oio_oi3
PROGRESS⚠️なんでも許せる方向け☑︎平和世界線
☑︎先天性女体化夫婦曦澄♀
☑︎捏造子有
I was born (血は水よりも、或いは:婚前おじおばばか双傑)「阿凌」
腕の中の幼子はあたたかくずっしりと重い。小さな手足を丸めて眠り込んでいるのを見ていると自然と口が笑む。
「江澄は叔母馬鹿だな」
「魏無羨!お前だって姑蘇から飛んで来たくせに言えた口か⁈自分のそのにやけた顔を鏡で見てこい」
意地の悪い笑みを浮かべる兄に考えるよりも先に憎まれ口を叩いてしまうが少しも気分を害した様子はない。
「俺だって叔父馬鹿だな。こんなに可愛い子はどこを探したっていない」
「そうだな」
今度は素直に頷けた。
「でも同じくらい可愛い子はいるだろうな」
笑んだ口から放たれたその言葉は江澄の導火線に火を付けた。
「阿凌が世界で一番可愛い!同じくらいなんているわけない!」
「おまっ、どんだけ叔母馬鹿なんだ⁈それこそお前ほどの叔母馬鹿こそ世界を探したっていないよ」
4187腕の中の幼子はあたたかくずっしりと重い。小さな手足を丸めて眠り込んでいるのを見ていると自然と口が笑む。
「江澄は叔母馬鹿だな」
「魏無羨!お前だって姑蘇から飛んで来たくせに言えた口か⁈自分のそのにやけた顔を鏡で見てこい」
意地の悪い笑みを浮かべる兄に考えるよりも先に憎まれ口を叩いてしまうが少しも気分を害した様子はない。
「俺だって叔父馬鹿だな。こんなに可愛い子はどこを探したっていない」
「そうだな」
今度は素直に頷けた。
「でも同じくらい可愛い子はいるだろうな」
笑んだ口から放たれたその言葉は江澄の導火線に火を付けた。
「阿凌が世界で一番可愛い!同じくらいなんているわけない!」
「おまっ、どんだけ叔母馬鹿なんだ⁈それこそお前ほどの叔母馬鹿こそ世界を探したっていないよ」
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投稿ずみのお話のおじさま視点です。
I was born (忘れえぬ女:藍啓仁視点)「藍先生」
高く踏み鳴らす足音と走っている気配にまた座学のひよこ達かと注意しようかと思えば角から顔を出したのは甥の妻である江晩吟だった。
今朝挨拶に来た時は複雑に結い上げられていた髪は解かれ風に揺れ襟元も乱れている。甥の妻として、人妻として端的に言えば外聞が悪い状態で茫然自失な彼女を自室へ招き入れた。
「……何があった?」
縋るように呼ばれた時の姿を思い出す。まるで寄る辺のない子供のような顔。親兄弟も友人もいないかのような…昔からそうだった。
毎日のように素行が悪い魏無羨に怒鳴っていれば隣で真面目な江晩吟が可愛くなるのも当たり前だ。勤勉な様に関心していつだか褒めたことがある。その時の生まれて初めてそうされて驚きながらも喜びを堪える顔は年相応というよりも幼さが勝っていた。
4844高く踏み鳴らす足音と走っている気配にまた座学のひよこ達かと注意しようかと思えば角から顔を出したのは甥の妻である江晩吟だった。
今朝挨拶に来た時は複雑に結い上げられていた髪は解かれ風に揺れ襟元も乱れている。甥の妻として、人妻として端的に言えば外聞が悪い状態で茫然自失な彼女を自室へ招き入れた。
「……何があった?」
縋るように呼ばれた時の姿を思い出す。まるで寄る辺のない子供のような顔。親兄弟も友人もいないかのような…昔からそうだった。
毎日のように素行が悪い魏無羨に怒鳴っていれば隣で真面目な江晩吟が可愛くなるのも当たり前だ。勤勉な様に関心していつだか褒めたことがある。その時の生まれて初めてそうされて驚きながらも喜びを堪える顔は年相応というよりも幼さが勝っていた。
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かけてるとこまでですがすみません💦
I was born (導入)ぼくのいちばんはじめのきおくは、きれいなねむりひめだ
ゆえんぐーぐがよんでくれたとつくにのおはなし
とげにゆびをさされてねむってしまったおひめさま
おうじさまのくちづけでめをさます
どうしておひめさまはめをさましたの?ときいたら
はじめに うぇいのおじうえはおうじさまがおひめさまに『しんじつのあい』があったからだといって、いつものいたずらをするときのようなかおでわらった
そして らんのおじうえはびっくりするほどやさしいかおでうぇいのおじうえをみながらくびをたてにふった
それから りんぐーぐはにがいものをたべたときみたいなかおをしてた
さいごに ゆえんぐーぐはどうしてだとおもう?といつもとかわらないやさしいかおとこえでぼくにきいた
