かがり
DONE(2025.2.16)ネガティブな感情に一足飛びで共鳴しちゃう司レオ(付き合ってない)
弱ってる司くんがいます
ラストミッションの後くらいの時系列で題材はあまり明るくない、かつ、ギャンビットとの時系列の整合性は大目に見てください……
書きたいところだけ書いてる
共振:司レオ 家族のように大切な子が、いきいきと人を傷つけること。それはきっと、自身の一族が与えた宿命のせいに他ならないこと。心から理解し得ないその衝動に、相棒のあの人は共鳴していたこと。
――そもそも、どうにも手の出し様がなかった「レオさんの一件」に、報いを与えてくれたこと。
己が内に渦巻く全てを飲み下して、せめて、と出来ることを拾った、結果が――。
♪
人影が中空に放り出される。まさにその瞬間を、目の当たりにした。
時が止まったと錯覚するような一瞬。
そんな考えを嘲笑うかのように、重力が小さな身体の袖を引く。
そうした一連の出来事を、ただ眺めていた。
はく、と息ができなくなる。
反射的に窓辺へ駆け寄りながら、そうして、無駄だとよく理解しているのに、どこへともなく手を伸ばした――瞬間、強烈なデジャヴに見舞われるのだ。
5735――そもそも、どうにも手の出し様がなかった「レオさんの一件」に、報いを与えてくれたこと。
己が内に渦巻く全てを飲み下して、せめて、と出来ることを拾った、結果が――。
♪
人影が中空に放り出される。まさにその瞬間を、目の当たりにした。
時が止まったと錯覚するような一瞬。
そんな考えを嘲笑うかのように、重力が小さな身体の袖を引く。
そうした一連の出来事を、ただ眺めていた。
はく、と息ができなくなる。
反射的に窓辺へ駆け寄りながら、そうして、無駄だとよく理解しているのに、どこへともなく手を伸ばした――瞬間、強烈なデジャヴに見舞われるのだ。
かがり
INFO(2024.11.30)12/1DRF発行予定・司+レオ漫画短編集「In the PandoraBox!」のサンプルです!
今回発行分は準備号で、想定話数の半分のみを掲載しています。
夢ノ咲学院時代の二人の『箱』に纏わる短編集です。
(中綴じスミ一色折り本18ページ) 4
かがり
INFO(2024.11.30)12/1DRF発行予定・司レオ寄り添いアンソロジー『永遠のあなたとラストダンスを』(X:@tklo_withyou)に寄稿させていただいた小説のサンプルとなります!
夏目君の催眠術で引きこもり期に逆行してしまったレオくんと、彼の手を引いて夢ノ先学院を巡りながら元に戻る手助けをする司くんのお話です。
(アンソロサンプル)司レオ:その先の福音「ああ、ちょっとまずったかナ……」
目の前に立つ真っ赤な髪の男は、不自然なイントネーションで、ぼやくように呟いた。
自分と同じくらいの体格のそいつは確か、校内で見たことがある小生意気な後輩だったはずだ。どうしてここに? そんな風に記憶を辿ろうとした瞬間、眩暈のような感覚と共に思考が揺らぎ、ぺたりとその場に腰を落とした。
訳が分からないまま辺りを見渡すと、ベッドが三つ並んだ真新しい部屋だ。恐らくは、共同生活のための空間。
「ここ、どこだ……?」
♪
「……それで、一体何があったと言うのですか?」
司は眉間を押さえて、情報の整理に努める。此処は星奏館の一室――レオ、夏目、なずなが生活を共にする三人部屋だった。
2108目の前に立つ真っ赤な髪の男は、不自然なイントネーションで、ぼやくように呟いた。
自分と同じくらいの体格のそいつは確か、校内で見たことがある小生意気な後輩だったはずだ。どうしてここに? そんな風に記憶を辿ろうとした瞬間、眩暈のような感覚と共に思考が揺らぎ、ぺたりとその場に腰を落とした。
訳が分からないまま辺りを見渡すと、ベッドが三つ並んだ真新しい部屋だ。恐らくは、共同生活のための空間。
「ここ、どこだ……?」
♪
「……それで、一体何があったと言うのですか?」
司は眉間を押さえて、情報の整理に努める。此処は星奏館の一室――レオ、夏目、なずなが生活を共にする三人部屋だった。
motong
DONE不知所云的两个人的聊天【司レオ】念“Leader。”还是他会这么叫他的时候,趴在地上写写画画的人仍旧悠然自得地趴着,鼻腔偶尔发出几声零星的曲调,写着写着就闭上眼,不拿笔的那只手则承担托腮的任务,面上摆出一幅沉醉其中的神色。明明通过声音很容易就能分辨他颇具锲而不舍精神的后辈在哪里,可月永雷欧多少带了些故意的心思,就是不正眼和对方对视。只在对方出声之前,便先行一步,于自己的妄想中编排出对方生气又不好发作,细长的眉高高挑起,又拧作一团的模样;他知道朱樱司接下来会说什么,“您到底有没有在听我说话?”
