summeralley
DONEこの人の内面はじめて書いたって思ったけどピアニスト飯Pの時に書いてました。あの時はネイPではなかっただけで。
客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い。ネイP描写多めで書きますがラストは飯P予定。
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/12ラストワード テーブル席にウイスキーを出すピッコロを、カウンターの中から見ていた。一気に入った注文があれで片付くから、暫くは落ち着くだろう。
コリンズグラスに、切ったばかりのライムとスペアミントを入れる。バースプーンで軽く潰すと、やや窄まったグラスの口から、涼やかな香りがここまで上がってくる。
ライムは、通常のレシピよりも少し多く入れる。それがピッコロの好みだと、分かっているからだ。砂糖は入れない。氷を入れ炭酸水を注ぎ、手早く混ぜる。ちょうどカウンターへ戻ってきたピッコロに差し出すと、両手で受け取って笑った。
「ありがとう、ネイル。足りないものはないか?」
「今はない。何かあれば声をかけるよ」
頷いて、カウンター客の前へ戻っていく。読んだ本の内容について、尋ねているらしい。それを受けた彼は身を乗り出すように研究を語り、ピッコロも微笑みながら聞いている。
4025コリンズグラスに、切ったばかりのライムとスペアミントを入れる。バースプーンで軽く潰すと、やや窄まったグラスの口から、涼やかな香りがここまで上がってくる。
ライムは、通常のレシピよりも少し多く入れる。それがピッコロの好みだと、分かっているからだ。砂糖は入れない。氷を入れ炭酸水を注ぎ、手早く混ぜる。ちょうどカウンターへ戻ってきたピッコロに差し出すと、両手で受け取って笑った。
「ありがとう、ネイル。足りないものはないか?」
「今はない。何かあれば声をかけるよ」
頷いて、カウンター客の前へ戻っていく。読んだ本の内容について、尋ねているらしい。それを受けた彼は身を乗り出すように研究を語り、ピッコロも微笑みながら聞いている。
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DONE書いてる私にもンデちゃんだけが癒し……。客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い。ネイP描写多めで書きますがラストは飯P予定。
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/11トワイライト 十月も半ばに差しかかった月曜だった。急に打ち合わせが中止になった僕は、国道沿いの広い歩道を一人歩いていた。午後遅い穏やかな日差しの中、街路樹の金木犀が満開で、辺りは目の覚めるような香りに包まれている。
『Veil』のすぐそば、小さな植物園の前に差し掛かって、デンデの昼の職場がここだったと思い出した。途端、門をくぐる誰かが目に入る。長い手足に、柳葉のような膚……ネイルさんだ。僕へ気付くと、笑って手を振ってくれる。
「お仕事帰りですか? 店に飾る花を受け取りに来たんです。ご一緒しませんか?」
「お邪魔になりませんか」
「まさか。デンデも喜びます」
ネイルさんの言葉の通り、僕らを迎えたデンデはとても喜んでくれた。まずは花壇をひとまわりし、育てている花の説明をしてくれる。どの花もいきいきと咲いており、デンデがどれほど大切に世話をしているか伝わってくる。
4478『Veil』のすぐそば、小さな植物園の前に差し掛かって、デンデの昼の職場がここだったと思い出した。途端、門をくぐる誰かが目に入る。長い手足に、柳葉のような膚……ネイルさんだ。僕へ気付くと、笑って手を振ってくれる。
「お仕事帰りですか? 店に飾る花を受け取りに来たんです。ご一緒しませんか?」
「お邪魔になりませんか」
「まさか。デンデも喜びます」
ネイルさんの言葉の通り、僕らを迎えたデンデはとても喜んでくれた。まずは花壇をひとまわりし、育てている花の説明をしてくれる。どの花もいきいきと咲いており、デンデがどれほど大切に世話をしているか伝わってくる。
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DONEまた🍚ちゃんに良い思いをさせる話ですが、ネイPシーンも濃い目です。客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い。取り合いと書いてますがギスギス激しい対立はしません。ネイP描写多めで書きますがラストは飯P予定。
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/10アルマニャック ネイルは酒を飲まない。