11148ゆえんぐーぐがよんでくれたとつくにのおはなし
とげにゆびをさされてねむってしまったおひめさま
おうじさまのくちづけでめをさます
どうしておひめさまはめをさましたの?ときいたら
はじめに うぇいのおじうえはおうじさまがおひめさまに『しんじつのあい』があったからだといって、いつものいたずらをするときのようなかおでわらった
そして らんのおじうえはびっくりするほどやさしいかおでうぇいのおじうえをみながらくびをたてにふった
それから りんぐーぐはにがいものをたべたときみたいなかおをしてた
さいごに ゆえんぐーぐはどうしてだとおもう?といつもとかわらないやさしいかおとこえでぼくにきいた
wokogamashii
DONE交流会6でのネップリ双傑イラストクレジット極小版とおまけ漫画1pです。パスワードにはネップリに記載されたpass:の後の文字を「すべて小文字」でご入力ください。
双傑オンリーに併せ2022/12/5までのプリント番号をTwitterに掲示しています。
パス付ネップリは今後も参加イベントに併せて再掲することがあります。
おまけページは今後双傑本を作らない限り他の方法では公開しません。 2
巨大な石の顔
SPUR MEサンサーラシリーズ番外編。明知不可而為之(四)のつづきになりますが本編とするには短い話。うちの江澄もなかなか兄上を振り回しています。寒室の夜 寒室へ入ると、それまで誰もいなかったそこは外よりも冷たかった。
藍渙は江澄を抱きしめてきた。彼の体臭である花のように甘い香りが鼻をくすぐる。
このまま情事にもつれこむのだろうかと半ば覚悟するかのように江澄は瞳を閉じていたが一向に唇は合わされなかった。
「君は私に体を委ねても心は見せてくれない」
目を開ければ藍渙はみるからに悲しそうな表情を浮かべていた。顔の造りは違うのに、その表情はさきほど見かけた藍啓仁とよく似ている。
彼は江澄をまたしても詰ってきたわけではない。夜空のように深い色の瞳には手で雪をすくって溶けてしまうのを止めたくても止められないかのようなあきらめが浮かんでいた。
かつて父にお前は家訓をわかっていないと首を振られたときのように、江澄は胸が千々に乱れる思いがした。
2012藍渙は江澄を抱きしめてきた。彼の体臭である花のように甘い香りが鼻をくすぐる。
このまま情事にもつれこむのだろうかと半ば覚悟するかのように江澄は瞳を閉じていたが一向に唇は合わされなかった。
「君は私に体を委ねても心は見せてくれない」
目を開ければ藍渙はみるからに悲しそうな表情を浮かべていた。顔の造りは違うのに、その表情はさきほど見かけた藍啓仁とよく似ている。
彼は江澄をまたしても詰ってきたわけではない。夜空のように深い色の瞳には手で雪をすくって溶けてしまうのを止めたくても止められないかのようなあきらめが浮かんでいた。
かつて父にお前は家訓をわかっていないと首を振られたときのように、江澄は胸が千々に乱れる思いがした。
巨大な石の顔
DONEサンサーラシリーズ第三章。モブ門弟たち視点の兄上と江澄の話です。明知不可而為之(三.五) 旗未動、風也未動、是人的心自己在動
(旗未だ動かず風また未だ吹かず。揺らぐは人の心なり)
――映画『楽園の瑕』より
五年ほど前に金魔と呼ばれる肺の病が蓮花塢周辺で猛威を振るって以来、雲夢江氏では家宴の習わしは途絶えた。
以前より他の世家との交流が増え、他家で開かれる家宴のにぎやかな様子を小耳にはさむようになったこともあり多くの門弟たちは再開を望むものの、うちの宗主様は大変厳しい人で再び未知の疫病が発生したときのために備えを徹底していて、なかなか言い出しづらい。
金魔の拡大で蓮花塢を閉鎖中は家宴どころか、『食うに語らず』と姑蘇藍氏のように黙食を誰もが求められた。あのときに比べればまだましだ、と幼い頃匂いにつられ修練場の塀をよじ登って眺めた美味しそうな料理にあふれた家宴に憧れ雲夢江氏の門前に立った門弟たちは悔し涙を飲み込む。
10706(旗未だ動かず風また未だ吹かず。揺らぐは人の心なり)
――映画『楽園の瑕』より
五年ほど前に金魔と呼ばれる肺の病が蓮花塢周辺で猛威を振るって以来、雲夢江氏では家宴の習わしは途絶えた。
以前より他の世家との交流が増え、他家で開かれる家宴のにぎやかな様子を小耳にはさむようになったこともあり多くの門弟たちは再開を望むものの、うちの宗主様は大変厳しい人で再び未知の疫病が発生したときのために備えを徹底していて、なかなか言い出しづらい。
金魔の拡大で蓮花塢を閉鎖中は家宴どころか、『食うに語らず』と姑蘇藍氏のように黙食を誰もが求められた。あのときに比べればまだましだ、と幼い頃匂いにつられ修練場の塀をよじ登って眺めた美味しそうな料理にあふれた家宴に憧れ雲夢江氏の門前に立った門弟たちは悔し涙を飲み込む。
