ノック
ao_pumi23
MOURNINGプトミラ/💚💛/久しぶりに五十音台詞ノック続き「な行」五十音台詞ノック3・『な』
珍しく静かに本を読むミラージュ。
クリプトがその所作をじっと見つめていると、視線を感じたのかパチリと目が合う。
「なぁに見てんだよクリプちゃんのえっち♡」
「うるさいお前に言われたくない」
「はぁ!?なんだよクリプト〜それって俺が魅力的ってことか?」
「まったく、めでたい奴だ」
ふいと横をむくがミラージュは知っている。
クリプトが照れていることを。
(耳が赤くなってること言ったら怒られるから言わないでおこう)
-----
・『に』
インタビュー中のミラージュ。
「え?クリプトのいいところ?ないないあるわけないだろそんなもん。え?いやー、まぁ、確かに声はいいし、俺のデコイと彼奴のハックは相性もいいし、見た目も俺程じゃないがイケてはいるし、何やかんや仲間想いだし…ってクリプト!?おまっ!いるなら声かけろよ!ちょ、待て!今のは違う!ぜーんぶ嘘!こら!待てって!にやけてんじゃねぇー!!!」
965珍しく静かに本を読むミラージュ。
クリプトがその所作をじっと見つめていると、視線を感じたのかパチリと目が合う。
「なぁに見てんだよクリプちゃんのえっち♡」
「うるさいお前に言われたくない」
「はぁ!?なんだよクリプト〜それって俺が魅力的ってことか?」
「まったく、めでたい奴だ」
ふいと横をむくがミラージュは知っている。
クリプトが照れていることを。
(耳が赤くなってること言ったら怒られるから言わないでおこう)
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・『に』
インタビュー中のミラージュ。
「え?クリプトのいいところ?ないないあるわけないだろそんなもん。え?いやー、まぁ、確かに声はいいし、俺のデコイと彼奴のハックは相性もいいし、見た目も俺程じゃないがイケてはいるし、何やかんや仲間想いだし…ってクリプト!?おまっ!いるなら声かけろよ!ちょ、待て!今のは違う!ぜーんぶ嘘!こら!待てって!にやけてんじゃねぇー!!!」
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DOODLEアルベル・ノックス(フェイアル)最初の方はミリしらですが現在履修途中です。
自分も初期のらくがきには解釈違いを起こしつつですが、もりもり描いていってるので広い心で閲覧お願い致します🙏 95
mhyktnsikdsgsn
DONE『羊ちゃんのプロポーズ大作戦!~ファウスト・ラウィーニアの場合~』以前に掲載したレノックスの羊×フィガロの小説のファウスト視点です。
羊は二周年イベントで登場した【盛装の魔法使い】フィガロの様子確認テキストと覚醒モーションに出て来る羊のつもりです。最初から最後までコメディ。
※書いたのは二年近く前になります。 16
yorutama
DOODLEテトラ*
うちの子(オリジナルキャラ)だけど、滅多に描かないので久々に。
『ホームランド』のマスコット、ブロックの擬人化。
【設定】
・元人間でエンデパルナにやって来たクエスター。
・性格は生意気でお調子者。クソガキ。
・一応魔法使いだが、基本武器がナタ🪓の脳筋。
・相方は天然ボケのピノック君。
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DOODLEフィガファウ冥婚企画(https://mhyk.web.fc2.com/meikon.html)で書いたお話です。レノックスと任務で東の国に行くファウストの話。
任務についてがっつり書いて、恋愛要素は潜ませました。
ああそういう事だったのね、という感想待ってます。
赤い川を渡って そこに横たわっていたのは血のように赤い色をした川だった。
流れがひどく緩慢なため、横に伸びた池のような印象がある。大地が傷つき、血を流した結果出来たのがこの川だという言い伝えがあってもおかしくは無いだろう。濁っているわけではなく、浅い川であることも手伝って川底の砂利まで視認出来た。尤も、生きた生物は視認出来なかったが。
任務でこの地を訪れたファウストは、地獄を流れる川のようだと感想を持った。
「きみは驚かないんだな」
「見慣れた風景ですので……懐かしさすら覚えます」
水質を調べようとファウストは手を翳したが、既に手遅れであることは誰の目にも明らかだ。オズくらいの魔力があれば力業で全ての水を入れ替えてしまえるのかもしれないが、正攻法であれば浄化になる。媒介は何が必要で、どのような術式で、とぶつぶつ呟きながら暫く考えていたが、少なくとも今打てる手はファウストには無い。
7859流れがひどく緩慢なため、横に伸びた池のような印象がある。大地が傷つき、血を流した結果出来たのがこの川だという言い伝えがあってもおかしくは無いだろう。濁っているわけではなく、浅い川であることも手伝って川底の砂利まで視認出来た。尤も、生きた生物は視認出来なかったが。
任務でこの地を訪れたファウストは、地獄を流れる川のようだと感想を持った。
「きみは驚かないんだな」