……啊,下一句说出来了。不过其实自己心里刚刚猜的是“您可以去集合了吗”来着。嘛,不太一样,但说到底,这几句话想表达的意思最后应该都殊途同归,无外乎要带自己走和带自己走或者带自己走,四舍五入自己也算是猜对了。
3639……啊,下一句说出来了。不过其实自己心里刚刚猜的是“您可以去集合了吗”来着。嘛,不太一样,但说到底,这几句话想表达的意思最后应该都殊途同归,无外乎要带自己走和带自己走或者带自己走,四舍五入自己也算是猜对了。
motong
DONE堆堆没人知道是否真的发生过的初遇的故事
【司レオ】la vie en rose少有的空缺时光于朱樱司而言,与其说是放松的闲暇,他倒更宁愿当做生活中的冗余来处理。
离平时的下课时间还差了大半个小时,残阳便也不像往常一般已经沉在了远处穿插着树影的水平面下,还昏昏地半挂着。朱樱司眯着眼往建筑群中正给落日空出一片余地,好让他看清了荡着碎金似的波光的人工渠那处望,心说自己以前似乎从来不知道原来还有这样的地方。上一次因提早离开了才艺课而误打误撞闯进仿佛异世界的一幕幕又不受自身意愿控制地在脑海中冒了泡,他像是要掩饰窘迫般捏了捏鼻翼,又心知肚明周身并不存在会注意到自己而上来探寻自身思绪的人。
稍微的茫然。
这一次决然不会再因为什么奇异的指引而去往他处。司机刚刚发了消息说还有十来分钟就能到,而等到回家的时候便仍旧在与平时相差无几的时候做相差无几的事,不觉得无聊,也未曾有过同龄人可能会存在的抗拒,朱樱司心说他与那些人最大的不同大概在于他的确有背负更多的骄傲而非推脱的心思,或者说是尽自己应尽之事本就理所应当。秒针就那样慢慢地划出弧度,预计直到自己离开,那还似被托举在水面上的夕阳也不会完全落下,朱樱司无意识地伸手抚过身旁修建整齐的矮灌木,没什么揪一把叶子打发时间的欲望,眼睛又向那水面望去,也不知无风的平面为什么总像是叠起了皱褶,自己印象中也的确从未见过能完整映射于水中而不浮动着的光斑,因为实际上太阳还是在蠕动着下沉而水底也同样藏着暗流吗?
3213离平时的下课时间还差了大半个小时,残阳便也不像往常一般已经沉在了远处穿插着树影的水平面下,还昏昏地半挂着。朱樱司眯着眼往建筑群中正给落日空出一片余地,好让他看清了荡着碎金似的波光的人工渠那处望,心说自己以前似乎从来不知道原来还有这样的地方。上一次因提早离开了才艺课而误打误撞闯进仿佛异世界的一幕幕又不受自身意愿控制地在脑海中冒了泡,他像是要掩饰窘迫般捏了捏鼻翼,又心知肚明周身并不存在会注意到自己而上来探寻自身思绪的人。
稍微的茫然。
这一次决然不会再因为什么奇异的指引而去往他处。司机刚刚发了消息说还有十来分钟就能到,而等到回家的时候便仍旧在与平时相差无几的时候做相差无几的事,不觉得无聊,也未曾有过同龄人可能会存在的抗拒,朱樱司心说他与那些人最大的不同大概在于他的确有背负更多的骄傲而非推脱的心思,或者说是尽自己应尽之事本就理所应当。秒针就那样慢慢地划出弧度,预计直到自己离开,那还似被托举在水面上的夕阳也不会完全落下,朱樱司无意识地伸手抚过身旁修建整齐的矮灌木,没什么揪一把叶子打发时间的欲望,眼睛又向那水面望去,也不知无风的平面为什么总像是叠起了皱褶,自己印象中也的确从未见过能完整映射于水中而不浮动着的光斑,因为实际上太阳还是在蠕动着下沉而水底也同样藏着暗流吗?
かがり
DONE(2024.2.1)例のCDの人を探し当てた司くんの話
司レオは本当に気持ち程度
しあわせな男:モブ+司(司レオ) 人を傷つけ貶めて、そのまま晒しあげて逃げ去るような、そんな残酷なことをしでかした人間が、幸せになんてなれるものか。
もしもそんな物語があったとして、俺だったら「加害者に甘すぎて胸糞が悪い」と酷評することだろう。けれども、そんな風に、ともすれば後ろ指を指され糾弾されるような所業を為した自分はと言えば、驚くべきことに幸せになってしまった。
あの輝かしくも苦々しい青春以上の幸福なんて、この先の人生には存在し得ないものだとばかり思っていた。
堕落と後悔から逃げ延びた先で、思いがけずに出会えた人が居た。
そうしてもうじき、俺には繋ぐべき手がひとつ増える。
もしも突然、過去の報いに追いつかれて、例えば死に至ったとして、「まあ仕方ない」と納得してしまうだろうくらいには幸せだ。遺していく家族には申し訳が立たないが。
3567もしもそんな物語があったとして、俺だったら「加害者に甘すぎて胸糞が悪い」と酷評することだろう。けれども、そんな風に、ともすれば後ろ指を指され糾弾されるような所業を為した自分はと言えば、驚くべきことに幸せになってしまった。
あの輝かしくも苦々しい青春以上の幸福なんて、この先の人生には存在し得ないものだとばかり思っていた。
堕落と後悔から逃げ延びた先で、思いがけずに出会えた人が居た。
そうしてもうじき、俺には繋ぐべき手がひとつ増える。
もしも突然、過去の報いに追いつかれて、例えば死に至ったとして、「まあ仕方ない」と納得してしまうだろうくらいには幸せだ。遺していく家族には申し訳が立たないが。
