小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものになります。
【お題ひねりだしてみた】
小さな葉っぱへのお題は『境界線なんていらない』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
境界線なんていらない(ワルロゼ)「なにかお悩みですか?」
――あんたを愛しそうなのが怖い。
ずっと独りで構わないと生きて来た筈なのに。その感情を揺るがす綺羅星と出会ってしまった。
身分の違い、寿命の違い、そんな境界線なんてない方が良いんだ。越えるべき線などなく、ずっとパーティー仲間という壁に阻まれていた方が、きっと彼女の為になる。
そう思っている、のに――。
心配そうな様子で手を包み込む彼女の両手に、境界線を越える明日を何処かで望む自分が居た。
(おわり)
216――あんたを愛しそうなのが怖い。
ずっと独りで構わないと生きて来た筈なのに。その感情を揺るがす綺羅星と出会ってしまった。
身分の違い、寿命の違い、そんな境界線なんてない方が良いんだ。越えるべき線などなく、ずっとパーティー仲間という壁に阻まれていた方が、きっと彼女の為になる。
そう思っている、のに――。
心配そうな様子で手を包み込む彼女の両手に、境界線を越える明日を何処かで望む自分が居た。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりヤスほわ。ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
【お題ひねりだしてみた】
小さな葉っぱへのお題は『境界線なんていらない』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
境界線なんていらない(ヤスほわ)年端の変わらぬ都会の男の子に話し掛けるなど初めてで、飛び切りの緊張を抱えながら思い切って彼の前へ飛び出して行く。
今日のライブにも心動かされた、痺れた、それをどうしても伝えたくて。
髪に隠れていない方の隻眼に始めは驚きが浮かんでいたが、彼女だと認識するとその眼圧は幾分か緩んだ。
「お前、確か一緒のスタジオ使ってる……」
挨拶もそこそこに辿々しくあたふたしながら用件を伝える。
勇気を振り絞った言葉たちを受けた彼は、
『そっか、ありがとよ』
と照れ臭そうに微笑んでくれた。
それは、“境界線はいらない”と気さくに語らってくれているようで、いつまでも眺めていたい。そう本能の部分が小さく揺れ動く笑みだった。
(おわり)
310今日のライブにも心動かされた、痺れた、それをどうしても伝えたくて。
髪に隠れていない方の隻眼に始めは驚きが浮かんでいたが、彼女だと認識するとその眼圧は幾分か緩んだ。
「お前、確か一緒のスタジオ使ってる……」
挨拶もそこそこに辿々しくあたふたしながら用件を伝える。
勇気を振り絞った言葉たちを受けた彼は、
『そっか、ありがとよ』
と照れ臭そうに微笑んでくれた。
それは、“境界線はいらない”と気さくに語らってくれているようで、いつまでも眺めていたい。そう本能の部分が小さく揺れ動く笑みだった。
(おわり)
小さな葉っぱ
DONESB69よりクロシア。クロウちゃんお誕生日おめでとう黙示録!
