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    弁護士

    palco_WT

    PROGRESS冬コミ新刊の水王の、水上の過去の捏造設定こんな感じ。
    まあそれでも入会金十万円+月一万余出してくれるんだからありがてえよな……(ワが2013年設定だとたぶんんぐが小学生で奨励会にあがったとしてギリギリこの制度になってるはず。その前はまとめて払ってダメだったら返金されるシステム)
    実際、活躍してるプロ棋士のご両親、弁護士だったり両親ともに大学教授だったり老舗の板前だったりするもんね……
    「ん、これ、天然モンやで」
     黄昏を溶かしこんだような色合いの、ふさふさした髪の毛の先を引っ張りながら告げる。
     A5サイズのその雑誌の、カラーページには長机に並べられた将棋盤を前に、誇らしげに、或いは照れくさそうに賞状を掲げた小学生らしき年頃の少年少女が何人か映っていた。第〇〇回ブルースター杯小学生名人戦、とアオリの文字も晴れやかな特集の、最後の写真には丸めた賞状らしき紙とトロフィーを抱えた三白眼気味の、ひょろりと背の高い男の子と、優勝:みずかみさとしくん(大阪府代表/唐綿小学校・五年生)との注釈があった。
    「でも黒いやん、こん時」と生駒が指摘する。
     彼の言葉通り、もっさりとボリュームたっぷりの髪の毛は今のような赤毛ではなく、この国にあってはまずまずありがちな黒い色をしていた。
    1983

    waremokou_2

    DOODLE今日から暫く違う人類史のはなし。
    リッチマン(金持ち限定の弁護士)の黒柳が、誘いを断れない相手に誘われた先で、ストリッパーのバイトをしている三毛縞と出会う話。これはネヤネ:マイルドでかくはなし。
     ほら、と差し出されたマグカップは雑に入れられたティーバッグが僅かに色を滲ませながらも、まだほとんど湯のままの状態に近かった。ただ全身の骨まで刺すような寒さの中で、三毛縞が寄越したマグカップの湯気をもくもくとたてるそれは、手のひらの凍ってしまった細胞を溶かし尽くすような確かな温もりを持っている。歯の根が合わないなんて生まれて初めての経験だった。小さな小さな――とはいえ黒柳が見た中では冗談かと疑うほど大きなマグカップだけが、今黒柳を生かす温もりのようにさえ感じられて、ただ必死で、その最低最悪の紅茶にしがみついていた。
     紅茶は嫌いじゃない。それでも黒柳が好むものは女子供が好んで飲むような甘ったるく、着せられたような華やかさのあるフレーバー・ティーではない。厳選された産地、選び抜かれた茶葉、そしてその素材を人の手により加工する技術。その芸術と叡智を最も完璧な状態で抽出する一滴にこだわる美しさが好きだった。今、目の前に浮かぶ茶葉は甘ったるく強すぎる人工的な香りが茶葉本来の風味をぶち壊し、無駄に加えられたスパイス――おそらく、シナモンだろうその香りが全てを誤魔化すためだけに使われている。黒柳は再び、今度はせっせと毛布を運んできた三毛縞を一度睨むと、もうじゅうぶん色のでたティーバッグを引き上げて見せながら、その置き場を口外に要求した。
    1737