800
minamikyo
DOODLE800字のやつチャレンジ一日目。ココイヌ未満。クリスマスのそのあと。まとまらなかったので多分続く。
新年。東卍の周回に顔を出し、黒龍として東卍の傘下に降った九井たちはこそこそと話しあう一番隊員から距離を置いてそれを眺めていた。
「な、いきなり話さなくてよかっただろ?」
九井の言葉に、乾は小さく頷く。その横顔からは心情は計り知れないが、早く花垣と話したがっているのはわかっていた。
九井が土地ごと所有している元S•S Motorsのソファに座った乾が徐に「東卍の一番隊に着くことにした」と言った時には九井は目を丸くした。だが乾の突拍子がないのはいつものことだった。気を取り直して続きを促す。
「ほんとは十一代目の黒龍を花垣に継いでほしかったんだけど、マイキーに止められた」
さらに突拍子のないことに、乾は黒龍の頭に花垣を据えたいと言い出した。
874「な、いきなり話さなくてよかっただろ?」
九井の言葉に、乾は小さく頷く。その横顔からは心情は計り知れないが、早く花垣と話したがっているのはわかっていた。
九井が土地ごと所有している元S•S Motorsのソファに座った乾が徐に「東卍の一番隊に着くことにした」と言った時には九井は目を丸くした。だが乾の突拍子がないのはいつものことだった。気を取り直して続きを促す。
「ほんとは十一代目の黒龍を花垣に継いでほしかったんだけど、マイキーに止められた」
さらに突拍子のないことに、乾は黒龍の頭に花垣を据えたいと言い出した。
Moondal
PROGRESS2022/7/14 1日目進捗小説→800字 前回まで書き進めたものが行き詰まったので展開変更して書き直した
人体練習→写真のモデルからパーツの図形を捉える練習 たぶん数日後ルークハントになる
イラスト制作→チョコチップクッキーができた
イラレ→ブレンドツールに四苦八苦した
筋トレ→二の腕
ストレッチ→した 3
f_chako_yrym
INFO7月24日発行予定の(槍+術)×弓新刊のサンプルです。こちらは冒頭の槍弓全年齢ターンですが後半術弓とぬるめの3p18禁描写がありますので本の購入は成人の方とさせていただきます。後日えっちシーンのサンプルを別途あげます~バーで出会った槍弓がワンナイトしようとしたら槍の兄、術が…みたいな現パロ58ページです。価格は700~800円の予定です。部数アンケートにご協力よろしくお願いします! 12
笹(ささ)
INFO【2022/07/24 ミラコン‼︎】 新刊サンプルです通販はとらのあな様→https://ecs.toranoana.jp/joshi/ec/item/040030993474/
『いってきます、いってらっしゃいを、きみと』
全年齢向け/A5/84P ¥800(イベント頒布価格)
かげひなパーティ‼︎夏祭 参加します!
東3ホール マ26aパンダの糧
よろしくお願いします! 38
namo_kabe_sysy
TRAINING800文字(前後)チャレンジ64
アル空 会話文。キスについて。
64 アル空「アルベドってさ、」
「?」
「…なんでそんなに、キス、上手なの?」
「上手と分かるほど、キミは経験があるんだ?」
「ちょっとー、俺の方が質問してるんですけどー?」
「ふふ、ごめんね。……上手かどうかは、ボクにはわからない。こうしたことをするのはキミが初めてだから」
「それにしては慣れてるように見えるけど」
「そうかな?」
ちゅ、
「わ、もう、ちょっと! 俺は真剣に聞いてるのに!」
「わかってる、でもしたくなったから、つい」
「……まあ、いいや。それで、どうなの?」
「そうだな…キミに対しては慣れてきたと思うけれど」
「俺に対して?」
ちゅ、
「ぅ、……んっ」
「うん、それから…」
「…?」
「口づけのたびにそうやって、肩を跳ねさせて、目を瞑ってしまうところとか、」
732「?」
「…なんでそんなに、キス、上手なの?」
「上手と分かるほど、キミは経験があるんだ?」
「ちょっとー、俺の方が質問してるんですけどー?」
「ふふ、ごめんね。……上手かどうかは、ボクにはわからない。こうしたことをするのはキミが初めてだから」
「それにしては慣れてるように見えるけど」
「そうかな?」
ちゅ、
「わ、もう、ちょっと! 俺は真剣に聞いてるのに!」
「わかってる、でもしたくなったから、つい」
「……まあ、いいや。それで、どうなの?」
「そうだな…キミに対しては慣れてきたと思うけれど」
「俺に対して?」
ちゅ、
「ぅ、……んっ」
「うん、それから…」
「…?」
「口づけのたびにそうやって、肩を跳ねさせて、目を瞑ってしまうところとか、」
狭山くん
TRAINING2022-06-26/本日のデイリー後半戦!思った以上に長くなってもう800字デイリーって何????みたいな感じになってる。汐見って割と何も言わずに極端な事するタイプだと思ってる。空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:26.2「で、何があったんだよお前ら」
ギャラリーを押し退け、フェルマーと共に空き教室へと汐見を押し込んだ高師は呆れ混じりの声色で前置きもなくそう切り出した。
「あ! シュンメ誤解しないでね、これはビジネス浮気みたいなもので」
「フェルマーお前には訊いてないし、ビジネス浮気って何なんだそれは!」
あまりにも能天気なフェルマーの言葉へ思わず叫んでしまう高師を追うように「ヴィン、俺をダシにすんな」と不機嫌そうな声色で汐見の声が刺さってくる。
「汐見、お前は本当に何なんだ。いきなりこっちの教室まで来て」
「……別に」
尊大な態度で椅子に座りながら高師の言葉にはふい、と顔を逸らし一言だけを口にする汐見の態度は完全に拗ねた子供の仕草で。そんな汐見の態度にこの短い時間だけで何度吐き出したのかも分からない二酸化炭素を再び口から漏らした高師は、フェルマーへと視線を向ける。
2948ギャラリーを押し退け、フェルマーと共に空き教室へと汐見を押し込んだ高師は呆れ混じりの声色で前置きもなくそう切り出した。
「あ! シュンメ誤解しないでね、これはビジネス浮気みたいなもので」
「フェルマーお前には訊いてないし、ビジネス浮気って何なんだそれは!」
あまりにも能天気なフェルマーの言葉へ思わず叫んでしまう高師を追うように「ヴィン、俺をダシにすんな」と不機嫌そうな声色で汐見の声が刺さってくる。
「汐見、お前は本当に何なんだ。いきなりこっちの教室まで来て」
「……別に」
尊大な態度で椅子に座りながら高師の言葉にはふい、と顔を逸らし一言だけを口にする汐見の態度は完全に拗ねた子供の仕草で。そんな汐見の態度にこの短い時間だけで何度吐き出したのかも分からない二酸化炭素を再び口から漏らした高師は、フェルマーへと視線を向ける。
Oknyeo_Salryu
DOODLE[커미션 신청 양식]신청자 닉네임 및 계정: @ex88OP 피힝 (공개계정이에요!)
입금은행/입금한 분 성함: 카카오뱅크 / 이진
캐릭터 자료: 사진자료 참고 부탁드립니다!
