triangle_sak
DOODLE🐱🐱🐱日(2/22)フィガファウ魔法舎 付き合っている フィガロの様子がおかしい
🐱🐱🐱 にゃあにゃあと鳴く必要はない。ファウスト! 大好き! そうやって、調子に乗って口に出すだけで、叶う。魔法とはなんて便利なものなんだろう、なんて、とぼけたことを思ってみる。
鳴らした喉をくすぐってくる指先に身を任せていると、気分も上々になってきて、もっと甘えてやろうと思う。サービスだと言わんばかりに惜しげもなく声を出し続ければ、穏やかな眼差しに滲んだ慈しみが、より深くなる。俺もファウストも気分が良くなる、好循環だった。
赤子の手を捻るよりも容易い、自身の姿形を変える魔法。俺が本気を出せば、相当、精巧に仕上げることができるから、想い人の望む姿で近づいて、正体を隠したままで触れ合うことなど造作もない。ごろごろにゃーん。ファウストには、俺が発する言葉なんてその程度に聞こえていることだろう。
3601鳴らした喉をくすぐってくる指先に身を任せていると、気分も上々になってきて、もっと甘えてやろうと思う。サービスだと言わんばかりに惜しげもなく声を出し続ければ、穏やかな眼差しに滲んだ慈しみが、より深くなる。俺もファウストも気分が良くなる、好循環だった。
赤子の手を捻るよりも容易い、自身の姿形を変える魔法。俺が本気を出せば、相当、精巧に仕上げることができるから、想い人の望む姿で近づいて、正体を隠したままで触れ合うことなど造作もない。ごろごろにゃーん。ファウストには、俺が発する言葉なんてその程度に聞こえていることだろう。
Pexxxk1
PROGRESS完成したら支部行きものすごく途中
捏造妄想盛り合わせ
芸能会社を営むフィガロ社長がある日ファウストに一目惚れしてスカウトから始まるアイドルパロ。フィガファウ・ブラネロのカプ感はうっすらとしかありません
無題「おい!!!フィガロ!!!!」
そう声を荒げながら社長室の扉を開けてファウストが入室してくる。
今にも殴りかかりそうな勢いと形相のファウストの後ろには肩を落とし申し訳なさそうにするネロと手を首の後ろに回し開いたままの扉にもたれかけニヤけた面でこちらを見るブラッドリーがいる。
「随分お怒りみたいだけど一体どうしたの?」
「どうしたじゃないだろ!どういうことなんだ!あれは!」
まあまあと宥めるようにネロがファウストの肩を叩き、落ち着く時間を与えるかのように口を開く。
「それが、、次のライブの演目のことで……あーー、ッその、社長に言いたいことがあるらしくて、、」
俺はブラッドリーをチラッと見る。
相変わらずニヤケ面が取れない男があの件を伝えたのだろうと察しファウストの方にもう一度視線を戻す。
12012そう声を荒げながら社長室の扉を開けてファウストが入室してくる。
今にも殴りかかりそうな勢いと形相のファウストの後ろには肩を落とし申し訳なさそうにするネロと手を首の後ろに回し開いたままの扉にもたれかけニヤけた面でこちらを見るブラッドリーがいる。
「随分お怒りみたいだけど一体どうしたの?」
「どうしたじゃないだろ!どういうことなんだ!あれは!」
まあまあと宥めるようにネロがファウストの肩を叩き、落ち着く時間を与えるかのように口を開く。
「それが、、次のライブの演目のことで……あーー、ッその、社長に言いたいことがあるらしくて、、」
俺はブラッドリーをチラッと見る。
相変わらずニヤケ面が取れない男があの件を伝えたのだろうと察しファウストの方にもう一度視線を戻す。
mei
DONE一緒に行きたかったフィガロの話。猫耳フィガロも療養所と嵐の谷を称した彼も見たかった・・ハロウィン、エイプリルフール、バカンスも含めて、ファウストとの同時参加を願いつつ。
願いと言葉は夜にとけて「それで、レノックスが」
言い終えて、フィガロからの返答が暫くないことに気づく。窓から厄災の月が覗き、持参したキャンドルがゆらめく。夜更けに僕らは、フィガロの部屋で久々の杯を交わしていた。
つい先日、嵐の谷で起きた事件の解決のために、僕は魔法舎を留守にしていた。猫になったり、昔世話になった魔法使いの遺したものに立ち会った。今日の酒の席は、その報告も兼ねていた。
話をフィガロに、師に聞いて欲しかった。彼に教えを乞う前の僕なら、きっと変化した際の誘惑や衝動に贖えなかったし、
ミチルやルチルのようにごろごろと草むらに寝転び、誰彼かまわずごつん、をしていただろう。取り乱して慌てふためくばかりだったと、簡単に想像ができる。
2487言い終えて、フィガロからの返答が暫くないことに気づく。窓から厄災の月が覗き、持参したキャンドルがゆらめく。夜更けに僕らは、フィガロの部屋で久々の杯を交わしていた。
つい先日、嵐の谷で起きた事件の解決のために、僕は魔法舎を留守にしていた。猫になったり、昔世話になった魔法使いの遺したものに立ち会った。今日の酒の席は、その報告も兼ねていた。
話をフィガロに、師に聞いて欲しかった。彼に教えを乞う前の僕なら、きっと変化した際の誘惑や衝動に贖えなかったし、
ミチルやルチルのようにごろごろと草むらに寝転び、誰彼かまわずごつん、をしていただろう。取り乱して慌てふためくばかりだったと、簡単に想像ができる。
yoru_012
SPOILERせんせい時間6 にて無料配布した、新刊『テラリウムの祈り』の小説(番外編)になります。【内容】
・孤独の毒吐く(フィガロ視点)
・猫たちの悪戯(とある人物たちのお話)
⚠新刊のネタバレが含まれていますので、閲覧の際はご注意ください。
pass:イベント開催日の月日 4桁 11
t0mic0x0shi
DONE2部超えて、少し先の未来でフィの告白するファとフィのフィファ【フィファ】告げた言葉のその先で※二部を越え、それからも少し未来のはなし。
告げた言葉のその先で
「僕は、おまえの、あなたのことが、好きだよ」
黒い布の裂け目のように細く輝く<大いなる厄災>。それは遠く、それよりも小さく煌めく星たちの光のほうが空を彩る、そんな夜だった。
ふとした会話の切れ目。フィガロとファウストの会話においては多々訪れる、空白の時間。
落ちた沈黙がいやな重さを持つことは少なくなった。回答、返答、告げたい言葉、それらを探すときもある。口に含んだ酒の美味さを舌の上で転がしながらただ味わうような、ふたりの時間を堪能するかのようなときもある。そんな沈黙。
いま、口から転がり出た言葉は、いま思いついたものではない。いつのころからかファウストの中にあって、形となって、相手に渡す機会を待っていたもの。
3903告げた言葉のその先で
「僕は、おまえの、あなたのことが、好きだよ」
黒い布の裂け目のように細く輝く<大いなる厄災>。それは遠く、それよりも小さく煌めく星たちの光のほうが空を彩る、そんな夜だった。
ふとした会話の切れ目。フィガロとファウストの会話においては多々訪れる、空白の時間。
落ちた沈黙がいやな重さを持つことは少なくなった。回答、返答、告げたい言葉、それらを探すときもある。口に含んだ酒の美味さを舌の上で転がしながらただ味わうような、ふたりの時間を堪能するかのようなときもある。そんな沈黙。
いま、口から転がり出た言葉は、いま思いついたものではない。いつのころからかファウストの中にあって、形となって、相手に渡す機会を待っていたもの。
t0mic0x0shi
DONEアルテレーゴのフィファになりそうでまだなってないけどなりそうなフィファです。【フィガファウ】感情のあとさき『感情のあとさき』
窓の外、大きな声が聞こえた。テーブルをはさんで正面、そこに座っていた彼の視線が、フィガロを離れそちらについと向けられる。2階にあるこの部屋の窓からは、満開の落月華の様子はよく見えるが、階下の様子までは分からない。
フィガロにとっては威嚇にもならないようなそれは、耳障りではあるけれど聞きなれたものである。しかし治安の悪いこの街の中でも、暴力的なことにおいては表立っては秩序が保たれているこの花街の中では珍しいものだった。
華やかな大通りからすこしばかり離れ、この街で働くものたちが住まう家が建ち並ぶ地区。裏に小さな船一杯ほどならば走ることができる程度の水路があり、一階では妓楼や飲食店にも肉をおろすし、小売りもする肉屋が入っている。その二階が、いまフィガロがいる場所だ。
8067窓の外、大きな声が聞こえた。テーブルをはさんで正面、そこに座っていた彼の視線が、フィガロを離れそちらについと向けられる。2階にあるこの部屋の窓からは、満開の落月華の様子はよく見えるが、階下の様子までは分からない。
フィガロにとっては威嚇にもならないようなそれは、耳障りではあるけれど聞きなれたものである。しかし治安の悪いこの街の中でも、暴力的なことにおいては表立っては秩序が保たれているこの花街の中では珍しいものだった。
華やかな大通りからすこしばかり離れ、この街で働くものたちが住まう家が建ち並ぶ地区。裏に小さな船一杯ほどならば走ることができる程度の水路があり、一階では妓楼や飲食店にも肉をおろすし、小売りもする肉屋が入っている。その二階が、いまフィガロがいる場所だ。
t0mic0x0shi
DONEアイドルの巻き毛ちゃん的フィガファウですライブしてるとこ、帰り道、お家に帰ってからいちゃついてたりついてなかったり
わからない、これはフィガファウといっていいのか…なんなのか…
しかし書いてるわたしは楽しかった!
