アバロンの夏は地理的なものもあってか他の地域よりも暑さが厳しい。
意外と我慢強いジェラールであってもこの暑さは堪えるようで書類にサインをする手の動きも緩慢に見える。
それでも何とか区切りがついたようで椅子に座ったまま身体を伸ばす。
「これだけ暑いとなかなか進まないものだね...とりあえず今日の分はこれで終わり。休憩入れたいし何か冷たい物でも持ってきてもらおうか。」
冷たい物という言葉に反応した護衛のヘクターが声を潜めてジェラールに近づき問い掛ける。
「それなら折角ですからおすすめしたい物があるんですがご一緒にいかがです?」
成人している事は間違いないのに子供が浮かべるようないたずらっ子のような笑みを浮かべるヘクターの誘いは色んな意味で甘く感じるものだ。
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