완성본을 받으실 메일 주소: jeje800@naver.com 2
dd9ynsp
INFO6/19開催パバステ4【ライス:き2】にて、展示・頒布する新刊「詩想と白雨」の本文サンプルです。想雨の短編集(加筆修正+新規短編+寄稿作品)です。〇全年齢/文庫/86P/800円
表紙はしまや出版様のセミオーダーです。
展示→https://privatter.net/p/8975973
頒布→休止中 11
oz_on_e
MEMO #鍾甘ワンドロ に先日投稿したものです。800年程度前、ちょいちょい璃月で宴会をしていたという初代七神エピソードより。
明らかになっていない時系列も多いので捏造を含みます。いずれはもう少し長い話として書き直したい。
「──来年、ですか? おそれながら四回目の宴では皆様より、百年前には通達がほしいと仰られておりました。あまりに急なのでは……」
「あの時は忘れていたが、もうじき絶雲の千年桃花が咲く時期になる。これを逃す手はあるまい」
厳密に言えば岩王帝君が『忘れる』ことはそれこそ摩耗でもなければありえないが、単純に一時的な失念をしていることはあるらしい。
よい宴になるだろう、と、すでに楽しげな顔で酒の手配についてなどを語りはじめた主君を前に、甘雨は思いとどまらせることを諦めた。──またいくつかの国からは文句が届くだろうが、こうなっては早めに日取りを決めて各国に知らせを出すしかないだろう。
──時は、璃月港に不思議な旅人が訪れるより千年足らずを遡った、岩王帝君が健在であった時代。魔神戦争が終結し、国の姿も現在の形をあらわしはじめた頃。初代・俗世の七執政──七柱の神々は璃月の地に時折集っては語らう慣習が出来ていた。
1055「あの時は忘れていたが、もうじき絶雲の千年桃花が咲く時期になる。これを逃す手はあるまい」
厳密に言えば岩王帝君が『忘れる』ことはそれこそ摩耗でもなければありえないが、単純に一時的な失念をしていることはあるらしい。
よい宴になるだろう、と、すでに楽しげな顔で酒の手配についてなどを語りはじめた主君を前に、甘雨は思いとどまらせることを諦めた。──またいくつかの国からは文句が届くだろうが、こうなっては早めに日取りを決めて各国に知らせを出すしかないだろう。
──時は、璃月港に不思議な旅人が訪れるより千年足らずを遡った、岩王帝君が健在であった時代。魔神戦争が終結し、国の姿も現在の形をあらわしはじめた頃。初代・俗世の七執政──七柱の神々は璃月の地に時折集っては語らう慣習が出来ていた。
狭山くん
TRAINING2022-06-12/本日のデイリーは後半へ続いたお前らさっさとくっ付け騒動。800字とは以下略。3日間に渡った告白編が書けて拙者満足でござる。
空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:12 どうしたもんか。
汐見はフェルマーから送られたメッセージを見つけてから数えて数度目になるその言葉を胸の内でだけ呟いて。涙に濡れた空閑の瞳と残る三人の男たちからの視線、合わせて八の瞳を向けられて居心地の悪さに少しだけ眉を寄せる。
「……アマネ」
所在なさげに小さく漏らされた空閑の声は、この一年半殆どの時間を共に過ごしていたというのにはじめて聞くかのような弱々しいもので。どこか赦しを乞うかのような色を帯びたその声に、汐見はこの場所に足を踏み入れてから二度目になる溜息を吐き出した。
「……おい、浩介」
「ん?」
ジーンズの尻ポケットに差し込んでいた財布を手に篠原へと言葉を掛けた汐見へ、彼はどうしたと言わんばかりに首を傾げて見せる。
2538汐見はフェルマーから送られたメッセージを見つけてから数えて数度目になるその言葉を胸の内でだけ呟いて。涙に濡れた空閑の瞳と残る三人の男たちからの視線、合わせて八の瞳を向けられて居心地の悪さに少しだけ眉を寄せる。
「……アマネ」
所在なさげに小さく漏らされた空閑の声は、この一年半殆どの時間を共に過ごしていたというのにはじめて聞くかのような弱々しいもので。どこか赦しを乞うかのような色を帯びたその声に、汐見はこの場所に足を踏み入れてから二度目になる溜息を吐き出した。
「……おい、浩介」
「ん?」
ジーンズの尻ポケットに差し込んでいた財布を手に篠原へと言葉を掛けた汐見へ、彼はどうしたと言わんばかりに首を傾げて見せる。
狭山くん
TRAINING2022-06-10/空閑汐♂デイリー、遂に2000字超えてて800字チャレンジとは……?ってなってます。しかも空閑が出て来ない汐見独白回である。篠原は空気を読む男だよ!
空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:10 時折足を向けるその場所で篠原の視界に現れたのは、汐見の姿であった。
「珍しいな、こんな所で」
「お前こそ」
心底珍しいものを見るような視線を汐見に向ければ、汐見は鬱陶しそうに片手をひらりと振りながらも篠原へと言葉を返す。汐見が珍しい訳ではない、部活で飽きる程に顔を合わせているから。珍しかったのは、彼が一人で大学部に併設された図書館に居る事だった。
高等部と大学部――そして学生と教員たちの宿舎や食堂だのコンビニだのが併設された広大な敷地からなるひとつの町のようなこの場所で、高等部の生徒が大学部の図書館に揃うのは珍しい事だった。課題をこなす為の文献をあたるのであれば高等部でも事足りる。
篠原は大学部に在籍する学生との逢瀬の為に時折この場所を訪れていたが、篠原が入学してから一年半を過ぎた今までの間、汐見を含めた高等部の生徒と出会うという事はなかったのだ。
2324「珍しいな、こんな所で」
「お前こそ」
心底珍しいものを見るような視線を汐見に向ければ、汐見は鬱陶しそうに片手をひらりと振りながらも篠原へと言葉を返す。汐見が珍しい訳ではない、部活で飽きる程に顔を合わせているから。珍しかったのは、彼が一人で大学部に併設された図書館に居る事だった。
高等部と大学部――そして学生と教員たちの宿舎や食堂だのコンビニだのが併設された広大な敷地からなるひとつの町のようなこの場所で、高等部の生徒が大学部の図書館に揃うのは珍しい事だった。課題をこなす為の文献をあたるのであれば高等部でも事足りる。
篠原は大学部に在籍する学生との逢瀬の為に時折この場所を訪れていたが、篠原が入学してから一年半を過ぎた今までの間、汐見を含めた高等部の生徒と出会うという事はなかったのだ。
namo_kabe_sysy
TRAINING800文字(前後)チャレンジ63
アル空 風邪っぴき空くんとお見舞いにくるアルベドくんのお話。現パロ軸です。ゲストに蛍ちゃん。
63 アル空妹の蛍が使う部屋の隣に、空の自室はあった。
室内には勉強で使うデスク、主にゲームの時に活躍するテレビ、お菓子を置くのに重宝するローテーブルがある。そして現在、空が体を潜らせているベッドが、部屋の主人を抱き止めている。
「ああ〜も〜さいあくだ〜」
呻く空の声に反応する誰かはいない。虚しく消えていくじとりと重い言葉に、さらに眉間に皺が寄る。
本当なら今頃、アルベドと映画を観ているはずだったのに。
それがどうして、当日になって風邪なんか引いてるのか。空は自分の身体にずっと悪態をついていた。
ベッドの上で、仰向けになったりうつ伏せになったり忙しなく動きながら、枕元に置いた携帯に手を伸ばす。メッセージの着信は……特にない。知っていて、アルベドとの最後のやりとりを読み直す。
4093室内には勉強で使うデスク、主にゲームの時に活躍するテレビ、お菓子を置くのに重宝するローテーブルがある。そして現在、空が体を潜らせているベッドが、部屋の主人を抱き止めている。
「ああ〜も〜さいあくだ〜」
呻く空の声に反応する誰かはいない。虚しく消えていくじとりと重い言葉に、さらに眉間に皺が寄る。
本当なら今頃、アルベドと映画を観ているはずだったのに。
それがどうして、当日になって風邪なんか引いてるのか。空は自分の身体にずっと悪態をついていた。