熱に浮かされながら抱きしめた時、イエーガーマイスターの香りがして、妙だな、とは思った。
暫くの後に声が聞こえて、抱き合った相手がネイルではなく悟飯だったのだと分かった。なのに……。
開店まで、まだ一時間以上ある。それでも店に着いた時には既にネイルがいて、カウンターの中でライムを切っていた。カウンター上の照明だけが一つ灯って、ナイフを持つ手元を照らしている。
「ネイル、何か手伝うことは?」
「いや、大丈夫だ。……お前は、大丈夫か?」
カウンターへ入りながら、ネイルの横顔に目を遣った。たった今来たばかりのおれに、おかしなことを訊く。何年も前から見慣れた横顔は、目を上げもせず、ナイフに集中している。
4639熱に浮かされながら抱きしめた時、イエーガーマイスターの香りがして、妙だな、とは思った。
暫くの後に声が聞こえて、抱き合った相手がネイルではなく悟飯だったのだと分かった。なのに……。
開店まで、まだ一時間以上ある。それでも店に着いた時には既にネイルがいて、カウンターの中でライムを切っていた。カウンター上の照明だけが一つ灯って、ナイフを持つ手元を照らしている。
「ネイル、何か手伝うことは?」
「いや、大丈夫だ。……お前は、大丈夫か?」
カウンターへ入りながら、ネイルの横顔に目を遣った。たった今来たばかりのおれに、おかしなことを訊く。何年も前から見慣れた横顔は、目を上げもせず、ナイフに集中している。
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DONE転機となるお話です。客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い。取り合いと書いてますがギスギス激しい対立はしません。ネイP描写多めで書きますがラストは飯P予定。
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/09ウィンナーコーヒー 『Veil』の入口で、店内を振り返ったデンデが中の誰かに話しかけている。また来ますね、と挨拶をして、こちらへ向き直った。
「こんばんは。もう帰っちゃうの?」
「悟飯さん! 今日は……いえ、どうぞお店へ! 歓迎してくれますよ、きっと!」
明るく話しながら、デンデが僕の手を引く。一体なんだか分からずにいると、店の扉が細く開いてピッコロさんが顔を出した。いつもと違い、ベストはなく、シャツの袖を捲ってアームバンドで留めている。襟元のボタンも二つ外され、リラックスした出で立ちだ。
「デンデ、どうした? 話し声が……ああ、お客様」
よく見ると、扉にはCLOSEDの看板が下げられている。ずいぶん早い閉店だ。僕の視線に気付いて、ピッコロさんが肩を竦める。
3741「こんばんは。もう帰っちゃうの?」
「悟飯さん! 今日は……いえ、どうぞお店へ! 歓迎してくれますよ、きっと!」
明るく話しながら、デンデが僕の手を引く。一体なんだか分からずにいると、店の扉が細く開いてピッコロさんが顔を出した。いつもと違い、ベストはなく、シャツの袖を捲ってアームバンドで留めている。襟元のボタンも二つ外され、リラックスした出で立ちだ。
「デンデ、どうした? 話し声が……ああ、お客様」
よく見ると、扉にはCLOSEDの看板が下げられている。ずいぶん早い閉店だ。僕の視線に気付いて、ピッコロさんが肩を竦める。
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DONE客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い。取り合いと書いてますがギスギス激しい対立はしません。ネイP描写多めで書きますがラストは飯P予定。【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/08カフェ・ロワイヤル 盛夏を過ぎ、夜風が吹くとかすかに涼しさも感じるようになってきた。仕事帰りによく寄っていたのに、あの日以来なんとなく気まずくて、僕の足はバー『Veil』から遠のいていた。
ネイルさんが「部屋を訪ねたのは悟飯」と告げたあの時も、ピッコロさんに何か言われたわけではなかった。高熱に浮かされて、かなり朦朧としていたから、詳しく覚えていないのかもしれない。
自分に言い聞かせながら、僕は半屋外のビルの階段を上がっていた。向かいのビルの色とりどりのネオンが、低く垂れ込める晩夏の夜空を彩っている。手のひらが汗ばむように感じるのも、やけに喉が渇くのも、風のない夜だからだろう。
「いらっしゃいませ……ああ、悟飯さん」