「見慣れた風景ですので……懐かしさすら覚えます」
水質を調べようとファウストは手を翳したが、既に手遅れであることは誰の目にも明らかだ。オズくらいの魔力があれば力業で全ての水を入れ替えてしまえるのかもしれないが、正攻法であれば浄化になる。媒介は何が必要で、どのような術式で、とぶつぶつ呟きながら暫く考えていたが、少なくとも今打てる手はファウストには無い。
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DONE12月17日DRF頒布予定の新刊【レノックス ・ラムは緑の瞳の夢を見るか?】のサンプルです。全13話のうち6話までを公開いたします。
頒布についての詳細は後日投稿するお品書きをご確認ください。
パラドックスロイドの世界でのレノックス とフィガロのお話です。
・捏造多め
・モブキャラが喋ります
・描写はないけどやることはやります
・そのほか諸々、大丈夫な方向け
12/17DRFレノフィ新刊【レノックス・ラムは緑の瞳の夢を見るか?】 だが私は今も夢に見る、あれが芝生を、
露を踏んで、影のように歩む姿を、
私の歓びの歌に、いにしえの大地の
夢多き青春を歌う私の歌に心おののかせながら。
(The song of the Happy Shepherd / W.B.Yeats)(訳:高松雄一)
1
レノックス・ラムがいつも見る夢がある。
ヘーゼルグリーンの菱形の瞳孔に冬の海のような灰色の虹彩をした不思議な瞳の男と、一緒にいる夢。ここではないどこかで、笑ったり、踊ったり、時には喧嘩をして仲直りをしたり。幼い子どもの世話をしていることもあれば、ふたりだけで晩酌をしていることもある。
男の名前はわからない。夢の中でははっきりその名を呼んでいるにも関わらず、記憶は目が覚めると同時に急速に霧散し、夢の概要と不思議な瞳のことしか覚えていないのである。
37505露を踏んで、影のように歩む姿を、
私の歓びの歌に、いにしえの大地の
夢多き青春を歌う私の歌に心おののかせながら。
(The song of the Happy Shepherd / W.B.Yeats)(訳:高松雄一)
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レノックス・ラムがいつも見る夢がある。
ヘーゼルグリーンの菱形の瞳孔に冬の海のような灰色の虹彩をした不思議な瞳の男と、一緒にいる夢。ここではないどこかで、笑ったり、踊ったり、時には喧嘩をして仲直りをしたり。幼い子どもの世話をしていることもあれば、ふたりだけで晩酌をしていることもある。
男の名前はわからない。夢の中でははっきりその名を呼んでいるにも関わらず、記憶は目が覚めると同時に急速に霧散し、夢の概要と不思議な瞳のことしか覚えていないのである。
史桜ナオ
DONE2023年11月3〜4日開催 羊と猫のワルツ6 展示作品です。白の魔法使い衣装の主従で秋薔薇撮影に行ってきました🌹
ファウスト:ナオ(@aporochoco_non )
レノックス:望月戒(@kai_motizuki )
photo:ハシノ(@hsnEiryk_1250 ) 15
かいこう
DONEノックアウト/花流花流の日まで後15日~~
ノックアウト 屋上での眠りを妨げた上級生らしき男たち四人を退けたところで、背後の扉が開いた。振り返ると、赤いリーゼント頭を先頭に、五人組が立っている。自分と同じようながたいの派手な赤い頭の男と視線が絡んだ。
「流川楓」
リーゼント頭の後ろから誰だと聞かれたので、名前を教えてやる。赤いリーゼントの男が驚いた様子で繰り返してきた。落ち着きのない動物みたいなしぐさで人の周囲をうろつきながら、ジロジロと人の顔を眺めては、何故だか知らないが、自分とこっちの身長を手で比べたりし始める。取り敢えず屋上で伸びている奴らの仲間かと聞けばオレの名前を教えてやろうか、と喚き始めた。別にいいとあしらったのが気に喰わないのか、学ランの胸元をつかんでくる。
2539「流川楓」
リーゼント頭の後ろから誰だと聞かれたので、名前を教えてやる。赤いリーゼントの男が驚いた様子で繰り返してきた。落ち着きのない動物みたいなしぐさで人の周囲をうろつきながら、ジロジロと人の顔を眺めては、何故だか知らないが、自分とこっちの身長を手で比べたりし始める。取り敢えず屋上で伸びている奴らの仲間かと聞けばオレの名前を教えてやろうか、と喚き始めた。別にいいとあしらったのが気に喰わないのか、学ランの胸元をつかんでくる。
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS 100本ノック 31本目モンてんと名探偵
ぼくはめいたんてい! 眼鏡にポシェット、ヘアピン代わりにリボンを付けてモンてんが胸を張っている。とりあえず写真を撮ってから協力者であろう龍之介に問えば。
「『オオカミ少年と少年探偵』のドラマを見て影響されたんだって」
可愛いよね、とニコニコ顔でふんすふんすしているモンてんを見つめている。陸を選択するとはわかっている、と天はしたり顔で頷いた。