巨大な石の顔
DONEサンサーラシリーズ第三章。とうとう兄上と江澄がキスするお話。明知不可而為之(二) 藍宗主が閉関を解いてからときは少し進み、雲深不知処で何年かぶりに清談会が開かれた。当主の誕生日も近くその復帰祝いもかねていたので、暗黙の了解として常よりも仙門百家の人々は着飾って参加していた。
人々が驚いたのは、雲夢江氏宗主が会場へ現れたときである。金凌のように日ごろの厳格な江宗主をよく知る人物ほど今日の彼をみて顎が落ちそうになった。
今宵の江宗主は、普段結い上げている髪をしどけなく下ろし蓮の形をした銀の髪冠をつけ、動きやすさを重視した校服から袖も大きくゆったりとした優美な上衣に袖を通していた。色は夕暮れにかかる雲のような薄紫色で、合わせの隙間から宵闇のような黒い裳裾をなびかせている。人を寄せ付けないとげとげしい雰囲気も眉間に寄せる深い皺も今日は消え、衣に合わせた扇子を片手ににこやかに愛嬌をふりまいていた。
14755人々が驚いたのは、雲夢江氏宗主が会場へ現れたときである。金凌のように日ごろの厳格な江宗主をよく知る人物ほど今日の彼をみて顎が落ちそうになった。
今宵の江宗主は、普段結い上げている髪をしどけなく下ろし蓮の形をした銀の髪冠をつけ、動きやすさを重視した校服から袖も大きくゆったりとした優美な上衣に袖を通していた。色は夕暮れにかかる雲のような薄紫色で、合わせの隙間から宵闇のような黒い裳裾をなびかせている。人を寄せ付けないとげとげしい雰囲気も眉間に寄せる深い皺も今日は消え、衣に合わせた扇子を片手ににこやかに愛嬌をふりまいていた。
巨大な石の顔
DONEサンサーラシリーズ第三章。兄上と江澄がキスしそこなった話。明知不可而為之(一) いちばんになりたかった。
あいつに勝ちたかった。
誰よりも強く秀でていたかった。
ちがう、ちがう。
いちばんになって俺は褒められたかった。
さすが次期宗主だ、自慢の息子だって。
愛されたかった、父さんと母さんに。
庭に侵入者がいると思えば、それは江澄が幼い頃から気にかけている少女だった。彼女は向前看(シャンティエンカン。前を向いていこうという意味)という明るい名前のーー前(ティエン)を銭(ティエン)、尚銭看(お金に目をむけていこう)と実はかけているのではないかと江澄が疑っているーー霊剣へ今にも飛び乗ろうとしていた。
「小蓮!」
少女を見つけるなり呼び止めた。
「雲夢へ帰ったんじゃなかったのか。なぜこんな夜更けにまた金麟台にいる?」
12967あいつに勝ちたかった。
誰よりも強く秀でていたかった。
ちがう、ちがう。
いちばんになって俺は褒められたかった。
さすが次期宗主だ、自慢の息子だって。
愛されたかった、父さんと母さんに。
庭に侵入者がいると思えば、それは江澄が幼い頃から気にかけている少女だった。彼女は向前看(シャンティエンカン。前を向いていこうという意味)という明るい名前のーー前(ティエン)を銭(ティエン)、尚銭看(お金に目をむけていこう)と実はかけているのではないかと江澄が疑っているーー霊剣へ今にも飛び乗ろうとしていた。
「小蓮!」
少女を見つけるなり呼び止めた。
「雲夢へ帰ったんじゃなかったのか。なぜこんな夜更けにまた金麟台にいる?」
巨大な石の顔
DONEサンサーラシリーズ番外編。オリキャラに私の江澄への愛を叫ばせている話。時系列は天人五衰の五と六の間です。師父の姿絵「残忍」「気性が荒い」「人の話を聞かない独裁者」「しょっちゅう機嫌が悪くてうっぷん晴らしに子弟を殴っている」「六芸の大会で優勝しなかったら子弟は鞭打ちの刑に処される」「いつも人を貶してばかりでほめることはない」「夷陵老祖が憎くて鬼道を使ったやつをひっ捕まえて殺している」「自分が殺したくせに、気が触れて夷陵老祖は死んでないと思い込んでいる」「よみがえって復讐されるのが怖いから血眼になって探している」「温姓というだけで陳情に言っても門前払いだった」「庶民が困っていてもまったく助けてくれない」「血も涙もない鬼だ」「あんな冷酷でまわりをみていない宗主じゃ雲夢はもうだめだ。江楓眠さまのときが懐かしい」
蓮花塢そばの町の大人たちは酔えば二言目には江宗主のことを悪く言う。
11526蓮花塢そばの町の大人たちは酔えば二言目には江宗主のことを悪く言う。
巨大な石の顔
DONEサンサーラシリーズ第一章。兄上がとうとう天人から人間になる話。天人五衰(六) ほどなくして江宗主は上半身を動かせるようになった。下半身はしびれが残っていてまだしっかり床に立てそうになかったが確実に彼は回復してきていた。
