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    処女

    甘味。/konpeito

    TRAINING想像妊娠する話/クロリン
    Ⅳ中盤くらい/処女受胎
    「……赤ちゃんができたんだ」
     己と同じ真っ赤な目を潤ませた後輩兼相棒が平な腹をさする姿に、クロウは二の句が継げなかった。
    「そもそも、リィンは男だよな。そして俺も男だ」
    「そうですねえ」
    「男同士って子どもできんのか? その前にセックスさえしてねえんだが?」
     エリンの里、長の家でエマと向かい合ったクロウはひとつひとつ確認していた。
     これから黄昏や相克と向き合っていかなくてはならないのに、頭が痛くなる案件だ。
    「クロウさんこういう場面では冷静じゃなくなるんですね、意外です」
    「いや、こんなの落ち着いてられないだろ」
    「実際、リィンさんの胎内には不自然な霊力の塊りができています。眷属化したことでリィンさんの霊力とクロウさんの霊力が混ざっている影響もあるかもしれません。ですが、それだけですよ。処女受胎、ましてや同性同士での生殖はいまだ現実的ではありません」
     彼女の淹れてくれたハーブティーはすっかり冷えているのに、彼女はポットから温かいおかわりを注いでいる。その落ち着きを分けてほしい。
    「なにか、残したいんじゃないですか」
     カップをソーサーに戻したエマがぽつりとこぼした。
    「クロウさ 806