そんなキュートな探偵は虫眼鏡を片手にあちこち覗き見ている。TRIGGERの面々は比較的綺麗好きなのもあって汚れらしい汚れもなく、物が散乱しているなんてこともないから退屈なんじゃないかと天がこっそり観察していると、何かに気づいたようにモン天がテレビ横の隙間に潜り込んだ。数十秒後、ぴょっこり出てきた。何やら得意気な顔をしている。
587「『オオカミ少年と少年探偵』のドラマを見て影響されたんだって」
可愛いよね、とニコニコ顔でふんすふんすしているモンてんを見つめている。陸を選択するとはわかっている、と天はしたり顔で頷いた。
そんなキュートな探偵は虫眼鏡を片手にあちこち覗き見ている。TRIGGERの面々は比較的綺麗好きなのもあって汚れらしい汚れもなく、物が散乱しているなんてこともないから退屈なんじゃないかと天がこっそり観察していると、何かに気づいたようにモン天がテレビ横の隙間に潜り込んだ。数十秒後、ぴょっこり出てきた。何やら得意気な顔をしている。
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS 100本ノック 30本目天と龍之介と桃のパフェ
すずみの愛情 真っ先に目についたのは可愛らしくミントが乗った、丸々と肥え太ったつやつやの桃。その下に敷き詰められたクリームにはまるで花弁のようにスライスされた桃が飾られ、中層には桃のシャーベットとサイコロカットされた果肉がぎっしり詰められている。そして下層のコーンフレークにはチョコレートソースが絡んでいて、たとえそれだけになったとしても口を飽きさせない工夫が凝らされていた。
ででん。そんな効果音を幻聴するほど見事な桃のパフェだった。
持ってきてくれた龍之介を見れば、「ロケでたくさん桃をいただいちゃったから」とニコニコ顔だった。それだけが理由でこんな立派な桃のパフェが出てくるなど、一体誰が想像できようか。少なくとも天は想像できなかった。あるにしても、暫くは食卓に桃が並ぶくらいだ。
581ででん。そんな効果音を幻聴するほど見事な桃のパフェだった。
持ってきてくれた龍之介を見れば、「ロケでたくさん桃をいただいちゃったから」とニコニコ顔だった。それだけが理由でこんな立派な桃のパフェが出てくるなど、一体誰が想像できようか。少なくとも天は想像できなかった。あるにしても、暫くは食卓に桃が並ぶくらいだ。
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TRAININGi7SS 100本ノック 29本目雨の日のモンてんと天
降り暮らす硝子に音を混ぜて しとしとしと。静かに降る雨を窓からモンてんがじっと見つめている。ベランダのプランターに植わったプチトマトの葉がぱちぱちと水を弾いて歌っている。
久し振りの雨だった。少なくともジョウロを持ったモンてんがいつも通り窓から出ようとするのを慌てて止めねばならない程度には久々の恵みの雨だった。
止めたら止めたで訝しまれてしまったが、雨が降っているからモンてんが水を上げなくてもいいんだよと説明したらすんなり引き下がった。ピンクのジョウロは定位置にそっと戻された。なお水がたっぷり入ったままだったので、天はこっそり回収して中の水を捨てた。
それから窓際に座ってじっと外を見つめている。眠っているのかと思うほど静かなので時折覗き込むが、ぱっちりおめめのままだった。
445久し振りの雨だった。少なくともジョウロを持ったモンてんがいつも通り窓から出ようとするのを慌てて止めねばならない程度には久々の恵みの雨だった。
止めたら止めたで訝しまれてしまったが、雨が降っているからモンてんが水を上げなくてもいいんだよと説明したらすんなり引き下がった。ピンクのジョウロは定位置にそっと戻された。なお水がたっぷり入ったままだったので、天はこっそり回収して中の水を捨てた。
それから窓際に座ってじっと外を見つめている。眠っているのかと思うほど静かなので時折覗き込むが、ぱっちりおめめのままだった。
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS 100本ノック 28本目春原くんのクラスメイトのモブと落とし物
しらないきみ 落とし物をした。有り体に言えばそれだけの話だ。
それも高級品だとか身分証だとかの重要な価値を有するものでも誰かの手作りでオンリーワンだということもなくて、百均で売ってそうなチープなキーホルダーのぬいぐるみ。人によってはそんなものくらいでと笑い飛ばすに違いない。実際、全く同じものが近所のショップで売られているのを見た。でもそれじゃあダメなのだ。
「見つからない……」
誰もいない西日が差し込む教室で漏れ出た声は実に情けなかった。我ながらこんなに途方に暮れた声音を出せるとは思いもしなかった。それだけ思い入れがあるのだと間接的に理解したし、それ故に失くしたという現実が重く圧し掛かる。唇が震える。鼻がツンとして痛い。じわじわと視界が滲んでいく。
971それも高級品だとか身分証だとかの重要な価値を有するものでも誰かの手作りでオンリーワンだということもなくて、百均で売ってそうなチープなキーホルダーのぬいぐるみ。人によってはそんなものくらいでと笑い飛ばすに違いない。実際、全く同じものが近所のショップで売られているのを見た。でもそれじゃあダメなのだ。