ツイッターで投稿した画像小説と同じものです。
クロウ誕生祭2022『街外れの丘の上で星を見よう』
メンバーたちの輪から抜け出すように彼女に手を引かれて自然豊かな場所までやって来た。
何処まで行きなにをするのか、そんな無粋な事は聞かない。誕生日パーティーから二人で逃げ出してしまった背徳感と彼女の優しい手の体温。それに伴う心音の高鳴りに、ただ今は従っていたい。
ようやく立ち止まった彼女がこちらを向き、少し申し訳なさそうに笑う。
「ごめんにゃ。ライブの準備が忙しくて、実はお誕生日プレゼント用意出来なかったにゃ。だから、せめて綺麗な星空を贈り物に出来たらにゃって」
二人で空を見る。ダークネイビーのスクリーンへ溢したように広がる白く神秘的な光たち。
彼が星空を見上げる彼女の顔に視線を移動させると、その潤んだ艶やかな瞳に輝く粒子たちが映り込んでいる。
591メンバーたちの輪から抜け出すように彼女に手を引かれて自然豊かな場所までやって来た。
何処まで行きなにをするのか、そんな無粋な事は聞かない。誕生日パーティーから二人で逃げ出してしまった背徳感と彼女の優しい手の体温。それに伴う心音の高鳴りに、ただ今は従っていたい。
ようやく立ち止まった彼女がこちらを向き、少し申し訳なさそうに笑う。
「ごめんにゃ。ライブの準備が忙しくて、実はお誕生日プレゼント用意出来なかったにゃ。だから、せめて綺麗な星空を贈り物に出来たらにゃって」
二人で空を見る。ダークネイビーのスクリーンへ溢したように広がる白く神秘的な光たち。
彼が星空を見上げる彼女の顔に視線を移動させると、その潤んだ艶やかな瞳に輝く粒子たちが映り込んでいる。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターに画像小説として投稿したものと同じです。
泥んこ紳士にキスをして「ワルイージさーん!」
草原の奥まった場所にある秘密の特訓場に彼女が現れる。
大きな鍔の広がった日除け帽に、オフショルダーのキャミソール式のロングサマーワンピース。どちらも眩いほどの白で、彼女のきめ細かい麗美な肌と相まって光って見える。
もう九月に入ったが、数日前の先月と相違ない暑さで、その格好は全くの見当違いではない。
華奢な肩に小型のクーラーボックスを提げてこちらに手を振って近づいて来る。
タイヤ引きによる体力作りをしていた彼はその足を止め、手を振り返した。腰とタイヤを繋げたロープを解き始める。彼女の元に行きたいという焦りから少し手間取ってしまった。
ロープから解放され、野に放たれた動物の如く彼女に走り寄った。
882草原の奥まった場所にある秘密の特訓場に彼女が現れる。
大きな鍔の広がった日除け帽に、オフショルダーのキャミソール式のロングサマーワンピース。どちらも眩いほどの白で、彼女のきめ細かい麗美な肌と相まって光って見える。
もう九月に入ったが、数日前の先月と相違ない暑さで、その格好は全くの見当違いではない。
華奢な肩に小型のクーラーボックスを提げてこちらに手を振って近づいて来る。
タイヤ引きによる体力作りをしていた彼はその足を止め、手を振り返した。腰とタイヤを繋げたロープを解き始める。彼女の元に行きたいという焦りから少し手間取ってしまった。
ロープから解放され、野に放たれた動物の如く彼女に走り寄った。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。ツイッターで投稿した画像小説と同じものになります。
流行りのお茶菓子「本日のお茶菓子は、私なりに流行り物を調べて取り寄せてみたんです」
指を揃えた丁寧な所作で、白いティーポットから彼女お気に入りのアプリコットティーがカップへ注がれる。
とっさに触れたくなるくらい綺麗な指を眺めながら『そいつは楽しみだ』と返す。
ティーを淹れた後、元気っ子のデイジーならジャーン! と自ら効果音を発しそうな場面で、ロゼッタはケーキ屋の白い箱を開けた。
中に入っていたのは、ぷっくり太ったようなスイーツ。
「へー、マリトッツォか。女子の食べ物って感じでオレも初めて食べるな」
