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    MAIKING無双黄ルートネタです。
    「彼女たちも痛みや苦しみから守ってくれる堅牢な住処があると信じて愛に縋った。しかし周知の通り愛は血の気が引くような結果しかもたらさなった」
    クロロレワンドロワンライ第55回「きょとん」 ベルグリーズ領侵攻に失敗した場合どんな事態に陥るのか、については円卓会議で散々話し合った。再びミルディン大橋を奪われたらアミッド大河沿いの領主たちは家を取り潰されるだろう。一度は許されても二度は許されない。何度でも許すとなっては帝国という国の基礎が揺らぐ。
     撤退する際に追撃され再びミルディン大橋を占拠されそうになったら、アミッド大河沿いの領主たちを守るため最初に提案したように大橋を完全に破壊し国境を封鎖する。クロードはこの戦いに勝っても負けても何かは得られるようにことを運んだ。しかしこんな風に勝敗自体を放棄する羽目になるとは考えていなかった。
     東側の国境が封鎖できているという前提で作戦を立てた自分はどうやらフォドラに染まりすぎたらしい。滲み出る悔しさを誤魔化すためクロードは奥歯を噛み締めた。クロード、いや、カリードは物心ついた頃から未来の王として育てられたわけではない。母は後に正妃となったがそれは他の妃たちが争いで共倒れした結果だ。それなのに母が有力な豪族出身であるシャハドは行方不明となった弟の影と戦っている。
    1994

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    DONE11/3イベント展示用です。
    「かのひとはうつくしく」本編はこちらで全文読めます。
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17484168

    7/23金鹿男女!で発表した番外編「ペアエンドまであと少し」とリンクしています。
    https://poipiku.com/1455236/7169273.html

    クロヒルとロレマリが並立していてクロヒルが見切れるので地雷の方はご注意ください。
    かのひとはうつくしく-その後-ロレマリ編1.実家
     ようやくデアドラでの政務を終え自領に腰を落ち着けることになったローレンツが本宅に戻ると父は執務室ではなく玄関の外で待っていてくれた。ようやく家督を継ぎ父を休ませてやれる。千年祭の日にガルグ=マクへ行くためこっそり抜け出てから今日まで本当に心配ばかりかけてしまった。

    「ローレンツ、中で母上が待っている。早く入って挨拶しなさい」
    「分かりました。父上、お話ししたいことがありますので夕食後にお時間を作っていただけますか?」
    「分かった。書斎で待っていよう」

     屋敷の中から出てきた召使いに荷物を任せローレンツは久しぶりに実家へと足を踏み入れた。手巾で目元を押さえる母の手に見事な紅玉の指輪が嵌っている。マリアンヌへ求婚する際に指輪を散々物色したがヒルダの協力を得られなかったらこの紅玉の指輪より素晴らしいものは見つからなかっただろう。長期間の不在を詫びローレンツは自室に戻った。
    8204

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    DONE11/3イベント展示用です。

    「かのひとはうつくしく」本編はこちらで全文読めます。
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=17484168

    7/23金鹿男女!で発表した番外編「ペアエンドまであと少し」とリンクしています。
    https://poipiku.com/1455236/7169273.html

    クロヒルとロレマリが並立していてロレマリが見切れるので地雷の方はご注意ください。
    かのひとはうつくしく-その後-クロヒル編1.執務室
     自分宛の荷物が届いたから、とのことでしばらく実家に帰っていたヒルダが要塞にいるホルストの元に戻ってきた。五年に及ぶ大乱のあとヒルダと共に戦った戦友たちはそれぞれに人生という双六の駒をひとつ進めていたがヒルダはホルストの補佐をするにとどまっている。
     相談がある、とのことでホルストは時間を作り執務室にヒルダを迎えていた。毎日食堂や訓練場で顔を合わせるもののヒルダは最近、捕虜の面倒を熱心にみているので滅多に執務室に顔を出してくれない。

