街灯に照らされた夜道を一人歩いていた。傘に雨が当たる音がよく聞こえる。路線バスの最終便も終了した二車線道路は人気が無く、店も民家もほとんど明かりを消していた。風見が歩く道路沿いにはアジサイが植わっており、電灯の下で濃淡混じる青色が咲き乱れている。横へ横へと枝を伸ばしているせいで、歩道に大きく侵入しているのが少し邪魔だ。
ほどなくして、風見が降谷に指定された立体駐車場に入っていくと、静けさがより強調されるようだった。見慣れた白い車体を探す。あまり車が止まっていなかったこともあり、上司の愛車はすぐに見つかった。駆け足で近寄ると、車内の上司と目が合った。目線だけで乗るように促される。
「早かったな」
1463ほどなくして、風見が降谷に指定された立体駐車場に入っていくと、静けさがより強調されるようだった。見慣れた白い車体を探す。あまり車が止まっていなかったこともあり、上司の愛車はすぐに見つかった。駆け足で近寄ると、車内の上司と目が合った。目線だけで乗るように促される。
「早かったな」
ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その11)風見くんが分からないお花はルピナスとマリーゴールドのイメージです
008_小満(5月21日頃) 気がつけば端午の節句に合わせて飾られていた鯉のぼりの姿を見かけなくなった。待ち合わせ場所である駅前広場の花壇には、パンジーやチューリップが植わっていた覚えがあるが、名も知らない赤や紫の穂状の花やフリルのようなオレンジ色の花に入れ替わっている。木々の葉も青々と茂っていた。雨のせいで空はくすんだ色をしているが、目に入って来る色彩は豊かだ。
すでに到着しているはずの降谷を探す。屋根のある所にいるかと思いきや、ちょうど風見の正面から歩いてくるところだった。ビニル傘を差している。
降谷がスーツを着ているのを見るのは久しぶりだった。しばらく見ない間に衣替えをしたようで、以前着ていたものよりやや明るいグレーを着ている。普段降谷が着用する衣服は潜入捜査用ということもあって、風見が選んだものが半分以上を占めているのだが、さすがにスーツは正確に採寸しなければならないうえに、服装にあまり頓着しない降谷もスーツにはそれなりにこだわりがあるため、自分で用意している。
1487すでに到着しているはずの降谷を探す。屋根のある所にいるかと思いきや、ちょうど風見の正面から歩いてくるところだった。ビニル傘を差している。
降谷がスーツを着ているのを見るのは久しぶりだった。しばらく見ない間に衣替えをしたようで、以前着ていたものよりやや明るいグレーを着ている。普段降谷が着用する衣服は潜入捜査用ということもあって、風見が選んだものが半分以上を占めているのだが、さすがにスーツは正確に採寸しなければならないうえに、服装にあまり頓着しない降谷もスーツにはそれなりにこだわりがあるため、自分で用意している。
ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その10)毎年梅酒作るわけじゃないけど思い立ったときに作ってると思う
009_芒種(6月6日頃)「おかえり」
風見がハロの散歩から戻ると、家主が出迎えてくれた。
「ただいま、戻りました」
突然のことに動揺しつつ、風見は辛うじて返事をした。
仕事終わりの風見は、いつものように数日家を空ける降谷の代わりに、ハロの散歩の準備を整え家を出た。ハロは時間帯からか風見の服装からか、今日は遊ばずに歩くだけであることを理解しているようで、よそ見もせずにさっさと歩いた。三十分ほどの散歩を終えて風見とハロがアパートに戻ると、降谷の部屋の明かりが点いている。戸締りを確認し、電気も全て消したはずだった。空き巣だろうか、それとも――。心臓が早鐘を打つのを感じながら、ハロとともに玄関前に向かった。ハロを共用の廊下にお座りさせ、扉越しに室内の音を探る。大きな物音はしない。鍵もこじ開けられたような形跡はなかった。試しに、音が立たぬようにドアノブを回してみるが、確かに施錠されている。一人で突入することは賢明ではない。場所を変えて降谷に連絡しよう、としたところで玄関ドアが開いた。