「なんだか、サイズ感が星の子たちのように見えまして」
彼女は大切な子供たちを思い浮かべたようだ。一方で彼はたぬきスーツ姿の彼女を想起していた。
369指を揃えた丁寧な所作で、白いティーポットから彼女お気に入りのアプリコットティーがカップへ注がれる。
とっさに触れたくなるくらい綺麗な指を眺めながら『そいつは楽しみだ』と返す。
ティーを淹れた後、元気っ子のデイジーならジャーン! と自ら効果音を発しそうな場面で、ロゼッタはケーキ屋の白い箱を開けた。
中に入っていたのは、ぷっくり太ったようなスイーツ。
「へー、マリトッツォか。女子の食べ物って感じでオレも初めて食べるな」
「なんだか、サイズ感が星の子たちのように見えまして」
彼女は大切な子供たちを思い浮かべたようだ。一方で彼はたぬきスーツ姿の彼女を想起していた。
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりクロシア。押し掛け女房シアンちゃん。
この作品でのクロウちゃんの家は実家ではなく一人暮らしと仮定。
蝶々結び「今日はあたしがクロウちゃんの為にごはん作ってあげるにゃ!」
銀のお玉をぎゅっと握って、片手では買い物袋をガサガサ云わせて部屋に押し掛けた彼女。
「お玉くらいうちにあるっつーの! てか突然だなオイ!」
「クロウちゃんはお昼即決しがちだから早く来たにゃ」
お玉と買い出したものをダイニングテーブルに置くと、持参のピンクのエプロンをバッと広げる。
颯爽と着けてかっこよく――なんて思っていたのだが。
「あ、あれ?? あれ?」
腰のところでの蝶々結びが上手く行かない。するりするりと指を抜けて行く。
「あー! もう! オレがやってやる!」
痺れを切らした彼が近寄って来て紐を手に掛ける。
「すまんにゃん……」
「へいへい、良いって事よ」
387銀のお玉をぎゅっと握って、片手では買い物袋をガサガサ云わせて部屋に押し掛けた彼女。
「お玉くらいうちにあるっつーの! てか突然だなオイ!」
「クロウちゃんはお昼即決しがちだから早く来たにゃ」
お玉と買い出したものをダイニングテーブルに置くと、持参のピンクのエプロンをバッと広げる。
颯爽と着けてかっこよく――なんて思っていたのだが。
「あ、あれ?? あれ?」
腰のところでの蝶々結びが上手く行かない。するりするりと指を抜けて行く。
「あー! もう! オレがやってやる!」
痺れを切らした彼が近寄って来て紐を手に掛ける。
「すまんにゃん……」
「へいへい、良いって事よ」
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。Twitterで投稿した画像小説と同じものです。
膝の上のノラネコ先程までイタズラの如く彼女の頬や髪を撫でては愛でていた彼は今、膝の上に頭を乗せて眠っている。
油断しきり、安気に包まれた寝顔は、警戒心の強い普段の彼から考えると何処にでも居る平凡な青年だった。
猫のよう。と思いながら濃い褐色の髪を、玉肌の指先を揃えてさらりと撫でる。
彼の場合は馴れ合い嫌いのノラネコだろうけど。
今はゆっくり休んで。
溢れ出す思慕と母性が見目好い唇を薄く微笑ませた。
(おわり)
200油断しきり、安気に包まれた寝顔は、警戒心の強い普段の彼から考えると何処にでも居る平凡な青年だった。
猫のよう。と思いながら濃い褐色の髪を、玉肌の指先を揃えてさらりと撫でる。
彼の場合は馴れ合い嫌いのノラネコだろうけど。
今はゆっくり休んで。
溢れ出す思慕と母性が見目好い唇を薄く微笑ませた。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。Twitterで投稿した画像小説と同じものです。
お付き合いしてない二人が足湯デートに行く話。
足湯カート大会トーキョーツアーの中休み。
彼女から“アシユ”という文化を体験出来る場所へ誘われた。その名の通り、足だけを浸からせる温泉らしい。
ヒールを脱ぎ、湯に入れる寸前の白い素足が、人の身を得た人魚姫の脚のように美しかった。
