「そんなに美味しいんですか、キャプテン」
「ああ、ここら10キロ、いや20キロ圏内で一番旨いラーメンだな」
風信と南風は、顔をほころばせて言う機長を見つめた。
「一度行ってみるといい」
おつかれ、と手を上げて去っていく背中を見送った二人は顔を見合わせた。
「俺はこれであがりだが……行ってみるか? その、予定がなかったら…」
風信が言うと南風は笑顔で答えた。
「予定は、今できました」
「大きな車ですね」
シートベルトを締めながら南風が運転席の風信に言う。
「そうか?」
風信はカーナビを操作しながら上の空で答える。
「あれ?……なんでだ」ぶつぶつ言いながら液晶画面を操作する風信は、コックピットで山ほどのスイッチや電子機器を手際よく操作する姿とはかけ離れていて、南風には意外だった。
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