「見つからない……」
誰もいない西日が差し込む教室で漏れ出た声は実に情けなかった。我ながらこんなに途方に暮れた声音を出せるとは思いもしなかった。それだけ思い入れがあるのだと間接的に理解したし、それ故に失くしたという現実が重く圧し掛かる。唇が震える。鼻がツンとして痛い。じわじわと視界が滲んでいく。
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS 100本ノック 27本目猛暑日にお使いに行った天と楽のはなし。
涼を求めて何歩でも 蝉すら鳴かない酷暑。空を見上げずともわかる強烈な太陽の日差しを受けた天の首筋には幾筋もの汗が伝っている。日焼け止めは勿論のこと、帽子にマスクにサングラスと徹底して紫外線を対策しているが、それ故に熱くて暑くてたまらない。日傘を持ってきていなければ比にならない程のダメージを負っていたと思うとぞっとする。焼肉の気持ちがわかってしまった。
隣の楽を見上げれば、サングラスの向こうで銀鼠がげんなりと眇められている。特に色白の楽は日焼けが酷く目立つ。今ほど男性の日傘が当たり前ではない時からずっと差している分、その違いをよく感じるのだろう。
「マジであっちぃ……これ日差しっていうかもはや光線だろ」
「日差しがビームになる日が来るなんて思わなかった」
767隣の楽を見上げれば、サングラスの向こうで銀鼠がげんなりと眇められている。特に色白の楽は日焼けが酷く目立つ。今ほど男性の日傘が当たり前ではない時からずっと差している分、その違いをよく感じるのだろう。
「マジであっちぃ……これ日差しっていうかもはや光線だろ」
「日差しがビームになる日が来るなんて思わなかった」
イロイロキイロ
DOODLE2部20章7話の好きポイントと長々とした語りです。水を飲ますところが一番好きだという気付きを得ました。UR従者レノックス…。慣れ切った主ファウスト。レノックスの「少しだけ人の悪い笑み」…! 8suno_kabeuchi
TRAININGi7SS 100本ノック 26本目楽とアイスラテとモンtrg
おうさまだれだ! 食いっぷりが一番いいのはモン天だが、飲みっぷりが一番いいのはモン楽である。特に炭酸系の飲み物については、ぷはー! と明快な笑顔と共に息を吐いているのをよく見掛ける。「そういうとこ楽に似てるよね」と通りすがりの天に言われたのは前の話だ。
「お待たせ。ほら、アイスラテ」
カランと涼しげな音を立ててモンたちの前にグラスが並べられる。待ってましたとばかりにはしゃぐモンたちを見ながら「溢すなよ」と楽も笑う。
まだまだ引く気配のない夏の日差しは広い窓のリビングを容赦なく熱してくる。楽は自分の生まれなのもあって夏を好んでいるが、それでもここ数年の暑さは異常だと思う。
「お、もう飲んだのか。早いな……って口にひげついてんぞ」
582「お待たせ。ほら、アイスラテ」
カランと涼しげな音を立ててモンたちの前にグラスが並べられる。待ってましたとばかりにはしゃぐモンたちを見ながら「溢すなよ」と楽も笑う。
まだまだ引く気配のない夏の日差しは広い窓のリビングを容赦なく熱してくる。楽は自分の生まれなのもあって夏を好んでいるが、それでもここ数年の暑さは異常だと思う。
「お、もう飲んだのか。早いな……って口にひげついてんぞ」
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS 100本ノック 25本目天と龍之介と夜食
何度だって言いたくなるので その日の天は久方振りに疲弊していた。
早朝の情報番組の生放送から始まって新曲のレコーディングに続き遅めの昼食を半ば流し込むようにして移動中の車の中で終わらせたら長回しのあるドラマの撮影を経て自身がメインパーソナリティを務めるトーク番組の収録を行ってから大物アーティストのラジオにゲスト出演と、とにかくハードでタイトなスケジュールだった。どうしてもこの日でないといけない、という動かせない事情があったのだ。
とはいえ予定をフィックスする前に姉鷺に本当にいいのかと念押しで聞かれ、構わないと答えたのは天である。寧ろ限界まで調整してせめてこまめな休憩を挟めるようにしてくれたその手腕には相変わらず舌を巻くくらいだ。
903早朝の情報番組の生放送から始まって新曲のレコーディングに続き遅めの昼食を半ば流し込むようにして移動中の車の中で終わらせたら長回しのあるドラマの撮影を経て自身がメインパーソナリティを務めるトーク番組の収録を行ってから大物アーティストのラジオにゲスト出演と、とにかくハードでタイトなスケジュールだった。どうしてもこの日でないといけない、という動かせない事情があったのだ。
とはいえ予定をフィックスする前に姉鷺に本当にいいのかと念押しで聞かれ、構わないと答えたのは天である。寧ろ限界まで調整してせめてこまめな休憩を挟めるようにしてくれたその手腕には相変わらず舌を巻くくらいだ。
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS 100本ノック 24本目天とモンてんとシナモン