ベッドの上で、仰向けになったりうつ伏せになったり忙しなく動きながら、枕元に置いた携帯に手を伸ばす。メッセージの着信は……特にない。知っていて、アルベドとの最後のやりとりを読み直す。
狭山くん
TRAINING2022-06-08/今日のデイリー空閑汐♂はおっぱじめてないのでギリギリセーフだと思ってる。文字数は800字って何だっけみたいになってた。いつもの事。空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:08 シングルサイズの二段ベッド下段、それがこの学校で汐見へと与えられた寝床である。一応プライベートを保つという名目なのだろう、上段に打ち付けられたカーテンレールには重そうな布地で作られたカーテンがぶら下げられていた。そのカーテンは幾度かその役目を果たしていたが、すぐに使われることはなくなっていた。
汐見がこの学校に入学してから一年以上を経た今日も、ベッドの周囲を覆うカーテンは使われていない。
「……暑苦しい」
不服そうに漏らされた汐見の声に、彼を背後から抱きすくめる空閑は小さく笑い声を漏らす。
「でも、アマネ俺とくっついてるの好きじゃん」
汐見の首筋に鼻先を埋めながらそう口にする空閑は、彼の項へ唇を落とし小さく吸い付いて。しかしその行為はどこか性の予感とは別の所にあって、汐見は空閑の好きなようにさせていた。
1273汐見がこの学校に入学してから一年以上を経た今日も、ベッドの周囲を覆うカーテンは使われていない。
「……暑苦しい」
不服そうに漏らされた汐見の声に、彼を背後から抱きすくめる空閑は小さく笑い声を漏らす。
「でも、アマネ俺とくっついてるの好きじゃん」
汐見の首筋に鼻先を埋めながらそう口にする空閑は、彼の項へ唇を落とし小さく吸い付いて。しかしその行為はどこか性の予感とは別の所にあって、汐見は空閑の好きなようにさせていた。
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INFO「秋海燃ゆ 上」狂聡 / 全年齢 / B5 / 52P / 800〜1000円(未定)
2022年7月23日「天国の狂聡曲 星に願いを。2022」頒布予定
下巻は来年2月のカ!オンリーあたりで出せれば…と思っています
部数アンケートご協力お願いします↓
https://forms.gle/bZadHcGosSUvg2G58 23
狭山くん
TRAINING2022-06-03/800字チャレンジって言って800字で収まった試しがない……デイリー空閑汐♂3日目。空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:03 入学式から数週間、空閑は目の前にある背中を飽きもせず眺めていた。あからさまに入学時の成績順と分かる席順で、空閑は最後列窓際という特等席を手にしていた。その前に座るのは、次席入学だという汐見である。
――相変わらず、姿勢がいいなぁ。
しゃんと伸ばされた背筋は、他を寄せ付けないような近付き難い空気をも纏っていたが空閑にはそれすらも関係ない。
入学式前、新入生の入寮が開始した途端に寮生活を始めた空閑と汐見は他のクラスメイト達よりも少しだけ寮内の先輩達や別クラスに居る同期数人との交流を持っていた上――無事汐見が所属する剣道部に入部を果たした空閑は、大体の時間を汐見と共に行動していたからか彼の態度が単なる人付き合いの下手さから来るものである事を知ったのだ。
1157――相変わらず、姿勢がいいなぁ。
しゃんと伸ばされた背筋は、他を寄せ付けないような近付き難い空気をも纏っていたが空閑にはそれすらも関係ない。
入学式前、新入生の入寮が開始した途端に寮生活を始めた空閑と汐見は他のクラスメイト達よりも少しだけ寮内の先輩達や別クラスに居る同期数人との交流を持っていた上――無事汐見が所属する剣道部に入部を果たした空閑は、大体の時間を汐見と共に行動していたからか彼の態度が単なる人付き合いの下手さから来るものである事を知ったのだ。
krtrmurow
MENU【La crique embrasse la chanson】ラビ×リュカ
全年齢/文庫/164p(61516文字)
800円(BOOTH通販の場合+送料)
人魚のラビさんと作曲家のリュカくんのパロディ本です。
BTOOTのページはこちら https://kanokosou.booth.pm/items/3587040
【ラビ×リュカ小説本サンプル】La crique embrasse la chanson旅に出て一年が経つ。伝聞や噂を頼りに渡り歩いてきたが、結局どこも徒労に終わった。
やりくりしてきた金ももう心許ない。
やはり噂は噂でしかなかったということなのだろうか。
次の町で最後にしてしまおうという気持ちが徐々に強くなってきている。
もし次も駄目で諦めて中央に帰ることになるとすればオレのこの一年は全く無駄で、
実りのない日々を送ってきたというわけだ。
そんなオレを中央では嘲笑っているやつらもいるだろう。
曲を作れないまま一年間を棒に振ったオレに、帰るところなんてあるのだろうか。
あれにさえ会うことが出来れば、何か変わるという思いでここまで来た。
メッキが剥がれ、気狂いになってしまったという奴もいるかもしれない。それでもいい。
11178やりくりしてきた金ももう心許ない。
やはり噂は噂でしかなかったということなのだろうか。
次の町で最後にしてしまおうという気持ちが徐々に強くなってきている。
もし次も駄目で諦めて中央に帰ることになるとすればオレのこの一年は全く無駄で、
実りのない日々を送ってきたというわけだ。
そんなオレを中央では嘲笑っているやつらもいるだろう。
曲を作れないまま一年間を棒に振ったオレに、帰るところなんてあるのだろうか。
あれにさえ会うことが出来れば、何か変わるという思いでここまで来た。
メッキが剥がれ、気狂いになってしまったという奴もいるかもしれない。それでもいい。
狭山くん
TRAINING2022-06-02/昨日からはじめた800字チャレンジ、2日目にして500字オーバーは誤差で……いいのか……?剣道部書くの楽しいでござる。空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:02 道場の片隅に詰まれた畳が、激しい音を立てる。その音に、汐見の手は思わず額へと伸ばされた。
「俺、お前の面だけは絶対に受けたくないんだが?」
「えぇ? 良いセン行ってると思ったんだけどなぁ」
分かりやすく途方に暮れたように額に手を当てながら、溜息混じりで告げられた汐見の言葉に空閑は心外だとでも言うように首を傾げる。そんな空閑の言葉に「ポジティブシンキング野郎かよ」と呆れ返った声色で返した汐見は空閑の隣で手にした竹刀を畳に向かって構えて見せる。
トントンと位置を確認するように幾度か剣先で畳を捉えた汐見は、その竹刀を振りかぶる。一閃。空気を切る音に次いで、竹刀が畳を叩く軽やかな音が響いた。
「こうだ。お前のは、こう」
1332「俺、お前の面だけは絶対に受けたくないんだが?」
「えぇ? 良いセン行ってると思ったんだけどなぁ」
分かりやすく途方に暮れたように額に手を当てながら、溜息混じりで告げられた汐見の言葉に空閑は心外だとでも言うように首を傾げる。そんな空閑の言葉に「ポジティブシンキング野郎かよ」と呆れ返った声色で返した汐見は空閑の隣で手にした竹刀を畳に向かって構えて見せる。
トントンと位置を確認するように幾度か剣先で畳を捉えた汐見は、その竹刀を振りかぶる。一閃。空気を切る音に次いで、竹刀が畳を叩く軽やかな音が響いた。
「こうだ。お前のは、こう」
狭山くん
TRAINING2022-06-01/空閑汐♂で800字を量産したいフェアをはじめます。800字と言いながら900字超えました。前後200字は誤差が合言葉(酷い)空閑汐♂デイリー800字チャレンジ:01「あぁ、同室か」