2461風見がハロの散歩から戻ると、家主が出迎えてくれた。
「ただいま、戻りました」
突然のことに動揺しつつ、風見は辛うじて返事をした。
仕事終わりの風見は、いつものように数日家を空ける降谷の代わりに、ハロの散歩の準備を整え家を出た。ハロは時間帯からか風見の服装からか、今日は遊ばずに歩くだけであることを理解しているようで、よそ見もせずにさっさと歩いた。三十分ほどの散歩を終えて風見とハロがアパートに戻ると、降谷の部屋の明かりが点いている。戸締りを確認し、電気も全て消したはずだった。空き巣だろうか、それとも――。心臓が早鐘を打つのを感じながら、ハロとともに玄関前に向かった。ハロを共用の廊下にお座りさせ、扉越しに室内の音を探る。大きな物音はしない。鍵もこじ開けられたような形跡はなかった。試しに、音が立たぬようにドアノブを回してみるが、確かに施錠されている。一人で突入することは賢明ではない。場所を変えて降谷に連絡しよう、としたところで玄関ドアが開いた。
ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その9)季節感がない
007_立夏(5月5日頃) 巨大な建造物の中には道路が放射状に広がり、和風の建物が並んでいた。風見は、近く行われる東京サミットの会場の下見をしていた。建物群の中にある日本料亭の視察を終え、他の班の刑事たちと合流する。天井は吹き抜けになっており、他のフロアにも警察官が見える。距離があるためか、彼らの声も足音も聞こえない。営業が開始すればこの無音の空間も賑やかになるのだろう――と考えたところで、この場所が人で溢れかえることはないことを思い出した。妙な違和感があった。自分は今間違いなく、サミット会場内のレストラン街にいて、警備計画に従って安全確認をしているはずなのに、この場にはいないような感覚がする。嫌な予感がした。後ろを歩く部下を振り返るが、顔がぼんやりとしていて誰だか分からない。が、行動を共にしていたはずの人物の名前を思い出すと、輪郭がはっきりとしてきた。
2011ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その8)アップし忘れてました
006_穀雨(4月20日頃) 四月も下旬に差し掛かってきた。昼夜の寒暖差も大きければ、日ごとの寒暖差も大きい。ここ数日は雨か曇りだったこともあって、四月にしては寒かった。だから風見は通年用のジャケットを羽織ってきた。が、どうしたことか今日は強烈に暑かった。朝、確認し損ねた天気予報をアプリで表示する。今日の最高気温は二十度を超えるらしい。今後、多少涼しくなったとて震えるほどにはならないと、風見は帰宅したら今季着用したスーツはもうクリーニングに出してしまおうと決めた。ともかく、このままでは汗が止まらなくなりそうだったため、風見は日陰のベンチに移動した。
降谷を待つ。濃紺のジャケットは鞄の上に重ねて置き、ネクタイも少し緩め、スマホ片手にコンビニで調達したサンドイッチを口に運ぶ。傍から見ると休憩時間のサラリーマンだ。実際、昼時なので昼食をとるために出てきたと言えばそうなのだが。
1364降谷を待つ。濃紺のジャケットは鞄の上に重ねて置き、ネクタイも少し緩め、スマホ片手にコンビニで調達したサンドイッチを口に運ぶ。傍から見ると休憩時間のサラリーマンだ。実際、昼時なので昼食をとるために出てきたと言えばそうなのだが。
ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その7)二人で仲良くRX-7を修理しているかもしれないじゃないですか!?
