ミラプト
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MOURNING #ミラプトweeklyお題:指先、ご馳走、眠たい
いろいろつめこみましたパラダイスラウンジのふたり
(ミラプト、マジで付き合う5秒前)
今日の分はこれで琥珀色の液体の中で丸い氷がカランと音を立てる。鼻に抜けるスコッチウイスキーのスモーキーな香りを一頻り楽しんだ後、クリプトが傾けていたロックグラスをテーブルの上に戻すと、不思議そうな顔をしたパラダイスラウンジの店主、ミラージュとカウンター越しに目が合った。
「それ、取れるのか?」
彼が指差す先にあるのはロックグラスに触れるクリプトの手。視線で三指の腹を覆う黒いデバイスのことを指していると察したクリプトは、グラスから手を離すと結露で少し濡れた指先を緩く擦ってみせた。確認するように下から目だけで見上げてみれば、位置関係のせいで睨むような形になってしまったのかも知れない。慌てたようにミラージュが言葉を続けた。
4010「それ、取れるのか?」
彼が指差す先にあるのはロックグラスに触れるクリプトの手。視線で三指の腹を覆う黒いデバイスのことを指していると察したクリプトは、グラスから手を離すと結露で少し濡れた指先を緩く擦ってみせた。確認するように下から目だけで見上げてみれば、位置関係のせいで睨むような形になってしまったのかも知れない。慌てたようにミラージュが言葉を続けた。
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DOODLEミラプト/誕生日ネタ/糖度高※相変わらず捏造
勝手にぶちあがって一人で盛り上がった結果の誕生日ネタ
LOVE IS A MANY-SPLENDORED THING 「誕生日、おめでとう」
飲み口の端が触れ合い、軽い音を立てたシャンパングラスに入ったシャンパンの上品な色。
その中に浮かぶ細かな気泡を照らすように揺れるキャンドルの数々と、照明の落とされた室内。
普段以上に丁寧に施されたテーブルコーディネートと、一番目立つ場所に配置された黄色のガーベラの花束が生けられたガラスの花瓶。
見慣れた筈の光景を塗り替えるような非日常感に、クリプトは唇に含ませたシャンパンだけではない酔いを覚えていた。
普段は素朴なデザインのマホガニー製のテーブルには夕日を思わせるような色鮮やかな赤いクロスが掛けられ、その上には何度食しても飽きる事のないポークチョップが大皿に山ほど盛られている。
5419飲み口の端が触れ合い、軽い音を立てたシャンパングラスに入ったシャンパンの上品な色。
その中に浮かぶ細かな気泡を照らすように揺れるキャンドルの数々と、照明の落とされた室内。
普段以上に丁寧に施されたテーブルコーディネートと、一番目立つ場所に配置された黄色のガーベラの花束が生けられたガラスの花瓶。
見慣れた筈の光景を塗り替えるような非日常感に、クリプトは唇に含ませたシャンパンだけではない酔いを覚えていた。
普段は素朴なデザインのマホガニー製のテーブルには夕日を思わせるような色鮮やかな赤いクロスが掛けられ、その上には何度食しても飽きる事のないポークチョップが大皿に山ほど盛られている。
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DOODLEミラプト/バブルバスとメン落ちミ怪文書なので真剣に読まなくても大丈夫
CIRCUS 虹色の橋、柔らかく抜ける風に運ばれた花の香り。
澄み切った青空と、遠くに聞こえる笑い声。
誰も彼もがここでは笑っている。
だって久しぶりにサーカスがやってきて、たくさんのパフォーマンスをやっている。
みんなが求めるエンターテイナーが粒揃いだ。
そのサーカスの前では派手な姿のピエロが一人。みんなに風船を配っていた。
赤青黄色、それから緑だってある。
白い線の先に繋がれたそれらは互いにぶつかり合い、ふわふわと浮き上がって沈んでを繰り返す。
束ねられた線の先を握るピエロは、風船と同じくカラフルな服を着て、その顔には笑顔の仮面。
差し出されたその風船を彼らは順々に受け取って、その先にあるサーカスの天幕を潜っていく。
2674澄み切った青空と、遠くに聞こえる笑い声。
誰も彼もがここでは笑っている。
だって久しぶりにサーカスがやってきて、たくさんのパフォーマンスをやっている。
みんなが求めるエンターテイナーが粒揃いだ。
そのサーカスの前では派手な姿のピエロが一人。みんなに風船を配っていた。
赤青黄色、それから緑だってある。
白い線の先に繋がれたそれらは互いにぶつかり合い、ふわふわと浮き上がって沈んでを繰り返す。
束ねられた線の先を握るピエロは、風船と同じくカラフルな服を着て、その顔には笑顔の仮面。
差し出されたその風船を彼らは順々に受け取って、その先にあるサーカスの天幕を潜っていく。