雲夢江氏からは白蓮蓮によって毎日蓮の花のしずくが届けられている。雲深不知処からも滋養強壮にいい野菜や薬草が届けられた。届けにきたのは江澄が命がけで助けた少年だった。
少年は江宗主と藍宗主に挨拶へきた。太い眉が凛々しい彼は礼儀正しくかしこまっていて恭しかった。その折り目正しい様子から幼いときの弟を藍曦臣は懐かしく思い出す。
弟の藍忘機はいつの間にか兄を追い越して自分の道を歩き、運命を掴んだ。母が忘機には『お前は人間よ』とわざわざ言わなかった理由が今の兄には理解できた。弟は人間だったからだ、はじめから。
7320雲夢江氏からは白蓮蓮によって毎日蓮の花のしずくが届けられている。雲深不知処からも滋養強壮にいい野菜や薬草が届けられた。届けにきたのは江澄が命がけで助けた少年だった。
少年は江宗主と藍宗主に挨拶へきた。太い眉が凛々しい彼は礼儀正しくかしこまっていて恭しかった。その折り目正しい様子から幼いときの弟を藍曦臣は懐かしく思い出す。
弟の藍忘機はいつの間にか兄を追い越して自分の道を歩き、運命を掴んだ。母が忘機には『お前は人間よ』とわざわざ言わなかった理由が今の兄には理解できた。弟は人間だったからだ、はじめから。
巨大な石の顔
DONEサンサーラシリーズ第一章。毒に倒れた江澄の看病をする兄上のお話。天人五衰(五) 魏無羨たちが嵐のように来て帰った翌朝。ようやく江宗主の意識は戻ったが、四肢のしびれがとれず体を自由に動かせないのでしばらく金麟台へ滞在することになった。
当分は主管が雲夢江氏の執務を遂行するが、やはり宗主の判断や決定が必要なことなどはここまで来て江宗主と相談することになった。
江宗主が毒霧に倒れた事件により、その正体が金家の子弟にも知れ渡りつつある絵師はどうしたかというと、彼もやはり金麟台へ残った。
彼の身を案じるとともにそばから離れたくないという気持ちがあったからだ。
表向きは、『子弟の夜狩りを遠くから見守っていた藍宗主が、怪我をした姑蘇藍氏の子弟を助け毒霧を浴びてしまった江宗主にその恩を返すため彼の看病に金麟台へ残った』ということとした。事実にウソを混ぜ込むと事実は際立つのだ。
6463当分は主管が雲夢江氏の執務を遂行するが、やはり宗主の判断や決定が必要なことなどはここまで来て江宗主と相談することになった。
江宗主が毒霧に倒れた事件により、その正体が金家の子弟にも知れ渡りつつある絵師はどうしたかというと、彼もやはり金麟台へ残った。
彼の身を案じるとともにそばから離れたくないという気持ちがあったからだ。
表向きは、『子弟の夜狩りを遠くから見守っていた藍宗主が、怪我をした姑蘇藍氏の子弟を助け毒霧を浴びてしまった江宗主にその恩を返すため彼の看病に金麟台へ残った』ということとした。事実にウソを混ぜ込むと事実は際立つのだ。
巨大な石の顔
DONEサンサーラシリーズ第一章。兄上が江澄への片思いを自覚する話。オリキャラが出ます。天人五衰(四) 涅槃へ行って阿瑶へ謝ることさえも許されないのか。涅槃へ行っても彼らはまだいないのだ。
藍曦臣は嘆きのあまり顔を覆った。
彼らの魂が来世を望んであの狭い棺桶から抜け出るだろうと思い込んでいた。自身の見通しの甘さにも気分が悪い。どうして私はいつまでたっても愚かなのか。
聶懐桑が帰ってから寒室にいたときのように深い自己嫌悪の沼に陥っていた。
もはや金麟台に彼が滞在する意味を見出せなかった。明日にでも雲深不知処へ戻り再度の閉関をすべきだろうかと悩んでいたその矢先。
どんどんと激しく部屋の扉を叩かれた。
こんな夜更けに何ごとだろう、きっとろくでもないことだと今は気分がすこぶるよくない藍曦臣は無視を決め込んだ。しかし扉を叩く音は止むことはなかった。
7604藍曦臣は嘆きのあまり顔を覆った。
彼らの魂が来世を望んであの狭い棺桶から抜け出るだろうと思い込んでいた。自身の見通しの甘さにも気分が悪い。どうして私はいつまでたっても愚かなのか。
聶懐桑が帰ってから寒室にいたときのように深い自己嫌悪の沼に陥っていた。
もはや金麟台に彼が滞在する意味を見出せなかった。明日にでも雲深不知処へ戻り再度の閉関をすべきだろうかと悩んでいたその矢先。
どんどんと激しく部屋の扉を叩かれた。
こんな夜更けに何ごとだろう、きっとろくでもないことだと今は気分がすこぶるよくない藍曦臣は無視を決め込んだ。しかし扉を叩く音は止むことはなかった。
巨大な石の顔
DONEサンサーラシリーズ第一章。江澄はすごく心配しているけれど兄上には伝わらない話。天人五衰(二) 白木蓮こと藍曦臣は金麟台へ到着したその日から蓮池の写生に取りかかった。
