花月ゆき @yuki_bluesky 20↑(成人済み)。赤安大好き。アニメ放送日もしくは本誌発売日以降にネタバレすることがあります。 ☆quiet follow Yell with Emoji Tap the Emoji to send POIPOI 53
花月ゆきDONE「もし君が俺を受け入れてくれるなら……来週、二十二日の夜十時、一年前に君と一緒に見た桜の木の下へ来てほしい」鈍いれいくん。赤→安っぽい話。ハッピーエンドです。第4回お題「桜」 一年前の春。 桜の木の下で笑う彼に、恋をした。いや、正確には“恋を自覚した”というべきか。 時は、組織の主要メンバーを逮捕した日の夜に遡る。 現場から少し離れた駐車場の片隅には、大きな桜の木があった。駐車場には救急車や消防車などの緊急車両や警察車両などがひしめき合っていて、けっして情緒ある雰囲気とはいえない。 しかし、桜の木の下へ来てみれば、そこは別世界だった。 頭上から降り注ぐ月の光がこちらを照らしていて、薄桃色の花びらがひらひらと宙を舞っているのが見える。しばらく散ってゆく花びらをぼんやりと眺めていると、ふと、よく知る人物の気配を感じて、赤井は視線を移した。 そこには、怪我の治療を終えた降谷がいた。彼は緑茶のペットボトルを二本持っている。今、彼がここにいるということは、腕の怪我は重症ではなかったのだろう。彼の腕に巻かれた包帯を痛々しく思いながらも、赤井は安堵する。 3947 花月ゆきDONE組織壊滅作戦後、とあるウイスキーを一緒に飲もうと約束していた恋人同士の赤安。しかし作戦後、二人は別れることになり…※モブキャラ出ます ※ハッピーエンドです第3回お題「ウイスキー」 組織壊滅作戦前の最後の休日。赤井に呼ばれて降谷が訪れた場所は、ホテルのスイートルームだった。 赤井とはいわゆる恋人同士である。しかし、周囲に明かすことのできない秘密の関係だった。 恋人として接することができるのは、ふたりきりのときだけ。 次にふたりきりで過ごせるのは、いつになるかわからない。だからこそ、赤井はこうして特別な部屋を用意してくれたのだろう。 降谷は緊張しながら部屋へと入った。ふと、部屋の中心にあるテーブルに、視線が止まる。テーブルの上にはウイスキーのボトルが一本、佇んでいた。 これは? と目で問いかけると、赤井は微笑んで言う。 「作戦を終えたら、君と一緒に飲もうと思ってね。取り寄せたんだよ」 3906 花月ゆきDONE両片想い状態の赤安。n番煎じネタです。薔薇の花99本=永遠の愛。一口サイズのチョコ=チ〇ルチョコです。第2回お題「ホワイトデー」 三月十四日、金曜日。 人のいない休憩室で、降谷は自販機で買ったホットカフェオレをこくこくと静かに飲んでいた。 ふと、壁にかけられているカレンダーに目が留まる。今日の日付には、「ホワイトデー」の文字。いったい誰が書き足したのか、その文字は♡マークで囲まれている。きっと、ホワイトデーを心待ちにしている人間が描いたのだろう。チョコを贈った相手からどんな返事があるのか。♡を描いたその人物は、今頃胸を高鳴らせているに違いない。 降谷は少し羨ましくなった。 ホワイトデーは、自分にとってはまったく縁のない日だ。まず、バレンタインデーに片想いの相手にチョコを贈っていない。いや、正確には、“それとわかる形で”チョコを贈っていないというべきか。 2786 花月ゆきDONE赤安のファーストキス(?)のお話。第1回お題「困った子」 降谷と交際をはじめて二週間になる。 恋人同士になった日から今日まで、赤井が降谷と二人きりになれる時間はまったくといっていいほどなかった。仮眠をとるとき以外は、常に職場の仲間、あるいは各国の捜査機関のメンバーと一緒だったからだ。 そんな慌ただしい日々の最中。プライベートな場所ではないが、警察庁の会議室で、偶然にも赤井は降谷と二人きりになることができた。会議を終えたあと、降谷と二人で今後の打ち合わせをしている間、会議室にいた人間がすべて持ち場に戻って行ったからだ。 窓辺からは夕陽が差し込み、降谷の美しい髪をきらきらと反射させている。思わずその髪に手を伸ばすと、降谷は子どものようにあどけない表情で、「どうかしたんですか?」と問うてきた。 1168 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html【最終話】Heartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑬―コナンSide 10月― 十月十日。 コナンが工藤邸を訪れると、赤井と降谷の二人の声が玄関まで漏れ聞こえてきた。 昼間はトロピカルランドに遊びに行くと言っていたが、もう帰宅し、二人で夕食を作りはじめているようだった。コナンは二人に誘われて夕食を食べにきたのだが、今回もとてつもないボリュームの料理が作られているような気がする。 ちょうど一年前。二人がカレンダーを見ながら、「今日は何の日だろう」と首を傾げていたことをコナンは思い出す。 先月、解毒薬を受け取った二人がこの家に帰ってきたあと、赤井、降谷の順番に解毒薬を飲んだのだと聞いた。薬を飲んだあと、しばらくは発熱もあったようだが、再び身体が縮むこともなく、無事に一ヶ月が経過した。 1778 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html⑬https://poipiku.com/1436391/10875191.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑫―赤井Side 9月― 解毒薬が完成したとの報せが、コナンから届いた。 身体が元に戻れば、中学校に通う必要はなくなる。九月の半ばに転校するよう学校側と調整がついたのは九月に入ってからだった。 夏休みが明けてまだ間もない時期。突如決まった転校に、クラス中がざわついた。 クラスから一度に二人も転校するのは異例のことだからだろう。「赤井君と降谷君ってどんな関係なの?」と質問されることが増えた。転校の理由はあらかじめ考えていたので、二人で決めた設定通り、「親が同じ職場の同じ部署で……」と、あくまで親の出張が理由だと伝えた。嘘を重ねながら作り上げられてゆく“転校”に、「さみしくなるね」と声をかけられるたび、降谷も赤井も複雑な気持ちになった。 