アイドル巻き毛ちゃん的フィガファウの年末アイドル巻き毛ちゃん的フィガファウの年末
一番のサビが終わって間奏が流れる。このライブのために編曲された楽曲は、代表曲の一番と大サビを繋いで四曲メドレーの構成だ。
グループのメンバーそれぞれが主役や主要キャストとして出演、それに加えてグループで主題歌を担当という二つの大役を担った楽曲は、それぞれに色があり、そしてそれぞれに自分達はもちろん観客たちファンの心に思い出と記憶を残している。ライブの後半、ラストスパートにかけての起爆剤としてセットリストの中に組み込んだ。
間奏で踊りながら次の立ち位置へ移動していく。ステージ上、客席に向かって左側にヒースクリフ、右側にはスノウが入り、フィガロは横並びになったふたりからは一列半下がったその中心へ。フィガロの前、中央の少し下がった場所にファウストが入ってきた。
12475一番のサビが終わって間奏が流れる。このライブのために編曲された楽曲は、代表曲の一番と大サビを繋いで四曲メドレーの構成だ。
グループのメンバーそれぞれが主役や主要キャストとして出演、それに加えてグループで主題歌を担当という二つの大役を担った楽曲は、それぞれに色があり、そしてそれぞれに自分達はもちろん観客たちファンの心に思い出と記憶を残している。ライブの後半、ラストスパートにかけての起爆剤としてセットリストの中に組み込んだ。
間奏で踊りながら次の立ち位置へ移動していく。ステージ上、客席に向かって左側にヒースクリフ、右側にはスノウが入り、フィガロは横並びになったふたりからは一列半下がったその中心へ。フィガロの前、中央の少し下がった場所にファウストが入ってきた。
t0mic0x0shi
DOODLE書きたいとこだけ!ハウルパロです。
【フィファ】フィガロの動く城(書きたいとこだけ)フィガロの動く城(書きたいとこだけ)
「ああ、いたいた。探したよ」
どこからか、この場ににつかわしくない滑らかで穏やかな声が聞こえると同時に、死角から伸びてきた腕がファウストの眼前で揺れる。鮮やかな緑の上等そうな服の袖、金の繊細な装飾品で飾られた手首、その先にある節ばった手がゆらり。人差し指の根元にはめられたこれまた金の指輪の石の赤さが印象的だった。
「さあ、行こうか」
いまにもこちらの腕を掴まんとしていた衛兵もどきとファウストの間に身を滑り込ませてきた存在が、不思議な力か、それともただ突然現れることで与えた驚愕からかで彼らの動きを止める。
風もないのに柔らかく揺れる薄群青の髪。身長はファウストよりも高く、すこしだけ見上げる格好になる。踊るように男がファウストに向かって振り返ると、服の裾が緩やかに広がった。曇り空のような無彩色の中に若葉色の煌めきを持った不思議な色合いの目を細め、これまた場に似つかわしくない笑みを浮かべた彼は、衛兵のことなどどうでもいいことのように、ファウストだけを見て、手を差し伸べてくる。
2819「ああ、いたいた。探したよ」
どこからか、この場ににつかわしくない滑らかで穏やかな声が聞こえると同時に、死角から伸びてきた腕がファウストの眼前で揺れる。鮮やかな緑の上等そうな服の袖、金の繊細な装飾品で飾られた手首、その先にある節ばった手がゆらり。人差し指の根元にはめられたこれまた金の指輪の石の赤さが印象的だった。
「さあ、行こうか」
いまにもこちらの腕を掴まんとしていた衛兵もどきとファウストの間に身を滑り込ませてきた存在が、不思議な力か、それともただ突然現れることで与えた驚愕からかで彼らの動きを止める。
風もないのに柔らかく揺れる薄群青の髪。身長はファウストよりも高く、すこしだけ見上げる格好になる。踊るように男がファウストに向かって振り返ると、服の裾が緩やかに広がった。曇り空のような無彩色の中に若葉色の煌めきを持った不思議な色合いの目を細め、これまた場に似つかわしくない笑みを浮かべた彼は、衛兵のことなどどうでもいいことのように、ファウストだけを見て、手を差し伸べてくる。
t0mic0x0shi
DONE4周年イベストもよかった〜〜!と思いつつ2部からまだ帰ってこれてないので、2部の治療くらいのフィとファですラブしてないです
【フィファ】光射す部屋の真ん中で光射す部屋の真ん中で
薄いレースのカーテン越しに窓から差し込む太陽の光。
それが柔らかく照らす部屋の調度品は、白と赤を基調とし、輝く装飾の色は金。派手なようでいてしかし、価値の確かな品はフィガロ自身の好みからはかけ離れてはいるのだけれど、悪くない趣味だとは感じている。
その部屋の中央には、ヘッドボードを腰窓に付けるようにして置かれたベッドがあった。
治療しやすいように普段彼が眠る際に身につけている、外界の全てから自身を守るような寝間着ではなく、ボタンによる前開きの、フィガロが魔法舎にて眠る際に身につけている寝間着にもにたデザインのそれのボタンを全て外し、背中をあらわにするように肩から落とし、フィガロに背を向けるようにして横たわったファウストの背から傷を覆うガーゼを剥がせば、傷よりも先に目に付くのは、彼の左の肩甲骨から肩にかけての黒い百合の紋章だ。
6174薄いレースのカーテン越しに窓から差し込む太陽の光。
それが柔らかく照らす部屋の調度品は、白と赤を基調とし、輝く装飾の色は金。派手なようでいてしかし、価値の確かな品はフィガロ自身の好みからはかけ離れてはいるのだけれど、悪くない趣味だとは感じている。
その部屋の中央には、ヘッドボードを腰窓に付けるようにして置かれたベッドがあった。
治療しやすいように普段彼が眠る際に身につけている、外界の全てから自身を守るような寝間着ではなく、ボタンによる前開きの、フィガロが魔法舎にて眠る際に身につけている寝間着にもにたデザインのそれのボタンを全て外し、背中をあらわにするように肩から落とし、フィガロに背を向けるようにして横たわったファウストの背から傷を覆うガーゼを剥がせば、傷よりも先に目に付くのは、彼の左の肩甲骨から肩にかけての黒い百合の紋章だ。
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DOODLEフィガファウ冥婚企画(https://mhyk.web.fc2.com/meikon.html)で書いたお話です。レノックスと任務で東の国に行くファウストの話。
任務についてがっつり書いて、恋愛要素は潜ませました。
ああそういう事だったのね、という感想待ってます。