金麟台の蓮池の蓮は、金凌の父親である金子軒が妻江厭離のために特別に品種改良したもので早朝から夜半まで花開くとかつて金光瑶が教えてくれた。藍曦臣はしかし陽が沈む前には町で取っている宿へ戻るつもりだった。
絵師の格好をしてはみたものの、手元にある色彩は墨だけで色を付ける気は今のところちっとも起きなかった。
阿瑶に何度か通されたことのある四阿に腰かけ、寒室に残っていた上等の紙に墨一色で濃淡をつけて蓮池を再現していく。
青々とした立ち葉と立ち葉の隙間から、蓮は茎をのばしてぽつぽつと咲き始めたが満開はまだ当分先になるだろう。池の底にある汚泥を映したかのような黒い水面にアメンボが波紋を描いている。まるで雨が降っているかのようだ。
5489金麟台の蓮池の蓮は、金凌の父親である金子軒が妻江厭離のために特別に品種改良したもので早朝から夜半まで花開くとかつて金光瑶が教えてくれた。藍曦臣はしかし陽が沈む前には町で取っている宿へ戻るつもりだった。
絵師の格好をしてはみたものの、手元にある色彩は墨だけで色を付ける気は今のところちっとも起きなかった。
阿瑶に何度か通されたことのある四阿に腰かけ、寒室に残っていた上等の紙に墨一色で濃淡をつけて蓮池を再現していく。
青々とした立ち葉と立ち葉の隙間から、蓮は茎をのばしてぽつぽつと咲き始めたが満開はまだ当分先になるだろう。池の底にある汚泥を映したかのような黒い水面にアメンボが波紋を描いている。まるで雨が降っているかのようだ。
巨大な石の顔
DONEサンサーラシリーズ第一章。閉関していた兄上が絵師に身をやつして金麟台へ行きます。天人五衰(一) 天人五衰とは、仏教用語で、六道最高位の天界にいる天人が、長寿の末に迎える死の直前に現れる五つの兆しのこと。
大般涅槃経においては、以下のものが「天人五衰」とされる、大の五衰と呼ばれるもの。
一.衣裳垢膩(えしょうこうじ):衣服(羽衣)が埃と垢で汚れて油染みる
二.頭上華萎(ずじょうかい):頭上の華鬘が萎える
三.身体臭穢(しんたいしゅうわい):身体が汚れて臭い出す
四.腋下汗出(えきげかんしゅつ):腋の下から汗が流れ出る
五.不楽本座(ふらくほんざ):自分の席に戻るのを嫌がり楽しみが味わえなくなる
出典元Wikipedia
幼い頃藍曦臣は母のことを、羽衣を奪われた天女のようだと思っていた。
天帝から受けた命を果たしに地上へ降り立ったところ羽衣を父に奪われてしまって、二度と生まれ育った天へ還れない。好きでもない男に閉じ込められその子どもを生まされた気の毒な美しい女性。そう信じていた。
9058大般涅槃経においては、以下のものが「天人五衰」とされる、大の五衰と呼ばれるもの。
一.衣裳垢膩(えしょうこうじ):衣服(羽衣)が埃と垢で汚れて油染みる
二.頭上華萎(ずじょうかい):頭上の華鬘が萎える
三.身体臭穢(しんたいしゅうわい):身体が汚れて臭い出す
四.腋下汗出(えきげかんしゅつ):腋の下から汗が流れ出る
五.不楽本座(ふらくほんざ):自分の席に戻るのを嫌がり楽しみが味わえなくなる
出典元Wikipedia
幼い頃藍曦臣は母のことを、羽衣を奪われた天女のようだと思っていた。
天帝から受けた命を果たしに地上へ降り立ったところ羽衣を父に奪われてしまって、二度と生まれ育った天へ還れない。好きでもない男に閉じ込められその子どもを生まされた気の毒な美しい女性。そう信じていた。
ushiai_41
DONE面倒くさい友人/疲れた阿澄が肉食いに清河に行く話/聶懐桑とのダチの関係※魂魄未視聴のため想像で補ってます。なんでも許せる人向け
清河のお肉 聶懐桑の知る江澄という男は、面倒くさい、を体現している。
本人に言ったことは無いし、言えば確実に紫電で打たれてしまうため今後も口に出さず胸に秘めておくつもりだが、おそらく十人に聞けば七人は頷くだろう。残りの三人は熱心な信者、もしくは江澄に懸想している者だ。
周りに厳しく、己にはもっと厳しい。
一人になりたがる癖に、寂しがり屋で意地っ張り。
かといって構いすぎると逆に距離を置かれて、ある程度心を開くが一線を超えると一瞬で遠い他人となる。
酒に酔えば自己否定ばかり、怪我をしても持ち前の修為の高さでなんとかしてしまい誰にも言わない。何故それを懐桑が知っているかは秘密だ、紫電で打たれるつもりはない。
素直じゃない、とても不器用、理想が高い、矜恃も高い、そのくせ自己評価が格段に低い。
3472本人に言ったことは無いし、言えば確実に紫電で打たれてしまうため今後も口に出さず胸に秘めておくつもりだが、おそらく十人に聞けば七人は頷くだろう。残りの三人は熱心な信者、もしくは江澄に懸想している者だ。
周りに厳しく、己にはもっと厳しい。