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MOURNINGミ、怪我したら寂しくなってプに電話かけまくりそうだよね、という話(ミラプト、ニューキャッスル登場トレーラーのあとの妄想)call!call!call!ワンコール、ツーコール、スリーコール。その先は数えるのをやめた。もう何度目だろう。ワークデスクの隅で震える携帯は一向に静まりそうにない。ワールズエッジの亀裂のような見事な皺を眉間に刻んだクリプトは渋々、渋柿どころか渋そのものを食べたような表情で、うるさいそれを手に取った。電話主は画面を見ずともわかる。それでも念のため確認すれば案の定、顎に手を添えていやらしい流し目でこちらを見る胸焼けしそうな面と目があった。
ミラージュから着信がある度にディスプレイにデカデカと表示されるそれは、連絡先と共に勝手に登録されたものだ。これといったデータも入れていない仕事用の端末とはいえ、ノイズはないに限る。その場で連絡先ごと削除しようとしたら、折角の撮り下ろしのキメ顔が!と大騒ぎされて、結局クリプトが根負けしてそのままになった経緯がある。
3843ミラージュから着信がある度にディスプレイにデカデカと表示されるそれは、連絡先と共に勝手に登録されたものだ。これといったデータも入れていない仕事用の端末とはいえ、ノイズはないに限る。その場で連絡先ごと削除しようとしたら、折角の撮り下ろしのキメ顔が!と大騒ぎされて、結局クリプトが根負けしてそのままになった経緯がある。
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TRAININGランダムえちえちプロットをつかって文章を書く練習をするぞ勢いだけでいくから推敲は特にしてないぞ
ミラプトだよ。えち部分まで進んでないよ。えち部分の公開方法はまだ考えてないよ。
ランダム〜はこちら→https://imokabe.github.io/iroiro/project/Contents/Tools/randomEchiTool.html
酒のやつ「あのさあ、パソコンのオッサンと喧嘩でもした?」
常にオイルのパルファムを嗜む同居人にそう聞かれたのは、いつのことだったろうか。機械を愛し、日がな一日油まみれで火花を散らしている彼女が探りを入れてくるのだから相当だ。しかし、ミラージュには全くもって心当たりがなかった。
噂の中心人物のクリプトとミラージュは恋人同士だ。いつからかとはっきりしたことはわからないが、気づけば鼻につく同僚から気の置けない友人、そして酒の過ちから体の関係を持ち、公言はしていないものの、レジェンドたちの間では公然の秘密となっている。だからこそ、ランパートは比較的聞きやすい同居人に、クリプトの様子を聞きに来たのである。
ところが、なんであんな様子なのかを知りたいのはミラージュとて同じなのだった。
3817常にオイルのパルファムを嗜む同居人にそう聞かれたのは、いつのことだったろうか。機械を愛し、日がな一日油まみれで火花を散らしている彼女が探りを入れてくるのだから相当だ。しかし、ミラージュには全くもって心当たりがなかった。
噂の中心人物のクリプトとミラージュは恋人同士だ。いつからかとはっきりしたことはわからないが、気づけば鼻につく同僚から気の置けない友人、そして酒の過ちから体の関係を持ち、公言はしていないものの、レジェンドたちの間では公然の秘密となっている。だからこそ、ランパートは比較的聞きやすい同居人に、クリプトの様子を聞きに来たのである。
ところが、なんであんな様子なのかを知りたいのはミラージュとて同じなのだった。
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DOODLEミラプト/プのバイクバナーネタ/糖度高※オーバータイム後の設定のつもりなので、ミはプの本名知ってます。
トライデント追加セリフにて、ミのセリフが変わっているのでそこから勝手に妄想してミは頑張って免許取った設定にしてしまってます。
ちょいギャグめテイスト。
無自覚イチャイチャとナチュラルにイケメンムーブするプにキュンキュンするミは良いぞ。
今日のディナーはポークチョップ 「え、何、お前……バイク乗れんの?」
「勝手に人の画面を見るな」
そう言った俺に、めんどくさそうに返事をしつつ顔をこちらに向けたクリプトは、視線も膝上のラップトップからこちらへと移す。
クリプトが見ていたのは、大型バイクのデジタルカタログで、いかつい車体がずらりと並んでいるそれを何故見ているのかが疑問として浮かんできてしまって、ついつい声をかけてしまった。
いつもだったら流石に他人のラップトップを後ろから勝手に覗き込んで、画面の内容にコメントをするなんていうのは滅多にしない。
クリプトは特にそういうのを嫌がる相手だと分かっているから余計に。