赤い川を渡って そこに横たわっていたのは血のように赤い色をした川だった。
流れがひどく緩慢なため、横に伸びた池のような印象がある。大地が傷つき、血を流した結果出来たのがこの川だという言い伝えがあってもおかしくは無いだろう。濁っているわけではなく、浅い川であることも手伝って川底の砂利まで視認出来た。尤も、生きた生物は視認出来なかったが。
任務でこの地を訪れたファウストは、地獄を流れる川のようだと感想を持った。
「きみは驚かないんだな」
「見慣れた風景ですので……懐かしさすら覚えます」
水質を調べようとファウストは手を翳したが、既に手遅れであることは誰の目にも明らかだ。オズくらいの魔力があれば力業で全ての水を入れ替えてしまえるのかもしれないが、正攻法であれば浄化になる。媒介は何が必要で、どのような術式で、とぶつぶつ呟きながら暫く考えていたが、少なくとも今打てる手はファウストには無い。
7859流れがひどく緩慢なため、横に伸びた池のような印象がある。大地が傷つき、血を流した結果出来たのがこの川だという言い伝えがあってもおかしくは無いだろう。濁っているわけではなく、浅い川であることも手伝って川底の砂利まで視認出来た。尤も、生きた生物は視認出来なかったが。
任務でこの地を訪れたファウストは、地獄を流れる川のようだと感想を持った。
「きみは驚かないんだな」
「見慣れた風景ですので……懐かしさすら覚えます」
水質を調べようとファウストは手を翳したが、既に手遅れであることは誰の目にも明らかだ。オズくらいの魔力があれば力業で全ての水を入れ替えてしまえるのかもしれないが、正攻法であれば浄化になる。媒介は何が必要で、どのような術式で、とぶつぶつ呟きながら暫く考えていたが、少なくとも今打てる手はファウストには無い。
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DOODLE※2023/11/23賢マナで無料配布したペーパーです。現パロ、フィガファウは付き合ってる、いきなり最中。
アクアリウム ゆらゆらと陽炎のように青い光が揺れる部屋だった。ベッドヘッドと壁の隙間に設置されているらしい照明が映像を投影している。
「……ッ、ぁあ――!」
それを見ながら僕は果てた。
汗で滑る背中に必死にしがみつきながら。妙な非日常を目に焼き付けようとしているのか自分でも分からないが、目は閉じなかった。
「陽炎と言うより、水面を再現してるんじゃないの?」
気怠さを隠すこと無く、今にも眠りそうな体制でフィガロは言った。連勤明けの長時間の運転で疲れていたのだろう。だが眠るにはあまり向いていない部屋のようにファウストは思えた。ホテルの中でもグレードの高い部屋を選んだからだろうか、内装は小綺麗でリゾートホテルのようにも見える。けれどここは俗に言うラブホテルだ。
2071「……ッ、ぁあ――!」
それを見ながら僕は果てた。
汗で滑る背中に必死にしがみつきながら。妙な非日常を目に焼き付けようとしているのか自分でも分からないが、目は閉じなかった。
「陽炎と言うより、水面を再現してるんじゃないの?」
気怠さを隠すこと無く、今にも眠りそうな体制でフィガロは言った。連勤明けの長時間の運転で疲れていたのだろう。だが眠るにはあまり向いていない部屋のようにファウストは思えた。ホテルの中でもグレードの高い部屋を選んだからだろうか、内装は小綺麗でリゾートホテルのようにも見える。けれどここは俗に言うラブホテルだ。
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MENU以前pixivに載せていました「心星輝く円環」を小説本にするにあたり、途中までですがサンプルを載せさせて頂きます。加筆修正をしましたので若干読みやすくなったと思います。残念ながら(?)媚薬えろはありませんが、最終的にハピエンになるフィガファウです。欲しい方いらっしゃいましたらお手に取って頂けたらと思います。パスワード
あなたは18歳以上ですか?
yes/no 10785
dish
DONEポイピク使うの初めてなので、試しに上げてみます。Twitterに上げたフィガファウ短編です。鏡よ鏡 以前、鏡にフィガロを映せないか、と試みた事があった。あの頃の僕はひどく錯乱していて、幼馴染は僕への疑いを深めていたし、敬愛する師匠は跡形も無く姿を消していた。
あの方が本気で姿を消そうとしたら、僕如きでは追う事など不可能だ。頭では理解していたが、僕は無意味な呪文を絶えずかけ続けていた。
「サティルクナート・ムルクリード!」
そして鏡には、憔悴して疲れ果てた僕の顔だけが映るのだ。
僕を裏切った全ての者への復讐で心が支配され、いつしかそんな事をしていたことも忘れてしまった。嵐の谷に引きこもり、呪い屋を生業としながら自然とだけ会話をする生活を続けて暫く経った頃、突如それは起きた。
「え……?」
ほんの一瞬であったが、それは確かにフィガロであった。しかし、僕の記憶に残るフィガロとは随分違っていた。豪奢な軍服姿ではなく、動きやすいカットソーにスラックス姿、首には聴診器をかけ、子供とその母親相手に優しく微笑んでいた。恐らく診察中だったのだろう。
635あの方が本気で姿を消そうとしたら、僕如きでは追う事など不可能だ。頭では理解していたが、僕は無意味な呪文を絶えずかけ続けていた。
「サティルクナート・ムルクリード!」
そして鏡には、憔悴して疲れ果てた僕の顔だけが映るのだ。
僕を裏切った全ての者への復讐で心が支配され、いつしかそんな事をしていたことも忘れてしまった。嵐の谷に引きこもり、呪い屋を生業としながら自然とだけ会話をする生活を続けて暫く経った頃、突如それは起きた。
「え……?」
ほんの一瞬であったが、それは確かにフィガロであった。しかし、僕の記憶に残るフィガロとは随分違っていた。豪奢な軍服姿ではなく、動きやすいカットソーにスラックス姿、首には聴診器をかけ、子供とその母親相手に優しく微笑んでいた。恐らく診察中だったのだろう。
harunoyuki
DOODLEフィガファウ/魔法舎のフィが、二千歳のファが暮らす未来に迷い込む話/魔法舎では付き合いたてで、まだ何もしていないふたりきみが幸せだなって思うとき「…………あれ?」
ふと気付くと、鬱蒼とした森の中、赤い屋根の一軒家の前にいた。