一人になりたがる癖に、寂しがり屋で意地っ張り。
かといって構いすぎると逆に距離を置かれて、ある程度心を開くが一線を超えると一瞬で遠い他人となる。
酒に酔えば自己否定ばかり、怪我をしても持ち前の修為の高さでなんとかしてしまい誰にも言わない。何故それを懐桑が知っているかは秘密だ、紫電で打たれるつもりはない。
素直じゃない、とても不器用、理想が高い、矜恃も高い、そのくせ自己評価が格段に低い。
Iz_Mas_x
DONE纏まった時間が取れないため、魏嬰ちゃん番外篇となります。今回は江澄視点でお送りいたします。
もう少し掘り下げたかったのですが、時間切れで残念無念。
献舎されて蘇った魏無羨が、何故か女性だった話 番外篇 江晩吟の憂鬱 大梵山で十三年振りに魏無羨に会った。奪舎してまで蘇り何をする積もりなのだと、怒りに駆られて紫電で打ち付けたが何も起こらなかった。奪舎ではないということは、まさか献舎なのだろうか。誰が何の目的で魏無羨を蘇らせたというのだ。
目の前の魏無羨は、江晩吟が知っていた前世の彼よりも五寸(約十五センチメートル)程背が低く、身体付きも随分と華奢になっている。彼が蓮花塢に連れて来られた頃を彷彿させる痩せぎす振りだ。纏っている[[rb:襤褸 > ボロ]]も、何処の世家のものか判別が付かない程酷いものだ。
恐らく虐待された怨みを晴らすべく、無上邪尊、あるいは魔道祖師と悪名高い魏無羨を献舎の相手に選んだのだろう。選りに選って何故、と江晩吟は忌々しげに舌打ちをした。誰よりも慈悲深い男だ、困っている者を助けない筈がない。
3068目の前の魏無羨は、江晩吟が知っていた前世の彼よりも五寸(約十五センチメートル)程背が低く、身体付きも随分と華奢になっている。彼が蓮花塢に連れて来られた頃を彷彿させる痩せぎす振りだ。纏っている[[rb:襤褸 > ボロ]]も、何処の世家のものか判別が付かない程酷いものだ。
恐らく虐待された怨みを晴らすべく、無上邪尊、あるいは魔道祖師と悪名高い魏無羨を献舎の相手に選んだのだろう。選りに選って何故、と江晩吟は忌々しげに舌打ちをした。誰よりも慈悲深い男だ、困っている者を助けない筈がない。
palalanpa
PROGRESS※無断転載、転用、引用などパクリに値する行為禁止※現代AU、リーマン同棲パロ曦澄。
あまりの忙しさに中々触れ合えない2人。江澄は前だけの自慰で満足出来ず、小さなプラグくらいならこっそり持っていても大丈夫ではーー!?と思ったのがきっかけの大人の玩具ネタ。
書き出したら長くなりそうなのでひとまずできたとこまで。 10747
だみぃにゃん
DOODLEちんじょれ江澄。蜜雪さんの素敵イラストにタグが付いてたからふらっと。
うっかりかいてた。
後悔先に立たず
どうして俺はこうなのか。
やつが藍忘機を庇った時も、蓮花塢が落ちた時も、金丹を失い絶望したときも
やつが温氏の残党を匿った時も、捨てろといった時も、姉を失い絶望したときも
本当は迷わず手を差し伸べられるあいつを尊敬していた。
本当は傍にいてくれることがとても心強かった。
本当はあいつも俺と同じくらい絶望しているとわかっていた。
どうして俺はこうなのか。
一緒に手を差し伸べたかった。
罵るよりも傍にいてくれと叫びたかった。
あいつの気持ちも慮るべきだった。
姐が父が、生前ずっと諭していてくれたのに。
俺はついぞ自分の口を塞ぐことが出来なかった。
あいつは俺のことを一番理解してくれているからと甘えてしまった。
728どうして俺はこうなのか。
やつが藍忘機を庇った時も、蓮花塢が落ちた時も、金丹を失い絶望したときも
やつが温氏の残党を匿った時も、捨てろといった時も、姉を失い絶望したときも
本当は迷わず手を差し伸べられるあいつを尊敬していた。
本当は傍にいてくれることがとても心強かった。
本当はあいつも俺と同じくらい絶望しているとわかっていた。
どうして俺はこうなのか。
一緒に手を差し伸べたかった。
罵るよりも傍にいてくれと叫びたかった。
あいつの気持ちも慮るべきだった。
姐が父が、生前ずっと諭していてくれたのに。
俺はついぞ自分の口を塞ぐことが出来なかった。
あいつは俺のことを一番理解してくれているからと甘えてしまった。
サハラ
DONE【魔道祖師 漫画①】アニメの江澄が、あまりにハードモードなので、少し救いがあったらなという想いをこめて、cqlのエピソードをガッチャンコしてしまった短い漫画です。
アニメのその後を捏造した金凌との話【漫画祖師 漫画②】と、対になっています。
差し支えなければ、そちらと合わせて見てやって下さい。
【注意】微グロ。死ネタ。あります。何でも許せる人向け
palalanpa