けれど、随分と熱心にクリプトがそのカタログを見ていたものだから、頭の中で大型バイクに跨がるコイツをなんとなくイメージしてしまったのだ。
6019「勝手に人の画面を見るな」
そう言った俺に、めんどくさそうに返事をしつつ顔をこちらに向けたクリプトは、視線も膝上のラップトップからこちらへと移す。
クリプトが見ていたのは、大型バイクのデジタルカタログで、いかつい車体がずらりと並んでいるそれを何故見ているのかが疑問として浮かんできてしまって、ついつい声をかけてしまった。
いつもだったら流石に他人のラップトップを後ろから勝手に覗き込んで、画面の内容にコメントをするなんていうのは滅多にしない。
クリプトは特にそういうのを嫌がる相手だと分かっているから余計に。
けれど、随分と熱心にクリプトがそのカタログを見ていたものだから、頭の中で大型バイクに跨がるコイツをなんとなくイメージしてしまったのだ。
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MOURNINGプ、12歳まで孤児で路上生活してたなら、食べ物を大事にしそうだよね、という話(両片思いだけどほぼミ→プなミラプト)つまり、満場一致ってこと?誰にでもミスはある。それは完璧なレジェンド、ミラージュことエリオット・ウィットとて例外ではない。例えば朝食のサニーサイドアップを焦がしてしまうとか。歯磨き粉と洗顔フォームを間違えて口に含んでしまうとか。ドロップシップの搭乗時間を勘違いして危うく遅刻しかけてしまうとか。
「君が寝坊なんて珍しいね。明日は雨でも降るのかな?」
「雨どころか槍が降るかも知れないよ〜早起きのウィットが寝てて、いつも寝坊するアタシが起きてるんだから〜!」
だから寝坊じゃないんだって!そう反論する気さえ起きず、悪意のないパスファインダーと悪意しかないランパートに迎えられてミラージュは出航時間ギリギリにドロップシップに駆け込んだ。個人スペースのソファにどっかりと腰を下ろせば、同僚たちの物珍しげな視線がチクチクと肌に刺さる。注目されるのは好きだが、こういう注目のされ方は好きじゃない。鬱陶しいその感覚に無視を決め込んで、手にしていた大手コンビニエンスストアのレジ袋の中からサンドイッチを取り出してため息をひとつ。透明なフィルムに覆われたそれは、いつもなら買わないものだ。具も少なく生地もパサついたコンビニエンスストアのサンドイッチなど、料理好きのミラージュの口に合うはずがない。それでも朝食はしっかり摂らなければならないというポリシーが、家で朝食を炭に変えてしまったミラージュに常ならぬ選択をさせたのだった。
3936「君が寝坊なんて珍しいね。明日は雨でも降るのかな?」
「雨どころか槍が降るかも知れないよ〜早起きのウィットが寝てて、いつも寝坊するアタシが起きてるんだから〜!」
だから寝坊じゃないんだって!そう反論する気さえ起きず、悪意のないパスファインダーと悪意しかないランパートに迎えられてミラージュは出航時間ギリギリにドロップシップに駆け込んだ。個人スペースのソファにどっかりと腰を下ろせば、同僚たちの物珍しげな視線がチクチクと肌に刺さる。注目されるのは好きだが、こういう注目のされ方は好きじゃない。鬱陶しいその感覚に無視を決め込んで、手にしていた大手コンビニエンスストアのレジ袋の中からサンドイッチを取り出してため息をひとつ。透明なフィルムに覆われたそれは、いつもなら買わないものだ。具も少なく生地もパサついたコンビニエンスストアのサンドイッチなど、料理好きのミラージュの口に合うはずがない。それでも朝食はしっかり摂らなければならないというポリシーが、家で朝食を炭に変えてしまったミラージュに常ならぬ選択をさせたのだった。
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DOODLEミラプト/別れを選んだ二人・テジュンに戻ったプ/もしかしたら続くかも落花流水 例えば、ふわりと揺れ動くカール掛かった前髪の奥から見えるヘーゼルの瞳。
太陽の光の下でキラキラと輝くその瞳が俺を見て細まる様は美しかった。
例えば、俺よりも広い掌から伸びる節くれだった五本の指先。
見た目の武骨さとは違い、丹念に研かれた爪とエンジニアらしく器用さを持ったその指が魔法のようにカクテルを作る手順。
例えば、厚みのある唇から紡がれる軽やかさと甘さを含んだ声色。
元からある甘さをさらに煮詰めたような掠れを帯びた声で俺に向かって愛を囁くアイツの姿を思い出す。
忘れる事なんて出来ないんだと、そう思ってからもう三年が過ぎた。
俺は今年も見馴れた木の下に立ち、五枚の花弁で構成された花が、時折吹きすさぶ風によってその姿をハラハラと散らすのを見上げる。
1399太陽の光の下でキラキラと輝くその瞳が俺を見て細まる様は美しかった。
例えば、俺よりも広い掌から伸びる節くれだった五本の指先。