見知った場所ではあった。東の果て、呪い屋…というには些か清廉にすぎる魔法使いがひっそりと居を構える、嵐の谷。だが珍しく雷雨でも暴風でもないらしい。穏やかな夕陽で、家の壁も傍の木々も、茜色に染め上げられている。素朴な絵画にでもありそうな、いたってのどかな情景だ──平時ならば呑気に感嘆していられるのだが。
(おかしいな、俺、診療所にいたはずなんだけど……)
今回の帰省は常よりも多忙を極めた。
夕刻に任務から戻って来たかと思えば今度は深夜、南で経過観察をしていた妊婦が予定より早く産気づいたとの一報を受け、取るものも取り敢えず箒を飛ばし、明け方無事に元気な赤子を取り上げたのはよかったものの、そこから休む間もなく、やれ子供が転んで膝を擦りむいたとか、老婆が散歩から帰って来ないとか、しまいには機嫌を損ねた飼い牛が牛舎に入ってくれないとか云々、我ながら引く手あまたの人気者だった。ああ、あと川沿いの土手が大雨で崩れていたのを、応急処置もしたんだったか。
28514ふと気付くと、鬱蒼とした森の中、赤い屋根の一軒家の前にいた。
見知った場所ではあった。東の果て、呪い屋…というには些か清廉にすぎる魔法使いがひっそりと居を構える、嵐の谷。だが珍しく雷雨でも暴風でもないらしい。穏やかな夕陽で、家の壁も傍の木々も、茜色に染め上げられている。素朴な絵画にでもありそうな、いたってのどかな情景だ──平時ならば呑気に感嘆していられるのだが。
(おかしいな、俺、診療所にいたはずなんだけど……)
今回の帰省は常よりも多忙を極めた。
夕刻に任務から戻って来たかと思えば今度は深夜、南で経過観察をしていた妊婦が予定より早く産気づいたとの一報を受け、取るものも取り敢えず箒を飛ばし、明け方無事に元気な赤子を取り上げたのはよかったものの、そこから休む間もなく、やれ子供が転んで膝を擦りむいたとか、老婆が散歩から帰って来ないとか、しまいには機嫌を損ねた飼い牛が牛舎に入ってくれないとか云々、我ながら引く手あまたの人気者だった。ああ、あと川沿いの土手が大雨で崩れていたのを、応急処置もしたんだったか。
t0mic0x0shi
DONE2部20章のファとレノが話す前くらいの、フィとファカプ要素薄めですが、フィガファウの者が書いてます
【フィ+ファ】それが錯覚だとしてもそれが錯覚だとしても
地下水路で意識が闇に包まれた後、夢とうつつをいったりきたりしていた。無意識に完全に意識を失うわけにはいかない、死の淵までは覗くまい、と思っていたのかもしれない。深く沈むときもあれば、光のほうへ浮上し、そしてまた沈んではまた浮き上がるを繰り返している。
あるときは吹雪く雪原のなか、間近に見える黒い衣服と気配はレノックスのもの。だからこれは、地下水路からの続き。だというのに痛みは鈍く、寒さもまた遠かった。
獣の姿となったヒースクリフがついているとはいえ、ひとりきりにしてしまったシノは大丈夫だろうかとそればかりが頭をめぐる。いま彼がどこに向かっているのかまでは分からないけれど、シノのことはすでにレノックスには伝えているから、きっといいように動いてくれる。大丈夫だ、そう思うとまた、意識は闇へと沈んでいった。
3680地下水路で意識が闇に包まれた後、夢とうつつをいったりきたりしていた。無意識に完全に意識を失うわけにはいかない、死の淵までは覗くまい、と思っていたのかもしれない。深く沈むときもあれば、光のほうへ浮上し、そしてまた沈んではまた浮き上がるを繰り返している。
あるときは吹雪く雪原のなか、間近に見える黒い衣服と気配はレノックスのもの。だからこれは、地下水路からの続き。だというのに痛みは鈍く、寒さもまた遠かった。
獣の姿となったヒースクリフがついているとはいえ、ひとりきりにしてしまったシノは大丈夫だろうかとそればかりが頭をめぐる。いま彼がどこに向かっているのかまでは分からないけれど、シノのことはすでにレノックスには伝えているから、きっといいように動いてくれる。大丈夫だ、そう思うとまた、意識は闇へと沈んでいった。
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DOODLE同級生の中で一番初体験が早かったのが生徒会長だったら良いな……って思いながら書きました。スペースに集まった人全員「夏の現代学パロ」というお題で一週間で作り上げるという鬼畜企画でした。
私が考える「現代学パロ」はこれだ!!って言い切るつもりで出します。
どう見ても社会人パロとかは言わない約束。
ノスタルジーが見せる 夏休みを失って二年が経った。
手元で弾けている生ビールの泡のように、パチパチと僅かな音を立てて消えていく。気付いたら無くなっているような二年だった。社会に出れば時の流れは変わるのだという言葉の信憑性を疑った時期もあったが、自分がその立場に立ってはじめて理解出来るものだ。
ノスタルジーが生み出す感傷だろう、自分らしくないなと思いながらジョッキを傾ける。
同窓会なんて自分には縁の無いものだとファウストは思っていた。誘う友人もいないし、誘われるような人柄では無いと自覚している。それなのに今この場にいるということは、認識が間違っていたという事だろうか。今日の事を報せてくれた淡い空色の髪をした友人は目立つ事も面倒事も厭うきらいがある。そんな彼が声をかけてくれたのは、単に僕がのけ者にされないよう気を遣ったのか、巻き添えを探していたのだろう。
6611手元で弾けている生ビールの泡のように、パチパチと僅かな音を立てて消えていく。気付いたら無くなっているような二年だった。社会に出れば時の流れは変わるのだという言葉の信憑性を疑った時期もあったが、自分がその立場に立ってはじめて理解出来るものだ。
ノスタルジーが生み出す感傷だろう、自分らしくないなと思いながらジョッキを傾ける。
同窓会なんて自分には縁の無いものだとファウストは思っていた。誘う友人もいないし、誘われるような人柄では無いと自覚している。それなのに今この場にいるということは、認識が間違っていたという事だろうか。今日の事を報せてくれた淡い空色の髪をした友人は目立つ事も面倒事も厭うきらいがある。そんな彼が声をかけてくれたのは、単に僕がのけ者にされないよう気を遣ったのか、巻き添えを探していたのだろう。
t0mic0x0shi
DONE再会してちょっと経ったくらいのフィ→ファっぽいフィがファのこと考えたりレノとおしゃべりしたりする小話ですフィガファウの気持ちで書いてます…!