4967 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html⑫https://poipiku.com/1436391/10875183.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑪―赤井Side 8月― 赤井と降谷は、記憶を失くし身体が縮んだ日のことを、記録として書き起こしはじめた。 降谷と自分との記憶に不整合はなかった。 毒ガスのようなものを吸い込んだあと、瓦礫の中で一度意識を取り戻すまでの間に、記憶を失くし、身体が縮んだことは間違いなさそうだ。公安とFBIのデータベースから自分たちの情報が消えていることを考えると、自分たちの状況は各々の機関が把握していると考えて良いだろう。 だが、おそらく自分たちが記憶を取り戻したことを知る者はいない。学校では中学生を演じているし、この家にも、外部の人間が置いて行ったような盗聴器らしきものは何も仕掛けられていないからだ。 自分たちが手に入れたデータには二重でパスワードがかかっていた。パスワードはそれぞれ別のパソコンに残されていたので、一つ目のパスワードは降谷が、二つ目のパスワードは赤井が記憶していた。 4732 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html⑪https://poipiku.com/1436391/10875177.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑩―赤井Side 7月― まだ梅雨の終わりが見えない、七月七日。七夕の日。 隣の阿笠博士の家で、子どもたちも一緒に、ささやかな七夕パーティーをした。その場でも赤井は、“ただの中学生”を演じた。 暗くならないうちに解散となったので、夜空を一緒に眺めることができるのは、降谷とだけ。ずっと曇り空が続いているが、時折、雲と雲の間からうっすらと星が見えるので、降谷は辛抱強く空を眺めていた。 二階にある、降谷の部屋で二人きり。 一緒に星を見ようと約束をしたわけでもないが、赤井は降谷の隣に並ぶように立った。ふたりで同じものを見ていたいと思った。 しばらく会話はなかったが、降谷が静かな口調で言った。 「……僕、何か大事なことを忘れている気がするんですよね」 5850 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html⑩https://poipiku.com/1436391/10875166.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑨―赤井Side 6月― 修学旅行の最後の夜。 赤井は、これまで経験したことのないようなひどい頭痛を覚えるのと同時に、自分が“本当は中学生ではない”ことを思い出した。 いや、正確には、小さな頭痛を伴い何度も思い出しかけたことはあった。 これまで何度か訪れた、記憶違いかと思われた“小さな違和感”が、まさか失くした記憶の断片だったとは思いもよらなかった。 降谷も自分と同じように、何度も小さな違和感に首を傾げていたのを思い出す。 しかし、降谷はまだ記憶を取り戻してはいないようだった。 六月七日、金曜日。朝、目が覚めると家の中に降谷の気配がなかった。 『日直なので、僕は早めに学校に行きます』 RX-7の裏にあるボタンを押すと、降谷の声が聞こえてくる。その声は、自分が良く知るそれよりも幼くて可愛らしい。 5635 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html⑨https://poipiku.com/1436391/10875157.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑧―降谷Side 5月― 五月に入り、クラスメイトたちは浮足立っていた。 理由は、まごうことなく修学旅行である。 今年は、九日、十日、十一日の二泊三日で、京都へ行くことが決まっていた。 赤井とはクラスは同じだが、修学旅行のための班分けで、別々のグループになってしまった。赤井と一緒がよかったが、五十音順でグループ分けをされてしまったので仕方がない。グループは男女混合だったので、赤井と一緒のグループになった女子たちは見るからに嬉しそうにしていた。 移動も宿泊先の部屋も自由時間も、すべてグループ行動になるため、旅行中は赤井とほとんど離れ離れで過ごすことになる。記念日である十日も旅行真っ只中なので、今月は旅行を楽しもう、ということになった。 7897 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html⑧https://poipiku.com/1436391/10875152.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑦―降谷Side 4月― 四月に入り、赤井と降谷は中学二年生になった。 先月催された卒業式は、感動的な式として幕を下ろした。特に赤井の演奏した『旅立ちの日に』は、イントロ部分から会場にいた多くの人々の涙を誘った。 会場は中学校の体育館。ピアノもスタインウェイなどの高級ブランドではなく、どこにでもあるタイプのグランドピアノ。 特別なものは何ひとつないのに、すべてが特別に感じられる[[rb:一時 > ひととき]]だった。 優しくも切ない旋律にはじまり、躍動感溢れる音の波が広がってゆく。力強い音の奔流に、ピアノの音色が体の奥にまで響き渡るような心地がした。 演奏の技術だけではない、どこかミステリアスな雰囲気が興味を煽るのか、保護者が座っている体育館の後ろ側でも、「ピアノを弾いてる男の子は、何年何組の子?」と噂になっていたと聞いた。 7079 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑥―降谷Side 3月― 三月十日、日曜日。 三年生の卒業式を間近に控え、赤井のピアノの練習も佳境に入っている。平日も毎日練習しているので日曜日くらいは休んでもよいのではないかと思ったが、赤井は朝からずっと部屋でピアノの練習をしていた。寝室から遠い部屋にピアノを置いているので、ピアノの音色はほんの少しだけ聞こえる程度だ。