スパイシー・アタック! ふんわりと綿菓子のようなミルクを艶のある黒い水面に乗せる。蕩けるような甘い匂いがやわく広がって天は顔を綻ばせた。
「大丈夫、キミの分もあるよ」
その匂いに釣られたようにてちてちやってきたモンてんに微笑みひとつ向けてコーヒーサーバーとモン天専用のマグカップを手に取ると慣れた手付きで注ぎ入れる。たっぷりの蜂蜜も一緒に混ぜ合わせ、きめ細かく泡立てたミルクを乗せてやればモンてんの瞳がこの上なく輝いた。
「どうぞ、召し上がれ」
マグカップを差し出してやれば、ぺこりと体ごと頭を下げたモンてんがおもむろに受け取った。ふうふうと息を吹きかけている。
その様子を横目に天はスパイスボックスからシナモンを取る。蓋を指で挟んでクっと捻り、くるくると回す。そのまま蓋を外して自分のマグカップの上に容器を傾け、トントンと指先でタップすれば薄茶色のパウダーが真っ白なミルクの上に咲く。
764「大丈夫、キミの分もあるよ」
その匂いに釣られたようにてちてちやってきたモンてんに微笑みひとつ向けてコーヒーサーバーとモン天専用のマグカップを手に取ると慣れた手付きで注ぎ入れる。たっぷりの蜂蜜も一緒に混ぜ合わせ、きめ細かく泡立てたミルクを乗せてやればモンてんの瞳がこの上なく輝いた。
「どうぞ、召し上がれ」
マグカップを差し出してやれば、ぺこりと体ごと頭を下げたモンてんがおもむろに受け取った。ふうふうと息を吹きかけている。
その様子を横目に天はスパイスボックスからシナモンを取る。蓋を指で挟んでクっと捻り、くるくると回す。そのまま蓋を外して自分のマグカップの上に容器を傾け、トントンと指先でタップすれば薄茶色のパウダーが真っ白なミルクの上に咲く。
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS100本ノック 23本目龍之介と作りすぎた焼きそば
おいしいのまほう「うーん……作りすぎちゃったな」
こんもりとフライパンの上で山を作っている焼きそばを見ながら龍之介は首を掻いた。定期的に行われる『冷蔵庫一掃キャンペーン』で文字通り賞味期限切れ間近なブロックベーコンや傷みそうな野菜を纏めて消化しようと拵えた夕飯。想像より量が膨れてしまい、三人とモンたちで食べるにしても確実に余ってしまう。
「明日食べればいいんだけど、折角だったら何かアレンジしてあげたいな」
うぅん、と首を捻ってキッチンを探る。六枚切りの食パンが未開封で発見された。閃いた。
早速とばかりにホットサンドメーカーを取り出し、食パンをセットする。スプーンで中央を軽くへこませ、その中に焼きそば山の一部を移動させてもう一枚の食パンを被せる。そのままホットサンドメーカーの上蓋を閉じて留め具で固定する。フライパンが乗っていないコンロに火をつけるとその上にホットサンドメーカーを置いた。
919こんもりとフライパンの上で山を作っている焼きそばを見ながら龍之介は首を掻いた。定期的に行われる『冷蔵庫一掃キャンペーン』で文字通り賞味期限切れ間近なブロックベーコンや傷みそうな野菜を纏めて消化しようと拵えた夕飯。想像より量が膨れてしまい、三人とモンたちで食べるにしても確実に余ってしまう。
「明日食べればいいんだけど、折角だったら何かアレンジしてあげたいな」
うぅん、と首を捻ってキッチンを探る。六枚切りの食パンが未開封で発見された。閃いた。
早速とばかりにホットサンドメーカーを取り出し、食パンをセットする。スプーンで中央を軽くへこませ、その中に焼きそば山の一部を移動させてもう一枚の食パンを被せる。そのままホットサンドメーカーの上蓋を閉じて留め具で固定する。フライパンが乗っていないコンロに火をつけるとその上にホットサンドメーカーを置いた。
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS100本ノック 22本目天とモンてんとレンジとたまご
エッグ・クライシスはすぐ傍に 専用容器に卵を入れ、電子レンジで時間設定。音を立てて加熱を始めたそれを確認して、天は冷蔵庫から薄切りベーコンのパックを取り出した。換気扇にスイッチを入れておもむろにフライパンを出したところでぐいぐいと脚に妙な圧力を感じて見下ろせば、モンてんが慌てたように全身で天を押し出そうとしている。
「どうしたの、モンてん」
困惑を綺麗に隠してモンてんを掬い上げて目線を合わせれば、天の手の上でぴょんこぴょんこ跳ねながら電子レンジを指し示した。
「ああ、卵をレンジに入れたら爆発すんじゃないかって?」
切羽詰まった顔でこくこくと頷くモンてんを宥めるように天は努めて優しく「大丈夫だよ」と微笑んだ。
「普通にレンジにかけたら確かにそうなっちゃうけど、ゆで卵メーカー使ってるからね。今までのゆで卵も実はレンジで作ってたんだよ」
624「どうしたの、モンてん」
困惑を綺麗に隠してモンてんを掬い上げて目線を合わせれば、天の手の上でぴょんこぴょんこ跳ねながら電子レンジを指し示した。
「ああ、卵をレンジに入れたら爆発すんじゃないかって?」
