神様はいったいなにがしたいんだろう。
風信機長のことが気になりだしてから、やけにその姿を見つけてしまい動揺していたら、今度はぱたりと、すれ違うことすらなくなった。フライトの予定も見事にずれている。とはいえ変わりやすいパイロットのスケジュール、ひょっこり出会うこともあるかもしれないと、空港のロビーを心持ちゆっくり歩いてみたり、社内の共有スペースを意味もなくウロウロしてみたりしてしまう。そして、そんないじましい自分に溜息が出てしまう。その姿を見ることすらないだけで、自分はこんなに気落ちしてしまうのかと。
南風の気持ちを映したかのように、このところ、どんよりとした天気が続いていた。
「今日も雨か……」
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