変態かと己にツッコミを入れ面を上げれば、真隣に座ったこれまた美しい顔が湯けむりの魔力を得て色っぽく目に入る。
見つめられて小首を傾げる彼女から逃げるように、じりっと真横へ体を少しずらした。
(おわり)
215彼女から“アシユ”という文化を体験出来る場所へ誘われた。その名の通り、足だけを浸からせる温泉らしい。
ヒールを脱ぎ、湯に入れる寸前の白い素足が、人の身を得た人魚姫の脚のように美しかった。
変態かと己にツッコミを入れ面を上げれば、真隣に座ったこれまた美しい顔が湯けむりの魔力を得て色っぽく目に入る。
見つめられて小首を傾げる彼女から逃げるように、じりっと真横へ体を少しずらした。
(おわり)
小さな葉っぱ
DOODLESB69よりアイチュチュ。バニーの日。
Twitterで画像小説として投稿したものと同じになります。
バニーの日2022「いらっしゃいませ!」
練習後の喉の渇きを癒そうかと喫茶アンゼリカに入ったアイオーンは、目を丸くしてぱちくりとした。
そこでは銀のトレイを掌に乗せたチュチュが立っていた。
普段の姿ならこんなに驚きはしない。
彼女の様相は露出の高い真っ赤なレオタードに、ただでさえスタイルの良い脚をよりスレンダーに魅せる黒いタイツ、そしてハイヒール。いつだったか見た事のあるバニーガールの格好だった。
「そ、その聖衣は?」
「本日はこのお店で一日アルバイト体験をさせて貰ってますの。これは今日という日がバニーの日という事で、再び着てみましたの。さあ、お席へどうぞ」
「あ、ああ」
彼女と二人きりの時には行わないいつものポーズが自然と出る。
479練習後の喉の渇きを癒そうかと喫茶アンゼリカに入ったアイオーンは、目を丸くしてぱちくりとした。
そこでは銀のトレイを掌に乗せたチュチュが立っていた。
普段の姿ならこんなに驚きはしない。
彼女の様相は露出の高い真っ赤なレオタードに、ただでさえスタイルの良い脚をよりスレンダーに魅せる黒いタイツ、そしてハイヒール。いつだったか見た事のあるバニーガールの格好だった。
「そ、その聖衣は?」
「本日はこのお店で一日アルバイト体験をさせて貰ってますの。これは今日という日がバニーの日という事で、再び着てみましたの。さあ、お席へどうぞ」
「あ、ああ」
彼女と二人きりの時には行わないいつものポーズが自然と出る。
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。お題を貰ってワンライしました。
ヤマもオチもありません。
↓頂いたお題
【60分で綴る物語】
あなたは名を記すワルロゼの物語を60分で書いてください。
#60分で綴る物語 #shindanmaker
https://shindanmaker.com/822585
名を記す(ワンライ)ダークネイビーが広がる空に、点々と白銀の星が浮かぶ時間。
自宅の敷地から少し離れた草原。そこに仰向けとなり、夜の天体スクリーンを見上げる。
ロゼッタと出会ってから、彼の中で晴れの夜空を眺める事が一つの習慣のようになっていた。趣味、なんて大層なものではないが。
こうしていると、気軽に会える距離ではない彼女と少しでも寄り添っていられる気がした。
一方的な片思い。ただのパーティー仲間。悪党と姫。ある意味、銀河より果てしない距離。埋め方を知らないその間柄に、いつか決着は付くのだろうか。
片手を上げて人差し指を伸ばす。その細い指をなぞるように動かし、星と星を結んで彼女の名前を記した。
“ロゼッタ”という呼び慣れた呼称ではない。
880自宅の敷地から少し離れた草原。そこに仰向けとなり、夜の天体スクリーンを見上げる。
ロゼッタと出会ってから、彼の中で晴れの夜空を眺める事が一つの習慣のようになっていた。趣味、なんて大層なものではないが。
こうしていると、気軽に会える距離ではない彼女と少しでも寄り添っていられる気がした。
一方的な片思い。ただのパーティー仲間。悪党と姫。ある意味、銀河より果てしない距離。埋め方を知らないその間柄に、いつか決着は付くのだろうか。
