拾伍 リビングのテーブルに広げられた資料に中原は些か面食らった。
「こっちが荒覇吐計画の予算の推移。こっちが猟犬。それから軍警の国内治安維持にかかる特別予算についての資料」
「お、おう」
次々に並べて行く太宰は最後に一人の男の写真を取り出した。
「これは?」
「軍の幹部。直接的な権限は無いけど予算の配分に口が聞く立場ではある」
太宰の説明に中原は広げられた資料に手を伸ばす。そのやり取りは嘗て太宰がポートマフィアに居た頃の、作戦ミーティングを思い出させた。最も、暫くすれば太宰が必要だと判断しないものに関しては、どんどん省略され最悪、現場で直接指示を出されたり、終わった後に何があったのかを知らされるなど、苦々しい思い出もついて回るが。
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