幕間の楓恒⑮───貴方にしか頼めないの。
姫子が絞り出すように出した声は落ち着いているようでその実慌てているようにも聞こえた。
姫子に案内されるままピノコニーのある一室に通された丹楓は小さな溜息をこぼす。
ノスタルジックな照明で照らされた室内の中、ドリームプールに丹恒は居た。
仲間を助けるためだと列車を降りた丹恒は、力が必要になったのか飲月の姿でドリームプールに入っていた。
プールの仄かな明るさが丹恒の体に当たり、姿も相まって丹楓から見ても神秘的な雰囲気を醸し出している。
ぱしゃ、と体に当たる水を気に欠けることなくドリームプールへ入った丹楓はゆっくりと丹恒の体を見渡した。ゆらゆらと水の中で揺蕩う髪、濡れてしまったが故に肌に張り付く服、閉じられた瞼。
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