片手を上げて人差し指を伸ばす。その細い指をなぞるように動かし、星と星を結んで彼女の名前を記した。
“ロゼッタ”という呼び慣れた呼称ではない。
小さな葉っぱ
DOODLEワルロゼ作品。中世ヨーロッパのお姫様パロ。
Twitterに画像小説として投稿したものと同じです。
中世ヨーロッパパロ懇意にしている諸侯が開いた晩餐会の帰り道。馬車を賊に襲われてしまった。
応戦する護衛たち。
護衛によって木々に隠されていた彼女の姿を発見した鋼の刃が迫る。
駄目だと思い目を閉ざして顔を背ける。
その時、目の前で迸る硬質な音。
恐る恐る目を開けると誰かが自分を庇うように立ち、剣で剣を受け止めていた。
マント付きの貴族服に目元に銀の仮面を装着した誰か。
月明かりの元、長身の背中で翻るマントからは教会が栽培を禁じているバラの香りがした。
(おわり)
225応戦する護衛たち。
護衛によって木々に隠されていた彼女の姿を発見した鋼の刃が迫る。
駄目だと思い目を閉ざして顔を背ける。
その時、目の前で迸る硬質な音。
恐る恐る目を開けると誰かが自分を庇うように立ち、剣で剣を受け止めていた。
マント付きの貴族服に目元に銀の仮面を装着した誰か。
月明かりの元、長身の背中で翻るマントからは教会が栽培を禁じているバラの香りがした。
(おわり)
小さな葉っぱ
TRAININGワルロゼ作品。真夜中のワンライ(十分オーバー)。診断メーカーでお題を頂きました。
学パロでサボり魔生徒×保健室の先生。
↓頂いたお題
【お題ひねり出してみた】
ワルロゼへのお題は『もう忘れ物しちゃ駄目だよ?』です。
#shindanmaker
https://shindanmaker.com/392860
忘れ物(ワンライ)最近鳴き始めた夏の蝉時雨がそこら中に降り注ぐ。生徒たちが通う通学路の道路には朝から陽炎が見える事もある。
暑い中通う生徒たちには期末テストが近づいている。
一昔前とは違って教室にクーラーか付いているのが当たり前の現代。それは彼女が主を務める保健室も同様だった。
デスクに向かって書き物をしていると、ガラガラと保健室の戸が開く。
“いつも”の痩せ身の彼が来る合図。
碧色のブラウスと黒いパンツの上に白衣をまとった彼女が、半袖カッターシャツの夏制服の生徒を迎える。
「あらあら、また来たの?」
「今日も休ませてくれるか?」
「お休みではなくおサボりでしょ?」
やんわり指摘すると、彼はばつの悪そうな顔をして『けっ』と短く言葉を吐き出した。
1862暑い中通う生徒たちには期末テストが近づいている。
一昔前とは違って教室にクーラーか付いているのが当たり前の現代。それは彼女が主を務める保健室も同様だった。
デスクに向かって書き物をしていると、ガラガラと保健室の戸が開く。
“いつも”の痩せ身の彼が来る合図。
碧色のブラウスと黒いパンツの上に白衣をまとった彼女が、半袖カッターシャツの夏制服の生徒を迎える。
「あらあら、また来たの?」
「今日も休ませてくれるか?」
「お休みではなくおサボりでしょ?」
やんわり指摘すると、彼はばつの悪そうな顔をして『けっ』と短く言葉を吐き出した。
小さな葉っぱ
SPOILERBOOTH限定通頒のワルロゼ本『星空に揺れる恋のバラ』の一作一作の詳しいあとがきです。ネタバレになってしまうのでパスワードを付けさせて貰います。本を読んだ方なら分かるものにしておきます。
【パスワードヒント】
『プリンセス・シネマ・パラダイス』でロゼさんがワルさんに貸した折り畳み傘の色は何ピンク?(英語で英小文字四文字)。 1671
小さな葉っぱ
DONEワルロゼ作品。Twitterに新書ページメーカーで投稿したものと同じです。
エモエモなものを書きたかったのですが、エモエモになったかは不明。
うたたねむりひめ二人だけの秘密の場所、星見のテラス。
この自然豊かな丘の上で、彼女は自分の肩を枕に眠ってしまった。
綺麗に生え揃ったまつ毛、リップの塗られた艶やかで柔らかく膨らんだ唇。絶妙な近距離で誘惑して来るそれらへ、奪うように口付けてしまいたいけれど。意識を手放した無防備な顔は何処までもあどけない少女そのもの。いくら自分が悪党でも起こすのは可哀想だ。
