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    居酒屋

    absdrac1

    CAN’T MAKEarb前回イベストの天(零)幻。
    あの後こうなって欲しいという願望の儘に書いたが、然程展開しなかった。
    あと、天谷奴のオジサマは庶民派なので、レストランやバーよりも居酒屋に行くのだろうな。
    酒とビジネスと極上の謎と「お酒は殆ど飲まないのですよ」
     既に此の世に酔っております故、と、夢野は彼の瞳によく似た色のカクテルを通して天谷奴を見た。ジャズピアノの音色が静かに響いている。この小説家の舌は鍵盤上のピアニストの指宛らに華麗に動く。
     今日は本当に楽しかったですね。次回作のプロットも思い付きそうですし、貴方のような方にもお会い出来ましたから。そう言って、グラスを傾けてミント・ジュレップを一口飲んだ。
    「おいおい、まだ今日は終わっちゃいないぜ」
     透き通るエメラルド色の酒が小説家の唇を濡らすのを視界の端に収めながら、天谷奴も自分のウィスキーに口を付ける。
     件の催し物の後、ふたりは食事を共にした。天谷奴が仕事で東都に来た時によく立ち寄る高級レストランに入ったが、夢野にとっては偉い作家の伴をする時のみに来る場所であった。「このような場には余り慣れておりませんので」などと断りながらも、食事を口に運ぶ所作は優雅なもので、天谷奴の伴としても申し分ない。
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