火点し頃アーサーが騎士団に入ってもう8ヶ月が過ぎる。夕方だというのに夏の暑さは薄らぐことも無く、少し動いただけで汗が滝のように流れて仕事の邪魔をする。それをおざなりに腕で拭いながら作業を続ければ今日の仕事もまた終わりに近付く。
あと一ヶ月もすればこの暑さも和らぎ、秋へと木々も色付き始めるだろう。それが少し寂しいと思ってしまうのは自分の誕生日が夏の終わりを告げる頃だからだろうか?
昼間は青色の高い空に眩しい白い光が燦々と降り注いでいたのに、今空は藍色に落ち着き太陽は金色に近い色で地平線の向こうへ落ちかけている。
夕方の蝉の声も気付けば初夏とは違う種類になっている。次気付いた時には空には赤いトンボと鈴虫など秋の虫の声に変わっているかも知れない。
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