かがり
DONE(2023.12.31)「ご報告」する司くんとKnightsメンバーの話です。
ずっとちまちま書いていた小話を、1年の総括として……また来年も書いていきたいです。
ご報告があります!:司レオ「ご報告があります」
それは、Knightsの新入りたちとのレッスンを終えて彼らを帰した後に、俺とナッちゃんと新たな『王さま』の3人で、さぁ円卓会議だと意気込んでみせた直後のことだった。
やっと今の体制にも慣れてきたものの、いつだって少しの寂しさがある。明日は2人が帰国するねぇ、なんて、この場には居ないメンバーについて話を振れば、おずおずと手が挙がり、彼――ス〜ちゃんは先のとおり、重々しく口を開いたのだった。
思い詰めたように緊張を帯びた声色に、俺は思わず、直近の懸念事項から心当たりを探してしまう。少なくとも、取り返しがつかなかったり、もしくは、そうなり兼ねない事柄は、何も無かったはずだ。
「どうしたの? 司ちゃん」
6218それは、Knightsの新入りたちとのレッスンを終えて彼らを帰した後に、俺とナッちゃんと新たな『王さま』の3人で、さぁ円卓会議だと意気込んでみせた直後のことだった。
やっと今の体制にも慣れてきたものの、いつだって少しの寂しさがある。明日は2人が帰国するねぇ、なんて、この場には居ないメンバーについて話を振れば、おずおずと手が挙がり、彼――ス〜ちゃんは先のとおり、重々しく口を開いたのだった。
思い詰めたように緊張を帯びた声色に、俺は思わず、直近の懸念事項から心当たりを探してしまう。少なくとも、取り返しがつかなかったり、もしくは、そうなり兼ねない事柄は、何も無かったはずだ。
「どうしたの? 司ちゃん」
かがり
INFO※6/25JBF発行・書き下ろしコピー本として頒布してました! 購入いただいた方ありがとうございました!幼少期×引きこもり期の時空が歪んでるマイルームネタです。
だれかの観察日記:司+レオ その⼈はいきなり部屋のすみにあらわれたので、とてもおどろきました。
ですから、このさっしはあの⼈の観察⽇記にしようと思います。
――朱桜司
♪
×⽉×⽇・くもり
その⼈はいきなり部屋のすみにあらわれたので、とてもおどろきました。
⽣気のないかおでぼう、としていて、さいしょは、ちみもうりょうのたぐい、かもしれないと思いましたが、その⼈も反応がうすいながらおどろいていたようで、なんどか⽴ったりすわったりをくり返したあとに、「ああ、ゆめか」とつぶやきました。
家のものにかくにんをさせても、⾸をかしげられるばかり。だれかをともなって部屋にはいると、その⼈はこつぜんといなくなるのです。
⼦どもになら⾒えるのではないか、と思い、こっそりと桜河をつれてきてみても、同じでした。
5292ですから、このさっしはあの⼈の観察⽇記にしようと思います。
――朱桜司
♪
×⽉×⽇・くもり
その⼈はいきなり部屋のすみにあらわれたので、とてもおどろきました。
⽣気のないかおでぼう、としていて、さいしょは、ちみもうりょうのたぐい、かもしれないと思いましたが、その⼈も反応がうすいながらおどろいていたようで、なんどか⽴ったりすわったりをくり返したあとに、「ああ、ゆめか」とつぶやきました。
家のものにかくにんをさせても、⾸をかしげられるばかり。だれかをともなって部屋にはいると、その⼈はこつぜんといなくなるのです。
⼦どもになら⾒えるのではないか、と思い、こっそりと桜河をつれてきてみても、同じでした。
在赤道与极地之间做环球旅行
DONE写于2023.6【司レオ】噪点Summary: 很后悔,偏偏升学的事情才刚刚开始忙碌,朱樱司没想过自己的无意之举会招来这么一个磨人的麻烦。
普通现paro,人物之间的称呼会有所更动。
准大学生朱樱司和独立音乐人月永雷欧,简单的小故事一则,没有很强的剧情性。
“求你了!你就为我再唱一首嘛——!”
“月永先生,请您不要再纠缠我了……”
“几句也好!这是我一生的请求!!”
“非常抱歉,但我明天还需要去参加考试,这会让我很困扰!”
“什么啊,你们不是那三天就已经考完了吗,我看网上全都是你们这些学生发的‘高中卒业旅行vlog’,怎么还要考啊?”
朱樱司蓦地急刹下脚步,惹得拽着他手臂不放的月永雷欧“哎呦”一声撞了上去,然而前者仍伫然不动,像栋石像。朱樱司咬了半天的嘴唇,最后回头冲道:
13030普通现paro,人物之间的称呼会有所更动。
准大学生朱樱司和独立音乐人月永雷欧,简单的小故事一则,没有很强的剧情性。
“求你了!你就为我再唱一首嘛——!”
“月永先生,请您不要再纠缠我了……”
“几句也好!这是我一生的请求!!”
“非常抱歉,但我明天还需要去参加考试,这会让我很困扰!”
“什么啊,你们不是那三天就已经考完了吗,我看网上全都是你们这些学生发的‘高中卒业旅行vlog’,怎么还要考啊?”