【フィガファウ】スプーン一杯分の幸せスプーン一杯分の幸せ
「また振られちゃった」
四階からの階段を降りながら、フィガロは手にした酒瓶を持ち上げ、誰に聞かせるわけでもなく小さくつぶやいた。
フィガロがいましがた尋ね、そしてにべもなくドアを閉じられたのは、ファウストの部屋である。
四百年前、フィガロが手を離される前に離れ、そしてその後行方の知れなかった唯一の弟子。自分の心にも、本人に向かっても弟子であると定めたのは、後にも先にも彼ひとりだけだ。
離れていた間に彼に起きた出来事は、その当時ではなく後から知ったことだけれど、知っている。いつかのワルプルギスの夜の会合で、フィガロへの接待のひとつとしてどこかの魔法使いから語られた、とっておきの噂話。その中で久しぶりに名前を聞いたかと思えば、当時の彼から想像もつかないような生業を冠してたから驚いたものだ。
4163「また振られちゃった」
四階からの階段を降りながら、フィガロは手にした酒瓶を持ち上げ、誰に聞かせるわけでもなく小さくつぶやいた。
フィガロがいましがた尋ね、そしてにべもなくドアを閉じられたのは、ファウストの部屋である。
四百年前、フィガロが手を離される前に離れ、そしてその後行方の知れなかった唯一の弟子。自分の心にも、本人に向かっても弟子であると定めたのは、後にも先にも彼ひとりだけだ。
離れていた間に彼に起きた出来事は、その当時ではなく後から知ったことだけれど、知っている。いつかのワルプルギスの夜の会合で、フィガロへの接待のひとつとしてどこかの魔法使いから語られた、とっておきの噂話。その中で久しぶりに名前を聞いたかと思えば、当時の彼から想像もつかないような生業を冠してたから驚いたものだ。
t0mic0x0shi
DONEこのあといつかフィガファウになって欲しい気持ちで書いてます。フィ→ファ風味だけど恋みたいな愛についてはまだ自覚なしみたい感じ【フィファ】フィガロ先生にはわからないフィガロ先生にはわからない
たとえば、とフィガロは思う。
設えられた大人が三人並んでも十分余裕のあるテーブルの上に広げた文献。己の前に置いたそれの手前に左手で頬杖をつき、その紙面を滑らせた右手の指を、重なってまとめられた紙の淵、それらを守る堅い表紙を飛び越えて、使い込まれた艶と使用者によってつけられたであろう小さな傷をもつテーブルの天板におろした。人差し指と中指を立て、板の上を歩くかのように動かして、隣に座るひとへと近づけてみる。
そこにいるファウストは、フィガロと同じようにテーブルに広げた文献を、けれどもフィガロとは異なり頬杖をつくこともなく、椅子に座ってもなおぴんと背筋を伸ばしたまま、文献の両脇でページを押さえるために手を添えて、視線をそこに綴られた文字に落としていた。指先を包む白い手袋には汚れひとつみあたらない。手のひらまでを守るその手袋が終われば素肌が見えるが、しかしそれも、すぐに黒く広い袖口の中に隠される。袖口はひろく、天板に置かれた腕の下で綺麗な形でもなく広がっていた。
3004たとえば、とフィガロは思う。
設えられた大人が三人並んでも十分余裕のあるテーブルの上に広げた文献。己の前に置いたそれの手前に左手で頬杖をつき、その紙面を滑らせた右手の指を、重なってまとめられた紙の淵、それらを守る堅い表紙を飛び越えて、使い込まれた艶と使用者によってつけられたであろう小さな傷をもつテーブルの天板におろした。人差し指と中指を立て、板の上を歩くかのように動かして、隣に座るひとへと近づけてみる。
そこにいるファウストは、フィガロと同じようにテーブルに広げた文献を、けれどもフィガロとは異なり頬杖をつくこともなく、椅子に座ってもなおぴんと背筋を伸ばしたまま、文献の両脇でページを押さえるために手を添えて、視線をそこに綴られた文字に落としていた。指先を包む白い手袋には汚れひとつみあたらない。手のひらまでを守るその手袋が終われば素肌が見えるが、しかしそれも、すぐに黒く広い袖口の中に隠される。袖口はひろく、天板に置かれた腕の下で綺麗な形でもなく広がっていた。
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DONE第23回フィガファウ版ワンドロライより『(フィの)誕生日』『流星雨』『特別』『体温』フィガロおめでとう!!
フィファとは?ですが、フィファのつもりで書きました!
魔法舎で再会したばかりのときの誕生日をイメージしています
【フィガファウ】フィガロ誕2023フィガロ誕2023
しこたま飲んでいる、という自覚がある。
身体が温かくてふわふわする。その感覚を楽しみながら、力の入らない指で掴んだグラスを落とさないためには、少しばかりの集中力が必要だった。
落とさない、こぼさない。そんなことに気を付けるために、手袋を外しすらしたのだ。
咥内から食道を通って胃に落ちる酒精の熱がここちよく、鼻に抜ける香りにため息をつきながら、コースターの上に空になったグラスを置けば、何を飲むのか問われることもなく新しいグラスと交換される。
「ありがとう」
ふわふわと芯のぼやけた頭の中、記憶の奥から聴こえる音楽に合わせ、身体を揺らした。気を緩めれば口から鼻歌でも飛び出しそうなほどに、気持ちも弾んでいる。
4444しこたま飲んでいる、という自覚がある。
身体が温かくてふわふわする。その感覚を楽しみながら、力の入らない指で掴んだグラスを落とさないためには、少しばかりの集中力が必要だった。
落とさない、こぼさない。そんなことに気を付けるために、手袋を外しすらしたのだ。
咥内から食道を通って胃に落ちる酒精の熱がここちよく、鼻に抜ける香りにため息をつきながら、コースターの上に空になったグラスを置けば、何を飲むのか問われることもなく新しいグラスと交換される。
「ありがとう」
ふわふわと芯のぼやけた頭の中、記憶の奥から聴こえる音楽に合わせ、身体を揺らした。気を緩めれば口から鼻歌でも飛び出しそうなほどに、気持ちも弾んでいる。
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DOODLEスノホワが経営する保育園に顔を出しに来たフィガロ(双子の養子)が、五歳児のファウストに懐かれる話。フォル学のフィガファウがどこでいつどうして知り合いあんな関係になったのかを案が得ていたら保育園まで遡りました。
決してやましい描写はありませんが、フィガファウです。
園児ファウストとの邂逅(後にフォル学になる) 園庭では二十名程の園児が高い声を上げて走り回ったり、転げながら砂場遊びをしている。このような平和な光景はここ数年見ていないため表から入るには憚られて、裏口を見つけると素早くダイヤル錠を開けて敷地内に入りこんだ。近所の人に見られたら通報されるかな、と思いつつもそのようなヘマをしない自信がフィガロにはある。笑顔で挨拶をすれば大抵の人は勝手に関係者認定してくれるものだ。
そして建物の端にある園長室と書かれたやたらと重厚感のある扉をノックした。すると来るのが初めから分かっていたみたいな顔をした育ての親が二人並んで出迎えてくれる。
「なんじゃ今頃になって現れて。開業祝いの花なら要らないからね、やっと処分した所なんだから」
5371そして建物の端にある園長室と書かれたやたらと重厚感のある扉をノックした。すると来るのが初めから分かっていたみたいな顔をした育ての親が二人並んで出迎えてくれる。
「なんじゃ今頃になって現れて。開業祝いの花なら要らないからね、やっと処分した所なんだから」
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DONE魔法舎で猫と戯れるファウストを見たり、ぐるぐるしたりするフィガロな感じですフィガファウ?フィガファウな気持ちで描きました
【フィガファウ】猫になれば猫になれば
ふ、と集中力が途切れた。情報の塊として脳内で処理されていたものが紙面に書かれたただの文字の羅列に感じられ、フィガロが落としていた視線を上げると、俯く形で固定されていた首がわずかに軋む。筋を伸ばすように首を軽く回し、膝の上に広げていた書物を栞もはさまず閉じた。
フィガロが腰を落ち着けている1人掛けのソファは、中庭を臨むことができる窓際に置かれたものだ。右手で書物の分厚い表紙をなぞりながら、肘掛けに左腕で頬杖をつき、なんとはなしにガラスの向こうに目を向ける。天井高に大きく取られた窓には一定の量の光しか入らない魔法がかけられているため、図書室に比べて外は明るく見えた。
最近任務が立て込んでいたこともあり、たまには息抜きも必要だと、今日は授業も何もかも休みにすることにした。中央の国もそうしましょうとオズに持ちかけ休日を得たリケとミチルは中央の国の市場に行っている。カインとルチルとレノックスも共に出かけて行くのを見送ったのは、日が昇ってすぐのことだった。
5256ふ、と集中力が途切れた。情報の塊として脳内で処理されていたものが紙面に書かれたただの文字の羅列に感じられ、フィガロが落としていた視線を上げると、俯く形で固定されていた首がわずかに軋む。筋を伸ばすように首を軽く回し、膝の上に広げていた書物を栞もはさまず閉じた。
フィガロが腰を落ち着けている1人掛けのソファは、中庭を臨むことができる窓際に置かれたものだ。右手で書物の分厚い表紙をなぞりながら、肘掛けに左腕で頬杖をつき、なんとはなしにガラスの向こうに目を向ける。天井高に大きく取られた窓には一定の量の光しか入らない魔法がかけられているため、図書室に比べて外は明るく見えた。
最近任務が立て込んでいたこともあり、たまには息抜きも必要だと、今日は授業も何もかも休みにすることにした。中央の国もそうしましょうとオズに持ちかけ休日を得たリケとミチルは中央の国の市場に行っている。カインとルチルとレノックスも共に出かけて行くのを見送ったのは、日が昇ってすぐのことだった。
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DOODLE魔法舎全体にプレゼント攻撃するフィと付き合ってるファ。脳死で書いてたらえっちな展開になってしまったのですが、続き必要ですか?
