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    PSY

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    TRAINING6/25ワンライ
    お題【父・夏至】
    出島のマーケットに買い出しに行き夏至祭の花を貰う狡噛さんが、宜野座さんにどうやってプロポーズするか悩むお話です。宜野座さんは出てきませんが甘いです。
    夢の花 移民が多く住む出島では、夏至祭が盛大に行われる。色とりどりの花を冠にした少女が走り回り、苺やベリーを大声で売る商人が身振り手振りで客引きをし、古い言語で歌われる恋の歌がラジカセから流れ、花の葉についた朝露を老婆たちが健康を願って孫たちに含ませる。もちろん民族によって夏至祭は多くの種類に分けられるから、さまざまな国家から脱出した人間が集まるここでは、全てが統一されているわけではない。現に夏至祭が行われる日もばらばらだ。二十一日だったり、二十六日までだったり、そもそもが移動祝祭日だったり。冬至に祝う民族もいる。それでも共通して一つだけ残っているものがある。というか、日本人にも、特に若い女たちの間で広まりつつある風習があった。それは夏至祭のイブに、枕の下にセイヨウオトギリの黄色い花を敷いて眠るというものだ。俺がそれを聞いたのは、太陽が天に昇る頃のマーケットの果物屋で、腹の出っぱった親父から林檎やら何やらを買い、おまけだと黄色い花をもらった時だった。
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    TRAINING異国の軍隊に雇われた狡噛がマラリアにかかって宜野座の夢を見たり、襲撃されて怪我をしたりするお話です。
    やし酒と煙草を一本 ここでは、国家のために戦い傷を負い、入院した兵士は王から煙草を一箱下賜される。
     それは傭兵の俺も例外ではなかったらしく、野戦病院で目が覚めると、枕元には太陽のマークが刻まれた赤い煙草が置かれていた。皆はそれをありがたがって万歳、万歳と蚊帳の中、汚れた額にこすり付けていた。俺はそこまでこの国の王に忠誠心がなかったから病室で吸っても良かったのだが、夜刺されてもまずいと思いやめた。だから俺は皆がそうするように■■■王万歳と言い、王室のマークを額にこすり付け、胸ポケットに入れた。
     俺がこの野戦病院に入ることとなったのは、怪我が理由ではなく(勿論怪我はしていたが)マラリアが理由だった。最初のうちは気づかなかった。長い雨期が続き、鬱々としていた時に軽く発熱し、頭痛や悪寒に襲われ、嘔吐した時に従軍医師にマラリアと診断された。そこからは地獄だった。黒水熱を併発した俺は助かる見込みのない患者の部屋に隔離され、一週間と数日苦しんだ。死亡率は三十%というんだから、助かったのは奇跡だと言われた。流石に俺もこの時は神に感謝した。けれどまぁ、助かった俺はまた明日から軍という死地に戻る。生きてゆくために。
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    TRAINING練習問題⑤簡潔性
    形容詞も副詞も使わずに描写すること。
    彼の汗を拭う 狡噛の額から汗が垂れる。それはベッドサイドのライトに光り、俺の目をくらませる。俺はそれが悔しくて彼の腹筋に触る。彼はやめろといったふうに俺の手を振り払う。俺はそれに抵抗し、彼の筋肉を触る。肩や背中、腰、太もも、それから惚れている顔のラインなどを。狡噛はそれを笑わない。俺のやり方を笑わない。セックスの仕方を笑わない。俺は身体を反転させ、彼の上に乗る。狡噛が笑う。彼は俺がどうやって楽しませるのか期待しているようだった。俺はそうセックスが上手くないから、そんなに期待されても困るのだが。
     俺は一度ペニスを引き抜きしごく。コンドームが音を立てる。俺はそれが面白くて手首をストロークさせる。狡噛が歯を噛み締める。どうだ、俺も出来るだろう、俺はそう笑って、彼のペニスをまた挿入させる。狡噛は繰り返し息を吐く。俺のセックスが気に入らないのか、それともその逆なのか。俺は彼の額に浮かぶ汗を拭った。それを掬って飲むと、いつもよりずっと美味かった。彼が興奮しているせいだとしたら俺は喜ぶだろうし、彼もそうであるだろう。俺はそんなことを考え、またキスをした。
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