散り逝く7予想以上の働きをしてくれた丹羽君に、私は心から満足をしていた。
失脚させられる前に彼を捕まえて、田中君の元に置いて正解だったと確信した。
襖が閉まり丹羽君の気配が消えたのを確認してから、部屋に残された田中君に視線を向ける。
私と目が合うと、田中君は体を小さくして視線を逸らす。
何故だか分からないが、どうやら田中君は私に怒られると思っている様だった。
「田中君」
「はっ、はい!」
試しに声を掛けてみると、予想通りびくっと体を跳ねさせて背筋を正す。
大方、丹羽君を使った事が私に知られてしまったからだろう。
これは早めに誤解を解かねば、田中君は朝まで正座したまま反省し続ける事が目に見えて分かる。
「田中君。丹羽君に命令を下したらしいが、部下を持つとはそう言う事だ。君は今まで、私の下に就いていたからね。部下を持つ事があっても、自分で命令を下すことはなかっただろ。丹羽君は君のいい練習相手になっている様で、私も安心したよ」
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