朱樱司蓦地急刹下脚步,惹得拽着他手臂不放的月永雷欧“哎呦”一声撞了上去,然而前者仍伫然不动,像栋石像。朱樱司咬了半天的嘴唇,最后回头冲道:
かがり
INFO※6/25JBF発行・Web掲載短編再録集「星をつないで」の書き下ろし短編でした!ご購入いただいた方ありがとうございました!プラネタリウムデートの帰り道での会話劇です。
星をつないで:司レオ『――このように、⼈は古くから、夜空の星をつなぎ、星座として動物や道具に例え、物語によってそれを伝えてきました』
照明が落ちた室内は、静かすぎない静寂の中で、ゆったりとした時間が流れている。
『それではこれから、そうした星座の起こりや逸話を⼀緒に辿っていきましょう――』
スピーカーから流れる説明に⽿を傾けながら、ふかふかとした座り⼼地の椅⼦の背もたれに体重を預けると、ほとんど寝転んだような体勢で半球状のスクリーンを仰ぎ⾒ることになる。右隣では、同じように椅⼦に⾝を預けたレオがこの⼈⼯的な星空を⾒上げているはずだが、座席の間隔から、その表情などを窺うことはできなかった。それでも、確かな気配と共に、静かな様⼦でそこに収まっている。
10462照明が落ちた室内は、静かすぎない静寂の中で、ゆったりとした時間が流れている。
『それではこれから、そうした星座の起こりや逸話を⼀緒に辿っていきましょう――』
スピーカーから流れる説明に⽿を傾けながら、ふかふかとした座り⼼地の椅⼦の背もたれに体重を預けると、ほとんど寝転んだような体勢で半球状のスクリーンを仰ぎ⾒ることになる。右隣では、同じように椅⼦に⾝を預けたレオがこの⼈⼯的な星空を⾒上げているはずだが、座席の間隔から、その表情などを窺うことはできなかった。それでも、確かな気配と共に、静かな様⼦でそこに収まっている。
かがり
MOURNINGネタとして「秘する〜」に吸収されちゃったけど、単話として書いてた時のオチ部分がわりと気に入ってたので供養。時系列はズ!!軸なこと以外ではわやわやしてる。
同室メンバーの関係性が詳しく分かる前とかに書いてた気がする。
本当にズ!の月永レオくんが逆先夏目くんに向けていた若干キツめのあの感じなんだったんだろうな……とあれはあれとして新鮮で良かったな……のフュージョンです。
赤い頭ふたつ:司レオ?「スオ、」
姿を見かけた後輩に声を掛けようとして、喉に音が引っかかる。何故かと言えば、よくよく見ると鮮烈な赤が、同じくらいの高さに2つ並んでいたから。
どうにも最近、ESビル内でもそんな光景をよく見かける気がする。同じ事務所に所属するユニットリーダー同士、仲が良いのは何らおかしくはない。そう、思うのだけれど。
「やぁ、騎士さま。どっちに声を掛けるべきか迷っちゃったのかナ?」
最初から気がついていた、とばかりに向かって右側の赤が振り向いた。「レオさん?」と一拍遅れて振り向いたのは左側の赤だ。
煽るように言う向かって右側のそいつは、同じ事務所であるところのニューディメンション所属、Switchのリーダー、逆先夏目。夢ノ咲学院の抗争期に出会ったことも影響してか、あまり互いの心象は良くない。
2054姿を見かけた後輩に声を掛けようとして、喉に音が引っかかる。何故かと言えば、よくよく見ると鮮烈な赤が、同じくらいの高さに2つ並んでいたから。
どうにも最近、ESビル内でもそんな光景をよく見かける気がする。同じ事務所に所属するユニットリーダー同士、仲が良いのは何らおかしくはない。そう、思うのだけれど。
「やぁ、騎士さま。どっちに声を掛けるべきか迷っちゃったのかナ?」
最初から気がついていた、とばかりに向かって右側の赤が振り向いた。「レオさん?」と一拍遅れて振り向いたのは左側の赤だ。
煽るように言う向かって右側のそいつは、同じ事務所であるところのニューディメンション所属、Switchのリーダー、逆先夏目。夢ノ咲学院の抗争期に出会ったことも影響してか、あまり互いの心象は良くない。
かがり
DOODLE(2022.11.12)先輩孝行な後輩2人の会話文足し算寄りだしレオさんは出ない
先輩孝行:司レオ?「よぉ、ちょうど良かった」
「大神先輩? 何か用事でもありましたか?」
「用事って改まって言うほどじゃねーけどよ、ほら、新しいブースターセットが出ただろ。お前なら手に入れてるだろーから腕試しでも、と思ってな!」
「『イドバト』のbooster set、ですか……」
「おうよ!」
「実はまだ買えてなくて……いえcheckはしていたのですが……その、お恥ずかしい話、手持ちが心許ないので来月に購入しようかと……」
「お、おまえ、本当に小遣い制なんだな……」
「悪いですか?」
「悪かーねぇけどよぅ、だって坊ちゃんだろ」
「教育方針です」
「……そうは言ってもよ、小遣いったって一般家庭とは桁が違うんじゃねーの」
「まあ、その、恐らく少なくはないのでしょうが、実はこのあいだ寝袋を買いまして……どうせなので防寒でそこそこ品質がきちんとしたものを購入したら、まあ、それなりに。あとは保存食などをほそぼそと……」
821「大神先輩? 何か用事でもありましたか?」
「用事って改まって言うほどじゃねーけどよ、ほら、新しいブースターセットが出ただろ。お前なら手に入れてるだろーから腕試しでも、と思ってな!」
「『イドバト』のbooster set、ですか……」
「おうよ!」
「実はまだ買えてなくて……いえcheckはしていたのですが……その、お恥ずかしい話、手持ちが心許ないので来月に購入しようかと……」
「お、おまえ、本当に小遣い制なんだな……」
「悪いですか?」
「悪かーねぇけどよぅ、だって坊ちゃんだろ」
「教育方針です」
「……そうは言ってもよ、小遣いったって一般家庭とは桁が違うんじゃねーの」
「まあ、その、恐らく少なくはないのでしょうが、実はこのあいだ寝袋を買いまして……どうせなので防寒でそこそこ品質がきちんとしたものを購入したら、まあ、それなりに。あとは保存食などをほそぼそと……」
かがり
DONE(2022.10.17)十五夜に託けてあげようとしていたけど十五夜の話ではないズ‼︎ 春先くらいを想定で多分付き合ってる
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
満ちては欠ける月へ:司レオ その人の有り様は、まさに千変万化。