ボストンバッグ一つ肩に下げ、その部屋に足を踏み入れた空閑の目の前に座った――より詳しく言えば、部屋を二分するように中央に置かれたベッドの下段に腰掛け文庫本を開いていた青年が、その手の本をパタンと閉じながら入り口に立ったままの空閑へと声を投げる。
「確か、空閑だったか」
「うん、クガヒロミ。ええと、汐見くんだったよね」
淡々と言葉を紡ぐ青年へ頷いた空閑は、入り口に貼られた名札を思い返しながら問いかける。その言葉に頷いた青年――汐見は「シオミアマネ」とその名を名乗った。
「入寮開始は昨日だっけど、入学式までは日があるよね? 昨日から来てたの?」
窓際のデスクがすっかり汐見の私物に囲まれてる様を見ながら、空閑は自身が先に送っていた段ボール数箱が積まれたその上にボストンバッグを載せ汐見へと問いかける。
944ボストンバッグ一つ肩に下げ、その部屋に足を踏み入れた空閑の目の前に座った――より詳しく言えば、部屋を二分するように中央に置かれたベッドの下段に腰掛け文庫本を開いていた青年が、その手の本をパタンと閉じながら入り口に立ったままの空閑へと声を投げる。
「確か、空閑だったか」
「うん、クガヒロミ。ええと、汐見くんだったよね」
淡々と言葉を紡ぐ青年へ頷いた空閑は、入り口に貼られた名札を思い返しながら問いかける。その言葉に頷いた青年――汐見は「シオミアマネ」とその名を名乗った。
「入寮開始は昨日だっけど、入学式までは日があるよね? 昨日から来てたの?」
窓際のデスクがすっかり汐見の私物に囲まれてる様を見ながら、空閑は自身が先に送っていた段ボール数箱が積まれたその上にボストンバッグを載せ汐見へと問いかける。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ62
アル空 CP要素うすめ、クレーちゃんに絵本読み聞かせする空くんの話。
62 アル空騎士団本部の上層階、アルベドの工房がある隣の一室。
壁を大きくくり抜いたように嵌め込まれた窓からは、午後のぽかぽかした陽光が何にも遮られることなく差し込み、白くつやつやした床面を照らしている。
部屋の中は来客用に設られたガラステーブルとそれを囲むようにふたつのソファが行儀よく並び、お茶を淹れるための簡素なキッチンもある。壁側には空き時間を凌ぐための本やチェス盤棚が、あまり圧迫感のないように整頓されていた。
ガラステーブルの上には、空になったティーカップが三つと、ドドコの冒険が綴られた絵本。ソファにはすやすや眠るクレーとパイモンが寄り添っていて、そんな二人を見守るように腰掛ける空がいた。
空とパイモンが騎士団を訪れたのは、ジンからの依頼を受けるためだった。
5006壁を大きくくり抜いたように嵌め込まれた窓からは、午後のぽかぽかした陽光が何にも遮られることなく差し込み、白くつやつやした床面を照らしている。
部屋の中は来客用に設られたガラステーブルとそれを囲むようにふたつのソファが行儀よく並び、お茶を淹れるための簡素なキッチンもある。壁側には空き時間を凌ぐための本やチェス盤棚が、あまり圧迫感のないように整頓されていた。
ガラステーブルの上には、空になったティーカップが三つと、ドドコの冒険が綴られた絵本。ソファにはすやすや眠るクレーとパイモンが寄り添っていて、そんな二人を見守るように腰掛ける空がいた。
空とパイモンが騎士団を訪れたのは、ジンからの依頼を受けるためだった。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ60
鍾魈 現パロ軸。コーヒー飲める先生とあんまり飲めない魈くんの話。
60 鍾魈コーヒーの入ったマグカップを片手に、鍾離はベランダに続く窓際に立ち、朝の訪れと共に白んでいく空と街を眺めていた。
一五階建てのマンションから見下ろす視界の中には、昨晩降った雨で光を反射する屋根が映る。駐車場に並んだ大小様々な車も同様で、特に白色の胴体を持ったものは一粒の宝石にも見えた。
近隣にある小学校からは、日中であればチャイムや吹奏楽の奏でる音が聴こえてくるが、今のところそれらは一切届かない。まだ眠っている箱にこれからたくさんの声が宿ることを、鍾離は密やかに楽しみにしていた。
璃月にいた頃にも、早朝、街を見下ろせる高所から景色を眺める時間があった。
理由として挙げられるのは、国の繁栄に翳りがないかの確認であることがほとんどだったが、凡人として生きることを決めた後には、ただ人の営みがあることを感じ取ることだけが目的だったように思う。
2104一五階建てのマンションから見下ろす視界の中には、昨晩降った雨で光を反射する屋根が映る。駐車場に並んだ大小様々な車も同様で、特に白色の胴体を持ったものは一粒の宝石にも見えた。
近隣にある小学校からは、日中であればチャイムや吹奏楽の奏でる音が聴こえてくるが、今のところそれらは一切届かない。まだ眠っている箱にこれからたくさんの声が宿ることを、鍾離は密やかに楽しみにしていた。
璃月にいた頃にも、早朝、街を見下ろせる高所から景色を眺める時間があった。
理由として挙げられるのは、国の繁栄に翳りがないかの確認であることがほとんどだったが、凡人として生きることを決めた後には、ただ人の営みがあることを感じ取ることだけが目的だったように思う。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ59
アル空 会話文。眠れないときのお話。
59 アル空「眠れないのかい?」
「ん……ごめん」
「謝ることはないよ。……何か、話でもしていようか」
「いいの? アルベド、朝早いって」
「キミが眠れないまま夜を過ごすことの方が気になってしまうから。それに、確かに起床は早いけれど、するべきことは午前中で終わる予定だから。ボクのことは気にしないで」
「そう、なの? ……あのさ、じゃあ少し話しててもいい?」
「もちろん。どんなことを話そうか?」
「そうだな……パイモンが最近、ほんとに食欲旺盛なんだ。たくさん食べるって健康的だろ、って本人は言うんだけど、モラの減りが早くて」
「ふふ。そういえば今日も、レザーと互角と思えるくらい豪快に食べていたね」
「そうなんだよ。それがしょっちゅうでさ。しかもやけに高級そうなものを選ぶんだよねえ……」
965「ん……ごめん」
「謝ることはないよ。……何か、話でもしていようか」
「いいの? アルベド、朝早いって」
「キミが眠れないまま夜を過ごすことの方が気になってしまうから。それに、確かに起床は早いけれど、するべきことは午前中で終わる予定だから。ボクのことは気にしないで」
「そう、なの? ……あのさ、じゃあ少し話しててもいい?」
「もちろん。どんなことを話そうか?」
「そうだな……パイモンが最近、ほんとに食欲旺盛なんだ。たくさん食べるって健康的だろ、って本人は言うんだけど、モラの減りが早くて」
「ふふ。そういえば今日も、レザーと互角と思えるくらい豪快に食べていたね」
「そうなんだよ。それがしょっちゅうでさ。しかもやけに高級そうなものを選ぶんだよねえ……」
namo_kabe_sysy
TRAINING800文字(前後)チャレンジ57
アル空 テリトリーの外側(https://poipiku.com/4282409/6640546.html)の翌日、空くんが味噌汁つくってアルベドくんが飲む話。ゲストにトーマがいます。
57 アル空喉の渇きで目が覚める。瞼を押し開くと、あまり見慣れない天井と照明器具が見えて、空はぼんやりと、眠る前の記憶を掘り返した。
容彩祭で絵師として招かれたアルベドと会えたことに浮かれていたのも束の間、彼はウェンティに酒を奢り、そのままずいぶんと長い間、吟遊詩人の話し相手をしていた。
久しぶりに会った恋人の空を蔑ろにしている訳ではない、と理性が呆れて訴えても、やきもきしていたのは事実だった。