ある程度、防音の施された部屋のためか、何を弾いているのかまではわからない。 この家にはもともとピアノはなかったので、練習するときには学校の音楽室へ通っていた。当然、音楽室が空いている日中の時間しか練習できない。卒業式の日から逆算し、練習の時間が足りないと踏んだらしい赤井は、電子ピアノをレンタルしたいと降谷に相談してきた。コナンの知り合いからレンタルさせてもらえる目途が立ったのだという。 6477 花月ゆきDONEライ時代、催眠術をかけられてしまった赤井さん。組織壊滅作戦前、赤井さんが降谷さんへの恋心を自覚するのと同時に催眠の効果があらわれはじめ…というお話の後編です。前編:https://poipiku.com/1436391/8302545.htmlヒトフリの魔法(後編)-降谷Side- 医師の診断と治療を受けて、降谷は待合室に戻った。想像していたよりも傷は深かったが、まだ軽傷といえる類のもので、誰かの介助を必要とするものではなかった。しかし赤井は、まるで重傷者を扱うように自分に接しようとする。服の上から、幾重にも重なった包帯が透けて見えているせいだろう。 組織壊滅作戦を間近に控えているこの時期に、この負傷。病院を出てすぐ、赤井の愛車の中で、ひとり行動は避けるようにと赤井に言い渡されてしまう。日常生活や事務作業に支障はないが、敵と相対するのは難しい状況――つまり、自分の身を自分で護れるほどの十分な余力がないことを、赤井には見抜かれてしまっていた。 今日手に入れたデータの中身は、組織の機密事項だ。あらゆるリスクを承知の上で、倉庫内に保管されている組織のサーバから直接データを抜き取った。 26511 花月ゆきDONE0721の日。赤井さんの●●。軽い描写ですが念のためR18です。何でも許せる方向け。パスワード:成人してますか?(yes/no)書こうと思い立ったのが日付が変わる前だったので、推敲もろくにできてないです。なんか変なところとかあったら本当にすみません🙇♀️ 2090 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)⑤―降谷Side 2月― 毎月十日は、赤井と自分の記念日となった。 特に決まりはないが、その日は普段はしないようなことをするようになった。 手の込んだ料理を作ったり、どこかへ遊びに行ったり。毎月思い出がひとつひとつ増えていく。 先月は、阿笠博士からプレゼントをもらった。 赤色の車は赤井に。白色の車は自分に。コナンから手渡されたそれは、自分たちにとっての宝物だ。 ネットで調べると、赤色の車はマスタング、白色の車はRX-7というらしい。車のフォルムが美しいからだろうか。理由ははっきりしないが、心惹かれる車だ。 二月九日、金曜日。 目を覚ますと、家の中に赤井はいなかった。 降谷はリビングへ行き、自分たちの宝物の前に立つ。阿笠博士のくれたプラモデルは、ただのプラモデルではない。ボイス機能付きだ。 4031 花月ゆきDONEツンツンな降谷さんのデレが見たい赤井さんの話。お題「♡」 交際をはじめてからの降谷は、ずっとツンツンだ。ツンデレではない。デレがないので、ツンツンである。 赤井は降谷から届いたメッセージを見て、思わず微笑んでいた。 『たまたまその日は空いているので、いいですよ』 これは、赤井が送ったデートの誘いに対する降谷の返事である。 赤井がデートに誘うと、降谷は、“たまたま空いていたから”という言い訳を枕詞にして返事をしてくる。もちろん、それは嘘だ。多忙な彼がたまたま暇になることなど、まずあり得ない。その証拠に、降谷の部下である風見から、「赤井さんとの約束を守るために、降谷さんは鬼のように仕事してますよ」と、たびたび密告がある。 自分に対する言葉、態度とは裏腹に、降谷は自分とのデートの時間も大事にしてくれようとしているのだ。そんな降谷の様子を、彼の周囲にいる人間から聞くたびに、赤井は嬉しくてたまらなくなる。と同時に、なぜ、自分の前ではツンツンした様子しか見せてくれないのだろうかと、疑問に感じてもいた。 3396 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html⑤https://poipiku.com/1436391/9895567.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)④―コナンSide 1月― 一月十日。コナンは阿笠邸を訪れていた。目的は、赤井と降谷の解毒薬の進捗を聞くためだ。 「……三十パーセントってところかしらね」 「……そうか。やっぱり、俺が飲まされた薬とは違うのか?」 「ええ。成分は似ているけれど、同じものではなさそうよ。ああ、それから、薬によって記憶が失われたどうかはまだわからないわ」 赤井と降谷は毒薬によって身体が縮み、今は中学生として学生生活を送っている。 二人の身体は健康そのものだ。姿形さえ気にしなければ、FBIとして、公安として、職務に復帰することもできるだろう。しかし、それぞれの機関の回答はNOだ。理由は様々だが、二人が記憶を失くしていることも大きな理由のひとつに違いない。 2741 花月ゆきDONE駆け落ちっぽいことをする赤安。赤→安。何でも許せる方向け。いずれハピエンになる前提で書いています。お題「夢」 組織が壊滅したあと、まだ後始末に追われている頃のことだ。 ある日。降谷は赤井とふたりきりでいた。赤井に連れて来られたのは、夜景の見える洒落たバー。男二人で行くのには場違いとも思えるような場所である。その証拠に、カップルと思しき男女ばかりが視界に入ってきた。 しかし、杯を重ねてゆくうちに、そんな些細なことはどうでもよくなってくる。酒に酔うことを自分自身に禁じ、ある程度の緊張感は保っていたはずだが、隣に赤井がいることで、その緊張感とやらもいくらかやわらいでいた。赤井と一緒ならば、何が起きてもきっと大丈夫。そう思ってしまうほどには、自分は赤井を信頼していた。 度数の高い酒を口にしたせいだろうか。身体がぽかぽかとして心地よい。身も心もほぐれてゆくにつれて、自制心も砕けてゆく。 3186 花月ゆきDONEDay1、2のお題からの続き。恋人未満だった赤安の恋が成就するまで。捏造多々。