ログスト(編み物)ネタのフィガファウ「……それは、昨今の流行なのか?」
カモミールとミントでスッキリさせたオリジナルのハーブティーと、差し入れだとカナリアから貰った手作りクッキーを囲んで東の国の四人で授業後のひとときを過ごしていた。
今日の授業は朝からひたすら座学とテストだったため、シノはくったりと疲れた様子でずるずるハーブティーを啜っている。行儀が悪いからやめろとヒースクリフが指摘する事でようやく丸まった背筋がいくらか伸びた。肩肘をついてチョコチップがまぶされたクッキーを摘まんだネロは「これ美味いな、先生も早く食わないと無くなるぞ」と笑った。
その彼らを見渡しながら朝からずっと疑問だった事をファウストは口にしたのだが、後の三人は困ったような顔になって顔を見合わせた。
4019カモミールとミントでスッキリさせたオリジナルのハーブティーと、差し入れだとカナリアから貰った手作りクッキーを囲んで東の国の四人で授業後のひとときを過ごしていた。
今日の授業は朝からひたすら座学とテストだったため、シノはくったりと疲れた様子でずるずるハーブティーを啜っている。行儀が悪いからやめろとヒースクリフが指摘する事でようやく丸まった背筋がいくらか伸びた。肩肘をついてチョコチップがまぶされたクッキーを摘まんだネロは「これ美味いな、先生も早く食わないと無くなるぞ」と笑った。
その彼らを見渡しながら朝からずっと疑問だった事をファウストは口にしたのだが、後の三人は困ったような顔になって顔を見合わせた。
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DOODLEブラネロのネとフィガファウのファが居酒屋で飲んでいる所に呼ばれたブとフィの話。※東保護者組が泥酔気味。※ブ視点で進行します。
(ブラネロ書いたの初めてなので違和感あったらすみません💦)
正体をなくした彼ら 最近仕事後の一服が癖になっているなと考えながら、ブラッドリーは携帯端末を取り出した。入っていた一件の通知を開くと旧友であり恋人である男からのメッセージが表示される。『仕事片付いたら来いよ』という素っ気ないながらも誘いの言葉に、地図のリンクが付いていた。屋外喫煙所には他に誰も居なかったので、自然と口角が上がるのを抑える事はしない。本音を言えば飯屋を営んでいる恋人の手料理が食べたかったのだが、文句を言えば返ってくるのは拳だ。ブラッドリーは殆どの事象を腕っ節で解決出来る男だが、ネロの拳だけは甘んじて受けようと決めている。彼が手を出す時に悪いのは自分の方だという事をよく分かっているからだ。
会うのは何日振りだろうか。一週間前に客として店に食べに行ったのが最後だったと思う。なので恋人の顔で会うのは半月振りになるのかもしれない。
4838会うのは何日振りだろうか。一週間前に客として店に食べに行ったのが最後だったと思う。なので恋人の顔で会うのは半月振りになるのかもしれない。
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DOODLEフィガファウ版ワンドロライの第21回「清純派」「触れる」のお題をお借りしました。
とうとうに始まり唐突に終わります
【フィガファウ】「清純派」「触れる」「清純派、清純派うるさい」
怒りにも似た焦りの滲んだ声。フィガロをまっすぐにとらえる紫眼がすぐ間近に迫っていた。
そんなこといったって、きみのことを妖艶、あるいは汚濁とかそういうものと、清純と、どちらなのかといわれたら圧倒的に後者じゃないか。なんて言おうものなら、選択肢が極端すぎる。とか、いやもしかしたら、僕には汚濁が似合うに決まってる。なんて本気の目をして返してくるのかもしれない。少しばかりの怒りを添えて。
しかし、幸か不幸かフィガロはそれを言葉にしてファウストの怒りを買うことはなく、ただただ瞬きの間に頭の中でだけ巡った思考であった。
言葉を発するために唇が、塞がれていて声を出すことも開くことができなかったので。
1891怒りにも似た焦りの滲んだ声。フィガロをまっすぐにとらえる紫眼がすぐ間近に迫っていた。
そんなこといったって、きみのことを妖艶、あるいは汚濁とかそういうものと、清純と、どちらなのかといわれたら圧倒的に後者じゃないか。なんて言おうものなら、選択肢が極端すぎる。とか、いやもしかしたら、僕には汚濁が似合うに決まってる。なんて本気の目をして返してくるのかもしれない。少しばかりの怒りを添えて。
しかし、幸か不幸かフィガロはそれを言葉にしてファウストの怒りを買うことはなく、ただただ瞬きの間に頭の中でだけ巡った思考であった。
言葉を発するために唇が、塞がれていて声を出すことも開くことができなかったので。
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MOURNING〇〇しないと出られない部屋のフィガファウ(健全)〇〇しないと出られない部屋〇〇〇〇しないと出られない部屋
「……ん…?」
目を開けた瞬間、飛び込んで来たのは圧倒的な”白”だった。まるで塗り潰したかのような鮮烈な白。覚えのないその景色に、一気に思考が覚醒した。
「え……!?」
慌てて上体を起こして辺りを見回す。途端にぎしりとスプリングが軋む音がして。そこで初めて寝台に横たわっていた事に気づいた。その寝台も周りと同じように白い。
「ええと、……どうなってるんだっけ…」
微かに痛むこめかみを指で抑えてフィガロは思考を巡らせる。
ーーー確か今日は、任務も授業の予定もない日で。だから、思う存分惰眠を貪ってお昼近くに食堂へ行った。そしたら、急な任務の依頼が入ったのだ。中央の魔法使いは討伐に行き、西と北の魔法使いは合同任務で。そこで、フィガロとファウストに白羽の矢が立った。
2722「……ん…?」
目を開けた瞬間、飛び込んで来たのは圧倒的な”白”だった。まるで塗り潰したかのような鮮烈な白。覚えのないその景色に、一気に思考が覚醒した。
「え……!?」
慌てて上体を起こして辺りを見回す。途端にぎしりとスプリングが軋む音がして。そこで初めて寝台に横たわっていた事に気づいた。その寝台も周りと同じように白い。
「ええと、……どうなってるんだっけ…」
微かに痛むこめかみを指で抑えてフィガロは思考を巡らせる。
ーーー確か今日は、任務も授業の予定もない日で。だから、思う存分惰眠を貪ってお昼近くに食堂へ行った。そしたら、急な任務の依頼が入ったのだ。中央の魔法使いは討伐に行き、西と北の魔法使いは合同任務で。そこで、フィガロとファウストに白羽の矢が立った。
worino0605
DONE第二回、開門おめでとうございます!図書室でイチャつくふたりが見たい、という煩悩のもと書きました。拙いですがお楽しみいただければ幸いです😌✨
関係者以外、立入禁止 ファウストは、静まりかえった夜の魔法舎の廊下をひとり歩いていた。
今日は嵐の谷に個人的な用があり、先程帰ってきたところだ。賢者は夜遅くなるようなら一晩そちらで過ごしては、と提案してくれたが、授業の進捗と任務の予定を考えると多少無理をしてもとんぼ返りするのがベストだ、と判断したのだった。
廊下の灯りはもう落ちていて、窓から差し込む星と厄災の光だけを頼りに歩みを進める。自身の魔法で周囲を照らしてもよかったけれど、やや面倒な気分だったのと、暗い方が却って落ち着くのとで、ファウストはそのまま自身の部屋へ向かうことにした。