2951ネイルさんが「部屋を訪ねたのは悟飯」と告げたあの時も、ピッコロさんに何か言われたわけではなかった。高熱に浮かされて、かなり朦朧としていたから、詳しく覚えていないのかもしれない。
自分に言い聞かせながら、僕は半屋外のビルの階段を上がっていた。向かいのビルの色とりどりのネオンが、低く垂れ込める晩夏の夜空を彩っている。手のひらが汗ばむように感じるのも、やけに喉が渇くのも、風のない夜だからだろう。
「いらっしゃいませ……ああ、悟飯さん」
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DONE客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い。取り合いと書いてますがギスギス激しい対立はしません。ネイP描写多めで書きますがラストは飯P予定。【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/07イエーガーマイスター その日、バー『Veil』はいつになく忙しそうだった。
居酒屋のように騒がしい客はいないものの、週末だけあって全ての席が埋まっている。ネイルさんの作るカクテルや、注がれたウィスキーをデンデが忙しく運び、キッチンへ何度も引っ込んでは、洗い終えたグラスを持って足早に出てくる。
ピッコロさんは、いなかった。
僕はカウンターの隅で大人しく待ち、やや落ち着いたタイミングを見計らってネイルさんへ話しかけた。
「ピッコロさん、お休みですか……?」
「夏風邪で寝込んでまして……開店の直前に発熱したようで。お待たせしてすみません」
カクテルを頼むのは忍びなく、今日はネイルさんに任せて出してもらったリキュールを飲んでいた。何十種類ものハーブで作られているということで、ちょっと薬のような癖のある味だ。
3935居酒屋のように騒がしい客はいないものの、週末だけあって全ての席が埋まっている。ネイルさんの作るカクテルや、注がれたウィスキーをデンデが忙しく運び、キッチンへ何度も引っ込んでは、洗い終えたグラスを持って足早に出てくる。
ピッコロさんは、いなかった。
僕はカウンターの隅で大人しく待ち、やや落ち着いたタイミングを見計らってネイルさんへ話しかけた。
「ピッコロさん、お休みですか……?」
「夏風邪で寝込んでまして……開店の直前に発熱したようで。お待たせしてすみません」
カクテルを頼むのは忍びなく、今日はネイルさんに任せて出してもらったリキュールを飲んでいた。何十種類ものハーブで作られているということで、ちょっと薬のような癖のある味だ。
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DONE客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い、やっと恋愛色が濃くなってきました。連載ラストは飯Pに帰結しますが、この6話はネイP色がかなり濃いめなので、繊細な飯P派の方は避けてください🥺 とはいえネイPほとんど書いたことないので、好きな人に楽しんでもらえたら嬉しい。
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/06カンパリ 急な呼び出しを受けた僕は、夕暮れの住宅街を職場へ向けて歩き出していた。梅雨が近く湿度が高いためか、濃い絵の具をべったりと塗りつけたような、目に焼きつく夕映えだ。
「こんばんは!」
すれ違い様に声をかけられ、目を向けると、大きな紙袋を三つも抱えたデンデだった。
「こんばんは……大荷物だね、何?」
「摘んだハーブです! このあと家で邪魔なものを取り除いて、ブレンドして……。お店に持っていくので、飲んでくださいね」
なんとも朗らかな笑顔で、デンデが説明してくれる。こんな時間から職場へ向かうなど気が重かったが、屈託のないデンデの様子にたちまち明るい気分になった。
「楽しみだな。この辺りに住んでるの? 僕もだよ」
4645「こんばんは!」
すれ違い様に声をかけられ、目を向けると、大きな紙袋を三つも抱えたデンデだった。
「こんばんは……大荷物だね、何?」
「摘んだハーブです! このあと家で邪魔なものを取り除いて、ブレンドして……。お店に持っていくので、飲んでくださいね」
なんとも朗らかな笑顔で、デンデが説明してくれる。こんな時間から職場へ向かうなど気が重かったが、屈託のないデンデの様子にたちまち明るい気分になった。
「楽しみだな。この辺りに住んでるの? 僕もだよ」
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DONE客🍚とマスター💅のバーテンダーぴ取り合い毎度言ってますが🍚がぴ意識しすぎて💅との距離が気になるだけで、プロの💅は客の前で匂わせはしません。と言い訳して匂わせを書いてます、CPものなので🫶