Day1:https://poipiku.com/1436391/9730263.htmlDay2:https://poipiku.com/1436391/9733562.htmlDay3お題「空港」 赤井がアメリカへ渡ったあと。アメリカで起きた凶悪事件はすぐに大きな動きを見せはじめた。 そして、主犯格の人間がすべて逮捕されたと日本でも報道されはじめた頃。降谷のもとには一通のメールが届いた。 『今夜、九時頃にそちらに着くよ』 「今夜」 思わず叫んでしまうと、向かいの席で定食を食べていた風見がびっくりした様子で身体を跳ねさせた。間抜けな体勢を誤魔化すように、くい、と眼鏡を持ち上げて、風見は言う。 「どうかしましたか? 降谷さん」 「それが……赤井がこちらに戻って来るそうだ」 「それはよかったです。こちらも人手不足が続いてましたからね。それで、いつ戻って来られるんですか?」 「今夜」 「今夜」 風見が自分と同じような反応をするので、降谷は笑ってしまう。 3167 花月ゆきDONEDay1のお題からの続き。恋人未満(赤→安)の赤安。恋心を自覚してゆく降谷さん。捏造多々。Day1:https://poipiku.com/1436391/9730263.htmlDay3:https://poipiku.com/1436391/9736950.htmlDay2お題「雪」 赤井がアメリカへと旅立った。FBIの上層部からの指示で、急遽、アメリカで起きている凶悪事件の解決のために呼び戻されたのだ。組織が壊滅し、残党処理に明け暮れる昨今。残党の動きもけっして軽視はできない状況だが、アメリカで起きている事件は日本でも連日報道されるほどの大事件となっている。 一刻の猶予もないことは、降谷にもよくわかっていた。これ以上、犠牲者を増やしてはならないと、日本に滞在中の赤井にお呼びがかかったのも理解できる。 最後に赤井と会ったのは、とある喫茶店だ。初めて二人でその喫茶店に行ったのは、ひどく寒い日。電車が止まり、運行が再開するまでの滞在場所として選んだ場所だ。赤井が気に入ったこともあり、仕事帰りや休憩したいときに、その喫茶店には二人でよく訪れるようになっていた。 3075 花月ゆきDONE恋人未満(赤→安)の赤安。降谷さんは自覚なし。捏造多々。Day2、3に続きます。Day2:https://poipiku.com/1436391/9733562.htmlDay3:https://poipiku.com/1436391/9736950.htmlDay1お題「体温」 定時過ぎ。帰り支度をする自分のもとに、赤井がやってきた。赤井はあの赤色の愛車で来ていたはずだが、今日は電車を使って帰ると言い出した。自分と同じように赤井も徹夜が続いていたため、運転は危険と判断してのことだろう。 傘をさすほどではないが、小雨が降りはじめている。吐く息が白色に染まり、ぐっと外気の寒さが増した気がした。防寒対策はしっかりしているので気持ちの問題かもしれないが、身体の底から温もりが失われてゆくような心地がする。 駅に着くと、電車が止まっているようで、駅構内が大混雑していた。復旧見込みは現時点では不明。寒さと人の混雑。徹夜続きの身体には、なかなか堪える状況だ。 「電車が動くまで、僕は喫茶店にでも入ろうかと思います。あなたはどうします?」 2779 花月ゆきDONE組織壊滅後。恋人同士になった赤安。あかいさんのサンタになる計画を立てていたふるやさんは…お題「プレゼント」 赤井と恋人同士になって、はじめて迎えるクリスマス。 赤井から二十四・五日の予定はどうかときかれて、「普通に仕事ですけど」と、涼し気な顔でこたえてしまったが、実のところ、降谷はクリスマスに向けて“ある計画”を練っていた。 それは、クリスマスイブの夜、サンタの帽子をかぶって、赤井の泊っているホテルに突撃するというものだ。もちろん赤井には内緒で。 この計画を遂行するために、降谷は十二月に入ってからずっと、多忙な日々を送っていた。 クリスマスに予定を空けるために、年の瀬らしく降り積もった仕事を前倒しで片付ける必要があったからだ。それに加え、組織の残党も、まるでクリスマスを狙っているかのように動きをみせはじめたので、FBIには内緒で、部下を引き連れて制圧した。 3780 花月ゆきDONEhttps://poipiku.com/1436391/9684930.html の赤井さん視点です。さよならのあと(赤井Side) きっと彼は、潜るのだろう。 本人も、他の人間も、誰も気づいていない。だが、自分にはわかる。降谷の表情も、行動も、ある日を境に変わってしまったと。 降谷の自分を見る目が変わった。思い出を目に焼きつけるように。降谷が自分を見る。まるで、もう二度と逢えなくなる人間を見るように。 降谷と一緒に住んでいるアパート。変化にはすぐ気づいた。違和感を覚えさせないように、彼が少しずつ自身の持ち物を消していく。 そして、彼がこの世界を発つ日。彼は自身の痕跡をすべて消し去った。 今すぐにでも起き上がって、彼を引き留めたい。その想いを堪えて、眠ったフリをし続けた。 小さく聞こえるのは、ノートパソコンのキーを叩く音。この音が止めば、きっと彼はいなくなってしまう。 743 花月ゆきDONE何でも許せる方向け赤井さん視点⇒ https://poipiku.com/1436391/9688229.htmlさよならのあと(降谷Side) 潜ることになった。 新しい名前をもうひとつ。電話番号もメールアドレスも何もかも変えて。違う世界へ旅立たなくてはいけなくなった。 赤井には何も言わずに。たったひとりで。 素直になれず。一度も愛してると言えないまま。さよならが先に訪れた。 赤井と一緒に住んでいたアパート。自分が住んでいた痕跡をすべて消した。最後に残ったのは、赤井と一緒に使っていたプライベート用のノートパソコン。自分の使っていた跡をすべて消去したあと、ふと未練が溢れ出す。 降谷は静かにキーを叩き続け、朝陽が部屋を照らす前に、静かに家を出た。 あれから一年。 降谷は潜入先にいた。古びた倉庫。もうすぐ裏取引の相手が現れる。 あの日から季節は一巡りして、再び冬が訪れた。あの日のことを、降谷は一度も忘れたことがない。 730 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html④https://poipiku.com/1436391/9804135.