右手の手袋を外す。左手は腕ごと彼女に寄りかかられているので、手袋を噛んで引っ張った。
外気に晒されて涼しくなった右手で、キスの出来ない頬にひた、と触れる。白く繊細で柔和な肌触りを受け、異様に自分の顔が熱くなった。心音が一気に早く鳴り響く。
愛しさが心の中で溢れ出し、理性を決壊させる。
616この自然豊かな丘の上で、彼女は自分の肩を枕に眠ってしまった。
綺麗に生え揃ったまつ毛、リップの塗られた艶やかで柔らかく膨らんだ唇。絶妙な近距離で誘惑して来るそれらへ、奪うように口付けてしまいたいけれど。意識を手放した無防備な顔は何処までもあどけない少女そのもの。いくら自分が悪党でも起こすのは可哀想だ。
右手の手袋を外す。左手は腕ごと彼女に寄りかかられているので、手袋を噛んで引っ張った。
外気に晒されて涼しくなった右手で、キスの出来ない頬にひた、と触れる。白く繊細で柔和な肌触りを受け、異様に自分の顔が熱くなった。心音が一気に早く鳴り響く。
愛しさが心の中で溢れ出し、理性を決壊させる。
小さな葉っぱ
DONESB69よりロムモア。Twitterでモアちゃん誕生祭2022に投稿した画像小説と同じものになります。
この星で出会えたあなた彼はバンドマンでもあり、会社で働く社会人でもある。日曜である今日も片付けたい仕事があると事前に聞かされていた。
だから昼間に会う事は叶わない。そう諦めていた。筈だった。
寮のインターホンが鳴って応対してみると、汗だくで息を切らせたクールビズな半袖カッターシャツの彼がそこに立っていた。
「これ、ケーキだ。誕生日リアルにおめでとう。メンバーにも作って貰うかも知れねえから、小さいのにしたけどよ」
「もしかして、休憩時間に急いで来てくれたぴゅる?」
「そういう事は男に言わせねえのがお約束だぜ?」
『水も滴るいい男』、最近覚えたこの星の言葉。汗水垂らす中ニッと笑う彼はまさにそれだった。
心が喜びで高鳴る。嬉しいのはケーキもだが、誕生日である自分の為に必死となって駆け付けてくれた心と姿に胸を打たれた。
478だから昼間に会う事は叶わない。そう諦めていた。筈だった。
寮のインターホンが鳴って応対してみると、汗だくで息を切らせたクールビズな半袖カッターシャツの彼がそこに立っていた。
「これ、ケーキだ。誕生日リアルにおめでとう。メンバーにも作って貰うかも知れねえから、小さいのにしたけどよ」
「もしかして、休憩時間に急いで来てくれたぴゅる?」
「そういう事は男に言わせねえのがお約束だぜ?」
『水も滴るいい男』、最近覚えたこの星の言葉。汗水垂らす中ニッと笑う彼はまさにそれだった。
心が喜びで高鳴る。嬉しいのはケーキもだが、誕生日である自分の為に必死となって駆け付けてくれた心と姿に胸を打たれた。
小さな葉っぱ
DONESB69よりヤスほわ。Twitterでヤスくん誕生祭2022に投稿した画像小説と同じものです。
メンバーにも内緒の秘密の恋設定。
手遊びキッス「ヤスくん!」
振り返ったのは名前を呼ばれたからだけじゃない。好きなあの娘の、頭に付いた紐リボンの音が聞こえて来たから。
振り返った瞬間に唇に柔く当たるなにか。驚きつつ動けないまま、寄り目気味に見下ろして確認する。
それはキツネを形作った彼女の手。口に該当する部分にキスをされていた。
「いきなりごめんね。誕生日のキスに憧れもあったんだけど、このスタジオの中だとみんなに見られちゃうかも知れないから」
『誕生日おめでとう』と、いつも通りほわほわな笑顔を向けてくれる彼女。
「まあ、なんていうか……ありがとよ」
自分もキツネを手で作り、手遊びの接吻を一瞬だけ彼女のキツネへ贈り返した。
(おわり)
299振り返ったのは名前を呼ばれたからだけじゃない。好きなあの娘の、頭に付いた紐リボンの音が聞こえて来たから。
振り返った瞬間に唇に柔く当たるなにか。驚きつつ動けないまま、寄り目気味に見下ろして確認する。
それはキツネを形作った彼女の手。口に該当する部分にキスをされていた。