ナメ店員いてP受けの匂いを感じる店があるなら通います……週七で……
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/05ニコラシカ 『Veil』のカウンターには、ひとつ間を空けてもう一人、客が座っていた。長く通っているらしく、マスターと談笑しながらグラスを傾けている。
僕は作ってもらったカクテルを飲みながら、言葉少ななピッコロさんにとりとめもない話を聞かせていた。水煙草を共有して以来、ほんの時たま笑顔を見せてくれるのがたまらなく嬉しい。とはいえ先日の路地裏で見た荒んだ雰囲気など、まだ分からないことの方が多かった。
「何か飲まれますか」
残り少なくなっている僕のグラスを見て、ピッコロさんが尋ねてくれる。
「どうしようかな……」
まだ酔いは回っていないが、酒に詳しくないので何が飲みたいというものもない。いつも「甘いもの」「さっぱりしたもの」というような注文をしている。思案していると、隣の客がマスターへ、ニコラシカを、と言うのが聞こえた。かしこまりました、と答えたマスターが半身だけ振り返り、棚から小さな瓶を取り出す。
3807僕は作ってもらったカクテルを飲みながら、言葉少ななピッコロさんにとりとめもない話を聞かせていた。水煙草を共有して以来、ほんの時たま笑顔を見せてくれるのがたまらなく嬉しい。とはいえ先日の路地裏で見た荒んだ雰囲気など、まだ分からないことの方が多かった。
「何か飲まれますか」
残り少なくなっている僕のグラスを見て、ピッコロさんが尋ねてくれる。
「どうしようかな……」
まだ酔いは回っていないが、酒に詳しくないので何が飲みたいというものもない。いつも「甘いもの」「さっぱりしたもの」というような注文をしている。思案していると、隣の客がマスターへ、ニコラシカを、と言うのが聞こえた。かしこまりました、と答えたマスターが半身だけ振り返り、棚から小さな瓶を取り出す。
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DONEバーテンダーPとマスター💅と客🍚の三角関係。ネイPシーン多めで飯P帰結予定です。ジキルのレシピ色々あるようですが、視覚的に綺麗な部分の良いとこ取りで書いてます。それに二層に分かれてて一気飲みするタイプのカクテルはマスター💅の店みたいなお上品バーでは出ないと思いますが、全ては、バー小説でなくてネイP飯P小説なので……🥹
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/04ジキル 今日の食事会は、本当に気分が悪かった。研究者の集まりというのは、高め合うことが出来る時もあれば、牽制と探り合いが渦巻く時もある。今日は、後者だった。
そう飲まされたわけではなかったが、場の空気にあてられた僕はひどく苛立っていた。いつしかあの店のことを思い出し、足は勝手に表通りから一本入り込む。
地面を睨みながら歩いていると、ビルとビルの間の暗闇から話し声が聞こえた。ちらと目線を向ければ、気の荒そうな男が、どうやら学生に絡んでいる。肩がぶつかったとか、なんとか、ろくでもない理由で……咄嗟に二人の間に入り込み、苛立ちそのままに雑に声をかけた。
「もういいだろ、どっちも早く帰りなよ」
絡まれていた学生は、間に僕が入ったことでこれ幸いと駆け出す。絡んでいた男は、矛先を僕に向けはじめた。当然の結果だろう。
3317そう飲まされたわけではなかったが、場の空気にあてられた僕はひどく苛立っていた。いつしかあの店のことを思い出し、足は勝手に表通りから一本入り込む。
地面を睨みながら歩いていると、ビルとビルの間の暗闇から話し声が聞こえた。ちらと目線を向ければ、気の荒そうな男が、どうやら学生に絡んでいる。肩がぶつかったとか、なんとか、ろくでもない理由で……咄嗟に二人の間に入り込み、苛立ちそのままに雑に声をかけた。
「もういいだろ、どっちも早く帰りなよ」
絡まれていた学生は、間に僕が入ったことでこれ幸いと駆け出す。絡んでいた男は、矛先を僕に向けはじめた。当然の結果だろう。
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DONE客🍚がマスター💅とバーテンダーぴを取り合う話。ネイPシーン多めかつ、飯Pエンド予定です。03話にしてやっと煙り、飯Pの距離が少し縮まりました。店員と客だからなかなか詰まらないね……
