体がガタガタと震えているのは機体の振動なのか、自分の恐怖なのか。
視界で点滅し続ける警告サイン。異常を知らせる警告音は止めたはずなのに耳の奥で耳鳴りのように響き続けている。
どれだ。何が原因だ。どうすれば――。
あらゆる可能性を取捨選択するのに与えられるのは数秒。
思いつく限りの操作を試す南風を嘲笑うかのように、機体はもうどんな操作にも反応しない。
割れた氷に覆われた海面がみるみるうちに迫る。操作しようとする腕ももう動かない。固く目を瞑る。
もうだめだ――。
どうして――。
耳をつんざくような音は自分の口から出た悲鳴だろうか。
頭がぐらりと揺れ、その向こうから声が聞こえ――
「南風、夢だ、それは夢だ、目を覚ませ……」
1891