天使と司書本、本、本、本。
沢山の本の中から、人より大きな本を一冊引っ張り出す。図書館の司書であるモンドールしか出入りできない司書室。その中に貯蔵されている本はビックマムすらよくは知らない。
「よ、調子はどうだ?」
ページを開き、声をかける。そこには大きな白い翼に光の輪を背に輝かした女性が座っていた。
「モンドール!」
女性は嬉しそうに声を上げると、そのまま本から飛び出してモンドールに抱きつく。大きな翼で包むようにして、すりすりと頬を擦り寄せてくるものだから、モンドールは焦ったように女性を突っぱねる。
「こら! 近すぎるだろ!◯◯!」
◯◯。それがこの女性の名前だった。
「だって、昨日来てくれなかったから……」
「あぁ、それは悪かったよ。忙しくてな……それより、怪我の具合はどうだ?」
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