ラベンダーはあなたの中に「お前たちふたりに、保管室4の処分を頼みたい」
サングラスに軍帽の出立ちで、初老の男は言った。姿勢正しく靴音を立てる彼の後に、青年ふたりが続く。ひとりは緑色の隊服を、もうひとりは薄水色の作業服を纏っていた。
「副官に頼んでいたのだが、生憎急な出張が入ってな。保管期限が迫っているため処分を遅らせることもできん」
みっつの人影が廊下を進む。人気のない、廊下の終点の少し手前にある扉の前で男は足を止めた。
「ここだ。処分対象はGの棚だ」
男は扉の横にあるオートロックに手をかざす。シュンと音を立てて、グレーの味気ない扉が左右に開いた。
「承知しました」
緑の服の青年が応える。作業服の青年程ではないが、言葉とは裏腹に困惑の表情が滲み出ていた。
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