いわゆる「やきもち」と呼ばれる感情に引っ張られていたのだが、どうやらアルベドも同じであったことが昨晩明らかになった。
行秋を始め、稲妻で出会った人々となんでもない世間話をしていただけと空は思っていたが、彼にとってはそう単純には映っていなかったらしい。
3322容彩祭で絵師として招かれたアルベドと会えたことに浮かれていたのも束の間、彼はウェンティに酒を奢り、そのままずいぶんと長い間、吟遊詩人の話し相手をしていた。
久しぶりに会った恋人の空を蔑ろにしている訳ではない、と理性が呆れて訴えても、やきもきしていたのは事実だった。
いわゆる「やきもち」と呼ばれる感情に引っ張られていたのだが、どうやらアルベドも同じであったことが昨晩明らかになった。
行秋を始め、稲妻で出会った人々となんでもない世間話をしていただけと空は思っていたが、彼にとってはそう単純には映っていなかったらしい。
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DOODLE5/29 頂上熱戦3(大阪)で発行アナザース●イのパロディを目指しました。
A5/108p/2色刷り/800円
再販中→https://privatter.net/p/10175301
はじめての本で読みづらい部分もたくさんあるかと思いますが解読していただけるとうれしいです。
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dnkbの数字 27
銀鳩堂
PROGRESSヤンクロ第二部18話姫の決意を知った女王はハントマンを呼び出し、ある命令を下す。(本文=約2600文字/豆知識=約800文字)
ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部⑱話「相克」 スノーホワイト姫に王の最期を見せた翌日のこと。女王グリムヒルデは、姫の部屋を訪れた。
姫は顔色も悪く、目の下にうっすらとくまができていた。
ディアヴァルはその鋭い耳で気づいていた。姫は一晩中泣き明かしたのだ。可哀想に……。恋しい相手を諦めるのはさぞ辛いことだろう……。
女王は、姫を抱き寄せてハグすると、その頬に両手を添えて目を真っ直ぐに覗き込んで言った。
「スノーホワイトや。昨日は悲しい想いをさせてしまいましたね。知らねばならないこととは言え、さぞ辛かったことでしょう。でも、これでわかりましたね。あの若者は貴女にふさわしい相手ではないのよ。辛いでしょうけれど、この恋は諦めなくては。ね」
すると姫は、まだ青ざめた顔のまま、それでも真っ直ぐに女王の目を見返して静かにこう言った。
3441姫は顔色も悪く、目の下にうっすらとくまができていた。
ディアヴァルはその鋭い耳で気づいていた。姫は一晩中泣き明かしたのだ。可哀想に……。恋しい相手を諦めるのはさぞ辛いことだろう……。
女王は、姫を抱き寄せてハグすると、その頬に両手を添えて目を真っ直ぐに覗き込んで言った。
「スノーホワイトや。昨日は悲しい想いをさせてしまいましたね。知らねばならないこととは言え、さぞ辛かったことでしょう。でも、これでわかりましたね。あの若者は貴女にふさわしい相手ではないのよ。辛いでしょうけれど、この恋は諦めなくては。ね」
すると姫は、まだ青ざめた顔のまま、それでも真っ直ぐに女王の目を見返して静かにこう言った。
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MENU5/29発行 いずあん小説 Noble flower サンプル文庫サイズ/84P/表紙特殊紙/変形裁断/
会場頒布 価格800円
セット内容:新刊+SSカード+タッセル付きしおり+カード&シール 10
銀鳩堂
PROGRESSヤンクロ第二部17話姫の恋する相手は亡き王の仇の息子。姫の恋を許すことが出来ない女王はある行動に出た。(本文=約1800文字/豆知識=約800文字)
ヤング・クロウリー ~始まりの物語~ 第二部⑰話「姫と鏡」 女王グリムヒルデは城の自室にいた。
目の前には、連れ戻されたスノーホワイト姫の姿があった。姫はきちんと風呂に入れられて、服装は王族としてふさわしいものに整えられていた。
「スノーホワイトや。修行の日々、さぞ疲れたことでしょう。よく耐えましたね。これからは、また一緒に暮らしましょう」
それを聞いた姫の顔は一瞬輝いたが、すぐにその輝きは曇ってしまった。それを女王は見逃さなかった。
「姫や。お前は離宮で出会った青年のことが気になるのですね」
それを聞いた姫が、驚いたように女王の顔を見返した。
「これからお前に大切なことを教えなければなりません。お前にとって、とてもつらいお話になるでしょう。けれど、真実を知らねばなりません」
2702目の前には、連れ戻されたスノーホワイト姫の姿があった。姫はきちんと風呂に入れられて、服装は王族としてふさわしいものに整えられていた。
「スノーホワイトや。修行の日々、さぞ疲れたことでしょう。よく耐えましたね。これからは、また一緒に暮らしましょう」
それを聞いた姫の顔は一瞬輝いたが、すぐにその輝きは曇ってしまった。それを女王は見逃さなかった。
「姫や。お前は離宮で出会った青年のことが気になるのですね」
それを聞いた姫が、驚いたように女王の顔を見返した。
「これからお前に大切なことを教えなければなりません。お前にとって、とてもつらいお話になるでしょう。けれど、真実を知らねばなりません」
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ55
アル空 バーテンダーイベントで、もしアルベドくんがやってきたら…という話。
55 アル空「滑らかな味わいのフルーツジュースが欲しいな。名前が思い出せないんだけど……スモールサイズでお願い」
「かしこまりました、スイートシードル湖、スモールサイズですね」
「コーヒーと紅茶と……あと、ミルク! それら全てを一気に味わえるようなドリンクはあるかしら? ラージサイズで飲みたいわ」
「晩鐘ですね、かしこまりました」
「濃厚な味わいのコーヒーを飲みたいんだ。サイズはスモールでいいから、とにかく濃くしてほしい。頼んだよ」
「アテネウムでコーヒーを濃いめですね、お待ちください」
ドリンクの正式名称を口にしない客たちから次々にオーダーを受けていた空は、にこやかな表情で接客しつつも、途切れる気配のない列に疲れを感じ始めていた。
4647「かしこまりました、スイートシードル湖、スモールサイズですね」
「コーヒーと紅茶と……あと、ミルク! それら全てを一気に味わえるようなドリンクはあるかしら? ラージサイズで飲みたいわ」
「晩鐘ですね、かしこまりました」
「濃厚な味わいのコーヒーを飲みたいんだ。サイズはスモールでいいから、とにかく濃くしてほしい。頼んだよ」
「アテネウムでコーヒーを濃いめですね、お待ちください」
ドリンクの正式名称を口にしない客たちから次々にオーダーを受けていた空は、にこやかな表情で接客しつつも、途切れる気配のない列に疲れを感じ始めていた。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ54
アル空 センチメンタル空くんとただ聴き役に徹するアルベドくんの話。
54 アル空甘い夢だ。現実ではないことはすぐわかる。
俺の前に、妹がいる。
お兄ちゃん、と昔からたくさん聴いてきた声が鈴のように鳴っている。やっと会えたねと嬉しそうに笑う。目的は達成されたのだ。もうテイワットに用はないから早く行こうと、落ち着きなく旅立ちを待つ妹に、そんなに急くことはないだろうと苦笑する。
『何を言ってるの? お兄ちゃんが全然ここから離れようとしない方がおかしいのに?』
それは、まだ離れ難いというか、みんなにまだ挨拶もできてないし。
『それは改めてしなきゃならないの? もしかして、彼らと別れるときに都度、〝またね〟なんて言っていたの?』
それは挨拶として自然な言葉だろう?