    「私クロードくんのところに一度行ってみようと思うの」

     クロードくん、こと隣国パルミラの王子が寄越してきた使節に最初に対応したのはホルストだ。外交官として何度も国境を越えパルミラの官吏たちと折衝を重ねたのはローレンツだ。今も交渉は続いており首飾りを越えていく彼をホルストはいつも励ましている。そうして他人が踏み固めた道を悠々と歩いていくのは実にヒルダらしい、と言えるのかもしれない。
    8307

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    MAIKINGだが遂に事は成った。後世においてどちらがどちらに魂を売ったと評されるのか我々には知る由もない。
    クロロレワンドロワンライ第43回「薔薇」「笑顔」  ローレンツの二度目の学生生活は一度目と同じく途中で終わってしまった。アドラステアでもファーガスでも国を揺るがすような一大事があったので仕方ないとは言え失望してしまう。流石に父エルヴィンも思うところがあったのかローレンツを様々なところへこれまで以上に連れ出すようになった。領内の視察もだがデアドラに行く機会も増えている。気分転換にも将来の領地経営の参考にもなった。

    「父上も僕も遊びに行くわけではないのだよ。父上と僕が留守にするのだからイグナーツくんと共にこの家と母上を守るのが二人の責務だ」

     子守りを頼むイグナーツに迷惑をかけるわけにいかないので自分たちも兄上の友達に会いにデアドラへ行きたいと言う弟妹たちをローレンツは慰めている。父相手には言えないことをこっそり聞くのも長子の務めなのだ。だがローレンツ自身としてもややこしいことになりそうなので円卓会議がある時に弟妹をデアドラに連れていきたくない。自分も含めて皆が甘やかしがちな末の妹にしっかりしたリシテアを見習って欲しくはあるのだが、などと考えていたローレンツの鼓膜を妹のクロード=フォン=リーガンに会ってみたいという聞き捨てならない言葉が叩く。
    1966

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    MAIKING我々が少しでも道を逸れていたらレスター連邦国の歴史は全く異なっていた筈だ。おそらくその方が良かった、と主張する者の方が多いだろう。
    クロロレワンドロワンライ第40回「くちづけ」 パルミラ軍の軍勢は近年稀に見る規模である、との報を受けクロードたちは急遽防衛の任にあたることとなった。こんなことさえなければフェルディアやアンヴァルへ出向いた青獅子や黒鷲の者たちを尻目にガルグ=マクでのんびり読書や探索をしていられたはずなのにどこの馬鹿者がフォドラに攻め込んできたのだろうか。
     物見櫓から降りてきたクロードは改めて母国パルミラの好戦的な将軍たちの顔を脳裏に思い浮かべた。しかし彼らにはあれだけの兵を集める権限がないのだ。嫌な予感がする。

    「クロードくん、どうだった?」
    「ホルストさんが言う通りとんでもない、の一言だ」
    「君の我儘で上ったのだ。判明したことを具体的に言いたまえ」

     フォドラの首飾りと呼ばれる難攻不落の要塞はヒルダ曰く名字と両親と髪と瞳の色以外共通点がない兄のホルストが守将を務めている。そして到着した時の挨拶から察するにどうやらホルストとローレンツ親子は面識があるらしい。きっとヒルダとローレンツも入学以前から顔見知りなのだ。クロードにはこのような蓄積された人間関係というものがパルミラでもフォドラでも構築出来ていない。他の王子たちは母親の実家をあてにできるがフォドラとパルミラの間に国交がないのでリーガン家はゴドフロアが死ぬまでクロードのことを黙殺してきた。そしてフォドラには数年前に来たばかりとくれば士官学校で地道に交友関係を広げていくしかない。学生という身分は祖父オズワルドからの贈り物だ。
    1625

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    MAIKING我々はその未熟さゆえにいつ破滅してもおかしくはなかった。懸命さは未熟さの言い訳にはならないことも思い知らされた。
    クロロレワンドロワンライ第38回「緊張」 エーデルガルトはセイロスの紋章、ディミトリはブレーダッドの紋章を持っている。クロードもリーガンの紋章を持っているのだが三人の中で最も体力がない。それでも北極星に背を向けて駆け出したのは賊を二手に分けたい、近くの村に助けを求めたい、自分の見た地図が正確かどうか確かめたいという理由があるからだ。