「いきなりごめんね。誕生日のキスに憧れもあったんだけど、このスタジオの中だとみんなに見られちゃうかも知れないから」
『誕生日おめでとう』と、いつも通りほわほわな笑顔を向けてくれる彼女。
「まあ、なんていうか……ありがとよ」
自分もキツネを手で作り、手遊びの接吻を一瞬だけ彼女のキツネへ贈り返した。
(おわり)
小さな葉っぱ
DONEワルロゼ作品。Twitterに新書ページメーカーで投稿したものと同じです。
たぬきな彼女骨組みに布地の屋根が付いた野外テント。バニラレイクのスタート地点前に設けられたドライバーたちの待機所だ。
椅子に座った彼の膝の上には、こちらに背を向けた状態の彼女。着ぐるみのような姿のたぬきに変身している。
腰にその痩せ細った両腕を回し、かぼちゃパンツに覆われたぷっくりとしたたぬき腹を軽く叩いたり、むにむにと揉んだり。
くすぐったいのか、時折彼女は身を縮めてころころくすくす鈴の音のように小さく笑う。
後ろから着ぐるみ越しの頬に自分の肉付きの悪い頬を寄せる。隔てるものがあるといえど伝わって来る温もりに、ほっと解れたような安堵の息が漏れ、白く細いもやとなって氷の大地に流れて行った。
「こういう寒いコースに、こいつは最高のカイロだな」
463椅子に座った彼の膝の上には、こちらに背を向けた状態の彼女。着ぐるみのような姿のたぬきに変身している。
腰にその痩せ細った両腕を回し、かぼちゃパンツに覆われたぷっくりとしたたぬき腹を軽く叩いたり、むにむにと揉んだり。
くすぐったいのか、時折彼女は身を縮めてころころくすくす鈴の音のように小さく笑う。
後ろから着ぐるみ越しの頬に自分の肉付きの悪い頬を寄せる。隔てるものがあるといえど伝わって来る温もりに、ほっと解れたような安堵の息が漏れ、白く細いもやとなって氷の大地に流れて行った。
「こういう寒いコースに、こいつは最高のカイロだな」
小さな葉っぱ
TRAINING800字練習。今日はクロシア。
ネタの弾数が切れて来たのでここらでお休みしようかと思います。ご閲覧くださった方がいましたらありがとうございました♪
800字小説練習(SB69) 喫茶アンゼリカのカウンター席にて、ほかほかとクロウの前で湯気立つホットミルク。その隣の席ではシアンが温度差としては正反対であるストロベリー味のクッキー&クリームのアイスを頬張っている。
シアンの目は機嫌良く細められ、気分だけでなくまつ毛まで上を向いているように見えた。
美味そうに食う奴だと、頬杖を突きながら微笑ましく見つめる。
「あれ、クロウちゃん。もしかして一口欲しいにゃ?」
彼女を見ていた事は別にこそこそ隠す必要もないので、別にバレても問題はない。
可愛らしいシアンを眺めていただけなのだが、シアンからすればアイスを物欲しそうに見つめているように映ったらしい。
「じゃ、はいあーん」
「んな小っ恥ずかしい事出来るかよ!」
887シアンの目は機嫌良く細められ、気分だけでなくまつ毛まで上を向いているように見えた。
美味そうに食う奴だと、頬杖を突きながら微笑ましく見つめる。
「あれ、クロウちゃん。もしかして一口欲しいにゃ?」
彼女を見ていた事は別にこそこそ隠す必要もないので、別にバレても問題はない。
可愛らしいシアンを眺めていただけなのだが、シアンからすればアイスを物欲しそうに見つめているように映ったらしい。
「じゃ、はいあーん」
「んな小っ恥ずかしい事出来るかよ!」
小さな葉っぱ
TRAINING800字練習。今日はSB69よりアイチュチュ。
描写修行も兼ねているのでヤマやオチには期待しないでネ♪
800字小説練習(SB69) 爽やかでまろやかな日差しが降り注ぐ朝。小鳥たちが外でさえずりを競わせる中、今日も合鍵で彼の聖域に入って朝食を作る。
目玉焼きとハムの下でサラダ油が美味しそうな音を立てながら細かく弾けている。
薄オレンジ色に透き通った湯気がもわもわと立つコンソメスープと、ゆで卵とマヨネーズで作った明るい色彩のサラダも用意した。
火を消し、フライ返しでハムエッグを皿に盛り付ければ後は並べるだけ。