『……ねえお兄ちゃん、私たちは異世界の人間だよ。お互いがたったひとりの家族。忘れてないよね?』
1688俺の前に、妹がいる。
お兄ちゃん、と昔からたくさん聴いてきた声が鈴のように鳴っている。やっと会えたねと嬉しそうに笑う。目的は達成されたのだ。もうテイワットに用はないから早く行こうと、落ち着きなく旅立ちを待つ妹に、そんなに急くことはないだろうと苦笑する。
『何を言ってるの? お兄ちゃんが全然ここから離れようとしない方がおかしいのに?』
それは、まだ離れ難いというか、みんなにまだ挨拶もできてないし。
『それは改めてしなきゃならないの? もしかして、彼らと別れるときに都度、〝またね〟なんて言っていたの?』
それは挨拶として自然な言葉だろう?
『……ねえお兄ちゃん、私たちは異世界の人間だよ。お互いがたったひとりの家族。忘れてないよね?』
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MENU画像また後で作ります・イラスト集(A4)18ページ 700円
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・無配ペーパー ※未定
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ50
アル空 空くん独白。眠るアルベドくんとの話。
50 アル空三日前のこと。「この日の十八時、モンドの研究室に来て欲しい」とアルベドから頼まれた空は、定刻通り研究室前に到着していた。手土産にはアルベドが好んで食べるスイーツを選び、それを二人分持ってきている。
「アルベド、来たよー。入ってもいい?」
実験中というプレートはさがっていても、構わず入っておいでと最初に言われている。そのためノックをしつつ室内に向けて声を発するが、中からの応答はなく、扉も開かれないままだった。
珍しいな……と首を傾げた空は、途中スクロースと会った時に、どうやらこの数日間、実験の大詰めでほとんど寝ていない様子だと聞かされていたことを思い出す。効率を重視するアルベドでも、様々な事情があって無理をしていたのかもしれない。それならばおそらく、休憩のため睡眠をとっている可能性もある。
2068「アルベド、来たよー。入ってもいい?」
実験中というプレートはさがっていても、構わず入っておいでと最初に言われている。そのためノックをしつつ室内に向けて声を発するが、中からの応答はなく、扉も開かれないままだった。
珍しいな……と首を傾げた空は、途中スクロースと会った時に、どうやらこの数日間、実験の大詰めでほとんど寝ていない様子だと聞かされていたことを思い出す。効率を重視するアルベドでも、様々な事情があって無理をしていたのかもしれない。それならばおそらく、休憩のため睡眠をとっている可能性もある。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ49
鍾魈 魈くんお誕生日おめでとうの話。モブ少女が喋ります。
49 鍾魈「しょうりせんせい! こんにちは!」
「おや、お嬢さんは……」
「もう! 急に走り出して……母さんの側から離れちゃだめでしょ? ごめんなさいねぇ、鍾離さん」
鍾離の元に元気よく走ってきたのは、髪をふたつに結った少女だった。遅れて駆けつけたのは彼女の母親で、肩で息をしながら「もう離れたらだめよ」と少女の片手を握った。
璃月港を出て望舒旅館に赴く直前に声を掛けられた鍾離は、膝を曲げて少女の目線にまで落とす。「何かあったのか?」と訊ねると、少女は何度も首を縦に振り、斜めがけにしていた麻の小さな鞄に手を入れて「これ!」とあるものを引っ張り出した。
それは薄紅色の包みで覆われて、黄色の紐で留められている。大きさは少女の両手に乗るほどのサイズで、風が吹くと蝶々結びにされた紐がふわりと揺れていた。
4428「おや、お嬢さんは……」
「もう! 急に走り出して……母さんの側から離れちゃだめでしょ? ごめんなさいねぇ、鍾離さん」
鍾離の元に元気よく走ってきたのは、髪をふたつに結った少女だった。遅れて駆けつけたのは彼女の母親で、肩で息をしながら「もう離れたらだめよ」と少女の片手を握った。
璃月港を出て望舒旅館に赴く直前に声を掛けられた鍾離は、膝を曲げて少女の目線にまで落とす。「何かあったのか?」と訊ねると、少女は何度も首を縦に振り、斜めがけにしていた麻の小さな鞄に手を入れて「これ!」とあるものを引っ張り出した。
それは薄紅色の包みで覆われて、黄色の紐で留められている。大きさは少女の両手に乗るほどのサイズで、風が吹くと蝶々結びにされた紐がふわりと揺れていた。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ48
アル空 テイワットに四季はあるのだろうか…??とりあえずくっつきむしな二人の話。
48 アル空「もうすぐ春になっちゃうなあ」
ホットミルクで満たされたマグを両手で持って、空はぽつんと息をついた。
アルベドのために用意された私室。その中央にあるソファに並んで座り、空と自分の膝上に一枚のブランケットを掛けたアルベドは、「来て欲しくない言い方だね」と疑問符を浮かべた。春になったら出来ることも増えるのにと、色違いのマグを自らも口元へ運ぶ。
「そうなんだけどさ。春がきたら、夏がくるでしょ? あったかくなって、暑くなるよね?」
「それはそうだね。そういう季節だから」
「そうなったら今使ってるブランケットも、しばらくはクローゼットの中に入るよね?」
「そうだね……もう少し通気性のいいものをかわりに取り出すから」
「……さむいね、って言って、そうだね、って、くっつけなくなるじゃん」
1494ホットミルクで満たされたマグを両手で持って、空はぽつんと息をついた。
アルベドのために用意された私室。その中央にあるソファに並んで座り、空と自分の膝上に一枚のブランケットを掛けたアルベドは、「来て欲しくない言い方だね」と疑問符を浮かべた。春になったら出来ることも増えるのにと、色違いのマグを自らも口元へ運ぶ。
「そうなんだけどさ。春がきたら、夏がくるでしょ? あったかくなって、暑くなるよね?」
「それはそうだね。そういう季節だから」
「そうなったら今使ってるブランケットも、しばらくはクローゼットの中に入るよね?」
「そうだね……もう少し通気性のいいものをかわりに取り出すから」
「……さむいね、って言って、そうだね、って、くっつけなくなるじゃん」
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PROGRESSWip #rk800-60 明日、素体にナタデココみたいなヌトヌト光沢を入れよ💕でへへ。漫画の合間にお絵描きをすると漫画も上達するのでは?と考えている。使う脳味噌が違うけど、城の石垣🏯として必要かな?と60クンにはカッコーの卵の殻🥚とか宝石💎とか勿忘草💠小2女児の私がときめきモノを描き込みたい😊namo_kabe_sysy
