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    武道

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    TRAINING第19試合『人形〜Doll〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     ビーデルの義母曰く、夫は自分を家族としての買いだしなどには付き合ってくれるが、時々ふたりで都会に買い物にでかけようというと渋るので女としての意識はもうあまりないのかもしれない、とお茶を一緒にした際に苦笑交じりでこぼしたことがあった。

     確かにビーデルの夫の父親、孫悟空の思考や行動については多少、夫の母親であるチチに同情的になることもある。
     しかしながら、ビーデルは義父である悟空を責める気持ちは皆無だ。
     
     彼なりの、彼の妻への愛情を感じることを時折目の当たりにするからだ。
     それは日常に紛れており、また、彼の妻であるチチ本人がいないところで見られることが多い。

     例えば、昨日。
     悟空の孫娘パンが、ビーデルの実父であるサタンに買ってもらったという人形を見せた時に零した言葉がある。

     精巧な着せ替え人形で、幼い女児が好むかわいらしいドレスがいつくもあるそれを眺め、本物みてぇだなぁと感心していた彼が言ったのだ。

    「この服なんかチチに似合うだろうなぁ。こっちのやつとか、あんまチチは着ねぇ色だけど案外合うんじゃねぇかな」

     きょとんとしてるパンの前で眉間に皺を寄せて考え込む義父 753

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    TRAINING第18試合『手紙〜Letter〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     掃除、洗濯、夕食の下ごしらえ、他のこまごました家事が終わると、チチのちょっとした自由時間となる。
     自由時間といっても大概は針仕事や近隣(と、言っても孫家からかなりの距離はあるのだが)への用事事や畑の様子などを見にいくことも多いが、まれに本当にぽっかりとそれらもない自由時間がある。

     そうなるとチチはお茶を淹れて雑誌を読んだりテレビを見たり、時々午睡をしたりとして過ごすが、気が向くとリビングのとある収納の引き出しを引く。

    「ああ、そろそろこの便箋もなくなってきてるだなぁ」

     言いながら取り出したのは、淡い緑色で揃えられているレターセットだ。共に万年筆も出して、ダイニングテーブルに座る。
     
    「さて、と」

     便箋をめくり、チチは慣れた様子で万年筆にインクを補充すると、その切っ先を紙面へと滑らせ始めた。
     出だしはいつも決まっていて、「悟空さへ」 である。

     
     書くことは基本とりとめもなく。
     自分がその日思っていること、伝えたいことをつらつらを書いていく。満足するまで書いたあとは便箋を折り封筒に入れて封をして、便箋をしまっている同じ引き出しに手紙をしまう。
     この手紙は決し 1450

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    TRAINING第17試合『オオカミ〜Wolf〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「悟空さはオオカミみたいだ」
    「オラ、狼牙風風拳は使わねぇぞ」
    「なんでヤムチャさが出てくるだ。おめぇさのことだべ」

     時刻は深夜。夫婦の寝室。
     このふたつの言葉で状況はなんとなく察していただきたい。

     分かち合った身体の熱もほどよくおさまった後、チチは汗を流したいと今夜二度目の風呂に入った。
     汗を流すのが目的だったのでそんなに時間もかからず出てきたチチは寝着を纏いドレッサーの前で髪を好きながら、冒頭のセリフを口にしたというわけだ。

    「鼻が利くからか?」
    「ああ、確かにそれもあるだな。でも違うだ」

     髪を梳る手を止めずチチは鏡越しに笑っている。笑ってはいるが、その中に多少の別の感情も悟空には見える気がする。怒っているというほどではないが、呆れているともまた違うような。
     彼女から香る匂いも素朴な石鹸の香りで、強く感情が高ぶっている気配はない。

    「オオカミの愛情表現って知ってるだか?」
    「あいじょうひょうげん?」
    「んだ。今日、悟天が宿題の調べものかなんかで動物図鑑出しててな。だしっぱだったもんだからおらが片付けたんだけんど、何気にぺらぺらめくっててオオカミのページ読んだん 1351

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    TRAINING第16試合『Freestyle』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「我流?」
    「んだ。悟空さの武術スタイル。亀仙流…神様、界王様やあの世のお偉いさんとか、今じゃあウィスさんって破壊神のお付きの天使様に修行とかつけてもらってて、その教えはあるかもしんねぇけど、ほとんど我流だべ」
    「まぁ……そうなるの、…か?」
    「なんでおめぇさが疑問形なんだべ」
    「いやー、別に嫌とかじゃあねぇけんど、なんかヘンテコかと思ってよ。チチは…亀仙流だよな」
    「んだ。おっとうからみっちりと教わった正統派亀仙流だべ」