テーブルに並べ、少し後ろに下がって全体を眺める。チュチュは両手を腰に充て『よし』頷いた。
後は彼を起こすだけ。パタパタとスリッパの音を響かせ、アイオーンの寝室へ遠慮なく入る。
ベッドの側のラックには書きかけの楽譜が置いてあった。恐らく昨日遅くまで新曲を作り出す事に時間を費やしていたのだろう。
1080目玉焼きとハムの下でサラダ油が美味しそうな音を立てながら細かく弾けている。
薄オレンジ色に透き通った湯気がもわもわと立つコンソメスープと、ゆで卵とマヨネーズで作った明るい色彩のサラダも用意した。
火を消し、フライ返しでハムエッグを皿に盛り付ければ後は並べるだけ。
テーブルに並べ、少し後ろに下がって全体を眺める。チュチュは両手を腰に充て『よし』頷いた。
後は彼を起こすだけ。パタパタとスリッパの音を響かせ、アイオーンの寝室へ遠慮なく入る。
ベッドの側のラックには書きかけの楽譜が置いてあった。恐らく昨日遅くまで新曲を作り出す事に時間を費やしていたのだろう。
小さな葉っぱ
TRAINING800字練習。今日はSB69よりでゅらまり。
描写修行も兼ねているのでヤマやオチには期待しないでネ♪
800字小説練習(SB69) Yokai streetの夏も他の地域同様暑い。朝には家の前で打ち水をする住民たちがちらほら見え、一日の始まりから蝉の合唱がわしわしと大雨の如く降り注ぐ。その鳴き声に起こされる事もしばしばだ。
自分の部屋で小説の海にどっぷり浸かって集中していたでゅらでゅらの元へ、打ち水を終えたまりまりが扉をノックして声を掛けて来た。
「でゅらでゅら、もうすぐ朝ご飯が出来るばい」
もうそんな時間か。まりまりの可愛らしい声に呼ばれたのなら行かねばなるまい。
本に栞を挟んで机に置いて、暑い夏なのでマントも外套を脱いだ腕を捲ったブラウスの姿で部屋を出る。
「お待たせ、まりまり」
「全然待っとらんとよ。あれ、珍しい格好ばしとっとね」
935自分の部屋で小説の海にどっぷり浸かって集中していたでゅらでゅらの元へ、打ち水を終えたまりまりが扉をノックして声を掛けて来た。
「でゅらでゅら、もうすぐ朝ご飯が出来るばい」
もうそんな時間か。まりまりの可愛らしい声に呼ばれたのなら行かねばなるまい。
本に栞を挟んで机に置いて、暑い夏なのでマントも外套を脱いだ腕を捲ったブラウスの姿で部屋を出る。
「お待たせ、まりまり」
「全然待っとらんとよ。あれ、珍しい格好ばしとっとね」
にこらい
PROGRESS気分転換を兼ねて見切り発車で上司×部下をかりかり…。本文は成人向けになる予定です。マシェリとジップ 何もかも否定や拒絶から入っていると、いつか必ず後悔する時が来る。
親友の言葉だ。
私は幼い頃から保守的で、新しい刺激に対して保身に走りがちだった。そんな臆病者な私を見かねた親友がそれを教えてくれたのだ。
わかっている。ああ、痛いほどにわかっているとも。そうして逃した機会がどれだけあるだろうか。
今も後悔していることがある。
拒絶から入ったゆえに、みっともない意地で拒絶し続けることになってしまった哀れな私がここにいる。
嫌いだ。
嫌いだ。
私はあなたが大嫌いだ。
あなたの存在が心底ムカついて仕方がない。どうせ、その笑顔の裏で私を嫌っているのだろう。
嫌いだ。
嫌いだ。
私はあなたなんかいなくなればいいと思うほどに嫌いだ。どうせ、私のことなど眼中にないのだろう。
1524親友の言葉だ。
私は幼い頃から保守的で、新しい刺激に対して保身に走りがちだった。そんな臆病者な私を見かねた親友がそれを教えてくれたのだ。
わかっている。ああ、痛いほどにわかっているとも。そうして逃した機会がどれだけあるだろうか。
今も後悔していることがある。
拒絶から入ったゆえに、みっともない意地で拒絶し続けることになってしまった哀れな私がここにいる。
嫌いだ。
嫌いだ。
私はあなたが大嫌いだ。
あなたの存在が心底ムカついて仕方がない。どうせ、その笑顔の裏で私を嫌っているのだろう。
嫌いだ。
嫌いだ。
私はあなたなんかいなくなればいいと思うほどに嫌いだ。どうせ、私のことなど眼中にないのだろう。