TRAINING800文字(前後)チャレンジ46
アル空 とある休日、朝のひととき。
46 アル空「空、おはよう。今日もいい天気だよ」
耳に馴染んだ優しい声で目を覚ます。まだぼんやりとしている視界の中に、ミルクティー色が揺れていた。
「……アルベド」
いつの間に起きてたの、とからからになった喉が質問を投げた。
空の声に艶がなくなっているのは、昨夜の情事でアルベドから受けた愛に全身で応えていたためだった。腰にある鈍い重みも、噛み跡が残る肌も、彼の熱を受け止めた胎内も……まだ色香を残している。少し痺れる甘いそれを感じ続けるとまた彼を欲しくなってしまうから、なるべく感覚を追いかけないように軽く首を振り、まつ毛を震わせた空は、腕を支えにして身体を起こした。
「十五分程前かな」
「早起き〜……」
「そうでもないよ。時計も見えるだろう? 今日は休日だし、いつもよりずっとゆっくり起きてる」
1741耳に馴染んだ優しい声で目を覚ます。まだぼんやりとしている視界の中に、ミルクティー色が揺れていた。
「……アルベド」
いつの間に起きてたの、とからからになった喉が質問を投げた。
空の声に艶がなくなっているのは、昨夜の情事でアルベドから受けた愛に全身で応えていたためだった。腰にある鈍い重みも、噛み跡が残る肌も、彼の熱を受け止めた胎内も……まだ色香を残している。少し痺れる甘いそれを感じ続けるとまた彼を欲しくなってしまうから、なるべく感覚を追いかけないように軽く首を振り、まつ毛を震わせた空は、腕を支えにして身体を起こした。
「十五分程前かな」
「早起き〜……」
「そうでもないよ。時計も見えるだろう? 今日は休日だし、いつもよりずっとゆっくり起きてる」
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ45
鍾魈 モブ視点なうえに鍾離成分ほぼないです…美しい二人をまえに落ち着いてられない一般人の話。
45 鍾魈「人間。起きられないのか」
私を見下ろしてくるまさに「美少年」という言葉がぴったりな誰かが、「起きられないのかと聞いている」とやや苛立った声で訊ねている。
璃月港に向かう道中で、ヒルチャールの群れと鉢合わせしてしまった私は、すぐ方向転換をして大急ぎで逃げ出した。しかし、かつて近所の子供たちとの間でかけっこをした時に、だれにも追いつけなかった脚の速さだ。程度が知れている。すぐにやつらに追いつかれ、ああもう無理だ死ぬしかないと思った矢先。現在もこちらを見下ろしている彼が疾風の如く舞い降りて、殺気を放っていたやつらを瞬時に一掃してしまった。
驚きと、安堵と、まだ残る恐怖で声が出ない。しかしこのままでいては美しい眉をさらに歪ませてしまうだろう。私はひとまず抜けてしまった腰を叱咤して、木の幹に寄りかかりながら起き上がった。
2239私を見下ろしてくるまさに「美少年」という言葉がぴったりな誰かが、「起きられないのかと聞いている」とやや苛立った声で訊ねている。
璃月港に向かう道中で、ヒルチャールの群れと鉢合わせしてしまった私は、すぐ方向転換をして大急ぎで逃げ出した。しかし、かつて近所の子供たちとの間でかけっこをした時に、だれにも追いつけなかった脚の速さだ。程度が知れている。すぐにやつらに追いつかれ、ああもう無理だ死ぬしかないと思った矢先。現在もこちらを見下ろしている彼が疾風の如く舞い降りて、殺気を放っていたやつらを瞬時に一掃してしまった。
驚きと、安堵と、まだ残る恐怖で声が出ない。しかしこのままでいては美しい眉をさらに歪ませてしまうだろう。私はひとまず抜けてしまった腰を叱咤して、木の幹に寄りかかりながら起き上がった。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ44
アル空 現パロ軸。映画とデートと独占欲の話。
44 アル空ある日の休日。二人で暮らすマンションのリビングでソファに並んで腰掛けて、ボクたちは一本の映画を鑑賞していた。
ガラステーブルの上にはからっぽになったティーカップとケーキ用の皿が二人分。途中席を離れてお茶を足そうかと思ったけれど、空が真剣に観ているものだから気を散らせたくなくてやめておいた。
映画のタイトルを見た時から、内容はすでにわかっていた。それは初めて観るものではなかったから。過去に一度、映画館で、ボクはこの作品をすでに鑑賞している。
まだ付き合う前の空と一緒に。
学生だったボクと空は、学校は同じでもクラスが違っていた。彼の存在を知ったのは合同授業の実験中で、同じグループの中で会話をしたことが始まりだった。
4046ガラステーブルの上にはからっぽになったティーカップとケーキ用の皿が二人分。途中席を離れてお茶を足そうかと思ったけれど、空が真剣に観ているものだから気を散らせたくなくてやめておいた。
映画のタイトルを見た時から、内容はすでにわかっていた。それは初めて観るものではなかったから。過去に一度、映画館で、ボクはこの作品をすでに鑑賞している。
まだ付き合う前の空と一緒に。
学生だったボクと空は、学校は同じでもクラスが違っていた。彼の存在を知ったのは合同授業の実験中で、同じグループの中で会話をしたことが始まりだった。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ43
鍾魈 嘘はつけない魈くんの話。
43 鍾魈洞天の中で鍾離と魈がふたり、茶と雑談を楽しんでいる最中。そういえば、と鍾離が口を開いた。
「今日はエイプリルフールという日らしい。嘘をついてもいい日、と聞いている」
と、鍾離がにこやかにしていると、魈は「嘘ですか」と目を瞬かせる。
「しかしそう仰っても……我が鍾離様に嘘をつくなどということはできませんので」
「そんなに真面目にならなくても。そうだな……たとえば、好きなものを嫌いと言ってみるとか」
わりと定番らしい、と言う鍾離も、その文化は旅人から聞いたことのようで、具体的にどんな嘘をつくかまでは聞いていないそうだ。
好きなものをあえて嫌いと言う。たしかに嘘をついていることにはなるが、果たしてそこになんの意味があるのか?
951「今日はエイプリルフールという日らしい。嘘をついてもいい日、と聞いている」
と、鍾離がにこやかにしていると、魈は「嘘ですか」と目を瞬かせる。
「しかしそう仰っても……我が鍾離様に嘘をつくなどということはできませんので」
「そんなに真面目にならなくても。そうだな……たとえば、好きなものを嫌いと言ってみるとか」
わりと定番らしい、と言う鍾離も、その文化は旅人から聞いたことのようで、具体的にどんな嘘をつくかまでは聞いていないそうだ。
好きなものをあえて嫌いと言う。たしかに嘘をついていることにはなるが、果たしてそこになんの意味があるのか?