MOURNINGツイートしたhttps://twitter.com/palalanpa/status/1464799332482252802?s=21 の続き。澄、男の体のまま母乳が出ます。
曦、飲みます。でもセッはしません。
(授乳なんかしたことないし乳が出るとかよく分からんなと思う時は、女子が想像する男子の射〇と同じような感覚で想像するとよいかもしれませんな!ははははははは!!) 7320
winterland1234
1111江澄誕生日記念の小説(書きかけ)雨を司る鬼の呪いを受けた江澄とその呪いを分かち合う曦臣兄さんの話です。
江澄誕生日おめでとう小説(途中まで) 江晩吟こと江澄は雨の降り続ける蓮花塢の寝室で寝込んでいた。雲夢では雨がもう何十日と言っていいほど降り続けている。町の人々はこの季節になるとよく降る雨と思って最初は受け入れていた。だがそれが十何日と続いてくると流石の彼らも異変に気づき、川も増水して溢れた分が川の近くにある村々を水浸しにしていったのだ。
「これは流石におかしい」
そう考えたある村の人々が雲夢の仙家である江家に赴き、これは美雨鬼の仕業ではないか、調べてほしいと陳情した。
当主である江晩吟は最初こそは「違う」と言って彼らを帰らせたが、その数日後にその村の中で死者が出たのだと報告を受けた。その報告を聞いて部下の仙士たちを連れてその村にある堂へ向かった。もちろん美雨鬼を討伐するためだ。
2162「これは流石におかしい」
そう考えたある村の人々が雲夢の仙家である江家に赴き、これは美雨鬼の仕業ではないか、調べてほしいと陳情した。
当主である江晩吟は最初こそは「違う」と言って彼らを帰らせたが、その数日後にその村の中で死者が出たのだと報告を受けた。その報告を聞いて部下の仙士たちを連れてその村にある堂へ向かった。もちろん美雨鬼を討伐するためだ。
○いど○
SPOILER注意書き※プロフ一読お願いします
※4巻祠堂 ネタバレ有り
※某翻訳機ネタ ギャグ
※双傑/江澄/薄ら忘羨
あの時、みんな言葉の裏側に込められた想いが強すぎて、相手のことも自分のこともよく見えなくなっちゃってたのかなと。江澄の心の叫び、魏嬰自身も気が付いていない藍湛への想い、藍湛の表情の意味など何度読み返しても感情がぐちゃぐちゃになります。
パス:注意書きOKですか? yes/no 5
Nanakuart
PROGRESSyou ask for it, bottom #LXC first! #wip will post the complete thing later, maybe for #JC's birthday? #Xicheng紫雨(shigure)
SPOILER最終話のネタバレなので、未視聴の方の閲覧は推奨しません。アニメ完結編の最終話を観て、どうしようもなくやるせない気持ちになり、書くしかなかった…。
鈴を受け取って走り出した金凌って、つまりはそういうことでしょ????そうじゃなきゃやってられん…!!!!!という話。
江澄……😭😭😭 2603
chunyang_3
MEMOCQL話数ワンドロワンライ2回目(11~20話)。18話の江澄と汁物の思い出の話。魏無羨の話を聞きながら涙を流している江澄※画像で上げたものと基本的に同じですが、表現を手直ししています
忘れ難き味 ドンドンと扉を叩く音に、眠りについていた厭離は起こされた。
「姉上……!」
扉の向こうの姉に向かって江澄は声を上げた。父にも母にも言ったら絶対に怒られるに決まっていて怖くて言えないから、江澄には姉に頼る以外の道は無かった。厭離は一体何があったのだろうと思ったのか、急いで扉を開けてくれた。
「阿澄どうしたの?」
「姉上……姉上、どうしよう!」
厭離の顔を見た瞬間、堪えきれなくなり江澄はわんわんと声を上げて泣き出してしまった。
今日、父は江澄が妃妃や小愛と名前をつけて可愛がっていた犬達を知らぬ間に他所へあげてしまっていた。江澄がそのことを知ったのは彼女達がもうずっと遠くに行ってしまってからだ。そんなの絶対に納得がいかないし、悲しくて苦しくてどうして良いか分からないまま夜になってしまい、江澄は部屋でずっと泣き喚いていた。
2333「姉上……!」
扉の向こうの姉に向かって江澄は声を上げた。父にも母にも言ったら絶対に怒られるに決まっていて怖くて言えないから、江澄には姉に頼る以外の道は無かった。厭離は一体何があったのだろうと思ったのか、急いで扉を開けてくれた。
「阿澄どうしたの?」
「姉上……姉上、どうしよう!」
厭離の顔を見た瞬間、堪えきれなくなり江澄はわんわんと声を上げて泣き出してしまった。