005_清明(4月5日頃) 持ち帰るわけにはいかない類の仕事を片づけているうちに、定時が過ぎていた。庁舎が完全な無人になることはないため、そこかしこでタイピング音が聞こえる。風見もパソコンに向かっていた。現場に出ない時間は報告書を作るのが警察官の仕事だ。事件が起こらなくとも、解決したとしてもやることは多い。
メッセージの受信音に、風見はタイピングの手を止めた。気がつけば背中が丸まり、画面と顔の距離がもうあと数センチという体勢になっていた。上司からの緊急の連絡かもしれないと、すぐにスマートフォンを確認する。上司に提示された物品リストを見て、風見は「またか」と溜息を吐いた。緊急というほどではなかったが、今書いている報告書よりは優先順位が高い。用意するまでもなく、デスクの足元に常備されているそれらをまとめると、風見は駐車場に向かった。
2779メッセージの受信音に、風見はタイピングの手を止めた。気がつけば背中が丸まり、画面と顔の距離がもうあと数センチという体勢になっていた。上司からの緊急の連絡かもしれないと、すぐにスマートフォンを確認する。上司に提示された物品リストを見て、風見は「またか」と溜息を吐いた。緊急というほどではなかったが、今書いている報告書よりは優先順位が高い。用意するまでもなく、デスクの足元に常備されているそれらをまとめると、風見は駐車場に向かった。
ehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その6)いま7月なんですけど春分の話ができました。
004_春分(3月21日頃) 春彼岸の最終日、風見は飲み屋街を歩いていた。色とりどりの看板や赤提灯がひしめき合っている。
先ほどまで、三月いっぱいで異動する同僚の送別会が行われていた。送別会といっても、公安という所属の関係で、特に親しかった者数名で行われる小規模な会合である。風見が会場として押さえた店も、向かいに座っていてもそれなりの声量でなければ何を言っているか聞き取れないような、騒がしい場所だった。下手に落ち着いた環境で催すより、喧騒の中に紛れてしまった方が良いだろうと判断したのだ。まあ、職務に係ることはもちろん、個人情報が飛び交うことは無いのだが、雑音は多いに越したことはない。情報交換が目的ではないのだから。
異動する彼は、以前は風見と同じ班の所属であり、風見が自身の班を率いるようになってからも、何度も同じ現場で動きまわっていた。プライベートで仲良くしていたわけではないが、信頼できる人間の一人だった。そんな同僚が異動となっては、彼の栄転を喜びつつ少しは寂しさを感じる。
2590先ほどまで、三月いっぱいで異動する同僚の送別会が行われていた。送別会といっても、公安という所属の関係で、特に親しかった者数名で行われる小規模な会合である。風見が会場として押さえた店も、向かいに座っていてもそれなりの声量でなければ何を言っているか聞き取れないような、騒がしい場所だった。下手に落ち着いた環境で催すより、喧騒の中に紛れてしまった方が良いだろうと判断したのだ。まあ、職務に係ることはもちろん、個人情報が飛び交うことは無いのだが、雑音は多いに越したことはない。情報交換が目的ではないのだから。
異動する彼は、以前は風見と同じ班の所属であり、風見が自身の班を率いるようになってからも、何度も同じ現場で動きまわっていた。プライベートで仲良くしていたわけではないが、信頼できる人間の一人だった。そんな同僚が異動となっては、彼の栄転を喜びつつ少しは寂しさを感じる。
フジサキタケト
DOODLE大寒(だいかん)は二十四節気の24番目!!!!24番目までかけました!!!!たしか。西洋占星術では「大寒」が宝瓶宮(ほうへいきゅう:みずがめ座)のはじまりです。みずがめ座の皆様お誕生月おめでとうございます!
badger_0107
DONE■2022二十四節気イラスト「冬至」にまつわる捏造SS■クリスマス話のつもりで大遅刻
完全に黑限のつもりで打ってましたが、これはただの師弟だな…?って気づき、でも黑限工場で生産されたのでやっぱり黑限かもしれないです。
山のおうち 険しい深山の道なき道を、飛ぶように行く。
冬枯れの木立にしがみつくように残る葉が寒々しく、吐く息は視界を奪うほどに白い。