見た目の武骨さとは違い、丹念に研かれた爪とエンジニアらしく器用さを持ったその指が魔法のようにカクテルを作る手順。
例えば、厚みのある唇から紡がれる軽やかさと甘さを含んだ声色。
元からある甘さをさらに煮詰めたような掠れを帯びた声で俺に向かって愛を囁くアイツの姿を思い出す。
忘れる事なんて出来ないんだと、そう思ってからもう三年が過ぎた。
俺は今年も見馴れた木の下に立ち、五枚の花弁で構成された花が、時折吹きすさぶ風によってその姿をハラハラと散らすのを見上げる。
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DONEミラプトワンドロ/お題『桜』 砂埃 たなびく星の桜花 「ッ……知ってるか、クリプちゃん」
「なんだよ」
「『桜の木の下には死体が埋まってる』……らしいぜ? ヴァルキリーからこの間、アイツの地元の星でずっと語り継がれてる怖い話だって教わったんだけどよぉ」
「……それは、今言うべきセリフか?」
口腔内から血の混じった唾を草の生い茂る地面に吐き出したミラージュが、それと共に投げ掛けてきた言葉が耳奥へと滑り込んでくる。
手入れの施されているのが素人目にも分かるくらいに滑らかな表面をしている青々とした芝生の上に花のように散った赤い痕跡から目を背け、俺はバックパックからシールドセルを取るとすぐにそれを使用し始めた。
もたもたしていられる状況では無かったからだ。
4887「なんだよ」
「『桜の木の下には死体が埋まってる』……らしいぜ? ヴァルキリーからこの間、アイツの地元の星でずっと語り継がれてる怖い話だって教わったんだけどよぉ」
「……それは、今言うべきセリフか?」
口腔内から血の混じった唾を草の生い茂る地面に吐き出したミラージュが、それと共に投げ掛けてきた言葉が耳奥へと滑り込んでくる。
手入れの施されているのが素人目にも分かるくらいに滑らかな表面をしている青々とした芝生の上に花のように散った赤い痕跡から目を背け、俺はバックパックからシールドセルを取るとすぐにそれを使用し始めた。
もたもたしていられる状況では無かったからだ。
shiki_gameover
DOODLEうちのミラプト別人格スキンまとめ〜めちゃくちゃ楽しい事に気付いてしまったんだよな…別人格スキン楽しい……
ちょこちょこ上げていくかもしれない(上げるとは言ってない) 12
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MOURNING「ただいま。」「気付いているか?」「俺は騙されたりしない。」の指定台詞3つでミラプト企画話purgatorium「ただいま。」
帰宅を知らせるミラージュの声とチリチリと玄関のタイルが擦れる音。耳を擽る愛らしいその音は次第に激しさを増して、慌てたようにミラージュが声を上げる。
「おい、待て!お前らその足で家の中に入るんじゃない!」
一体今日はどんな有り様なのか。小さく笑ったクリプトはラップトップを閉じて書斎から玄関に向かう。ペタペタと裸足の足音を廊下に響かせながら途中の洗面所でタオルを二、三枚拾って行けば案の定、脚を真っ黒に汚した二匹の獣が飼い主の静止を振り切らんと暴れていた。
「今日はまた一段とはしゃいで来たんだな。」
ステイ、と一声。クリプトが手の平を見せて短く、しかし鋭く発すれば、たちまち二匹の獣は従順な犬に戻って大人しくなった。本来賢いはずのゴールデンレトリバーとダックスフンドだ。正しくコマンドを出せば指示に従ってくれるものなのだが、いかんせんミラージュは彼らに舐められている節がある。同じように犬たちに接しているはずなのになぜなのか。犬を飼うにあたり二人でいろいろ調べた時に見た情報と照らし合わせてもその理由は謎のままだ。
3473帰宅を知らせるミラージュの声とチリチリと玄関のタイルが擦れる音。耳を擽る愛らしいその音は次第に激しさを増して、慌てたようにミラージュが声を上げる。
「おい、待て!お前らその足で家の中に入るんじゃない!」
一体今日はどんな有り様なのか。小さく笑ったクリプトはラップトップを閉じて書斎から玄関に向かう。ペタペタと裸足の足音を廊下に響かせながら途中の洗面所でタオルを二、三枚拾って行けば案の定、脚を真っ黒に汚した二匹の獣が飼い主の静止を振り切らんと暴れていた。
「今日はまた一段とはしゃいで来たんだな。」
ステイ、と一声。クリプトが手の平を見せて短く、しかし鋭く発すれば、たちまち二匹の獣は従順な犬に戻って大人しくなった。本来賢いはずのゴールデンレトリバーとダックスフンドだ。正しくコマンドを出せば指示に従ってくれるものなのだが、いかんせんミラージュは彼らに舐められている節がある。同じように犬たちに接しているはずなのになぜなのか。犬を飼うにあたり二人でいろいろ調べた時に見た情報と照らし合わせてもその理由は謎のままだ。