     型見せるだか? と、腰を落とし両手を持ち上げて構えをとるチチは凛として華の如く。美しい武だ。

    「ほんっとキレイなもんだよな」
    「悟空さの構えもてぇしたもんだよ。この人にはかなわねぇって肌ぴりぴりするだよ」
    「オラおめぇにそんな気ぶつけたか?」
    「ねぇな」
    「だよな」
    「我流ってのがしっくりこねぇべか? 一応いろんな教えをたくさん持ってて、それ全部ひっくるめて修行して発展させてるってのが今の悟空さだと思うけんど。あ、言い方がちょっとカッコ悪いって思ってるんじゃねぇか、悟空さ」
    「言い方ぁ?」
    「んだ。悪くはねぇけんどちょっとなんかもうちょっとあるんじゃねぇかって 882

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    TRAINING第15試合『眼鏡』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
     チチの武は亀仙流であり、師は父である牛魔王だ。
     夫である悟空を始めとする他の亀仙流の使い手達は自身の特色を含ませて発展させていったが、チチのそれはほぼ純粋なるものだ。

     天下一武道会の武舞台に上がったときと比べるとさすがに力やスピードは落ちたが、その代わり受け流しなどのスキルは今の方が磨きがかかったと思う。それは亀仙人のお隅付きだ。

    「悟天に武を教えたい。だがそれに値する状態かどうか確かめてくれと筋斗雲に乗ってわしのところまで来たときは結構たまげたもんじゃ」
    「武天老師さま、おくちあんぐりしてたべ。悟天のことも悟飯のときみたいにお勉強漬けにするもんだと思われてたんならまぁ仕方ねぇと思いますだ」
    「いやいや、そりゃちぃっとは思って驚いたのは確かだがの。わしはな、悟天があんまりにも悟空に似て生まれてきよったから、そこに武をつけさせればますます悟空のやつに似てしまいお前さんが辛くなるんじゃないかのうと心配したんじゃ」

     言いながらのんびりと茶を啜る武天老師は比較的近しい過去の出来ことを思い返し、ほっほと笑う。
     本日は定期的に行われるブルマ主催のカプセルコーポレーションでのお茶会だ 1494

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    TRAINING第14試合『猿〜MONKEYサル〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    ある日突然、出会ったころのような少年の姿になって自分の元に戻ってきた夫は元の姿に戻るを通り越して、スーパーサイヤ人の別の形態を得た。
     それまで髪に宿していた金色は瞳の色へと変わり、スーパーサイヤの三つ目のときほどではないが髪は背後に流れるほどの量がある。
     朱の隈取に同じ色の体毛。同色の尻尾を持つ夫は素直にかっこいいとチチは称し、その姿で近づかれても金色のスーパーサイヤ人を初めて見たときのような拒否反応は起こさない。
     それが嬉しいような、どことなく複雑なような、とは悟空の心境だ。

    「スーパーサイヤ人3んときもそんなおら嫌がらなかったべ? 髪もふもふさせてもらったもん」
    「ありゃあいい加減普通のスーパーサイヤ人とかである程度慣れてたってのもあんだろ。いっちゃん最初になって見せたときとかはまぁ不良だなんだ言われたし、悟飯のときもそうだったじゃねぇか」
    「悟空さ結構根に持つタイプだべよな。普段は黒い髪の悟空さや悟飯ちゃん、悟天ちゃんが金色の髪になっちまうと髪を染めて不良になってるってイメージになっちまってたからなぁ。我が子が非行に走るのを嘆くのは親の本能だべ」
    「オレはチチの子供じゃね 1730

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    TRAINING第13試合『告白〜Confession〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    パオズ山、孫家。
     長男、悟飯が家庭を持ち家を出たことにより、息子達の部屋は次男悟天の自室となった。
     最初は広くなった部屋に落ち着かない様子だったが、成長と共にそこは彼のテリトリーとなり自室で過ごす時間も多くなった。

     家族仲が悪くなったわけではないが、悟空からしてみればやはり以前のように家族三人でリビングで過ごす時間が少なくなったと感じるし、それとなくチチにそれを話してみたところ、それが子供の成長だと微笑まれた。