寒さが足の裏から身体の芯に凍み入ってくる冬の山奥で、インナーにタートルネックのニットを着てはいるが、中綿すら入っていない裾と袖の長い綿の交領衫に簡素な綿の帯を結び、足下もまた綿の褲子に半長靴、荷物すら持たない軽装だ。その上にも、膝まで届く長い藍い髪に白皙の美貌。登山者に行き会おうものなら、相手は無限を人外と見て逃げ出すだろう。
「ねー、師父。こんな山の中だし飛んじゃえば」
胸元からひょっこりと顔を出した黒い仔猫が、そう言って顔を顰める。
「駄目だ。規則だからな。それにもうすぐ着く」
4691冬枯れの木立にしがみつくように残る葉が寒々しく、吐く息は視界を奪うほどに白い。
寒さが足の裏から身体の芯に凍み入ってくる冬の山奥で、インナーにタートルネックのニットを着てはいるが、中綿すら入っていない裾と袖の長い綿の交領衫に簡素な綿の帯を結び、足下もまた綿の褲子に半長靴、荷物すら持たない軽装だ。その上にも、膝まで届く長い藍い髪に白皙の美貌。登山者に行き会おうものなら、相手は無限を人外と見て逃げ出すだろう。
「ねー、師父。こんな山の中だし飛んじゃえば」
胸元からひょっこりと顔を出した黒い仔猫が、そう言って顔を顰める。
「駄目だ。規則だからな。それにもうすぐ着く」
フジサキタケト
DOODLE「冬至(とうじ)」は、「二十四節気」の一つで第22番目にあたる。英語では「winter solstice」。現在広まっている定気法では太陽黄経が270度のときで12月22日頃。二十四節気あと2つ!!!!!!十勝家はおばあちゃんが入院してからというものタクミが煮物作りますが、おばあちゃんと違って肉多めですehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その5)師走です。
021_大雪(12月7日頃) 暦の上でも本格的な冬が到来していた。今週に入ってから、平均気温が十度を割るようになった。ハロウィンの終了後、世間は速やかにクリスマスの準備を整えつつあったが、いよいよ聖夜間近という空気が漂い始めていた。
風見はコンビニで購入したホットコーヒーのカップを片手に、駅前広場の中央に飾られたツリーを眺めていた。そこそこの大きさで、しかし、これでもかと電飾が施されている。待ち合わせにはちょうど良い目印だ。風見がここにいるのは、イルミネーションを見る約束がある訳ではなく、上司に物品を渡すためだ。
先日、薄手のカーディガンが欲しいと降谷から連絡が入った。何かの暗号ではないかと一瞬考えを巡らせたが、折り返してみると彼の持っている服では、涼しいか暑すぎるかになってしまうとのことだった。確かに冬に備えて、厚手のセーターやら裏起毛のトレーナーやらを購入した覚えがあったが、体温調節に適した物を買っていなかった。というのは、冬物の備品を渡した際、彼はちょうど薄手のカーディガンを着ていたからだ。降谷のことなので、何らかの理由で汚すなり破くなりしたのだろう。
1318風見はコンビニで購入したホットコーヒーのカップを片手に、駅前広場の中央に飾られたツリーを眺めていた。そこそこの大きさで、しかし、これでもかと電飾が施されている。待ち合わせにはちょうど良い目印だ。風見がここにいるのは、イルミネーションを見る約束がある訳ではなく、上司に物品を渡すためだ。
先日、薄手のカーディガンが欲しいと降谷から連絡が入った。何かの暗号ではないかと一瞬考えを巡らせたが、折り返してみると彼の持っている服では、涼しいか暑すぎるかになってしまうとのことだった。確かに冬に備えて、厚手のセーターやら裏起毛のトレーナーやらを購入した覚えがあったが、体温調節に適した物を買っていなかった。というのは、冬物の備品を渡した際、彼はちょうど薄手のカーディガンを着ていたからだ。降谷のことなので、何らかの理由で汚すなり破くなりしたのだろう。
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DONE【潘夏】去年の二十四節気「小雪」のふたりを見て書きました。ポイピクに入れてなかったので入れときます。コーヒーを買いに来たふたり。店員目線。2021年11月23日に公開済み。 2
NaO40352687
DONE忘羨ワンドロワンライお題: 『霜降(二十四節気)』
所要時間:1時間48分
注意事項: 道侶後
忘羨ワンドロワンライ【霜降】 藍忘機は、隣で眠っていた魏無羨が突然布団を剥いで起き上がる気配を感じて目を開けた。宵っ張りで朝が弱い道侶の常と違う行動に、僅かに胸騒ぎがする。
「魏嬰、どうした?」