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/03ブルームーン 火曜の繁華街は、週末に比べるといくらか落ち着いていた。古びたビルの周りにも、そう酩酊している人はいない。夜の街に生きる人々が足取り軽やかに行き交い、曜日の感覚の薄れている学生たちだけが、酔いのまわった陽気さで語り合っている。
足音の響く薄暗い階段を上がり、四階にある『Veil』の扉を開けると、前回と違いマスターが不在だった。
「いらっしゃいませ、どうぞ」
ピッコロさんは相変わらず微笑みもしないが、僕が二度座ったカウンターの席を手で示してくれる。覚えてもらえていたということが、浮き足立つように嬉しい。
「何になさいますか」
「僕、本当にお酒よく知らなくて……ピッコロさんの好きなカクテル、作ってもらえますか?」
3991足音の響く薄暗い階段を上がり、四階にある『Veil』の扉を開けると、前回と違いマスターが不在だった。
「いらっしゃいませ、どうぞ」
ピッコロさんは相変わらず微笑みもしないが、僕が二度座ったカウンターの席を手で示してくれる。覚えてもらえていたということが、浮き足立つように嬉しい。
「何になさいますか」
「僕、本当にお酒よく知らなくて……ピッコロさんの好きなカクテル、作ってもらえますか?」
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DONEマスター💅と客🍚がバーテンダーぴを取り合う連載です。が、ギスギスはない予定です。ネイPシーン多めに書くつもりだけど、最終的に飯Pに帰結するはずなので繊細なネイP派の方は避けてね。
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/02アフターエイト 賑やかな表通りから入り込んだ裏通りは、まだ木曜日なのに週末のような様相だった。既に酩酊している集団、あきらかに夜の仕事のきらびやかな男女、電話へ向かって頭を下げる人、缶のお酒を片手に談笑する若者たち……飲食店の照明と看板の灯り、ビルの壁に飾られたネオンが煌々とそれらを照らし出している。
そのビルは比較的古びていて、入口のテナントサインにも抜けている部分が何ヵ所かあった。二階は、20時には閉店の洋食屋とカレー屋、三階は数軒の居酒屋、そして四階に、半月前に訪ねたバー『Veil』がある。
「こんばんは……」
窓つきの扉をゆっくり開くと、店内にはマスターだけがいた。
「おや、少し前に……研究の話を聞かせて下さった……」
3429そのビルは比較的古びていて、入口のテナントサインにも抜けている部分が何ヵ所かあった。二階は、20時には閉店の洋食屋とカレー屋、三階は数軒の居酒屋、そして四階に、半月前に訪ねたバー『Veil』がある。
「こんばんは……」
窓つきの扉をゆっくり開くと、店内にはマスターだけがいた。
「おや、少し前に……研究の話を聞かせて下さった……」
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DONEマスター💅、バーテンダーぴ、客🍚がじわじわと距離を詰め三角関係に陥る予定の連載です。が、見てて辛いギスギスはないです。ネイPシーン多めに書くつもりだけど、最終的に飯Pに帰結するはずなので繊細なネイP派の方は避けてね。
【飯PネイP】煙るバーカウンターにて/01ウォッカトニック 大人になるにつれ飲酒の場面が増えるとは、大学でもさんざんに聞かされた。自分の飲める量を把握しておかないと、痛い目に遭うと。
ところが実際は、把握していようがいまいが、飲まなければいけない場面は出てくる。今がまさにそうだ。お世話になっている教授に「もう一軒」と言われれば、上手く断る術をまだ僕は知らなかった。
賑やかな飲食店の並ぶ表通りから、少し入り込んだ裏通りは雑多な印象だった。車止めに座り込んで話し込んでいるのは、学生だろうか? ビルとビルの間には不穏な暗闇が蹲り、通りに輝くネオンのせいで余計にその陰を濃くしていた。
教授がビルの階段を上がって行くので、僕もついて行く。もう大人だが、夜の街には慣れていない。こういうビルには、何か悪いものが潜んでいそうで、一人では絶対に踏み入らなかっただろう。
4002ところが実際は、把握していようがいまいが、飲まなければいけない場面は出てくる。今がまさにそうだ。お世話になっている教授に「もう一軒」と言われれば、上手く断る術をまだ僕は知らなかった。
賑やかな飲食店の並ぶ表通りから、少し入り込んだ裏通りは雑多な印象だった。車止めに座り込んで話し込んでいるのは、学生だろうか? ビルとビルの間には不穏な暗闇が蹲り、通りに輝くネオンのせいで余計にその陰を濃くしていた。
教授がビルの階段を上がって行くので、僕もついて行く。もう大人だが、夜の街には慣れていない。こういうビルには、何か悪いものが潜んでいそうで、一人では絶対に踏み入らなかっただろう。