ギルモアの長い一日ギルモアは、執務室の窓からピリポリスの街並みを見下ろした。ピシアが破壊した建物はすっかり元通りに、朝日を浴びて静かに輝いている。
革命が失敗し、一時は捕えられたものの、大統領からピリカ復興のために働くよう命じられ散々にこき使われる日々だ。碌に家にも帰れやしない。また今日もピシア本部で朝を迎えてしまった。
……分かっている。反乱を起こし大統領を処刑しようとしたワシに対して、甘すぎる罰だということも。もし怪しい素振りを見せでもしたらその時は容赦しないと、治安大臣に強く言い含められた。しかしこうも自宅に帰れない日が続くと、精神的にも疲弊するのは確かだ。夫の顔を見て、夫の手料理を食べて、風呂に入って、夫と共にベッドで眠る。そんな何てことのない日常が、今はひどく恋しい。
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