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)③―コナンSide 12月― 商店街の福引で、蘭が東都水族館のペアチケットを引き当てた。「相変わらず、すげえな……」と思わずコナンは呟いてしまうが、その声は商店街の喧騒に紛れて、蘭の耳には届いていない。 礼を言ってチケットを受け取り、家へと向かって歩きはじめた蘭を、コナンは隣からそっと見上げた。蘭は嬉しそうにチケットを取り出し、まじまじと眺めている。ところが、チケットを見ていた蘭の表情がしだいに曇りはじめた。 「どうしたの? 蘭姉ちゃん」 「どうしよう……コナン君。このチケット、クリスマスまでの土日しか使えないんだって」 「そうなの?」 コナンは蘭からチケットを受け取る。そこには『土日限定!東都水族館のクリスマスにご招待』の文字があった。 3829 花月ゆきDONE組織壊滅後。恋人未満の赤安。赤→安要素多し。カッコイイ赤井さんはいません。捏造あり。何でも許せる方向け。お題「料理」 降谷と食事に行く約束をした。何度も何度も断られ、ようやく取り付けた約束だった。 約束の日は、金曜日。絶対に食事の時間に間に合うよう仕事を終えなければならない。そう己に誓って、赤井は月曜日を迎えた。 だが、その日、事件は起きた。 組織の残党に動きがあり、公安やFBIをはじめとした、各国の捜査機関が総出で討伐作戦を行うことが決定した。作戦の決行日は木曜日の深夜。つまり金曜日である。 「食事の約束、延期しませんか?」 警察庁で執り行われた会議のあと。降谷はそう提案してきた。 作戦の日、何が起きるかわからない。状況次第では、作戦が翌日以降までもつれこむ可能性もある。降谷はそう説明したが、赤井は首を縦に振ることはできなかった。まるで聞き分けのない子どものようだと思ったが、どうしても、降谷との約束は守りたかったのだ。 3736 花月ゆきDONE恋人未満の赤安。降谷さんが鈍感で自覚なし。かなり嫉妬深い赤井さんがいますので、ご注意ください。なんでも許せる方向け。お題「仲直り」 最近、赤井の様子がおかしい。 ふとしたときに、降谷は赤井の鋭い視線を感じるようになった。 ここ最近、組織の残党に動きがあり、緊張を強いられる仕事が続いていた。そのため、赤井も気が立っているのではないかとはじめは思った。だが、赤井がこうした視線を向けている先に、どうやら必ずといっていいほど自分がいるようなのだ。 他国の捜査機関の人間。自分の部下たち。公安の上層部。警察庁内で降谷が会話を交わす人間は多いが、降谷が誰と話していても、赤井の視線はまっすぐこちらへと向けられている。降谷以外の人間同士が会話をしているときは、赤井の視線は普段通りで、これといった変化はない。つまり、赤井のこの変化は自分が関係している、ということになる。 3253 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。①https://poipiku.com/1436391/9417680.html③https://poipiku.com/1436391/9650469.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)②―コナンSide 11月― 秋を迎え、冬の訪れを感じはじめる頃。 コナンはしばらく訪れていなかった工藤邸へとやってきた。降谷からメールで、「夜ごはん作り過ぎちゃったから、コナン君も食べにおいで」と誘われたからだ。しばらく二人の顔を見ていなかったので、ちょうどよいタイミングだと思いながら、コナンは降谷の誘いに乗ることにした。 夕刻。本来の自分の自宅に辿り着くと、玄関先からすでに赤井と降谷の声が聞こえてきて、コナンは心の中でこっそりと笑う。 身体が縮む前、二人は恋人同士だった。様々な苦難もあったが、自分が知る二人は、すごく相性もよく、仲の良い関係へと落ち着きつつあった。 毒薬を飲んで中学生になってしまった二人は、記憶まで失っている。だが、二人の言葉のやり取りを聞くたびに、根は変わらないと思えるのだ。 2360 花月ゆきDONE赤安は恋人同士。ミイラ男なあかいさん。なんでも許せる方向け。お題「ハロウィン」 今年もハロウィンがやってきた。 昨年のこの時期は首に爆弾をつけられ、ハロウィンどころではなかった。 今年のハロウィンも公安としての仕事が山積みだったが、それはもう終わりが見えている。 十月三十一日。現時刻は、午後十一時過ぎ。まだまだ油断はできない状況だが、例年通り渋谷は大混雑をみせたものの、平穏なハロウィンだったといえるだろう。 スマホのバイブ音が鳴り、降谷はスマホの画面をタップする。電話をかけてきたのは風見だった。 『降谷さん、こちらはもう大丈夫です。そろそろ休まれてください』 「ああ、そうさせてもらうよ」 仕事はタイミングよくやってきてはくれない。ありとあらゆる仕事が山のように重なり、降谷はこの一週間、まともに睡眠をとることができていなかった。仮眠室に二度ほど入った記憶はあるが、ほんの数時間で仕事を再開させている。自分がまともに休んでいないことに風見も気づいていて、落ち着いたタイミングで電話をかけてきたのだろう。 3230 花月ゆきDONE秀零の日。記憶喪失&身体だけ縮んだ赤安(中学生)が、工藤邸で一緒に住んでいる設定です。②:https://poipiku.com/1436391/9538548.htmlHeartfelt Memories(旧題:記憶は心の底に)①―コナンSide 10月― コナンが工藤邸を訪れると、赤井と降谷の二人の声が玄関まで漏れ聞こえてきた。 毒薬を飲んで身体が縮み、記憶まで失くして中学生となってしまった二人の声は、自分が知るそれと比べると随分と幼い。しかし、話し方も話す内容も、小学生である自分よりはるかに大人びている。大人の赤井と降谷の姿が頭の中に散らつくせいで、最初は違和感が凄まじかったが、最近は不思議と慣れつつあった。 二人はコナンが部屋に入ってきたことを気にも留めず、壁に視線を向けたまま、あーでもないこーでもないと言い合っている。 「二人ともいったいどうしたの?」 コナンが話しかけると、ようやく二人がこちらを意識する。降谷が壁にかかった日めくりカレンダーから視線を外して言った。 2016 花月ゆきDONE予知夢を見るようになった赤安が、ある日、お互いにキスをする夢を見てしまい…予知夢-降谷Side- 一週間ほど前からずっと、不可思議な現象が続いている。