なんて表象をしてしまえば、「Amazing☆」と長髪をうねらせる先輩の姿を想像されてしまうだろうか。思考の先に居るのは仮面の道化師ではなく、鮮やかな鬣(たてがみ)を一つに括ったかつての我が王、その人だ。
ただし、朱桜司は確かに知っている。彼の在り方が、「演じること」とはまるきり異なっているだろうこと。加えて、根本的な変質を伴っている訳ではないのだろうということを。それを確かに、私は知っている。
鋭くて、柔らかい。優しくて、厳しい。繊細で、大雑把。いくつもの相反する印象をその身に抱えてなお、あの人はいつだってあの人としてそこにある。
「気のいい人だ」という評と「ナイーブな人だ」という評を同時期に聞いては、きっと見えている球面の違いなのだ、と私はひっそりと納得した。その時に何が照らされ何処を見たのか。それがきっと、あの人のさまざまな印象に対する答えとなる。
4388なんて表象をしてしまえば、「Amazing☆」と長髪をうねらせる先輩の姿を想像されてしまうだろうか。思考の先に居るのは仮面の道化師ではなく、鮮やかな鬣(たてがみ)を一つに括ったかつての我が王、その人だ。
ただし、朱桜司は確かに知っている。彼の在り方が、「演じること」とはまるきり異なっているだろうこと。加えて、根本的な変質を伴っている訳ではないのだろうということを。それを確かに、私は知っている。
鋭くて、柔らかい。優しくて、厳しい。繊細で、大雑把。いくつもの相反する印象をその身に抱えてなお、あの人はいつだってあの人としてそこにある。
「気のいい人だ」という評と「ナイーブな人だ」という評を同時期に聞いては、きっと見えている球面の違いなのだ、と私はひっそりと納得した。その時に何が照らされ何処を見たのか。それがきっと、あの人のさまざまな印象に対する答えとなる。
かがり
DONE(2022.9.19)宇宙るるぶで旅行計画立てるズ‼︎ 軸の2人付き合ってなさそう
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
小さな、遠い世界からの:司レオ「スオ〜、宇宙行こっ‼」
突拍子もない声の発生源をじとりと見やると、輝かんばかりの笑顔が視界に飛び込んでくる。
「スオ〜、ウチュウ、イコ‼」
――ため息を一つ。
話が通じるのだろうか、なんて懸念が出てくる辺り、観光客というよりは現地人なのかもしれない。その両手に掲げられた「宇宙」の二文字が印字してある旅行誌から、そんなことを連想した。
夜はとうに更けていて、今日は寮の共有ルームで夜更かしに勤しむ者もいない。それをちょうど良いと思い、ソファを陣取ったのは小一時間ほど前だったと記憶している。
自身が煮詰まっていることは自覚している。クリップ留めされた一センチ幅の資料は三つ程重なっており、一束目の半ばから先が暫く読めていない。どうにも目が滑るのだ。
4267突拍子もない声の発生源をじとりと見やると、輝かんばかりの笑顔が視界に飛び込んでくる。
「スオ〜、ウチュウ、イコ‼」
――ため息を一つ。
話が通じるのだろうか、なんて懸念が出てくる辺り、観光客というよりは現地人なのかもしれない。その両手に掲げられた「宇宙」の二文字が印字してある旅行誌から、そんなことを連想した。
夜はとうに更けていて、今日は寮の共有ルームで夜更かしに勤しむ者もいない。それをちょうど良いと思い、ソファを陣取ったのは小一時間ほど前だったと記憶している。
自身が煮詰まっていることは自覚している。クリップ留めされた一センチ幅の資料は三つ程重なっており、一束目の半ばから先が暫く読めていない。どうにも目が滑るのだ。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2022.2.28)餌付けの話な気がする
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
口あけて!:司レオ「Knightsの『料理できない組』」とは失礼な!
ちょっとしたバラエティ番組の前振りに立腹した司と、別にウソじゃないじゃん、と飄々としているレオは、確かに他メンバーと比べると料理の経験も実績もあまりない。
片や箱入りの御曹司、片や注意力散漫の天才作曲家ともあれば、ある程度は然もありなん、とファンも世間も納得するだろうが、それでも、司はそうした許容のされ方に甘んじたくはなかった。こればかりは気質というものだから仕方がないのだろう。
司本人としては、自身は物覚えが良い方であると思うし、致命的なこだわり――つまるところ、どういうわけか毎度焦げるくらい食材を焼いてしまったりだとか――があるわけでも、まして不器用でもない。
6211ちょっとしたバラエティ番組の前振りに立腹した司と、別にウソじゃないじゃん、と飄々としているレオは、確かに他メンバーと比べると料理の経験も実績もあまりない。
片や箱入りの御曹司、片や注意力散漫の天才作曲家ともあれば、ある程度は然もありなん、とファンも世間も納得するだろうが、それでも、司はそうした許容のされ方に甘んじたくはなかった。こればかりは気質というものだから仕方がないのだろう。
司本人としては、自身は物覚えが良い方であると思うし、致命的なこだわり――つまるところ、どういうわけか毎度焦げるくらい食材を焼いてしまったりだとか――があるわけでも、まして不器用でもない。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2021.12.12)第2回Webオンリーで展示しようとして実際大遅刻をキメた花を贈る司くんの話の完結編です。
あとがきがつきます。
(2023.6.25再録発行に伴い微修正)
続・左の胸に咲く花:司レオ それは、司にとっては輝かしいものでも、レオにとってはそうではなかった。「そうではない」ことを、あの人は謝ったのだ。
♪
アンサンブルスクエアは眠らないビルだ。常に何処かしらの部署で何らかの企画が進行していて、朝に夜にと人が動き回っている。
早朝から夕刻まで立て続けに入っていた仕事がようやく落ち着いた中で、司は周囲の喧騒が遠のくような心地に陥っていた。
昨夜は遅くまで実家の事業の調整を進めていたこともあって、このままだとソファに身を沈めたまま意識まで沈めてしまい兼ねない。そんな危惧があっても、起き上がるためのそもそもの気力が湧かなくて、司は行動を起こせないでいた。宙だったらこういう時に「HPの回復中」だなんて言うのかもしれない。疲弊の中でそんなことを思う。