切羽詰まった顔でこくこくと頷くモンてんを宥めるように天は努めて優しく「大丈夫だよ」と微笑んだ。
「普通にレンジにかけたら確かにそうなっちゃうけど、ゆで卵メーカー使ってるからね。今までのゆで卵も実はレンジで作ってたんだよ」
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS100本ノック 21本目八乙女楽と二階堂大和のサシ飲み~運動部を添えて~
めんそーれよいどれ「あれ? 楽と大和じゃん!」
耳に覚えがありすぎる声にビールを煽る楽と海ブドウをつついていた大和は揃って声の方を向いた。予想通り、ベビーフェイスの先輩の顔があった。二人と目が合った百は人好きのする懐っこい笑顔を浮かべる。
「今をときめくIDOLiSH7とTRIGGERのリーダーが揃ってサシ飲みしてたの? 仲良しじゃん!」
「別に仲良くはないっすよ。今日だってタイミングが合ったから、たまたま」
「おまえ、俺の連絡結構な確率で既読スルーするだろうが」
「タイミングが悪かったんだって」
「あれ? 大和さんと八乙女?」
「あ、楽! 大和くんも」
「龍!」
「ミツ、おまえもいたのかよ」
「俺と三月は番組が一緒だったからね」
6966耳に覚えがありすぎる声にビールを煽る楽と海ブドウをつついていた大和は揃って声の方を向いた。予想通り、ベビーフェイスの先輩の顔があった。二人と目が合った百は人好きのする懐っこい笑顔を浮かべる。
「今をときめくIDOLiSH7とTRIGGERのリーダーが揃ってサシ飲みしてたの? 仲良しじゃん!」
「別に仲良くはないっすよ。今日だってタイミングが合ったから、たまたま」
「おまえ、俺の連絡結構な確率で既読スルーするだろうが」
「タイミングが悪かったんだって」
「あれ? 大和さんと八乙女?」
「あ、楽! 大和くんも」
「龍!」
「ミツ、おまえもいたのかよ」
「俺と三月は番組が一緒だったからね」
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS100本ノック 20本目八乙女楽と龍之介とモンtrgとセンチメンタルな天
季春、訪れの慶びに香り立つ ただいま、という前に。ふわ、と、天の鼻腔をほのかに優しいにおいが擽った。それでいて胃がきゅるる、と情けなく鳴くものだからあまりにもわかりやすい自分に天は苦笑した。すっかり気が緩んでしまっている事実を改めて実感してしまって気恥しさが淡く込み上げる。
「あ、出迎えに来てくれたの? ふふ、ありがとう。ただいま」
その大きな耳で天が玄関の扉を開く音が聞きつけたのか、廊下の向こうからてちてちと小さな同居者たちが姿を現し、天の姿を確認すると「おかえり!」と言うようにぼむぼむ弾んでいる。毎度の事ながら情熱的に歓迎してくれるその姿に天は玄関の扉を施錠しながらくすりと笑みを零した。
「ただいま」
「天、おかえり」
「お、早かったな。おかえり、天」
1626「あ、出迎えに来てくれたの? ふふ、ありがとう。ただいま」
その大きな耳で天が玄関の扉を開く音が聞きつけたのか、廊下の向こうからてちてちと小さな同居者たちが姿を現し、天の姿を確認すると「おかえり!」と言うようにぼむぼむ弾んでいる。毎度の事ながら情熱的に歓迎してくれるその姿に天は玄関の扉を施錠しながらくすりと笑みを零した。
「ただいま」
「天、おかえり」
「お、早かったな。おかえり、天」
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS100本ノック 19本目バーガーショップに来た楽とモンがく
チャンキー・ジャンキーに踊れ 世界的に有名なハンバーガーチェーン店。その入口付近にあるメニュー表にキャップと薄色のサングラスを纏った姿で楽は視線を走らせた。実に簡単な変装ではあるが、意外と人は気づかないもので。堂々としていれば、今をときめくTRIGGERのリーダー八乙女楽が真剣な顔でジャンクフードのメニューを吟味しているなど思われないのである。
ジャンクフードの代名詞ともいえるハンバーガーは食べすぎると体型や健康に影響が出るのを理解しているので基本的に口にする事は無い。それは自身がアイドルとして、己の容姿も含めて商品であり価値を齎している事をよく理解しているが故に。だがそれはそれとしてどうしても食べたくなってしまう事がある。今日がそれだった。それが例えば長期撮影の舞台や映画であるのならそれでも律する事は叶うが、幸か不幸か楽はつい先日主演ドラマのクランクアップを終えたばかりである。別のドラマ撮影はあるが、それは来月とまだ期間がある。
2489ジャンクフードの代名詞ともいえるハンバーガーは食べすぎると体型や健康に影響が出るのを理解しているので基本的に口にする事は無い。それは自身がアイドルとして、己の容姿も含めて商品であり価値を齎している事をよく理解しているが故に。だがそれはそれとしてどうしても食べたくなってしまう事がある。今日がそれだった。それが例えば長期撮影の舞台や映画であるのならそれでも律する事は叶うが、幸か不幸か楽はつい先日主演ドラマのクランクアップを終えたばかりである。別のドラマ撮影はあるが、それは来月とまだ期間がある。