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MOURNINGプ、猫に好かれそうだし、ミ、猫に嫌われそうだよね、という話(ミラプト、付き合う前)猫なんてそんなもの猫がいる。大小複数のモニターの明かりが青白く照らし、蛍光色の付箋がそこかしこに貼られ、配線が蛇のように床を這うサイバージャングルの奥、ひっそりと構えられたささやかなベッドの上に、猫がいるのだ。
ミラージュはぱちくりと目を瞬かせた。見間違いではない。本来動物などいるはずのないドロップシップの、それもよりにもよってギークでナードな同僚の個人スペースに、赤茶色の毛の塊がいる。茶トラと呼ばれる柄だろうか。ふこふこと呼吸に合わせて上下する被毛は、日の光の届かない薄暗いスペースで乱雑に置かれた枕やブランケットと同化していて、パッと見では気が付かなかった。
「立ち入りを許可した覚えはないぞ。」
チクリと刺すような声にそろりそろりと抜き足差し足で近付いていたミラージュの体がビクリと止まる。思わず誤魔化すような笑みを作って声の主を見るも、彼はこちらに背を向けたままモニターに向かってキーボードを叩いていた。背中に目でもついてんのか。刈り上げられた丸い後頭部を凝視していると、その後ろで充電コードに繋がれながらもキュルリとレンズを動かす彼のドローンと目が合った。背中どころか空に目を放っちまうヤツだった。壁に目あり障子にも目あり。なんなら床にも天井にも目があるかも知れない。
4013ミラージュはぱちくりと目を瞬かせた。見間違いではない。本来動物などいるはずのないドロップシップの、それもよりにもよってギークでナードな同僚の個人スペースに、赤茶色の毛の塊がいる。茶トラと呼ばれる柄だろうか。ふこふこと呼吸に合わせて上下する被毛は、日の光の届かない薄暗いスペースで乱雑に置かれた枕やブランケットと同化していて、パッと見では気が付かなかった。
「立ち入りを許可した覚えはないぞ。」
チクリと刺すような声にそろりそろりと抜き足差し足で近付いていたミラージュの体がビクリと止まる。思わず誤魔化すような笑みを作って声の主を見るも、彼はこちらに背を向けたままモニターに向かってキーボードを叩いていた。背中に目でもついてんのか。刈り上げられた丸い後頭部を凝視していると、その後ろで充電コードに繋がれながらもキュルリとレンズを動かす彼のドローンと目が合った。背中どころか空に目を放っちまうヤツだった。壁に目あり障子にも目あり。なんなら床にも天井にも目があるかも知れない。
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MOURNINGプ、バレンタイン嫌いそうだよね、という話(ミラプト、孤児院時代捏造有)for youバレンタインは嫌いだ。ピンク色に染まる街も、世間の浮かれた空気も。
そう言ったら、モテない男の僻みか?クリーピー、と恋人が嫌味ったらしく笑うものだから、彼が後生大事にしているトゥーマッチウィットをチョコレートの海に沈めてやるところだった。
「待て待て待て待て、冗談だ!悪かったって!」
慌ててガナッシュの入ったボウルを退けてクリプトから像を取り上げたミラージュは、甘い香りに包まれている。キッチンに充満してリビングまで漂ってくるそれに集中力を削がれたのは事実だ。作業の手を止められたのだから、これくらいの狼藉は許されてもいいだろう。
「全くとんだ悪戯小僧だぜ…」
「チョコレートまみれにすればその悪趣味な像も少しは愛嬌が出ると思ってな。」
3519そう言ったら、モテない男の僻みか?クリーピー、と恋人が嫌味ったらしく笑うものだから、彼が後生大事にしているトゥーマッチウィットをチョコレートの海に沈めてやるところだった。
「待て待て待て待て、冗談だ!悪かったって!」
慌ててガナッシュの入ったボウルを退けてクリプトから像を取り上げたミラージュは、甘い香りに包まれている。キッチンに充満してリビングまで漂ってくるそれに集中力を削がれたのは事実だ。作業の手を止められたのだから、これくらいの狼藉は許されてもいいだろう。
「全くとんだ悪戯小僧だぜ…」
「チョコレートまみれにすればその悪趣味な像も少しは愛嬌が出ると思ってな。」
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MOURNINGミ、韓国語面白がりそうだよね、という話(ミラプト、付き合う前)素なんてそう簡単に見せてやるものかパラダイスラウンジのカウンターの隅の席、クリプトの指定席になりつつあるそこに、赤い皿が並ぶのはこれで3回目だ。1回目はチリソースたっぷりのタコス。2回目はスパイスの効いたガパオライス。回を追う毎に赤味を増してく皿が、今日は遂に真っ赤になった。
「や、やんにょ…ん?」
「양념치킨.」
「それそれ!」
ヤンニョムチキン、鶏の唐揚げに辛味噌を絡めた故郷の料理。真っ赤に染まった手羽元と付け合わせの大根のピクルス。夢にまで見た定番の組み合わせに、まさかこんな異郷の地で出会えるとは。