11503♪
アンサンブルスクエアは眠らないビルだ。常に何処かしらの部署で何らかの企画が進行していて、朝に夜にと人が動き回っている。
早朝から夕刻まで立て続けに入っていた仕事がようやく落ち着いた中で、司は周囲の喧騒が遠のくような心地に陥っていた。
昨夜は遅くまで実家の事業の調整を進めていたこともあって、このままだとソファに身を沈めたまま意識まで沈めてしまい兼ねない。そんな危惧があっても、起き上がるためのそもそもの気力が湧かなくて、司は行動を起こせないでいた。宙だったらこういう時に「HPの回復中」だなんて言うのかもしれない。疲弊の中でそんなことを思う。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2021.11.28)第2回Webオンリーで展示していた花を贈る司くんの話の前日譚です。
(2023.6.25再録発行に伴い微修正)
秘する花を知ること:司レオ「ご卒業、おめでとうございます」
綺麗に晴れ渡ったその日、レオが司と顔を合わせるのは、それが初めてではなかった。
式の直前まで作曲に没頭していたレオを、講堂まで引きずっていったのは司だったし、式の後にKnightsのメンバーで立ち話をしていた折、隣で感慨深そうに相槌を打っていたのも司だった。更には、さりげなく声を掛けてきた弓弦に、「部活の後輩から」という名目で花束を貰った際、すぐ近くで同様に敬人に花束を渡していたのも司だ。ともすれば式の間以外はずっと一緒に居るような状況だったのにも関わらず、どこか改まった調子で声を掛けてきた司は、そっと細い包みを差し出してくる。それがどうやら、卒業を祝した贈り物であるということは、妄想するまでもなくレオにも分かった。
8232綺麗に晴れ渡ったその日、レオが司と顔を合わせるのは、それが初めてではなかった。
式の直前まで作曲に没頭していたレオを、講堂まで引きずっていったのは司だったし、式の後にKnightsのメンバーで立ち話をしていた折、隣で感慨深そうに相槌を打っていたのも司だった。更には、さりげなく声を掛けてきた弓弦に、「部活の後輩から」という名目で花束を貰った際、すぐ近くで同様に敬人に花束を渡していたのも司だ。ともすれば式の間以外はずっと一緒に居るような状況だったのにも関わらず、どこか改まった調子で声を掛けてきた司は、そっと細い包みを差し出してくる。それがどうやら、卒業を祝した贈り物であるということは、妄想するまでもなくレオにも分かった。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2021.11.27)第1回Webオンリーで展示していた、花を贈る司くんの話です。
(2023.6.25再録発行に伴い微修正)
左の胸に咲く花:司レオ 鮮やかな蘇芳色をなびかせる彼は、どうしても「それ」と対称的だと思った。
♪
「レオさん、どうぞ」
落ち着いた声と共に差し出されたのは、透明な包装と控えめなリボンに彩られた一輪の薔薇。
歳下のその男は、両手で丁重に支えるそれを、相も変わらずそっと手渡す。
平日のアンサンブルスクエアでは、せかせかと動き回る人の流れが尽きることはない。それでも、レッスン室が立ち並ぶこの廊下は、時間が早いせいなのか、ひっそりとした静寂に包まれている。
何気なく呼び止められたかと思えば、スマートな所作で渡されたそれを、受け取らない理由がレオには無かった。
包装のフィルムから覗き込んだその花弁は、一枚一枚がどれも瑞々しく美しい。司のことだから、きっと相応にきちんとした店舗で購入した生花に違いない。「ありがとな!」と微笑みながら、レオはいつも、少しだけ不思議に思っている。何故なら、差し出されるその薔薇はいつだって、彼の燃えるような情熱とは相対するような、深く静かな青色をしていたから。
7323♪
「レオさん、どうぞ」
落ち着いた声と共に差し出されたのは、透明な包装と控えめなリボンに彩られた一輪の薔薇。
歳下のその男は、両手で丁重に支えるそれを、相も変わらずそっと手渡す。
平日のアンサンブルスクエアでは、せかせかと動き回る人の流れが尽きることはない。それでも、レッスン室が立ち並ぶこの廊下は、時間が早いせいなのか、ひっそりとした静寂に包まれている。
何気なく呼び止められたかと思えば、スマートな所作で渡されたそれを、受け取らない理由がレオには無かった。
包装のフィルムから覗き込んだその花弁は、一枚一枚がどれも瑞々しく美しい。司のことだから、きっと相応にきちんとした店舗で購入した生花に違いない。「ありがとな!」と微笑みながら、レオはいつも、少しだけ不思議に思っている。何故なら、差し出されるその薔薇はいつだって、彼の燃えるような情熱とは相対するような、深く静かな青色をしていたから。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2021.7.5)エイプリルフールのあれ
Leader→レオさん過渡期
台詞だけ・場面ぶつ切り
終わりなき日々の終わり:司レオ・STARS軸♪
♪
♪
「Leader!! またあなたは!!! 大切な機体に落書きを!!!
「待って!!! もう少しなんだってば!!!
「分かっているんですか!? これは王の機体! 伝統ある大切な――
「もーーーうるさい、少しだまって! いま作曲中なんだって!!
「私は落書きをやめろと言っているのです! ほら! こっち! 楽譜!
「おっ? だれか知らんけどありがとっ! これで今のフレーズを〜
「♪〜
「よーーーしできたっ!! 歴史に残る傑作だ! さすがおれっ
「あれっ、スオ〜じゃん
「ちょうど良いとこに! ほらっ出来たてほやほやの新曲だ! うたってうたって!
「……
「あんなに邪険にしておいて調子が良いですね
「ん???
「そういえば何かまとわりついてるな〜って思ったらスオ〜だったのか! だって邪魔だったんだもん!
3295♪
♪
「Leader!! またあなたは!!! 大切な機体に落書きを!!!
「待って!!! もう少しなんだってば!!!
「分かっているんですか!? これは王の機体! 伝統ある大切な――
「もーーーうるさい、少しだまって! いま作曲中なんだって!!