    「エーデルガルト!こっちの方に集落があったよな?」
    「ルミール村のこと?そうね、方角は間違っていない筈だわ」
    「俺はてっきり皆が逃げやすいようにわざと囮をかってでたのだと思っていたな……」
    「ディミトリいくら何でもそれはお人好しがすぎるわ……」

     賊は二手に分かれ半分ほどがクロードたちを追いかけてきたが薄暗い森の中を走っているうちにどうやらあらかた撒けたようだ。だがガルグ=マクでクロードが目にしていた帝国領の地図は残念ながら正確ではなかった。物覚えは良いはずなのにこれでは目的地に辿り着けそうもない。状況は悪化していくばかりだがこれでひとつ分かったことがある。帝国はセイロス教会に国境近辺の正確な地図を提供していない。馴れ合っているかと思ったが緊張関係にあり深い断絶があるのだ。
    1647

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    DONEラジオデアドラの第一話から第三話まではここです。
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13857111
    第四話
    https://poipiku.com/1455236/6698868.html

    第五話
    https://poipiku.com/1455236/6864178.html

    第六話
    https://poipiku.com/1455236/7416118.html

    第七話
    https://poipiku.com/1455236/7568147.html

    第八話
    https://poipiku.com/1455236/7615538.html

    第九話
    https://poipiku.com/IllustDetailPcV.jsp?ID=1455236&TD=7615542
    ラジオデアドラ第十話 マリアンヌのアパートや机を燃やした男はラファエルに羽交い締めにされながらも炎で浄化しなかったら世界が滅ぼされてしまう、と熱弁していた。緑の瞳は熱に浮かされていて激怒するレオニーとヒルダの姿が脳内で像を結んでいるかどうかは怪しい。
     ベレトに依頼された通り録音機材を回していたので一部始終の音声が録れている。最新型のマイクは机を漁る音や呪文を詠唱する声、それを阻止するため殴りかかるラファエルの叫び声を拾った筈だ。
     日頃はこの時間帯に見かけない他の階で働く者たちも騒ぎを聞きつけてやってきたので本番一時間前だというのに人だかりが出来ている。残念ながらテープを一本使い切ってしまったのでこの先のやり取りは音声に残せない。ベレトが取り上げた社員証はマリアンヌが確認したところ残念ながら本物だった。営業部門で働いていたらしい。
    1956

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    MAIKING語り継がれる話は過去の真実を歪め実像からかけ離れていく。本当らしさの欠如によってのみ矯正が可能となる
    クロロレワンドロワンライ第34回「苺」 クロードは祖父が露台で麗らかな春の陽にあたりながらフェイルノートの手入れをしているところをじっと見つめていた。角が生え握りの部分に赤く光りたまに動く球体が嵌っている物を弓と言い切ってしまって良いのだろうか。クロードはそこから疑っている。
     
    「年が明ける今頃は指の腹でここを撫でてやると弦が張りやすくなる。季節によって場所が変わるからよく観察するように」

     祖父は立ち上がってフェイルノートを足の間に挟み弓の背に生えている角としか言いようのない部分を撫でている。弦を外すと通常の弓は真っ直ぐに戻ろうとするのだが弓筈が微かに内側へ曲がったように見えた。

    「早いとこ上手く扱えるようにならなきゃな」

     クロードは弓の腕には自信があるがまだフェイルノートの扱いに自信がない。焦りを帯びた言葉が聞こえているかのように握りの部分に嵌め込まれている赤い球体がぐるぐると回転している。矛盾した話だがクロードは初めてフェイルノートを構えた時、受け入れられた感覚と拒絶された感覚を同時に強く味わった。父から受け継いだパルミラの血のせいかもしれない。
    1610