それは、夢で見た光景が現実で起こってしまうというものだ。最初はただの偶然かと思ったが、この一週間ずっと、この現象は例外ひとつなく続いている。 一昨日は、風見が何もないところでコケる夢を見た。いくら風見でもそんなドジはしないだろう。そう思ったが、昨日、夢の中の光景を再現するかのように、風見はコケた。 そして、いよいよ降谷が予知夢を疑いはじめたところで、昨日の夢である。その夢の中で降谷は、あの赤井とキスをしていたのだ。 朝、目を覚ましてからずっと、降谷は頭を抱えていた。今日は日米合同の捜査会議がある。もちろん赤井も参加することになっているので、夢が現実になるための舞台は、揃っているといってもいい。 9503 花月ゆきDONE降谷さんに「かっこいい」と言われたい赤井さんのお話。ツンデレな降谷さんと迷走する赤井さんがいます。ふたりの恋愛レベルは中学生。怪我の描写が少しあり。色々捏造あり。なんでも許せる方向けです。お題『かっこいい』 赤井が降谷に恋をしていることを自覚したのは、組織を壊滅させた後、組織の残党狩りがはじまったばかりの頃だった。 警察庁で執り行われた日米の合同会議を終え、赤井が喫煙所で煙草を吸っていると、隣の休憩室から公安のメンバーが談笑しているのが聞こえてきた。休憩室にいるのは、おそらく、降谷と、降谷の部下が数人。休憩室と喫煙所の間にある壁は薄いようで、会話はほとんど丸聞こえである。 彼らの話題は、先日終えたばかりの組織壊滅作戦のことだった。その話題の中で、降谷の部下のひとりが、「あのときの赤井さん、かっこよかったですよね!」と声を上げた。それをきっかけに、「まさかあんなに遠い場所から撃つなんて」「一発でジンを仕留めたのは痺れました!」などと、次々に自分を賞賛する声が上がる。 5436 花月ゆきDONE恋人未満の赤安。組織壊滅作戦直前。新(コ)蘭要素あり。諸々正体バレ済。捏造あり。なんでも許せる方向けです。お題『かわいい』 組織壊滅作戦直前。日本の公安をはじめ、各国の捜査機関が日本の警察庁に集まり、日々、会議や調査に明け暮れていた頃。それは起きた。 その日、降谷は調査資料をまとめるため、朝からノートパソコンに向き合っていた。 組織壊滅作戦のための合同会議が行われる会議室は、会議のない時間は、各捜査機関が自由に出入りすることができるようになっている。人の足音や話し声、パソコンや電子機器を取り扱う音。様々な音が入り乱れ、周囲はざわざわと騒がしい。だが、そうした音も気にならないほど、降谷は資料作成に没頭していた。 降谷の周囲に人はおらず、他国の捜査官が、挨拶のために席に近づいてくる程度である。 それゆえに集中して作業できていたのだが、あともう少しで資料が完成するかというときに、降谷の仕事を邪魔する者が現れた。 3908 花月ゆきDONE赤安(沖安)が、子どもたちと一緒に水族館に行くお話。組織壊滅前。赤安は恋人同士。姿は沖安。中身は秀零。話の展開上、色々捏造しているので、なんでも許せる方向けとなります。お題『なつやすみ』 赤井が沖矢昴に変装し、阿笠邸にスイカの差し入れを持っていくと、ちょうど子どもたちが集まって話をしているところだった。 阿笠博士と一緒にスイカを切り分けながら、子どもたちの会話に耳を傾ける。どうやら最近リニューアルしたばかりの東都水族館に遊びに行く予定を立てているようだ。子どもたちはもう夏休みに入っていて、学校に行く必要はない。こうして阿笠博士の家に集まって、遊んだり、宿題をしたり、子どもたち同士で楽しい時間を過ごしているようだった。 切り分けたスイカを子どもたちのもとへ運ぶと、光彦が話しかけてきた。 「昴さん、大人が夏休みを取るのは難しいんですか?」 「それは職種によるんじゃないかな……何かあったのかい?」 10810 花月ゆきDONE恋人未満の赤安。一か八か、ふるやさんにキスを仕掛けたあかいさんは…お題『一か八か』 一か八かの賭けのあと。 赤井は自分の頬が痛むのを感じながら、降谷の背中を見送った。 ほんの数分前の出来事である。 赤井は警察庁の休憩室でたまたま降谷と二人きりになった。お互い何日もまともに寝ておらず、少しでも気を抜くとそのまま気を失ってしまいそうな状況だった。 時刻は深夜一時を過ぎている。二十四時間稼働している自販機には感謝しかない。ソファに深く腰を下ろし、もう何杯目かもわからないブラックコーヒーを飲みはじめると、意外なことに降谷が隣に座った。ソファの端に寄って座ったりせず、赤井の手が届きそうなほど近くに、だ。 「……君も休憩か」 「……ええ」 会話ともいえない言葉を交わし、お互いに黙り込む。降谷の手には、玉露のペットボトルがあった。玉露はコーヒーよりもカフェインの含有量が多いと、降谷が以前話していたのを思い出す。降谷もまだまだ働かなければならないらしい。 3904 花月ゆきDONEあかいさんのシャツに、ふるやさんが乗り移る話。赤安は恋人同士です。某アニメが元ネタです。なんでも許せる方向け。お題『Tシャツ』 明日は久しぶりに、降谷と休みが重なる日だ。 今日、仕事が終わったら、降谷を誘い、二人きりでゆっくり過ごそうと赤井は思っていた。しかし、降谷のスマホにメッセージを送っても一向に返事がない。何かトラブルにでも巻き込まれているのではないかと風見に連絡をしたが、「降谷さんなら、とっくに帰宅されましたよ」と言う。 帰宅しているのなら尚更、返事がないのは妙だ。幸い降谷の家の合鍵を持っていたので、赤井は降谷の家に急いで向かうことにした。玄関の呼び鈴を鳴らす時間も惜しく、合鍵を使って降谷の部屋に入る。すると、アンッ、アンッ、と、降谷の愛犬が出迎えの挨拶をしてくれた。ハロの鳴き声を聞いて、降谷が玄関へと駆けてくる。 6036 花月ゆきDONE両片想い状態の赤安。ふるやさんが海に向かってあることを叫んでいます。なんでも許せる方向け。もちろんハピエンです。お題『ビーチ』 組織の残党が潜伏しているとされている場所は、都の中心地から離れた海岸沿いにあった。 降谷がひとりで偵察をしに行った日。深夜から朝にかけて様子を窺っていたが、残党たちの動きは特になく、降谷は朝陽が昇ってしばらく経ってから帰路についた。 その帰り道。陽の光を浴びてきらきらと輝く海を横目に見ながら愛車を運転しているうちに、ふと気分転換をしたくなって、降谷は車を停めた。 ひとけのない砂浜へと降りて、降谷は大きく背伸びをする。