「私は落書きをやめろと言っているのです! ほら! こっち! 楽譜!
「おっ? だれか知らんけどありがとっ! これで今のフレーズを〜
「♪〜
「よーーーしできたっ!! 歴史に残る傑作だ! さすがおれっ
「あれっ、スオ〜じゃん
「ちょうど良いとこに! ほらっ出来たてほやほやの新曲だ! うたってうたって!
「……
「あんなに邪険にしておいて調子が良いですね
「ん???
「そういえば何かまとわりついてるな〜って思ったらスオ〜だったのか! だって邪魔だったんだもん!
かがり
MAIKINGぷらいべったー引っ越し(2021.6.2)「食べることは生きることです!」……
ケーキバース設定。司くんがケーキでレオくんがフォーク。 猟奇的にはならない。
イメージとしては学院時代。
あまいきみ:司レオ・ケーキバース「ケーキ」と「フォーク」。
一般的な意味合いから捉えれば「対」とは言い難いその名詞は、特定の体質として使用する際「被食者」と「捕食者」の意味が付随される。
医学的には確か、長くて複雑な症状名があるそうだが、誰が最初にそう呼んだのか、その俗称は「フォーク」の凶暴性を強調する形で定着した。
「フォーク」とは、カニバリストでサイコパスな殺人鬼。そんなレッテルは強固で根強く、そうして社会から排斥される。
だから、それは隠し通さなければならなかった。
高校2年生の終わり、荒廃した日常の中で、突如として消えた味覚。
時折、特定の人物からふわりと感じるようになった、「美味しそうな」匂い。
月永レオは、「フォーク」だった。
♪
1793一般的な意味合いから捉えれば「対」とは言い難いその名詞は、特定の体質として使用する際「被食者」と「捕食者」の意味が付随される。
医学的には確か、長くて複雑な症状名があるそうだが、誰が最初にそう呼んだのか、その俗称は「フォーク」の凶暴性を強調する形で定着した。
「フォーク」とは、カニバリストでサイコパスな殺人鬼。そんなレッテルは強固で根強く、そうして社会から排斥される。
だから、それは隠し通さなければならなかった。
高校2年生の終わり、荒廃した日常の中で、突如として消えた味覚。
時折、特定の人物からふわりと感じるようになった、「美味しそうな」匂い。
月永レオは、「フォーク」だった。
♪
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2020.8.23)ズ!! 夏くらいの時間軸(付き合ってない)〜未来(付き合ってる)の話
GFKのハラスメントちゃんと裁かれてくれないかな……(その辺りの描写を少しだけ捏造してます)
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
咀嚼:司レオ「レオさん、どうかしたのですか?」
Knightsの五人が集まって、久方ぶりに全員そろって対面での打ち合わせを行った後のこと。直後に予定があるメンバーは、各々が呼んだタクシーで忙しなく移動していき、残ったのは結局のところ、司とレオの二人だけだった。
そういった経緯で、折角だからと二人で食事に繰り出したものの、レオの様子が何処となくおかしい。運ばれてきたサラダの皿を前にして、野菜にドレッシングを絡めるように弄び、そうしてコースランチの皿を空けていく司の方をチラチラと見てくるのだ。
サラダにスープ、メインの料理まで、とうに卓上に並んでいるのに、あまり食が進んでいないようである。
「体調がよろしくないのですか?」
2611Knightsの五人が集まって、久方ぶりに全員そろって対面での打ち合わせを行った後のこと。直後に予定があるメンバーは、各々が呼んだタクシーで忙しなく移動していき、残ったのは結局のところ、司とレオの二人だけだった。
そういった経緯で、折角だからと二人で食事に繰り出したものの、レオの様子が何処となくおかしい。運ばれてきたサラダの皿を前にして、野菜にドレッシングを絡めるように弄び、そうしてコースランチの皿を空けていく司の方をチラチラと見てくるのだ。
サラダにスープ、メインの料理まで、とうに卓上に並んでいるのに、あまり食が進んでいないようである。
「体調がよろしくないのですか?」
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2020.5.27)ジャッジメント後の冬近くくらい? の時期。
「歳上は歳下の告白に対して試し行動をしてしまう」、みたいなツイートから構想を得たやつです(元ツイートは行方不明)。
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
好きの循環:司レオ 嫌われた、と酷く後悔した。
廊下を抜ける冷たい風は、胸の隙間に吹き荒び、ひゅうと乾いた音を立てる。
寒さの中で立ち尽くして、自業自得であることを理解しつつも、意中の彼を恨めしく思った。
♪
最初は心配したのだ。
だって、毎日のように親愛の念を告白してくる同じユニットの後輩が、今朝はぱたりと現れなかったから。
風邪でもひいたのだろうか。もやもやとそればかりが気になってしまい、一年生の教室までどうにか辿り着いて。そうして、クラスメイトと談笑している彼を見つけた。
その瞬間に悟ったのだ。ああ、彼は自分を追いかけるのをやめてしまったのだ、と。
そもそも。そもそもの発端の話だけをすれば、彼――朱桜司は、おれ――月永レオのことを嫌いなはずだった。いつもぷりぷりと怒っていて、「Leader!」と大きな声で近寄ってきては、「奇行は控えてください!」と声を荒げる。
3979廊下を抜ける冷たい風は、胸の隙間に吹き荒び、ひゅうと乾いた音を立てる。
寒さの中で立ち尽くして、自業自得であることを理解しつつも、意中の彼を恨めしく思った。
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最初は心配したのだ。
だって、毎日のように親愛の念を告白してくる同じユニットの後輩が、今朝はぱたりと現れなかったから。
風邪でもひいたのだろうか。もやもやとそればかりが気になってしまい、一年生の教室までどうにか辿り着いて。そうして、クラスメイトと談笑している彼を見つけた。