「やっぱお前の求める辛さってのはこういう辛さなんだろ?散々迷走したけど、ようやく辿り着いたぜ!」
タコスもガパオライス美味しかったし、その旨も伝えていたのだが、長年客を見てきた料理人は手応えに満足しなかったようで。一度で終わるはずだったこの会が、気が付けば三度目だ。今日こそは、と意気込んで出されたメニューはまさに三度目の正直と言うに相応しく、クリプトは思わず喉を鳴らしてしまった。食に関してあまりいい思い出のない幼少時代を過ごしたが、それでも故郷の味は遺伝子に刻み込まれているようで、ツンと鼻を刺激する懐かしい香りに弥が上にも期待が高まる。
3512「や、やんにょ…ん?」
「양념치킨.」
「それそれ!」
ヤンニョムチキン、鶏の唐揚げに辛味噌を絡めた故郷の料理。真っ赤に染まった手羽元と付け合わせの大根のピクルス。夢にまで見た定番の組み合わせに、まさかこんな異郷の地で出会えるとは。
「やっぱお前の求める辛さってのはこういう辛さなんだろ?散々迷走したけど、ようやく辿り着いたぜ!」
タコスもガパオライス美味しかったし、その旨も伝えていたのだが、長年客を見てきた料理人は手応えに満足しなかったようで。一度で終わるはずだったこの会が、気が付けば三度目だ。今日こそは、と意気込んで出されたメニューはまさに三度目の正直と言うに相応しく、クリプトは思わず喉を鳴らしてしまった。食に関してあまりいい思い出のない幼少時代を過ごしたが、それでも故郷の味は遺伝子に刻み込まれているようで、ツンと鼻を刺激する懐かしい香りに弥が上にも期待が高まる。
ichushi_316
TRAININGクリスマスの話ですワトレイメイン。
ミラレイ・クリワト・ミラプトの要素があります
ヴァルとランパの要素があります
あれは全然マフラーとかじゃない寒いにおいがツンと鼻をかすめると同時に目が覚めた。
冬の朝だ。12月も終わりに近づいた今朝は少し雪がちらついていた。
ぼんやりとした頭を少し持ち上げ、ベッドから出ないまま窓の外に目を向ける。
飽きるほど見慣なれた雪景色。今年は例を見ないほどの大雪が続いていて、仲間たちもほとんど外に出ず自分の部屋にこもりきりだ。
今日も試合はないらしい。
これだけの大雪が続いていては、年内の開催はもう無理かもしれない。
「その分、ものづくりに集中できるってことだわ。」
あくびをしながら毛布を頭までかぶりなおした。
今日は無理。寒すぎる。昼になって太陽が昇って、そうしたら少しは暖かくなって、それで……
まてよ、なんか昨日の夜クリプトからメッセージが来ていた気がする。それだけ返信しておこうかしら。
6508冬の朝だ。12月も終わりに近づいた今朝は少し雪がちらついていた。
ぼんやりとした頭を少し持ち上げ、ベッドから出ないまま窓の外に目を向ける。
飽きるほど見慣なれた雪景色。今年は例を見ないほどの大雪が続いていて、仲間たちもほとんど外に出ず自分の部屋にこもりきりだ。
今日も試合はないらしい。
これだけの大雪が続いていては、年内の開催はもう無理かもしれない。
「その分、ものづくりに集中できるってことだわ。」
あくびをしながら毛布を頭までかぶりなおした。
今日は無理。寒すぎる。昼になって太陽が昇って、そうしたら少しは暖かくなって、それで……
まてよ、なんか昨日の夜クリプトからメッセージが来ていた気がする。それだけ返信しておこうかしら。
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MOURNINGミ、爪切りじゃなくて爪やすり派っぽいよね、という話(ミラプト)丸くなるのはまだ早そうだバチン、と音を立てて軽やかだったタイピングが止まる。流れるように美しいコードの途中から不可解な文字列。意図せず薬指の第二関節が曲がって、あらぬキーを押してしまった。クリプトは眉間に皺を寄せて自らの手を、正確にはその先にのった薄桃色の、白い先端を睨んだ。
「爪、伸びたんじゃねえの?」
ソファの裏から顔を出したミラージュの手にはほかほかと湯気の立つマグカップがふたつ。差し出された片方には白とハニーブラウンの液体がマーブル模様を描いている。集中力が切れたタイミングのコーヒーの差し入れはありがたい。
「いただこう。」
ほろ苦いそれを一口啜れば、眉間の皺もどこへやら。ミルク多めに作られたそれは、疲れた脳に糖分を運び、優しく体に染み渡る。カフェインさえ摂れればいいとコーヒーといえばブラック一択だったはずなのに、凝り性の恋人によって様々なコーヒーの味を覚えさせられてしまった。しかもそのどれもが絶品で舌も肥えるというもの。おかげでクリプトの作業場は自宅から、徐々に恋人の家へシフトしつつある。
2064「爪、伸びたんじゃねえの?」
ソファの裏から顔を出したミラージュの手にはほかほかと湯気の立つマグカップがふたつ。差し出された片方には白とハニーブラウンの液体がマーブル模様を描いている。集中力が切れたタイミングのコーヒーの差し入れはありがたい。
