地毛か染めてるか「佐野くん、今日もかっこいい……」
「まぁた言ってるよ。目ぇ覚ませー、あれは関わったらいっちばん危ない、東京でも一二を争う天下の大不良なんだからね」
そんなことは百も承知である。私を心配してくれている親友のマミコには悪いが、私は佐野くん、今一番有名な不良集団のひとつ、東京卍會の総長を務める無敵のマイキーこと佐野万次郎くんのファンを辞めるつもりはない。
「アンタなんでそんなに佐野くんのこと好きなわけ?」
「好きっていうか……好きなんだけど、恋愛的な好きじゃなくてファン的な好きだからね?誤解しないでよ?」
「はいはい」
マミコには何度も言っているのに、全然信じてくれない。
そもそも、私が好きになったところでなんだと言うのだ。私なんて、佐野くんにとっては、道端の小石にも満たないちっぽけな存在だ。恋愛的に好きになったところで、報われないのはわかっている。となれば、アイドルを好きだという気持ちと同じ「好き」を抱くのも当然だと思う。
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