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS100本ノック 18本目風邪っぴき天と看病するモンたち
あつくてあまい、あいのあじ 何かともなく、天の意識が浮上する。
霞がかった頭は処理が遅く、天は一瞬、自分がどうしてベッドの中にいるのかを忘れた。
気管をせり上がる塊を吐くように咳き込めば、ぎりぎりと万力で頭を締め付けられているような痛みが襲う。常心真言を唱えられた孫悟空の気持ちと共に、自分が体調不良で寝込んでいる事を理解した。
咳が収まるのにつられるようにして痛みの波が去る。ごろりと寝返りを打ち、体調管理も出来ないなんて、と己の醜態に眉を顰めた。
確かにこのところは有難くもたくさんのオファーがあった。ミュージカル「ゼロ」の公演を終えてからは特に。しかしそこは有能敏腕マネージャーがしっかり管理してやってくれていた。天に過剰な負担が掛かりすぎないように、けれど肝要なところは決して外さないようにと徹底したスケジュール管理を行ってくれていた。それにも関らずこの醜態である。
4755霞がかった頭は処理が遅く、天は一瞬、自分がどうしてベッドの中にいるのかを忘れた。
気管をせり上がる塊を吐くように咳き込めば、ぎりぎりと万力で頭を締め付けられているような痛みが襲う。常心真言を唱えられた孫悟空の気持ちと共に、自分が体調不良で寝込んでいる事を理解した。
咳が収まるのにつられるようにして痛みの波が去る。ごろりと寝返りを打ち、体調管理も出来ないなんて、と己の醜態に眉を顰めた。
確かにこのところは有難くもたくさんのオファーがあった。ミュージカル「ゼロ」の公演を終えてからは特に。しかしそこは有能敏腕マネージャーがしっかり管理してやってくれていた。天に過剰な負担が掛かりすぎないように、けれど肝要なところは決して外さないようにと徹底したスケジュール管理を行ってくれていた。それにも関らずこの醜態である。
suno_kabeuchi
TRAININGi7SS100本ノック 17本目朝帰りの八乙女と早朝収録のつなしとコーヒー
モーニング・コーヒーに愛を添えて「お客さん、着きましたよ」
嗄れ声に揺さぶられるようにして楽は意識を手繰り寄せた。
瞼を押し上げれば、タクシーのメーターが料金を示しているのが見えた。どうやらいつの間にか眠っていたらしい。
「すみません、電子マネーでいいですか」
「はい。交通ICですか? クレジットですか?」
「クレジットで」
短いやり取り経てタクシーを降りる。日が昇り始めた夜に溶けていくタクシーを見送り、楽は大欠伸するとマンションのエントランスを潜った。
「あー……ちょっと飲みすぎたかもしんねえ。明日オフでよかったわ……」
抜けきらないアルコールの酩酊感を自覚しながらエレベーターへ乗り込む。スマートフォンを見れば、午前五時半を指していた。
2186嗄れ声に揺さぶられるようにして楽は意識を手繰り寄せた。
瞼を押し上げれば、タクシーのメーターが料金を示しているのが見えた。どうやらいつの間にか眠っていたらしい。
「すみません、電子マネーでいいですか」
「はい。交通ICですか? クレジットですか?」
「クレジットで」
短いやり取り経てタクシーを降りる。日が昇り始めた夜に溶けていくタクシーを見送り、楽は大欠伸するとマンションのエントランスを潜った。
「あー……ちょっと飲みすぎたかもしんねえ。明日オフでよかったわ……」
抜けきらないアルコールの酩酊感を自覚しながらエレベーターへ乗り込む。スマートフォンを見れば、午前五時半を指していた。
suno_kabeuchi
TRAININGi7/SS100本ノック15本目モン天と天と夜中の雷雨
射干玉に雷声、鬱然を薙げ 眠りの淵から強引に引き上げるような閃光が瞼の裏を走った直後、轟音が天の鼓膜を殴った。あまりの凄まじさに思わず天は瞼を押し上げる。寝起きがいい方だとは言えないが、そんな天をして無理やり呼び覚まさせる程の雷だった。
ぼんやりする頭によぎったのはちいさないのちのことだった。こんな酷い雷雨で怯えたり怖がったりしていないだろうか。微睡みの湖からのそりのそりと遠ざかりながら辺りを見渡せば、不自然にカーテンの裾が捲れていることに気づく。目を凝らしてみれば、細い尻尾がぴょろりと覗いていた。わざわざ窓際に行ってまで外を眺めているということは、特に恐怖しているということはなさそうだ。
「モン天、外を見ているの?」
ベッドから降りてモン天の傍にしゃがみ込む。天の存在に気づいたモン天がこくりと頷く。大きな両の瞳が再び外を向いた。何かをするということもなく、ただじっと雷が避雷針に向かって殴りつけてくる様をじっと見つめている。空が割れる音がするや否や、稲玉が怒声を上げる。モン天を見る。いつもきらきらしている瞳は、雨と一瞬の雷を反射させてより燦爛とした色を帯びていた。
944ぼんやりする頭によぎったのはちいさないのちのことだった。こんな酷い雷雨で怯えたり怖がったりしていないだろうか。微睡みの湖からのそりのそりと遠ざかりながら辺りを見渡せば、不自然にカーテンの裾が捲れていることに気づく。目を凝らしてみれば、細い尻尾がぴょろりと覗いていた。わざわざ窓際に行ってまで外を眺めているということは、特に恐怖しているということはなさそうだ。