明日は朝から夕方まで、みっちり座学の予定だ。シノはきっと嫌な顔をするだろうしネロも途中から上の空になるだろうが、どうしても次の任務までには詰め込んでおきたい内容だ。既に昨日中に準備は済ませてあったが、そうだ、と思いついたファウストは踵を返してその足を図書室の方向へと向ける。以前に読んだ本、あれは実例が多く載っていたし読みやすくて良かった。いささか飽きやすい生徒たちにはもちろん、勤勉なヒースクリフにとってもきっとためになる。同じ著者の他の著書も参考になるだろうからいくつか借りておきたいーーそんな考え事をしていたのと、今日の疲れのせいだろうか。扉に手をかけるまで、ファウストは気づくことができなかった。
4824今日は嵐の谷に個人的な用があり、先程帰ってきたところだ。賢者は夜遅くなるようなら一晩そちらで過ごしては、と提案してくれたが、授業の進捗と任務の予定を考えると多少無理をしてもとんぼ返りするのがベストだ、と判断したのだった。
廊下の灯りはもう落ちていて、窓から差し込む星と厄災の光だけを頼りに歩みを進める。自身の魔法で周囲を照らしてもよかったけれど、やや面倒な気分だったのと、暗い方が却って落ち着くのとで、ファウストはそのまま自身の部屋へ向かうことにした。
明日は朝から夕方まで、みっちり座学の予定だ。シノはきっと嫌な顔をするだろうしネロも途中から上の空になるだろうが、どうしても次の任務までには詰め込んでおきたい内容だ。既に昨日中に準備は済ませてあったが、そうだ、と思いついたファウストは踵を返してその足を図書室の方向へと向ける。以前に読んだ本、あれは実例が多く載っていたし読みやすくて良かった。いささか飽きやすい生徒たちにはもちろん、勤勉なヒースクリフにとってもきっとためになる。同じ著者の他の著書も参考になるだろうからいくつか借りておきたいーーそんな考え事をしていたのと、今日の疲れのせいだろうか。扉に手をかけるまで、ファウストは気づくことができなかった。
mitaka
DONE開門フェス2開催おめでとうございますー!!!弟子大好きなフィガロとまだ素直になれないファウストが歩み寄るきっかけのお話です。
フィガロがめんどくさかったり、弱気になったりしますが、悲しい話ではありません。
※嵐の谷の様子や師弟時代などなど、捏造満載です。
後日、年齢制限部分の続きとファウスト視点の短編を加えて、支部に掲載したいと思っています。
ブルーモーメントに染まる朝いつからこうしていたのか。
それすらわからなくなるほど、緋色の焔に冒されて、次第に現の感覚を失っていく。
確かなのは、そこにきみがいて、そこに俺がいるということ。
ただそれだけ。
それだけのことが、なぜこんなにも苦しくて、なぜこんなにも幸福なのだろう。
◇◇◇
ひと目見て、ああ今日は一等気分が良いのだ、ということがわかった。薄檸檬の柔らかい空気の色と、可愛いらしい幸福の小花。それを全身に纏っていることが可視化できそうなくらいだ。口元は軽く緩んでいて、心なしか笑みを浮かべているようにも見える。本人は周囲には漏れていないと思っているのかもしれないが、その実、自身の内に正直で、存外顔に出やすいタイプなのだ。何よりも、拒否されず対面で食堂の席に座っていられることが大きな証拠だった。悲しいけれど、普段ならこんなにあっさりと近くに寄ることはできないから。
19536それすらわからなくなるほど、緋色の焔に冒されて、次第に現の感覚を失っていく。
確かなのは、そこにきみがいて、そこに俺がいるということ。
ただそれだけ。
それだけのことが、なぜこんなにも苦しくて、なぜこんなにも幸福なのだろう。
◇◇◇
ひと目見て、ああ今日は一等気分が良いのだ、ということがわかった。薄檸檬の柔らかい空気の色と、可愛いらしい幸福の小花。それを全身に纏っていることが可視化できそうなくらいだ。口元は軽く緩んでいて、心なしか笑みを浮かべているようにも見える。本人は周囲には漏れていないと思っているのかもしれないが、その実、自身の内に正直で、存外顔に出やすいタイプなのだ。何よりも、拒否されず対面で食堂の席に座っていられることが大きな証拠だった。悲しいけれど、普段ならこんなにあっさりと近くに寄ることはできないから。
t0mic0x0shi
DONEフィガファウ風味。出来上がってるような出来上がってないような。フィガの頭の中がラブコメしてます。
キスくらいします
こたえはいち チョコレートがついている。
隣に座ったファウストの、フィガロの前に立つときには比較的下がり気味で、東の国の魔法使いや子供たち、猫などを前にした時には上がっていることもある口の端、口角の右側についた茶色のそれを横目に見ながら、フィガロは手にしたグラスに口を付けた。
薄い唇が縁取る彼の口は、その大きさからどうしてあれだけの音量と芯のある声が出るのかが不思議でならないほどには小さい、と思う。本当は大きいのだろうか、食べるときにはそれほど開かないだけで。
それに、若いころから食事の仕方は綺麗だった。偏見も含むことを承知しつついうならば、大分昔の辺境の村の出身であるにもかかわらず。当時、外見の年齢のままにしか生きていなかったころから。ということは、生まれ育った家でそう躾られたのだろう。テーブルマナーは苦手です、決まりごとがたくさんあって。なんて、フィガロが魔法で用意した料理たちに対して可愛らしく恥じらっていたこともあったけれど、使うカトラリーの種類と順番を一度教えてやればそれ以降、ほとんど 間違うことはなかった。
5736隣に座ったファウストの、フィガロの前に立つときには比較的下がり気味で、東の国の魔法使いや子供たち、猫などを前にした時には上がっていることもある口の端、口角の右側についた茶色のそれを横目に見ながら、フィガロは手にしたグラスに口を付けた。
薄い唇が縁取る彼の口は、その大きさからどうしてあれだけの音量と芯のある声が出るのかが不思議でならないほどには小さい、と思う。本当は大きいのだろうか、食べるときにはそれほど開かないだけで。
それに、若いころから食事の仕方は綺麗だった。偏見も含むことを承知しつついうならば、大分昔の辺境の村の出身であるにもかかわらず。当時、外見の年齢のままにしか生きていなかったころから。ということは、生まれ育った家でそう躾られたのだろう。テーブルマナーは苦手です、決まりごとがたくさんあって。なんて、フィガロが魔法で用意した料理たちに対して可愛らしく恥じらっていたこともあったけれど、使うカトラリーの種類と順番を一度教えてやればそれ以降、ほとんど 間違うことはなかった。
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DONE2023/2/11 フィガファウワンドロライ第19回「巻き毛」「どうせ苦いよ」
※両片思いで身体の関係だけ先に出来上がっているフィガファウ。事後です。
そのばかぎりのぬくもりを ふわりと柔らかなものが鼻をくすぐった。
ゆるやかに浮上していた意識が、その感触によって一気に覚醒する。重たい瞼を押し上げれば、寝ぼけ眼でまだ焦点の合わない視界に、薄群青が見えた。
カーテンのない部屋の窓からは、明るい朝日が差し込んでいる。光に透ける薄群青は、ふだんのそれよりも色合いを明るく見せていた。
その色合いからか、持ち主にただよう厳しくも美しい冬の雰囲気からか、いや後者はファウストの抱く彼への印象ゆえだろうか、一見硬質そうな緩く巻いたその髪は、印象に反してその実、肌に優しく柔らかい。