「いただこう。」
ほろ苦いそれを一口啜れば、眉間の皺もどこへやら。ミルク多めに作られたそれは、疲れた脳に糖分を運び、優しく体に染み渡る。カフェインさえ摂れればいいとコーヒーといえばブラック一択だったはずなのに、凝り性の恋人によって様々なコーヒーの味を覚えさせられてしまった。しかもそのどれもが絶品で舌も肥えるというもの。おかげでクリプトの作業場は自宅から、徐々に恋人の家へシフトしつつある。
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MOURNINGプ、12歳まで孤児で路上生活してたなら慣れていることと慣れていないことがおかしそうだよね、という話(ミラプト、付き合う前)どうしたらいいかわからないほかほかと湯気の立つココアを飲んで、ミラージュはほう、と息を吐いた。喉を通って胃に落ちる熱が冷え切った体を内から温めてくれる。今日ばかりはいつものコーヒーより、体があたたかいココアを欲していた。
今日のゲームはワールズエッジで、最終安置はエピセンターだった。残り三部隊の激戦で、銃声と爆発物が飛び交う雪原を駆け回って、全身雪まみれになった。おかげでセットした髪は崩れ、ブーツの中まで濡れる始末。ドロップシップの個人スペースにヘアセット用のドライヤーを置いていたのはさすが俺様というか。濡れた髪をセットし直しつつ、衣装の湿った部分をざっと乾かして、手袋とブーツは早々に脱いで干してしまう。体から湿った感触を取り去って、あとはココアを飲みながら停泊所に着くのを待つばかり。
3144今日のゲームはワールズエッジで、最終安置はエピセンターだった。残り三部隊の激戦で、銃声と爆発物が飛び交う雪原を駆け回って、全身雪まみれになった。おかげでセットした髪は崩れ、ブーツの中まで濡れる始末。ドロップシップの個人スペースにヘアセット用のドライヤーを置いていたのはさすが俺様というか。濡れた髪をセットし直しつつ、衣装の湿った部分をざっと乾かして、手袋とブーツは早々に脱いで干してしまう。体から湿った感触を取り去って、あとはココアを飲みながら停泊所に着くのを待つばかり。
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MOURNINGプ、12歳まで孤児で路上生活してたなら母親に看病されたことなさそうだよね、という話(ミラプト)次にこの家を訪れるときは情けない。非常に情けない。
クリプトはベッドに体を沈み込ませながら目を閉じた。このままどこまでも沈んでいけそうなくらい、体が重い。頭も重い。ついでに節々が痛い。いつものように作業に没頭していて、気付いた頃にはこの有様だった。
短納期の仕事で無理をした自覚はある。疲労で抵抗力が落ちた隙を突かれたといえばそれまでだが、あれだけ準備準備と常日頃言っておいて準備の基本である自己管理ができてないだなんて、情けないとしか言いようがない。なんとかデータは納品できたものの、シャワーを浴びることはおろか机の上に溜め込んだエナジードリンクの空き缶を捨てることも出来ずに、ベッドに倒れ込んで何時間経っただろうか。体のありとあらゆる機能がバグを起こしていて時間の感覚がない。
4319クリプトはベッドに体を沈み込ませながら目を閉じた。このままどこまでも沈んでいけそうなくらい、体が重い。頭も重い。ついでに節々が痛い。いつものように作業に没頭していて、気付いた頃にはこの有様だった。
短納期の仕事で無理をした自覚はある。疲労で抵抗力が落ちた隙を突かれたといえばそれまでだが、あれだけ準備準備と常日頃言っておいて準備の基本である自己管理ができてないだなんて、情けないとしか言いようがない。なんとかデータは納品できたものの、シャワーを浴びることはおろか机の上に溜め込んだエナジードリンクの空き缶を捨てることも出来ずに、ベッドに倒れ込んで何時間経っただろうか。体のありとあらゆる機能がバグを起こしていて時間の感覚がない。
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MOURNINGミ、年末年始帰省できないレジェンドたちのために店を開けてくれそうだよね、という話(ミラプト、付き合う前)
帰れない子供たち年末年始だからといって、ミラージュことエリオット・ウィットに休みはない。APEXゲームは休みになるが、自身が経営するバー、パラダイスラウンジは掻き入れ時だ。やれ忘年会だ新年会だと、客足が途絶えない。それでも例年は元日から三が日まで休みにして、実家に帰省して母と共に過ごしていたのだが、今年は営業すると約束してしまった。
「寂しかったらいつでもウチの店に来いよ。そんで俺様の作る美味い飯と酒を食って飲んで、金を落としていけ。ああ、心配するな。一杯くらいはサービスしてやるよ。同じレジェンドのよしみだ。」