    「悟空さは意外と子離れが寂しい性質なのかもしれねぇな」
    「そうなんかなぁ」

     風呂上り、チチがリンゴを用意してくれるというので悟天にも声をかけたのだが、彼は机に向かって今はいいと返してきたことを妻に話して、彼女が置いてくれた皿からリンゴをつまんで食べる。
     子離れというと悟飯の結婚式の前夜に涙をこぼしていたチチを思いだすのだが、そこまでではないと思う。でも確かにチチの言う通り、なんとも言えない感覚は「親」としての何かしらの感情だろうともあり、……なんとも表現し難い。

    「まぁ、おらと悟空さは子育ての差に七年ほどあるだ。そのうち追いついてくるだよ」
    「なんかチチ、セン 1899

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    TRAINING【第12試合】『ベンチ〜bench〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「お義父さんってお義母さんのこと、本当に大好きよね」
    「? いきなりどうしたの、ビーデルさん」
    「ごめんなさい、特になにかあったとかじゃあないんだけど、なんていうのかな、しみじみ分かっちゃって。お二人の子供である悟飯くんにはそんなの当たり前じゃないかってなるかもだけどね」
    「いや、息子だからこそ気付けていないところって多分あるんじゃないかな。ちなみに…ビーデルさんが思ったのってどういうの?」
    「えっとね。ほら、今日みんなでお出かけしてて、ちょっと喉が渇いたからって今このお店飲み物買おうとしてるでしょ」
    「悟天のやつはジュースもアイスもってなってて悩んでるのに付き合ってる僕たちだよね」
    「そう。で、お義母さんはちょっと疲れたからってあそこのベンチで座って待ってるってなったでしょ。それに、お義父さんが一緒に座って待ってるっておっしゃったときに思ったの」
    「父さんが母さんのことを好きだなって?」
    「うん。だって、ちょっと怒られそうだけど、お義父さんこそ悟天くんと一緒に何食べよう、何を飲もうって悩みそうなものじゃない」
    「確かに。飲み物は適当でいいっていうのは父さんっぽいけど、『疲れたから座っ 767

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第11試合 お題『海 〜Sea〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    惑星バンパは「過酷」な環境ではあるが、ブロリーにとっては物心ついたころから生きてきた星だし、色々あったが今はチライとレモが一緒にいる。
     ソンゴクウが持ってきてくれた「家」でぐっと過ごしやすなったし、昼は暑さに夜は寒さに、食料が心もとないと不安がっていたチライとレモが笑ってくれるようになったのはブロリーには嬉しいことだ。
     ゴクウは度々バンパを訪れ食料や他に必要なものを持ってきてくれて、そしてブロリーを修行に誘う。それを数回繰り返すうちにゴクウはブロリー達を地球へと誘った。理由はブロリーが海を見たいといったからである。

     ゴクウ曰く、ブロリーは海自体はとっくに見ていて、かつその中に落ちたりもしていたらしい。
     フリーザの宇宙船が着地した場所、そしてゴクウやベジータと闘った場所こそは氷に覆われてはいたもののその下こそが「海」だったらしい。
     ゴクウから聞く地球の話で、海とは青くて広くて深い場所もあって、たくさんの生き物がいるとあった。
     闘争本能が暴走した状態だったので、海自体をよく見れていなかった。たくさんの生き物がいるなら見てみたいといったところ、ゴクウの瞬間移動なるものでの地球へ 1607

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第10試合 お題『りんご 〜Apple〜』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
    #天下一悟チチ武道会
    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    二度目のあの世の住人となって、困ったことというのは実は少ない。
     もちろん息子の悟飯のこれからを父親として見ていきたい気持ちはあるが、それよりも地球という星のこれからの平穏を望むことにして甦りの方法を模索する仲間達をそれを制した。 この世が穏やかであれば、元来優しい性格の息子は必要以上に闘うことはなく学者になりたいという夢に向かって勉強をすることができる。
     武道家として我が子の潜在能力に盲目になってしまった自分ができる、願いと、罪滅ぼしだと思っていた。

     仲間達も皆、それぞれの時間を歩んでいける者達ばかりだ。ピッコロなんかは新しい地球の神となったデンデに付いてやるだろうし、多少厄介ごとがあってもなんとかできるだけの力がある。
     未来からやってきたトランクスから聞かされた、悲痛の路からは外れたはずだ。