呆然と牀の上で座り込んでいる魏無羨の頬に涙が落ちたのを見て、藍忘機は慌ててその肩を抱く。
「魏嬰?」
「思い出した。――何で忘れてたんだ? いや、そもそも蘇る前の、しかも童の頃のことなんて、何で今頃になって思い出したんだ?」
どうやら忘れていた記憶を取り戻したようだと魏無羨は言う。
「俺の五歳の冬だ。帰って来ない両親を待つのをやめて、蓮の花が咲き乱れる場所に父親の家があるという言葉を頼りに彷徨い歩いた最初の冬だ。――何で今頃」
藍忘機は朝の冷気に冷え始めた道侶の薄い肩に、そっと傍の掛布をかけてやる。
5308「魏嬰、どうした?」
呆然と牀の上で座り込んでいる魏無羨の頬に涙が落ちたのを見て、藍忘機は慌ててその肩を抱く。
「魏嬰?」
「思い出した。――何で忘れてたんだ? いや、そもそも蘇る前の、しかも童の頃のことなんて、何で今頃になって思い出したんだ?」
どうやら忘れていた記憶を取り戻したようだと魏無羨は言う。
「俺の五歳の冬だ。帰って来ない両親を待つのをやめて、蓮の花が咲き乱れる場所に父親の家があるという言葉を頼りに彷徨い歩いた最初の冬だ。――何で今頃」
藍忘機は朝の冷気に冷え始めた道侶の薄い肩に、そっと傍の掛布をかけてやる。
フジサキタケト
DOODLE二十四節気の十四番目にあたる「処暑」です。今年2022年8月は23日で、現在の太陽黄経が150度の時期。暑さが峠を越えた頃ですが台風がガツガツやってくる特異日らしいです。現在、太平洋側に台風10号、フィリピンの東に台風9号が発生していますehara5
DONE風降と二十四節気を書きたいという野望(その4)降谷さんがいない日の話。
003_啓蟄(3月5日頃) 通勤ラッシュを過ぎた頃に、風見は家を出た。向かうのは上司の自宅だ。今日は非番だったが、三日ほど家を空ける上司に、飼い犬の世話を頼まれていた。名前はハロという。餌の補充と、健康チェック、余裕があれば散歩に連れていく。ついでに、ベランダ菜園の水やりも依頼されていた。
風見の自宅から降谷の住む町までは数駅だ。最寄り駅からコンビニに寄り道をして、ハロの好きなおやつを購入する。コンビニを出ると十分程度で三階建てのアパートに着いた。
そこそこの頻度で訪れる自分を、周囲の住民はどう思っているのだろうと風見は思う。独身男性の部屋に、頻繁に出入りする男がいるのはあまり自然ではない。ゆえに風見は人目の少ない深夜に出入りした方がいいのではと提案したこともあった。しかし、人目を忍ぶように来訪する方がよっぽど怪しいと降谷に言われてからは、堂々と昼間に出入りするようにしている。そのためか、風見がアパートの住民に声を掛けられたことはない。昔の助手に飼い犬の世話を頼んでいるとか、ペットシッターを利用しているとか、降谷が当たり障りのない理由をつけているのもあるだろう。
3812風見の自宅から降谷の住む町までは数駅だ。最寄り駅からコンビニに寄り道をして、ハロの好きなおやつを購入する。コンビニを出ると十分程度で三階建てのアパートに着いた。
そこそこの頻度で訪れる自分を、周囲の住民はどう思っているのだろうと風見は思う。独身男性の部屋に、頻繁に出入りする男がいるのはあまり自然ではない。ゆえに風見は人目の少ない深夜に出入りした方がいいのではと提案したこともあった。しかし、人目を忍ぶように来訪する方がよっぽど怪しいと降谷に言われてからは、堂々と昼間に出入りするようにしている。そのためか、風見がアパートの住民に声を掛けられたことはない。昔の助手に飼い犬の世話を頼んでいるとか、ペットシッターを利用しているとか、降谷が当たり障りのない理由をつけているのもあるだろう。
ehara5
DONE風降:風降と二十四節気を書きたいという野望(その3)バレンタインのようなそうでないような話。
002_雨水(2月19日頃) 風見は昼食を買うためにコンビニに来ていた。一週間ほど前には全面に押し出されていたチョコレート菓子たちも定位置に戻り、今度は桃の節句に向けた案内が店内に目立つようになった。茶色や赤の装飾がピンク色に変わっている。最近の雛祭りはちらし寿司のほかにケーキも食べるらしい。実家に帰れば準備に駆り出されることもあるが、男性かつ一人暮らしの風見に関係があるのは、三日の夜に安売りされるちらし寿司くらいだった。
陳列棚にまばらに残っているおにぎりをいくつか選んでレジに向かう。カウンターの上には二センチ四方のチョコレートが並んでいた。よく見かける牛のような柄のものと、桃色に間の抜けた字体で「さくらもち」とプリントされたものだった。間食にでもしようと、風見は一つずつ会計に追加した。