昔は首の後ろで結いていて立派な巻き毛だったけれど、いまは巻き毛というには短い。癖っ毛なんだよね、と本人がなにやら可愛こぶって主張していたが、巻き毛と何が違うのか分からなかった。
6102ゆるやかに浮上していた意識が、その感触によって一気に覚醒する。重たい瞼を押し上げれば、寝ぼけ眼でまだ焦点の合わない視界に、薄群青が見えた。
カーテンのない部屋の窓からは、明るい朝日が差し込んでいる。光に透ける薄群青は、ふだんのそれよりも色合いを明るく見せていた。
その色合いからか、持ち主にただよう厳しくも美しい冬の雰囲気からか、いや後者はファウストの抱く彼への印象ゆえだろうか、一見硬質そうな緩く巻いたその髪は、印象に反してその実、肌に優しく柔らかい。
昔は首の後ろで結いていて立派な巻き毛だったけれど、いまは巻き毛というには短い。癖っ毛なんだよね、と本人がなにやら可愛こぶって主張していたが、巻き毛と何が違うのか分からなかった。
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DOODLEルチルが出演しているドラマの打ち上げに迎えに行ったフィガロだったけれど、酔い潰れていたファウストをお持ち帰りする話。クリスマスに書いた芸能パロと同じ設定(ルチミチが所属する芸能事務所社長のフィガロ×フィガロに憧れて俳優になったファウスト)で、付き合う前の話です。
【芸能パロ】分からないこと ぐるんぐるん、と回るのは世界なのか自分なのか――。
そもそも地球は絶え間なく回転し続けるし、それに伴って自分も回っている事になるのかもしれない。けれどこんなにも景色が形を変えながら回るものか。馬鹿な事を考えているという自己認識が出来るくらいには理性を残しながら、くったりとテーブルの上で両腕を組み、頬を押しつける。
そんなファウストを特別気にした様子の人はここには居らず、皆似たり寄ったりで馬鹿騒ぎの真っ最中だった。立ち上がって何かを主張している者もいれば、横になってしまっている者もいる。店を貸切にしていて良かったというのは、本日の幹事が明日思う事だ。
無礼講もいい所のこの状況を咎める人間は既にこの場を離れており、このまま朝まで宴が続くのは確定している。打ち上げというのは度合いは違えど毎回羽目を外す者が複数現れるのだ。そして大概ファウストは帰るタイミングを見失う。未成年者達と連れだって出てしまえば良いのだろうが、酒を飲む行為自体は好きなのだ。早朝の撮影が多い現場だったため最近は控える日が続いていたから余計に飲みたい気持ちが強かった。明日も別の現場がある者はマネージャーに引き摺られるようにこの場を去ったが、ファウストは幸いにもオフであった。それならば問題は無いのだから飲んでしまえと今自分の判断でここにいる。
5581そもそも地球は絶え間なく回転し続けるし、それに伴って自分も回っている事になるのかもしれない。けれどこんなにも景色が形を変えながら回るものか。馬鹿な事を考えているという自己認識が出来るくらいには理性を残しながら、くったりとテーブルの上で両腕を組み、頬を押しつける。
そんなファウストを特別気にした様子の人はここには居らず、皆似たり寄ったりで馬鹿騒ぎの真っ最中だった。立ち上がって何かを主張している者もいれば、横になってしまっている者もいる。店を貸切にしていて良かったというのは、本日の幹事が明日思う事だ。
無礼講もいい所のこの状況を咎める人間は既にこの場を離れており、このまま朝まで宴が続くのは確定している。打ち上げというのは度合いは違えど毎回羽目を外す者が複数現れるのだ。そして大概ファウストは帰るタイミングを見失う。未成年者達と連れだって出てしまえば良いのだろうが、酒を飲む行為自体は好きなのだ。早朝の撮影が多い現場だったため最近は控える日が続いていたから余計に飲みたい気持ちが強かった。明日も別の現場がある者はマネージャーに引き摺られるようにこの場を去ったが、ファウストは幸いにもオフであった。それならば問題は無いのだから飲んでしまえと今自分の判断でここにいる。
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DONEフィガファウのつもりで書きはじめたけど、師弟時代のフィガ+ファウですファウスト誕生日おめでとう
たどりついた祝福はたどりついた祝福は
わずかな、かすかな、魔法の気配がした。
それは北の大地で千年を超えて生きている魔法使いである己にとっては、取るに足らないような些細なものであった。けれどそんな些細なものでも設定している領域を越えたものは、否応なく神経に触れてくる。掃除をなまけたゆえに、棚の上から舞落ちた埃に鼻をくすぐられるくらいのささやかさで。
数か月前までのフィガロであったなら、気配があると認識するだけで歯牙にもかけなかったであろう。不意をつかれなければおいそれと敗けることはない。
けれども、そのわずかな気配に対してここまで神経質になってしまうのは、今現在、このフィガロが住まいとしている屋敷にはもう一人住人がいるからであった。
4683わずかな、かすかな、魔法の気配がした。
それは北の大地で千年を超えて生きている魔法使いである己にとっては、取るに足らないような些細なものであった。けれどそんな些細なものでも設定している領域を越えたものは、否応なく神経に触れてくる。掃除をなまけたゆえに、棚の上から舞落ちた埃に鼻をくすぐられるくらいのささやかさで。
数か月前までのフィガロであったなら、気配があると認識するだけで歯牙にもかけなかったであろう。不意をつかれなければおいそれと敗けることはない。
けれども、そのわずかな気配に対してここまで神経質になってしまうのは、今現在、このフィガロが住まいとしている屋敷にはもう一人住人がいるからであった。
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MOURNING革命時代捏造フィガファウです。飲酒の描写があります。少しでも楽しんで頂けたら嬉しいです。
無題「気になる?」
「えっ」
予期せぬ問いにファウストは手にしていたボトルを取り落としそうになった。その様子に、口元を緩めたフィガロが軽くグラスを揺らして見せた。
「君も呑んでみる?」
その動作で彼が何を伝えたいのか直ぐに分かった。
ーー気付かれるくらいに見てしまっていたなんて。
フィガロが酒を呑んでいる所を。正確にはお酒を呑んでいるフィガロの姿に見蕩れてしまっていたなんて、とてもじゃないが言えない。熱くなった頬を誤魔化すように慌ててファウストは首を振った。
「っいえ、僕は大丈夫です。……フィガロ様がいつも美味しそうにお酒を呑んでいるので少し気になってしまって」
「そう? …そういえば君ってもう成人してるんだっけ?」
1711「えっ」
予期せぬ問いにファウストは手にしていたボトルを取り落としそうになった。その様子に、口元を緩めたフィガロが軽くグラスを揺らして見せた。
「君も呑んでみる?」
その動作で彼が何を伝えたいのか直ぐに分かった。
ーー気付かれるくらいに見てしまっていたなんて。
フィガロが酒を呑んでいる所を。正確にはお酒を呑んでいるフィガロの姿に見蕩れてしまっていたなんて、とてもじゃないが言えない。熱くなった頬を誤魔化すように慌ててファウストは首を振った。
「っいえ、僕は大丈夫です。……フィガロ様がいつも美味しそうにお酒を呑んでいるので少し気になってしまって」
「そう? …そういえば君ってもう成人してるんだっけ?」