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    ナチュラル

    ほしいも

    DONE鍋を食べる素山兄弟
    ■狛恋と猗窩煉の狛治と猗窩座
    ■現代パロディでナチュラル双子設定
    「恋雪さんと一緒に居ると、どうも自分が自分でないようで落ち着かない。」
    「たしかに、恋雪を前にしたお前は気色が悪い。」
    「きしょ…。」
    「きーっしょい。俺の顔で挙動不審になるな、みっともない。」
    「俺の顔は俺のモンだ、ふざけたこと言うな。」

     カセットコンロの上に乗せられた鍋が、ぐつぐつと音を立てて煮立っている。鍋を挟んで向かい合う少年が二人。鏡写しのように瓜二つな兄弟は、一卵性双生児の双子である。先に産声を上げた狛治に続き、18分後に控えめな泣き声を響かせた猗窩座が弟という事になっているが、当人同士にどちらが兄で弟かという拘りはなかった。
     狛治が煮立つ具材を菜箸で器用に掬い取って取り分ける。白菜、えのき、豆腐、豚肉、しいたけを摘まむと「それ要らない」と既に箸を手にして待っている猗窩座から横槍を入られる。菜箸だとしても手を付けた食材を鍋に戻す気にはならず、また、一世一代の大恋愛の悩みを吐露した結果気色悪いと切り捨てられた事も胸中に燻ぶっていて、しっかりと耳に届いたしいたけ拒否の意思を無視して皿に入れる。ダイニングテーブルの下で狛治の脛に、裸足の爪先がぶつけられる。
    「好き嫌いするな 1987