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    MAIKINGラジオデアドラの第一話から第三話まではここです。
    https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=13857111
    第四話
    https://poipiku.com/1455236/6698868.html

    第五話
    https://poipiku.com/1455236/6864178.html

    第六話
    https://poipiku.com/1455236/7416118.html

    第七話
    https://poipiku.com/1455236/7568147.html
    ラジオデアドラ第八話 社員の名簿が入手できた順ではないかと言うのがヒルダの仮説だったがベレトはそれすらしていないのでは、と言う。

    「確かに軍事機密と関わる企業の場合は名簿を手に入れるのも手間がかかるはずです」
    「例えばマリアンヌが前に住んでいたアパートの件なんだが……隣室の住人は科学雑誌で会社の研究室について語っていた」

     ベレトが雑誌を開いて机の上にそっと置いた。確かにマリアンヌの隣人が顔写真付きでインタビューに答えていた。ご近所付き合いというものをきちんとしていればマリアンヌが自力で気づいたのかもしれない。

    「新聞や雑誌だけではなく放送で名前があがっていた被害者がいる可能性もある。放送局は最先端技術の塊だろう?」

     飄々として燃え残った私物をレオニーの番組に提供していたがマリアンヌも恐ろしかったのだろう。後ろから胸の下に回されたヒルダの手にインクの染みだらけの手を重ねて握りしめている。
    2081

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    MAIKING無双黄ルートの話です。
    「レスター連邦国が清らかであったことは一度もない。我々は大乱で純潔を失いそれを悔やんだことは一度もなかった」
    クロロレワンドロワンライ第31回「走る」 体力をつけなければ魔力は伸びないと言われる。フェルディアの朝は寒いが走っているうちに温まることをローレンツの身体はもう知っていた。エドギアは好きだが生まれて初めて体験する両親の目がない暮らし他所の土地での生活が楽しくて仕方がない。
     フェルディアの方が日の出が遅いため朝を告げる鐘と同時に走り始めると朝焼けが辺りを照らしていく様子を見ながら走ることができる。冷たい石造の校舎に投げかけられた陽の光が辺りに息を吹き込んでいるかのようでその景色を眺めつつ走るのがローレンツの日課だった。冷たさを吸い込み体内の熱を吐き出すと日頃は意識しない呼吸という行為が深く身に刻まれるような気がする。
     ローレンツが敷地内を走り終え寮に戻る頃には蝋燭を節約するため夜ではなく朝に勉強する学生たちが呪文の詠唱を練習する声が辺りに響き始める。毎朝その声を背にローレンツは寮の入り口で汗を拭き息を整えていた。この後部屋で着替えてから食堂で朝食を取り座学に出席する。そんな日々が続くとローレンツは信じていた。
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    DONEkaraka_mayoさんのイラストを拝見して思いついた話です。15_16 (本編最終話)
    12/18こくほこ合わせで同人誌にします。16話は同人誌用の書き下ろし「シルヴァンの一番長い日」です
    15. クロードの氏族名が書かれた身分証明書の効果は絶大でパルミラの王都を出発し二週間ほどでローレンツはスレンへ到着することができた。港の結氷は終わったことになっているがやはり定期的にアグネアの矢で溶かしたり砕いたりする必要があると聞いた。スレンの者からすれば暖かな春はもう始まっているのかもしれないがパルミラから北上してきた身には寒さが堪える。パルミラの王都では奇異な目で見られた襟巻きと分厚い外套が役に立っていた。息が白くなることなどフォドラでは珍しくなかったのにやたら注目してしまう。
     スレンの税関ではもうクロードの威光は意味を成さなかった。餞別にもらった腕輪を差し出せば待たずに済んだかもしれないがそれでいい。入国を待つ人々の列に混ざりフォドラ商人がすぐに見つかるよう祈った。彼らならフォドラ大使館の場所を知っている。次、と言う声がしたので身分証明書と王都のスレン大使館で発行された査証を差し出した。この手続きが終わればローレンツは数年ぶりにローレンツ=ヘルマン=グロスタールに戻ることができる。
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