今日、父は江澄が妃妃や小愛と名前をつけて可愛がっていた犬達を知らぬ間に他所へあげてしまっていた。江澄がそのことを知ったのは彼女達がもうずっと遠くに行ってしまってからだ。そんなの絶対に納得がいかないし、悲しくて苦しくてどうして良いか分からないまま夜になってしまい、江澄は部屋でずっと泣き喚いていた。
oio_oi3
DONE観音廟後、寒室で閉閑してる藍曦臣のところへ忘羨に頼まれて通っている江澄。藍曦臣は妹の話をし始め……カプ要素無しですが曦澄製造ラインです
出産についてデリケートな部分に触れています。何を読んでも大丈夫という方だけどうぞ。
この話にカプ要素はないですが曦澄製造ラインではあります。 5
chunyang_3
MEMO“君”がいない世界の江澄蓮の花の咲く音を聞くと悟りが開けるという話があるらしいんですが、蓮が開く時にポンという音がするというのは俗説らしい。
江澄の隣に金凌がいてくれて良かったなと思うばかり。
詠んだ短歌のイメージを短編にしました
君待ち/江澄「蓮花の咲きだす音の聞きたさに走る君の背まぼろしなりて」
ゆさゆさと肩を揺らされて、寝台でよく眠っていた江澄は何事かと寝返りを打とうとする。
「おい、江澄起きろ。行くぞ」
「なんだ?」
目を擦りながらゆっくりと目を開けるが、まだ夜は明けていないようで部屋は暗いままだ。
「こんな夜中になんだ」
「夜中じゃないよ、寅の刻(午前四時)だよ」
「なんでそんな時間にお前が起きてるんだ」
江澄が苛立たしげに声を上げると、魏嬰は人差し指を顔の前に立てながら、もう片方の手のひらで江澄の口を塞ぐ。
「しーっ! 大きい声を出したら師姉達が起きちゃうだろ」
たしかにこんな時辰に騒ぎ立てようものなら、父上や母上の耳に入ったら何を言われるか分からない。
3734ゆさゆさと肩を揺らされて、寝台でよく眠っていた江澄は何事かと寝返りを打とうとする。
「おい、江澄起きろ。行くぞ」
「なんだ?」
目を擦りながらゆっくりと目を開けるが、まだ夜は明けていないようで部屋は暗いままだ。
「こんな夜中になんだ」
「夜中じゃないよ、寅の刻(午前四時)だよ」
「なんでそんな時間にお前が起きてるんだ」
江澄が苛立たしげに声を上げると、魏嬰は人差し指を顔の前に立てながら、もう片方の手のひらで江澄の口を塞ぐ。
「しーっ! 大きい声を出したら師姉達が起きちゃうだろ」
たしかにこんな時辰に騒ぎ立てようものなら、父上や母上の耳に入ったら何を言われるか分からない。
chunyang_3
MEMOCQL短歌「君待ち」江澄、藍忘機、聶懐桑
“君”がいない世界の3人を詠んだ短歌3首
蓮の花が咲く時に音はしない
黄昏とは老いるほどの時間の経過
東の果ての扶桑に止まっているはずの9つの太陽を射ったのは射日の英雄羿である 3
紫雨(shigure)
MOURNING先週の凌澄のワンライ用に書いたものでしたが、江澄が可哀想なところで筆が止まって一時間経ってしまったので、とりあえず供養しておきます🙏💦金凌ちゃんがなんとかしてくれる展開を思いついたら加筆してあげます。
お題『西瓜』 蓮花塢の夏は蒸し暑い。
この時期、あちらこちらで蓮の花ひらく様はまるで仙郷のごとき美しさだが、水場が多いということは湿度も高くなるというわけで。蓮花塢の住人の関心は、このじっとりとした暑さをどのように凌ぐかということに向けられるのだ。
厳しく容赦のない宗主が率いる雲夢江氏の弟子たちも例外ではなく、その日は宗主の不在をいいことに、監督者の目を盗んで、修練場から抜け出した数人の少年たちが試剣堂でごろりと寝そべって、床板に涼を求めていた。
「お前たち! 何をやっている!」
「ひえっ!」
ふいに降ってわいた怒声に、少年たちは震えあがる。
苛烈な宗主が帰ってきたかと、顔を見られる前に別の扉から逃げ出そうと少年たちは考えたが、声が違うことに気が付いた一人が、好奇心から振り返った。
1373この時期、あちらこちらで蓮の花ひらく様はまるで仙郷のごとき美しさだが、水場が多いということは湿度も高くなるというわけで。蓮花塢の住人の関心は、このじっとりとした暑さをどのように凌ぐかということに向けられるのだ。
厳しく容赦のない宗主が率いる雲夢江氏の弟子たちも例外ではなく、その日は宗主の不在をいいことに、監督者の目を盗んで、修練場から抜け出した数人の少年たちが試剣堂でごろりと寝そべって、床板に涼を求めていた。
「お前たち! 何をやっている!」
「ひえっ!」
ふいに降ってわいた怒声に、少年たちは震えあがる。
苛烈な宗主が帰ってきたかと、顔を見られる前に別の扉から逃げ出そうと少年たちは考えたが、声が違うことに気が付いた一人が、好奇心から振り返った。