何時間も車の中で息をひそめていたので、身体がすっかり凝り固まってしまっていた。それをほぐすように伸びを繰り返して、軽く身体を動かす。大きく息を吸い込むと、潮の香りが身体の中にぶわりと入ってきて、海が目の前にあることを実感する。 6664 花月ゆきDONE赤安を携帯電話のない世界に飛ばしてみました。赤安は恋人同士ですが、周りにはまだ秘密にしています。お題『嫉妬』 レストランの個室で、降谷は赤井と食事を楽しんでいた。高層ビルの最上階にあるレストラン、しかも夜景のよく見える窓際の席は、赤井が予約してくれていたものだ。時刻は夜の八時。まだデザートには早い時間である。もう一杯、ウィスキーでも飲もうかと考えていたところで、赤井のスマホが鳴った。 赤井が素早くスマホの画面をタップし、応答する。相手は女性のようだった。相手の話を聞いているうちに、しだいに赤井の眉間に皺が寄っていくのが見える。赤井の口ぶりからするに、どうやら仕事の電話ではなく、飲みの誘いだったらしい。FBIのメンバーで集まって飲み会を開いているようで、赤井を呼ぼうという話になったようだ。 赤井が断りの言葉を告げると、「どうして来れないの」と、甲高い声が聞こえてくる。電話の相手は酔っ払っているようで、声も大きく、降谷の耳にもよく届いた。その声に降谷は聞き覚えがあった。最近来日したFBIのメンバーのひとりだ。降谷の胸の内に、モヤモヤしたものが広がっていく。 6365 花月ゆきDONE身体の縮んだあかいさんが、正体を隠してふるやさんに逢いに行くお話。新蘭みのある赤安です。お題『あまのがわ』 赤井が行方不明になってから、一年が過ぎようとしている。 組織壊滅後。赤井たちFBIが米国に帰ってから一ヶ月も経っていないある日、赤井は突然消息を絶った。組織の残党絡みの事件に巻き込まれたのではないか、というのがFBIの見解で、すぐさま赤井の捜索がはじまったが、捜索はひどく難航した。 降谷も米国に行き捜索に加わりたいと願い出たが、公安の上層部からの許可は得られないまま。時間だけが残酷に過ぎてゆく。 この一年、降谷が赤井を忘れたことは一度もなかった。米国に行くための交渉も幾度も繰り返したし、ジョディやキャメルたちに捜索の状況を聞き、自分で出来得る限りの情報収集と助言をした。日本に来ている可能性もあるかもしれないと、入国履歴を調査したりもした。しかし血眼になって探しても、赤井は見つからなかった。 5228 花月ゆきDONE組織壊滅後。両片想いの赤安(ライバボあり)。二人の恋愛レベルを小学生まで下げました。お題『キラキラ』 とあるビルの屋上で、降谷は双眼鏡を片手に不服そうに言った。 「本当にこの場所でいいんですか?」 「ああ。ここからなら、標的に気づかれずに狙撃もできるからな」 組織の残党たちが落ち合うとされているビルから何百メートルも離れた場所で、赤井は降谷とともに待機していた。 予定の時刻になったら、現場のビルを監視するのが今回の自分たちの役目なのだが、残党たちはライとバーボンの顔を知っている可能性があるからと、公安やFBIの他のメンバーと異なり、現場からは距離を置かなくてはならなかった。「君は、警察庁のモニターで監視していればいい」と赤井は降谷に言ったが、降谷は首を縦には振らず、「あなたに付いて行きます」と言った。安全な場所から指示だけを出すやり方を、降谷は好まないのだろう。赤井は降谷の意思を尊重した。 4544 花月ゆきDONEあかいさんに甘えたくてしょうがないふるやさんのお話(まだ恋人未満の赤安)恋心に鈍感なふるやさんがいます。作中に出てくる写真は、外に流出しないように、あかいさんがちゃんと処理してるので大丈夫です。お題『我慢』 きっかけは、ささいなことだった。 連日の徹夜のせいで、降谷がおぼつかない足取りで仮眠室へ向かっていたときのことだ。限界を迎えて大きくよろめいた降谷の身体を、正面から抱きとめた人物がいた。 その人物というのがまさかの赤井秀一だったわけなのだが、相手が赤井とわかるやいなや、何を血迷ったのか、降谷は赤井にそのまま身体をあずけてしまった。 「降谷君、大丈夫か?」 「…………」 返事をしなくてはと思うのに、声が出てこない。自分を支える赤井の腕が力強くて、安堵したように全身の力が抜けてしまう。 立っていられなくなるほどに身体の力が抜けると、自分を抱く赤井の腕にさらに力がこもった。赤井と身体が密着し、夜風を浴びて冷え切った身体に赤井の熱が染み渡る。炬燵の外に出たくないと願うのと同じような気持ちで、しばらくこの温もりを手放したくないと降谷は思ってしまった。 4701 花月ゆきDONE入れ替わっている赤安(あかいさんがふるやさんに、ふるやさんがあかいさんに変装してます)と、二人が入れ替わっていることを知らされていないコナン君のお話。あかいさんがふるやさんに変装するときに体格の問題が出てくると思うのですが(大→小にするのは難しい)、細く見えるように加工済です(でもよく見たらバレバレ)お題『変装』-コナンSide- 組織は壊滅したが、残党は世界中に散らばっている。その残党集団は日本でも暗躍し、先日、あろうことか日本に滞在しているFBIの捜査官を拉致した。その残党集団のリーダーと思われる男は、変声機で声を変え、日本警察へ電話をしてきた。「ヘンリー捜査官を返してほしければ、ライを寄越せ」と。 その残党の本当の狙いは、ライ――赤井秀一だった。赤井を確実に捕らえるために、赤井と親交のあるFBI捜査官に狙いを定めたのだろう。 警察庁の一室には、コナンと降谷と赤井の三人だけで、他には誰もいない。 つい先程まで、日米合同の捜査会議が行われていたが、捜査の割り振りを行いすぐに散会となったらしい。会議後、コナンは降谷に呼ばれて、会議室のような休憩室のような、用途がよくわからないこの場所へと連れて来られた。中に入ると赤井の姿もあったので、この三人だけで話したいことがあるのだろうとコナンは理解した。 5577 花月ゆきDONE赤安のファーストキス。一部、沖安。Day3お題『キス』 最近、気がつくと赤井の顔がすぐ近くにあるような気がする。 部下の作成した資料を確認しながら、降谷はここ一、二週間で起きた出来事を反芻していた。 赤井の車で自宅まで送ってもらったとき。シートベルトを外して顔を上げたところで、すぐ目の前まで赤井の顔が近づいていた。降谷が、「シートベルトくらい自分で外せますよ」と言うと、「……そうだな」と赤井は笑った。 