「モン天、外を見ているの?」
ベッドから降りてモン天の傍にしゃがみ込む。天の存在に気づいたモン天がこくりと頷く。大きな両の瞳が再び外を向いた。何かをするということもなく、ただじっと雷が避雷針に向かって殴りつけてくる様をじっと見つめている。空が割れる音がするや否や、稲玉が怒声を上げる。モン天を見る。いつもきらきらしている瞳は、雨と一瞬の雷を反射させてより燦爛とした色を帯びていた。
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TRAININGi7/SS100本ノック 14本目楽とモン天とみたらし団子
ほうこうてんかんじにはウインカーをおだしください その香ばしさにモン天の耳がぴんと伸びた。追って「ただいま」という楽の声が鼓膜を揺らす。どうやらお土産を買ってきてくれたらしい。モン天は瞳を輝かせてソファからローテーブルの上に移った。短い足を畳んで楽の到着を待ちわびる。
数分後、モン天が縦に百体ほど並ぶ必要があろうかと思うほど長い脚がリビングに踏み入る。先に手を洗っていたのだろう。モン天の大きな耳がキャッチした水音は恐らくそれだ。さておき、モン天に気づくと「お、今日はそこにいたのか」と快活に楽が笑った。その手にはビニールに入った紙袋がある。美味しそうな匂いはそこからか、とモン天が瞳を輝かせれば、行動を察したのか「ちゃんとおまえの分もあるから焦んな」と制止されてしまった。
891数分後、モン天が縦に百体ほど並ぶ必要があろうかと思うほど長い脚がリビングに踏み入る。先に手を洗っていたのだろう。モン天の大きな耳がキャッチした水音は恐らくそれだ。さておき、モン天に気づくと「お、今日はそこにいたのか」と快活に楽が笑った。その手にはビニールに入った紙袋がある。美味しそうな匂いはそこからか、とモン天が瞳を輝かせれば、行動を察したのか「ちゃんとおまえの分もあるから焦んな」と制止されてしまった。
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TRAININGi7/SS100本ノック 13本目モン天とバナナ
みんなだいすきとりぷとふぁん どうにも気分がすぐれない。それは気圧の影響なのか溜まりがちだった疲労の影響なのか、あるいは別の何かなのか。思いつく原因はいくつかあるけれど、栓なきことだと天はかぶりを振った。重い体を叱咤して身を起こす。ベッドに素足をつける。ぺたぺたと肌が跳ねる音をさせながらカーテンを開け放った。ついでに窓を開ければ湿気を帯びた風がのそりと部屋に入り込んだ。頰を撫でるそれに天は少しばかり顔を顰めた。
さりとて天候に文句をつけても意味がない。溜息ひとつで不満を散らすとおもむろに寝巻きに手を掛けた。
「……あれ、モン天がいない」
着替え終わったところで枕元へ視線を投げればヘソ天している筈のモン天がいない。着替えている間にリビングに向かったのだろうか。
1156さりとて天候に文句をつけても意味がない。溜息ひとつで不満を散らすとおもむろに寝巻きに手を掛けた。
「……あれ、モン天がいない」
着替え終わったところで枕元へ視線を投げればヘソ天している筈のモン天がいない。着替えている間にリビングに向かったのだろうか。
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TRAININGi7/SS100本ノック 12本目モン天とポシェット
ぷれぜんと・ふぉー・ゆー!「うん。見てるよ。素敵なポシェットだね」
天が微笑むとモン天は一際表情を華やがせ、くるくるとその場で回り出した。その肩から下げられているスモーキーピンクのポシェットが動きに合わせてぱたぱた揺れる。
先日ちょうど似合いそうだとモン天に他ならぬ天がプレゼントしたものだが、いたくお気に召したらしく、どこに行くにしても必ず下げるようになった。それが家の中であってもである。
「……? モン天?」
それまで機嫌良くくるくる回っていたモン天がぴたりと動きを止める。そのまま静止すること数秒。
まさか自らの回転で酔ったのかと天が身を乗り出そうとしたところでモン天がいそいそとポシェットの中身を漁り出した。どうやら酔ったわけではないらしい。小さく安堵の息を吐いて天は浮かしかけた腰を下ろした。
709天が微笑むとモン天は一際表情を華やがせ、くるくるとその場で回り出した。その肩から下げられているスモーキーピンクのポシェットが動きに合わせてぱたぱた揺れる。
先日ちょうど似合いそうだとモン天に他ならぬ天がプレゼントしたものだが、いたくお気に召したらしく、どこに行くにしても必ず下げるようになった。それが家の中であってもである。
「……? モン天?」
それまで機嫌良くくるくる回っていたモン天がぴたりと動きを止める。そのまま静止すること数秒。
まさか自らの回転で酔ったのかと天が身を乗り出そうとしたところでモン天がいそいそとポシェットの中身を漁り出した。どうやら酔ったわけではないらしい。小さく安堵の息を吐いて天は浮かしかけた腰を下ろした。