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    えくれあ

    @ekunanarea

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    えくれあ

    PAST
    ふる〜てぃ〜ず“さくら” さあっと夜風が吹いて、窓辺で本を読んでいた少女……梅桃さくらの柔らかな桜色の髪を撫でた。それに誘われるように星空を見上げるビズーはその輝きを反射させる。

    「めっさ綺麗な星やなぁ……。」

     この下で争いが起きているなんて知らないんだろうなとさくらは思った。
     ぱたりと手元の文庫本を閉じて立ち上がると窓を閉める。ふと、その硝子に反射した顔を見ると不安そうな憂いを帯びた顔であった。

    (こんな顔、ウチらしくないやんけ。)

     無理にニコッと微笑んでみて、もやもやを吹き飛ばそうとする。

    (ウチがこんな顔しとったら、あの子も泣いてまうかも。……元気にしてるとええんやけど。)

     さくらは机の上に置いてある写真を見つめた後に窓の外に目をやり、ひとつため息を着いた。それに映るのは幼き日のさくらと、その視線の先にある川の向こうに住んでいた2つ上の少女の写真だった。か弱さをも感じる透き通るような肌に鼻の上のそばかすがあどけなさを感じさせる。その癖の着いた髪はふたつに纏められていて、潤んだエメラルドと下がった眉ではにかんでおり、スラリとした鼻筋は少女の母譲りであり、海の向こうの異国の血のおかげだという。
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    えくれあ

    PAST
    ふる〜てぃ〜ず“もも” 当たり前だと思っていた。

    「これからも一緒にいてね?ももちゃん1人じゃ寂しい!」
    「急にどうしたの、そんな事しないよ。」

     それは本当なの?約束できるの?……そんな考えたくないことが頭を巡る。

    (ももちゃん、思ってたよりきぃちゃんの事大好きみたい。)

     ふわりと柔らかい髪を桃色のカチューシャで留める、くりっとしたアーモンドのような形のピンクダイヤモンドは憂いを帯びている。こんなのらしくないやと本人も思っているが、今日は考え込んでしまう。
     小さな頃からいつも一緒にいた。きういの両親は共働きで忙しいから、物心着いた時には一緒に遊んでいて。ももは3月産まれで、きういは4月生まれ。ほとんど1年違うが、いつの間にか身長は高くなっていて(きういが伸びなかっただけかもとは言わないであげてるんだ、なんて思っている)、それだけが勝てることと思っていた。ももが両親に可愛がられているのには生まれた時から体が弱かったことがあった。未熟児として生まれて生死の境をさまよったこともあった。今は落ち着いてはいるが、小さな頃はよく体調を崩して高熱を出したり、喘息の発作が出たりと。その度に看病に暇にならないようにときういに助けて貰っていたももは、身長を追い抜いたというそれだけでも嬉しかったのだ。ちょっとだけ、きういを助けて上げられると思っていたから。
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