お節介野郎め、自分でもそう思う。それでも年末年始をひとり寂しく過ごすであろう同僚達を思うと放っておけなくて、口が勝手に動いていた。実家への顔出しは元日、営業前に済ませてしまおう。母には少し申し訳ないが、俺はいつでも会えるのだ。レジェンド達の中には訳あり者が多い。年末年始を実家で家族と過ごす、そんな平凡な望みを叶えられない者もいる。
3586「寂しかったらいつでもウチの店に来いよ。そんで俺様の作る美味い飯と酒を食って飲んで、金を落としていけ。ああ、心配するな。一杯くらいはサービスしてやるよ。同じレジェンドのよしみだ。」
お節介野郎め、自分でもそう思う。それでも年末年始をひとり寂しく過ごすであろう同僚達を思うと放っておけなくて、口が勝手に動いていた。実家への顔出しは元日、営業前に済ませてしまおう。母には少し申し訳ないが、俺はいつでも会えるのだ。レジェンド達の中には訳あり者が多い。年末年始を実家で家族と過ごす、そんな平凡な望みを叶えられない者もいる。
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MOURNINGプ、12歳まで孤児で路上生活してたならサンタ信じてたことなさそうだよね、という話(ミラプト)この笑顔を見るためにホリデーシーズンのドロップシップはいつもよりにぎやかだ。色鮮やかなスキンを身に纏ったレジェンド達も、心なしか浮き足立っているように見える。それもそのはず、今日はクリスマス・イブ。この後の試合が終われば、年末年始の休暇がはじまるのだ。
「サンタクロースの存在を何歳まで信じていた?」
もみの木に住む小人のような装いのワットソンの問いに、共有スペースのソファで寛いでいた面々は、思わずコースティックを見た。個人スペースでコーヒーを啜っている彼はこの時期、サンタクロースのような出立ちでゲームに参加している。ガスのおじさんからサンタのおじさんにジョブチェンジした彼は、この時期だけは子供たちに人気で、特にウィンターエクスプレスでは大活躍している。主催の自分より目立たれてミラージュとしては複雑な気持ちだ。俺だってくるみ割り人形そっくりで子供ウケしそうなキュートでファンシーなスキンなのに!そう嘆いたら、白タイツがな、と恋人に難しい顔をされた。
3740「サンタクロースの存在を何歳まで信じていた?」
もみの木に住む小人のような装いのワットソンの問いに、共有スペースのソファで寛いでいた面々は、思わずコースティックを見た。個人スペースでコーヒーを啜っている彼はこの時期、サンタクロースのような出立ちでゲームに参加している。ガスのおじさんからサンタのおじさんにジョブチェンジした彼は、この時期だけは子供たちに人気で、特にウィンターエクスプレスでは大活躍している。主催の自分より目立たれてミラージュとしては複雑な気持ちだ。俺だってくるみ割り人形そっくりで子供ウケしそうなキュートでファンシーなスキンなのに!そう嘆いたら、白タイツがな、と恋人に難しい顔をされた。
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MOURNINGプ、12歳まで孤児で路上生活してたならお子様ランチ食べたことないよね、という話(ミラプト)幸せの味今日はスペシャルランチだそうだ。何がスペシャルなのかは知らないが、起き抜けにミラージュがそう言っていた。
日曜日の、もう午前も終わろうという頃。昨夜の無理がたたって、クリプトはいまだにベッドから抜け出せずにいた。2人で過ごす久々の休日。土曜日からデートをして、夜は年甲斐もなくはしゃいでしまった。
クリプトの頬と腰をひと撫でして、一足先にベッドから抜け出していったミラージュは、既にキッチンにいる。トントントン、とまな板と包丁が触れ合う音。ジュー、とフライパンの上で何かが焼ける音。ソファでラップトップを叩きながら聴く、いつもと同じ音。いつもと違うのは、こういった音のしない、謎の間があること。その道のプロでもあり、元々器用で手際のいい彼にしては珍しい。その理由が気になって、クリプトは重い腰を上げて、ようやくベッドから抜け出した。
2269日曜日の、もう午前も終わろうという頃。昨夜の無理がたたって、クリプトはいまだにベッドから抜け出せずにいた。2人で過ごす久々の休日。土曜日からデートをして、夜は年甲斐もなくはしゃいでしまった。
クリプトの頬と腰をひと撫でして、一足先にベッドから抜け出していったミラージュは、既にキッチンにいる。トントントン、とまな板と包丁が触れ合う音。ジュー、とフライパンの上で何かが焼ける音。ソファでラップトップを叩きながら聴く、いつもと同じ音。いつもと違うのは、こういった音のしない、謎の間があること。その道のプロでもあり、元々器用で手際のいい彼にしては珍しい。その理由が気になって、クリプトは重い腰を上げて、ようやくベッドから抜け出した。