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ41
アル空 現パロ軸。コンビニで買えるちいさな幸せの話。
41 アル空コンビニで手軽に得られる幸せがある。それがデザートコーナーで見繕ったケーキやパフェだ。アルベドに感化されたせいか、最近は空も頻繁に買うようになったちいさな幸せ。周囲には複数のコンビニがあるため、曜日ごとにローテーションして商品棚を眺める時間を作っている。
今日は新作のシールが貼られたいちごのロールケーキに決めた。定番のロールケーキは中央のクリームがホワイトだけれど、新作のいちご味は薄桃色の可愛らしい色をしている。トッピングにはカットされたいちごがひとつ。埋められた赤色のそれは宝石のようにも見えた。
二人分を手に取って、レジでふたつのスプーンをつけてもらい会計を済ませる。ビニール袋をぶら下げて家に帰り玄関を開くと、カレーの匂いが鼻を掠めた。靴を脱いで急ぎキッチンへ向かうと、エプロンを纏ったアルベドが空を迎える。
1686今日は新作のシールが貼られたいちごのロールケーキに決めた。定番のロールケーキは中央のクリームがホワイトだけれど、新作のいちご味は薄桃色の可愛らしい色をしている。トッピングにはカットされたいちごがひとつ。埋められた赤色のそれは宝石のようにも見えた。
二人分を手に取って、レジでふたつのスプーンをつけてもらい会計を済ませる。ビニール袋をぶら下げて家に帰り玄関を開くと、カレーの匂いが鼻を掠めた。靴を脱いで急ぎキッチンへ向かうと、エプロンを纏ったアルベドが空を迎える。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ40
鍾魈 居眠りしちゃう魈くんの話。
40 鍾魈とある休日の正午。週末に片付ける家事がひと段落ついて、一休みしようと魈はソファに座った。ちなみに鍾離は次の原稿について打ち合わせがあるからと出かけていて、部屋には魈ひとりだけが残っている。
ガラス窓の開いた網戸から入ってくる風はちょうどいい温度で、カーテンを揺らし、魈の眠気を誘った。
『戻るのは十三時頃になる。待っていてくれるなら、昼食は俺が作ろう』
『そのようなお手間は……我が準備しておきますので』
『それはそれでありがたい申し出だが、ここ最近はお前に頼り切りだったからな。そろそろ落ち着きそうだし、手始めに料理を振る舞いたいんだ』
『……わかりました。それでは、楽しみにしてます』
壁に掛かったアナログ時計が秒針をすすめている。それは鍾離が戻るまであと一時間弱であることを知らせていた。
1729ガラス窓の開いた網戸から入ってくる風はちょうどいい温度で、カーテンを揺らし、魈の眠気を誘った。
『戻るのは十三時頃になる。待っていてくれるなら、昼食は俺が作ろう』
『そのようなお手間は……我が準備しておきますので』
『それはそれでありがたい申し出だが、ここ最近はお前に頼り切りだったからな。そろそろ落ち着きそうだし、手始めに料理を振る舞いたいんだ』
『……わかりました。それでは、楽しみにしてます』
壁に掛かったアナログ時計が秒針をすすめている。それは鍾離が戻るまであと一時間弱であることを知らせていた。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ39
アル空 空くんを傷つけたいアルベドくんの話。
39 アル空知らないことを知っていることに変えていく。この作業に終わりはなく、身体が生きることを辞める日まで延々と続くことはすでに理解している。
知らないことを知るのには、知らないことを認識するところから始めなければならない。
そのため周囲の物事へ常に興味関心を向けることが肝要だ。そして同時に己へと問う。『目の前にある物や事象は知っているか?』と、自らの内側に投げかける。
知らない、と返ったなら、予想を立てた後、実験を通して結果を得る。獲得した知識は空きスペースの中に一枚ずつ重ねられていって、身体の一部になっていく。
これまでもこれからも変わらず続く作業の中で、永遠にすべての結果を得られない恐れのある人間と出会った。旅人である空だった。
1583知らないことを知るのには、知らないことを認識するところから始めなければならない。
そのため周囲の物事へ常に興味関心を向けることが肝要だ。そして同時に己へと問う。『目の前にある物や事象は知っているか?』と、自らの内側に投げかける。
知らない、と返ったなら、予想を立てた後、実験を通して結果を得る。獲得した知識は空きスペースの中に一枚ずつ重ねられていって、身体の一部になっていく。
これまでもこれからも変わらず続く作業の中で、永遠にすべての結果を得られない恐れのある人間と出会った。旅人である空だった。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ38
鍾魈 帝君ぬいと魈くんの話。
38 鍾魈空から「いま璃月ですごく人気なんだ」と言われ魈が受け取ったのは、岩王帝君を模したぬいぐるみだった。
両腕で抱えきれる程度の大きさのそれは、中に詰まった綿でふっくらしていてほつれもなく、可愛らしい見た目にデフォルメされた仕上がりだった。
「……これを我に渡して、お前はどうして欲しかったんだ?」
「え? 特に何も。お土産感覚というか……それに魈、帝君に関するものならなんでも喜ぶじゃん」
「そ、んなことは」
「あるある。まあとりあえずそれはもう君のものだから、好きに飾るなり遊ぶなりしてよ」
それじゃあまたねと、空が旅館にある魈の部屋から出て行く。この後冒険者協会の依頼をこなしてくるらしい。
「…………」
両腕で抱えたぬいぐるみを見下ろす。眠った表情をしているそれは、目の部分が線だけで縫われていた。瞳の色はわからない。
1231両腕で抱えきれる程度の大きさのそれは、中に詰まった綿でふっくらしていてほつれもなく、可愛らしい見た目にデフォルメされた仕上がりだった。
「……これを我に渡して、お前はどうして欲しかったんだ?」
「え? 特に何も。お土産感覚というか……それに魈、帝君に関するものならなんでも喜ぶじゃん」
「そ、んなことは」
「あるある。まあとりあえずそれはもう君のものだから、好きに飾るなり遊ぶなりしてよ」
それじゃあまたねと、空が旅館にある魈の部屋から出て行く。この後冒険者協会の依頼をこなしてくるらしい。
「…………」
両腕で抱えたぬいぐるみを見下ろす。眠った表情をしているそれは、目の部分が線だけで縫われていた。瞳の色はわからない。
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TRAINING800文字(前後)チャレンジ37
アル空 空くん誕生日かつ現パロ設定。同棲してる二人。ワインを飲む話。
37 アル空空の成人祝いにワインを開ける。芳醇な葡萄の香りがたちまち広がって、グラスに注がれた深い赤に、空はうっとりため息をこぼした。
「はあ……やっと飲めるんだ……」
アルベドは自分のグラスにもワインを満たして、ボトルをテーブルに置く。ラベルが空にも見えるように向きを整えて、首を傾げた。
空と暮らし始めたのは、彼が十八歳を迎えてからだった。高校を出て大学生になる空を、一緒に暮らそうかと誘ったのはアルベドの方だった。
二人は幼少の頃から育ってきたいわば幼馴染だったが、アルベドの方が三つ年上で、中学以降は同じ校舎ですれ違うこともできなかった。互いの家を行き来することはあっても、共有できる時間は減っていたし、付き合い始めても清い交際のまま……身体の関係になることもなかった。欲求不満になる一方の空が精一杯の色仕掛けをしても、アルベドは何もなかったように振る舞うため、空は勝手に「もう俺のこと好きじゃないの?」と悲観的になっていた。が、同棲が決まるとあれだけなにも進展のなかった関係は一気に加速した。
2431「はあ……やっと飲めるんだ……」
アルベドは自分のグラスにもワインを満たして、ボトルをテーブルに置く。ラベルが空にも見えるように向きを整えて、首を傾げた。
空と暮らし始めたのは、彼が十八歳を迎えてからだった。高校を出て大学生になる空を、一緒に暮らそうかと誘ったのはアルベドの方だった。
二人は幼少の頃から育ってきたいわば幼馴染だったが、アルベドの方が三つ年上で、中学以降は同じ校舎ですれ違うこともできなかった。互いの家を行き来することはあっても、共有できる時間は減っていたし、付き合い始めても清い交際のまま……身体の関係になることもなかった。欲求不満になる一方の空が精一杯の色仕掛けをしても、アルベドは何もなかったように振る舞うため、空は勝手に「もう俺のこと好きじゃないの?」と悲観的になっていた。が、同棲が決まるとあれだけなにも進展のなかった関係は一気に加速した。