会議室で赤井と二人きりで打ち合わせをしていたとき。床にボールペンを落としてしまい、机の下に潜って遠くまで転がっていったボールペンを拾い上げようとしたところで、赤井も机の下に入ってきた。自分を手伝ってくれようとしたのだと思い、「これくらい、自分で取りますから大丈夫ですよ」と降谷は微笑んだ。 4751 花月ゆきDONEラブコメしている赤安。ふるやさんと仲良くなりたいあかいさんが毎日電話をかけたら…鈍感なふるやさんが恋を自覚しちゃった話。Day2お題『電話』 先日、組織壊滅作戦が無事終了した――が、それですべてが終わるはずもなく、世界中に散らばっている組織の残党を討伐するための新チームが結成された。作戦時のメンバーの約半数が本国へと帰って行ったが、主要メンバーは今も日本に在住している。あの赤井秀一も例外ではなく、新チームの一員として日本に残っていた。 その赤井だが、組織壊滅作戦後、降谷に向けて頻繁にメールを送って来るようになった。 仕事の連絡のときもあるが、ほとんどが仕事とは無関係で、他愛のない日常の話ばかりだ。赤井とメールのやり取りをするのは、降谷にとって楽しいと感じられることが多い。だが、なぜこんなにも高頻度でメールを送って来るのか、その理由だけがよくわからないままだった。 6299 花月ゆきDONE両片想い状態のラブコメしている赤安。ふるやさんと仲良くなりたくて、「零君」と呼び始めるあかいさんの話。Day1お題『なまえ』 組織壊滅作戦を間近に控える昨今。作戦に直接参加する者たちにはささやかな休暇が与えられた。 体調を万全にするために。家族や大切な人と過ごすために。様々な理由を込めて与えられた休日を、赤井は工藤邸で過ごしていた。 PCのキーボードをタイプする音をBGMに、時間も気にせず調べ物をする。一段落ついて時計を見ると、午後三時を回っていた。起きてから口にしたのは珈琲のみ。朝も昼も抜いたせいか、どことなく空腹感もある。家にある食材で簡単に調理してもよかったが、気分転換も兼ねて、赤井は外出することにした。 沖矢昴の姿に変装し、夕焼けの気配がする空の下へ歩み出す。夕方に近い時間帯ということもあってか、スーパーは混み合っていた。何を作ろうかと考えながら歩き回っている途中で、目の前にいる女子高生三人組の会話が耳に飛び込んでくる。真純たちと同じ年頃の子だろうか。 4456 花月ゆきDONE降谷さんが赤井さんへのチョコに盗聴器を仕掛けちゃってます、が……赤井さんは何でもお見通し。相変わらず、赤井さんがかかわるとグダグダになる降谷さんがいます。こういうことで降谷さんは盗聴器を仕掛けないかもですが、創作ということでここはひとつ…。n番煎じだったらすみません。捏造多し。なんでも許せる方向けです。あと三十秒 赤井と恋人同士になって初めて迎えるバレンタインデー。 何日も前から試行錯誤して準備してきたチョコは、自分でも納得のいく味となり、降谷の胸中は早く赤井に食べてもらいたい気持ちでいっぱいだ。 しかし、いくら恋人同士になったとはいえ、赤井に手作りのチョコを手渡すのはどうも気恥ずかしかった。いったいどんな顔で、何と言って渡せばいいのか。降谷は答えを見つけられないまま、バレンタイン当日を迎えてしまった。 悩んだ結果、降谷は本人不在の赤井のデスクにチョコを置いて立ち去ることを選んだ。盗聴器をつけておけば、赤井の反応も知ることができる――実に良い案だと降谷は思った。 お互いの機関の連携をはかるため、今FBIのメンバーは警察庁の一室に常駐している。降谷はその部屋に出入りする術を知っているので、赤井のデスクにも容易に近づくことができるのだ。FBIのメンバーが全員ランチに出かけている時間を見はからって、降谷は誰もいないその部屋に入り、赤井のデスクに近づいた。 2002 花月ゆきDONEライ時代、催眠術をかけられてしまった赤井さん。組織壊滅作戦前、赤井さんが降谷さんへの恋心を自覚するのと同時に催眠の効果があらわれはじめ…というお話。催眠術の影響で、赤井さんが降谷さんにひどいことを言ったりします。なんでも許せる方向け。後編:https://poipiku.com/1436391/10602782.htmlヒトフリの魔法(前編)-赤井Side- 「任務以外で、あなたが女性に興味を持つなんてことあるのかしら。せっかくこんなに良い雰囲気の店に呼び出しておきながら……あなたのその顔、私にはまったく興味がないって感じね」 「あいにく、興味があるのはこのデータの中身だけでね」 「まったくひどい男ね。こんなときは、嘘でも何か気の利いたことを言うものよ」 「……言う必要があればそうするがな」 「私には言う必要がないってこと? 失礼しちゃうわね。バーボンはとても気が利く良い子なのに、あなたときたら……」 「……バーボンに会ったのか?」 「あら、随分と怖い顔。バーボンと私の関係が気になるの?」 「…………いや」 「ふふ。あなたが気にするようなことは何もないわよ。ほんの数回、取引で会っただけ。それにしても、今の顔すごく良かったわね。どこか余裕のない感じで。あなたのそんな顔、もっと見てみたいわ」 23535 花月ゆきDONE赤安で復縁ネタです。全力でハッピーエンドです。「二人の人を同時に愛せるほど、僕は器用な性分じゃないので」黒の組織壊滅後。別組織の潜入捜査のため、標的の娘と交際することになり、あかいさんに別れを告げたふるやさん。三年後、あかいさんの目の前に現れたふるやさんは…※なんでも許せる方向け完璧で不器用なあの子 ――[[rb:彼 > か]]の日。赤井は降谷と別離した。 夕刻の時間。赤井は降谷に呼び出され、警察庁からそう遠くはない公園へと来ていた。 人はまばらで、自分たちの足音だけがやけに大きく響いて聞こえた。天を仰げば、夕陽の光も届かぬほど、空には雲が重く積み重なっている。 今にも雪が降りそうだと考えていると、視界に粉雪が散らつきはじめた。 外の世界は、息が白くなり、手もかじかむほどの寒さだ。コートのポケットに手を入れたかったが、それ以上に、降谷と手を繋ぎたい気持ちがあった。 降谷の手を見る。ニットでできた赤色の手袋が視界に入り、赤井は静かに微笑んだ。赤色が嫌いだと言っていた彼は、自分との交際がはじまると、その発言自体が嘘だったかのように赤色の物を身に着けるようになった。この色しか残っていなかったんですよ、と言い訳を重ねる彼が愛らしかった。 4283 12