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    居候

    phnoch

    DONE小1しょたなかくん掌編集「たなかくんと!」より
    居候のイゾーが風邪をひき、たなかくんが拗ねる話です。

    ▼しょたなかくんシリーズの他の話はこちら▼
    https://galleria.emotionflow.com/113773/656724.html
    たなかくんとむやむやバカは風邪をひかないというのは、どうやら迷信だったらしい。さんざん雪遊びをした次の日、先生も新兵衛もぴんぴんしているのに、なぜか以蔵が熱を出した。
    「こたつで寝るのがやっぱり良くないんじゃないか」
    体温計を見ながら先生が言う。以蔵がカスカスの声でいや雪合戦のせいじゃろと口答えをする。こたつはベッドよりあったかいのに、どうして風邪をひくのだろう。よくわからないが、こたつが以蔵に占拠されなくなるなら良いことだ。
    「こたつなんぞで寝ちょっでだ。はよ自分の家に帰れ」
    「新兵衛、そういう言い方はやめなさい。病人だぞ」
    新兵衛はきゅっと身をすくめた。先生と同じことを言ったつもりだったのに、叱られてしまった。悪いのは以蔵のはずなのに。先生と以蔵はそのまま、ホケンショウはあるのかとか何とかついていけない話を始めてしまって、新兵衛は唇をへの字にしたままランドセルを掴んで外へ飛び出した。玄関がバタンと閉まった瞬間、黄色い帽子を忘れたことに気がついたけれど、取りに戻る気にはなれなかった。
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    star_rrry

    PROGRESSかぐや姫パロです。12月に発行予定の千景まとめ本に全文載る予定ですが、これで意味が通っているか自分でわからなくなったので、心優しい方、よんでみてください。 ※主人公はかぐやの皇子(千景)です

    千景→竹林で倒れていた青年
    左京→翁(おじいさん)
    東→おばあさん
    密→古市家で過去に拾われた居候の男

    という設定で読んでください!
    竹取物語(かぐや姫)パロ今は昔、竹取の翁といふ者ありけり。野山にまじりて竹を取りつつ、よろづの事につかひけり。名をば讃岐の造となむ言いける。その竹の中に、もと光る竹なむ一筋ありける。あやしがりて、寄りて見るに、筒の中光りたり。それを見れば、三寸ばかりなる人、いとうつくしうて……



     はあ、と人目も気にせず大きなため息を吐くと、角に座っていた翁の眉間に皺が寄った。

     人は皆、俺の姿を見て、「かぐや姫の生まれ変わりだ!」「この美しさは、きっと月からいらっしゃった天上人に違いない!」と大いに騒いだ。竹林の中で倒れていた俺を、いま目の前でしかめっ面をしている翁が、竹を取りに行く際に発見したらしい。

    何がかぐや姫だ。あんな何百年も前の絵空事を、こいつらは本当に信じているのか。この國に住んでいるものなら大抵の奴はその冒頭部分を諳んじることができるのは、有名な架空の物語だからではないのか。
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    Yako_san8

    DONEあしつつワンドロ・ワンライ蛮族チャレンジ…!途中眠りかけちゃってェ…、結局2時間くらいかかっちゃってェ……。もういいよね…?というコトでサクッと投げておきます。お題は《公衆電話》お借りしたのですが、内容は『なぜか津さん家(奥さん&娘が出ていった一軒家)に葦が居候してる』という謎時空設定でのお話です。本当に謎でごめんね……。
    繋ぐ声 ・あしつつワンドロ・ワンライ お題:《公衆電話》


      「……もしもし、」

     無機質に響く呼び出し音にも飽き、そろそろ受話器を置こうかと離しかけた耳にかすかな男の声が届いた。
    「―おう、帰ってたか。……俺だけどよ」
    再度受話器を耳に寄せた津詰は相手の反応などお構いなしに尋ねる。
    「何か買って帰るモンあるか……?」
     沈黙の続く受話器の向こうから聞えよがしな溜息が伝わってきた。
    すっかり日の落ちた街角で常夜灯に照らされる緑色の電話機の台に凭れながら、刑事の男は掌上の十円玉数枚をジャラと鳴らし、苛ついたように声を低める。
    「だから、必要なモンがあんのかないのかって聞いてんだよ!―早くしろ、小銭がもったいねえ」
     今度の沈黙にはやや逡巡するような間があった。数秒してから素っ気無い声が返ってくる。
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    PROGRESS書き直し中の曦澄「俺の居候がこんなに可愛い訳がない」の途中まで(元々の3話目あたりまで)〜だいぶ変わってるし多分改題する✌️
    【曦澄】俺の居候がこんなに可愛い訳がない(仮)① 江晩吟が寒室の扉を開け放った先にいたのは、真っ白なふわふわだった。そのふわふわは、薄暗くひんやりとした居間の真ん中で、座布団の上に丸まってくんくんと鼻をならしていた。
     江晩吟は、ここが姑蘇藍氏宗主の居住であることを忘れて部屋に飛び込んだ。それほど、そのふわふわ──小さな犬が、もし涙を流せたのなら川を作れるくらいに、哀しげに鳴いていたから。そしてその犬の前に躓いて自分ができる精いっぱいのやさしさで抱き上げると、胸に収めた。

    「大丈夫」

     江晩吟は、犬の被毛に顔を埋めてそう囁いた。またそう間を置かず、もう一度同じ言葉を囁いた。両親の温もりが恋しいと泣く赤子を、夜通し腕に抱いていたときのように。
     腕の中の犬はしばらく震えながら、きゅうきゅうと鳴いていた。江晩吟はその小さな鳴き声を聞くたびに、犬の背を何度も何度も撫でてやった。すっかり冷えてしまっている体が温まるように、手のひらの熱を送り込むように軽く揉んでやった。すると、犬の震えはだんだんと治った。
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    ココノトリ(ノトリ)/はと

    MOURNING短いお話のはずがおさまりがつかなかった短文。なかなかオチにたどり着かずずるずる書いてしまったので……、続きを書くか迷いつつ一旦供養🙏一
    原作軸、居候弟子→バロ時点の、弟子バロ未満の二人のいざこざ?話です。
    謎の婦人に嫉妬する弟子の話(途中まで) 月に一度、この屋敷を訪れる婦人がある。訪問客が多いとは決して言えないこの場所では、客人というだけで少なからず目立つ。女性であれば尚更である。
     亜双義が師であるバンジークス卿の館に居ついて今月で一年と三ヶ月になるが、この定期的に現れる婦人の用向きが気になり出したのは、数度見かけた後のことだった。
     毎月月末の日曜の午後。慎み深い淑女といった装いで、かの婦人はやって来る。家政婦長に迎えられても挨拶程度で言葉少なく、応接室で半刻ほど師と歓談した後、来た時と同じ顔で帰って行くのだ。
     人並み以上の観察眼を持っていると自負していた亜双義だったが、何度か見かけてもその婦人に関する情報は増えなかった。"淑女を絵に描いたような、控えめだが芯のありそうなご婦人"、というだけである。弁護士を志した頃から一貫して真実を見抜く目を鍛えて来たはずが、それっぽっちのことしか見当がつかない。これは甚だ情けなく、かのご婦人を見掛けるたびに、どうも気にかかるようになっていった。
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