その瞬間に悟ったのだ。ああ、彼は自分を追いかけるのをやめてしまったのだ、と。
そもそも。そもそもの発端の話だけをすれば、彼――朱桜司は、おれ――月永レオのことを嫌いなはずだった。いつもぷりぷりと怒っていて、「Leader!」と大きな声で近寄ってきては、「奇行は控えてください!」と声を荒げる。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2020.5.26)レオくん個スト「主役は王さま」にインスピを得つつあまり関係はないお話です。
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
たくさんのおまえ:司レオ ふと霊感が湧いた時。どうぞ、とコピー用紙を差し出された。自前のせっかちから思考の袋小路に陥った時。噛んで含めるように丁寧な説明がなされた。作曲に夢中になって周りが見えなくなった時。『霊感』の収束を待って叱責を受けた。
同じESビルで活動する、アイドルであったり、プロデューサー、はたまた社員であったり――顔を覚えていたりいなかったりする、たくさんの人たちとの、そんな触れ合いの中で。
折々、ふわりと香るように、思考の端を過ぎる姿があった。
鮮やかな赤い髪の青年。我らが王さま。
(ああ、スオ〜みたいだ)
♪
「ふふ、月ぴ〜ってば、最近そればっか」
膝の上の黒いかたまりが動いて、揶揄うような響きでもって言葉を紡いだ。
2163同じESビルで活動する、アイドルであったり、プロデューサー、はたまた社員であったり――顔を覚えていたりいなかったりする、たくさんの人たちとの、そんな触れ合いの中で。
折々、ふわりと香るように、思考の端を過ぎる姿があった。
鮮やかな赤い髪の青年。我らが王さま。
(ああ、スオ〜みたいだ)
♪
「ふふ、月ぴ〜ってば、最近そればっか」
膝の上の黒いかたまりが動いて、揶揄うような響きでもって言葉を紡いだ。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2019.10.28)あいさつ冬会話と草野心平の「秋の夜の会話」を少し下敷きにしてます。
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
冬の夜の会話:司レオさむいな
ええ、さむいですね
・
・
・
「『凍えそう』だなんて、それだけをメッセージで送ってくるのはやめて下さい」
弓道場の射場に正座をして、そんなことをじとりと唱えてみたところで、あまり手応えもなく、彼の後頭部に当たって跳ね返ってくる。
「ごめんごめん! メッセージ入れてたの忘れててさ!」
しんと冷えた空気の中で、レオの明るい声がうわんと反響し、その響きはゆっくりと時間をかけて収束した。
「寒いなぁって思ったら、何だか会いたくなっちゃって!」
そんな風にあっけらかんと笑う、能天気な調子のレオは、寒波の注意報が出ている今日のような日であっても普段と変わらない。この人は、こと作曲において、自身の身体を顧みるということをしない人だ。だからこそ、司は常々彼を心配していて、その動向を気にかけている。
2815ええ、さむいですね
・
・
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「『凍えそう』だなんて、それだけをメッセージで送ってくるのはやめて下さい」
弓道場の射場に正座をして、そんなことをじとりと唱えてみたところで、あまり手応えもなく、彼の後頭部に当たって跳ね返ってくる。
「ごめんごめん! メッセージ入れてたの忘れててさ!」
しんと冷えた空気の中で、レオの明るい声がうわんと反響し、その響きはゆっくりと時間をかけて収束した。
「寒いなぁって思ったら、何だか会いたくなっちゃって!」
そんな風にあっけらかんと笑う、能天気な調子のレオは、寒波の注意報が出ている今日のような日であっても普段と変わらない。この人は、こと作曲において、自身の身体を顧みるということをしない人だ。だからこそ、司は常々彼を心配していて、その動向を気にかけている。
かがり
DONEぷらいべったー引っ越し(2019.10.18)司くんソロ曲与太話(とてもみじかい)。
2人ともKnightsなので本番ではちゃんと騎士になる。
(2023.6.25再録集発行に伴い微修正)
with my…… : 司レオ【Knightsのスタジオ・ソロ曲の歌詞を各々作詞しながら】
スタジオの炬燵の上には、それぞれの歌詞の草案が何枚も重なっていて、普段のレオをとやかく言えないような状態だ。互いに持ち寄ったソロ楽曲用の歌詞を確認し、かつ意見を交換する……つまるところ、それぞれが考えてきた歌詞の読み合わせをすることが、本日のユニットとしての活動内容だった。
「かさくんさあ……」
泉の手元――B罫のルーズリーフには、整った文字が整然と並んでいる。
それは、司自身が作詞した、彼のソロ曲となる楽曲の歌詞だった。
「はい、瀬名先輩、何か問題がありましたか?」
「問題、っていうか……」
自覚がないだけなのか、はたまた泉自身の考えすぎなのか。きょとりとした丸い瞳に、どう伝えようか考えあぐねていると、目の端から勢いよくオレンジ色が飛び込んできた。
1752スタジオの炬燵の上には、それぞれの歌詞の草案が何枚も重なっていて、普段のレオをとやかく言えないような状態だ。互いに持ち寄ったソロ楽曲用の歌詞を確認し、かつ意見を交換する……つまるところ、それぞれが考えてきた歌詞の読み合わせをすることが、本日のユニットとしての活動内容だった。
「かさくんさあ……」
泉の手元――B罫のルーズリーフには、整った文字が整然と並んでいる。
それは、司自身が作詞した、彼のソロ曲となる楽曲の歌詞だった。
「はい、瀬名先輩、何か問題がありましたか?」
「問題、っていうか……」
自覚がないだけなのか、はたまた泉自身の考えすぎなのか。きょとりとした丸い瞳に、どう伝えようか考えあぐねていると、目の端から勢いよくオレンジ色が飛び込んできた。