3122陳列棚にまばらに残っているおにぎりをいくつか選んでレジに向かう。カウンターの上には二センチ四方のチョコレートが並んでいた。よく見かける牛のような柄のものと、桃色に間の抜けた字体で「さくらもち」とプリントされたものだった。間食にでもしようと、風見は一つずつ会計に追加した。
ehara5
DONE風降:風降と二十四節気を書きたいという野望(その2)最終的には時系列順にする予定ですが、書きたいところから書いていくスタイルです。
015_白露(9月8日頃) 秋の虫が鳴き始めていた。つい一週間前にはセミが鳴いていた気がするが、気づけばセミは仰向けになって道路に転がるようになっていた。仕事終わりに上司に連れられて繁華街へ向かう途中でも、街路の茂みからかすかに虫が鳴いているのを聞きつけたが、風見にはスズムシではないことが分かるだけで、何が鳴いているのか区別がつかない。かといって上司に「なんか鳴いてますね」と声を掛けるのも、幼稚な気がして結局黙って歩くほかなかった。
ギラギラと周囲を照らす看板の立ち並ぶ道を上司に付いて進んでいるうちに、目当ての店に着いた。歓楽街の中にあるにしては落ち着いた雰囲気の小料理屋で、風見は身内の話もできる類の店なのだと一目で理解した。一方で、秘密の話ができるようなところに連れてこられた自分が叱られるのか褒められるのか、見当がつかなかった。数十分前に風見を誘った降谷は、特別に機嫌がいいというわけでも何か言いたいことがありそうだというわけでもなかった。何を考えているのか読めない顔。それゆえに、風見は降谷の意図が分からず、やや緊張していた。普段、降谷と訪れる店が相席を装えるような大衆的な店ばかりだったというのも、その要因の一つだった。
2589ギラギラと周囲を照らす看板の立ち並ぶ道を上司に付いて進んでいるうちに、目当ての店に着いた。歓楽街の中にあるにしては落ち着いた雰囲気の小料理屋で、風見は身内の話もできる類の店なのだと一目で理解した。一方で、秘密の話ができるようなところに連れてこられた自分が叱られるのか褒められるのか、見当がつかなかった。数十分前に風見を誘った降谷は、特別に機嫌がいいというわけでも何か言いたいことがありそうだというわけでもなかった。何を考えているのか読めない顔。それゆえに、風見は降谷の意図が分からず、やや緊張していた。普段、降谷と訪れる店が相席を装えるような大衆的な店ばかりだったというのも、その要因の一つだった。
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DONE風降:風降と二十四節気を書きたいという野望(その1)001_立春(2月4日頃)「福は内」
軽快な声とともに、風見のこめかみ辺りに何かが当たった。「福は内」ということは豆が投げられたものと思われたが、その割にはカサついた人工的な音がした。前方を気にかけながら左側を一瞥すると、やたら上機嫌な上司が目に映った。
「何ですかいったい」
信号が青になったことを確認してアクセルを踏む。
「昨日は節分だっただろ」
それだけで先刻の説明になったと思っているのか、降谷は以降黙ってしまった。節分だったから何なのだ、と風見は内心思う。赤信号で停車した隙に投げつけられたものを確認すると、正四面体をした透明のフィルムがシートベルトのバックル付近に転がっていた。「福豆」という文字とかわいらしい絵柄の赤鬼がプリントされたその中には、炒った豆が十数粒入っているようだった。
1878軽快な声とともに、風見のこめかみ辺りに何かが当たった。「福は内」ということは豆が投げられたものと思われたが、その割にはカサついた人工的な音がした。前方を気にかけながら左側を一瞥すると、やたら上機嫌な上司が目に映った。
「何ですかいったい」
信号が青になったことを確認してアクセルを踏む。
「昨日は節分だっただろ」
それだけで先刻の説明になったと思っているのか、降谷は以降黙ってしまった。節分だったから何なのだ、と風見は内心思う。赤信号で停車した隙に投げつけられたものを確認すると、正四面体をした透明のフィルムがシートベルトのバックル付近に転がっていた。「福豆」という文字とかわいらしい絵柄の赤鬼がプリントされたその中には、炒った豆が十数粒入っているようだった。