     二度目の死でも幸い肉体は与えられた。だから、地球で生きる者達が天寿を全うしてこちらで会えるまでは存分に修行をして、己が望む武を高めていけばいい。



     そう、思っていたのだが。

    「なぁ、界王様。もうちっとなんか食うモンねぇかな?」
    「お前まーだ食うつもりなんかい」
    「いや、結構 1586

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第9試合 お題『夢』

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    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    思えばずっと、自分は彼女に待たせているばかりだった。

     幼い約束を信じて、少女から乙女となるまで待ち続けた彼女。
     天下一武道会の武舞台で夫婦となりパオズ山で生活はし始めたけど、修行のために家を出れば一人きりの朝と夜を迎えさせたのは片手どころか両手、両足の指を使っても数えきれないほど。それで泣かせてしまったのも数として口にすると後ろめたさでいたたまれなくなるのだが、そこに死別が割り込んでくるとなると、もうなんともさすがの悟空とて申し訳ないどころでは済まされないと反省したくなる。
     二度の死別から現世の人となり、そこから先で、また彼女の元から離れた。

     背中にかけられた声にまともに返せなかったのはともすれば彼女を道連れにしてしまいかねなかったからだ。
     今の孫悟空という存在はこの世、あの世、どちらの存在とも言い難く、地球という星と共に在るが、個として明確であることは短い時間でしか今は保てない。

     そうなることは悟空自身の意思であるし、悔やんではいない。
     自慢の息子達が家庭を持ち、仲間達のそれぞれの人生、可愛い孫娘が孫の世話をする時の流れを穏やかに、なつかしさと羨望のまなざしで見守 1238

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第8試合 お題『月〜MOON〜』

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    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「黒髪の悟空さはおひさまみてぇに笑うし、金色の悟空さもきらきらまぶしい太陽みてぇだって思ったけんど」
    「けど?」
    「おっかねぇお顔のおめぇさは、なーんかお月様って感じだべな」
    「それ、髪型のせいとか言わねぇだろうな?」
    「あ、言われてみれば。なんか三日月みてぇな気も…」
    「チチ」
    「ほれ、こうやって後ろにいっぺぇある髪をこんな風にしたら……」
    「チーチ」
    「いいでねぇか、今はおらとおめぇさだけだもの。少しくらい遊ばせてけれ」
    「…………」
    「ふふ。三日月型にしたらやっぱりお月様みてぇだ。真夜中にすっげぇ光ってるお月様、金色に見えることあるもん」
    「俺からしてみりゃあ、チチが月みてぇだけどな」
    「おら…?」
    「金色がねぇって思ってっだろ。金色じゃあなくてよ、このさ…」
    「ん………っ」
    「チチの肌がさ、まんまるの月みてぇに白いのに、なんつうか白すぎず…色っぺぇっていうかさ。…真珠色っていうんだっけ? たまんねぇときある」
    「………悟空さ、触りすぎ」
    「いいじゃねぇか、二人っきりっつったのはチチだし。それに」

     月がキレイな今夜は、子供達不在の二人きりなので。

    「お互いのお月さん、堪能し 513

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第7試合 お題『ピアス』

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    #Gochichi60minOneDrawWriteChallenge #悟チチ #Gochichi
    「ピアスを開けたい? いいんでねぇか」
    「…………」
    「悟天、何か言いたいなら言うだよ」
    「あ、えっとさ。あっさりOKされるとは思わなかったから」
    「ファッションのひとつだし、おめぇも年頃だからな。親のおらがしてるものを頭ごなしにダメっていうほど気も張ってねぇだよ」

     ソファに座ってのんびりと茶を飲んでいる母に話しかけるタイミングと彼女の期限をかなり慎重に窺って挑んだだけに、悟天の方が拍子抜けしてしまった。
     桃色が主体の旗袍に髪を短くした母親の耳元には確かにピアスがされていて、小さく球が揺れている。

     ピアスといえばやはり女性ものというイメージがあるし、実際母に話すより前に隣に住む兄に相談してみると「彼女へのプレゼントじゃなくて?」と首を傾げられたこともあった。まぁ悟天とて女の子がつけて可愛い装飾が多いものは興味はないが、小さな銀や金のスタイリッシュなものには憧れる。
     耳といういつも露出している部位に身に着けるものだから、やはり一緒に住んでいる家族に黙ってやるのはいかがなものかということと、素行には厳しい母親であるということで話すタイミングを数日前から考えて見計らって挑んだ結果 1737

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第6試合 お題『アイス〜ICE〜』

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    孫家の日常は多分どちらかといえば慌ただしいイメージかもしれない。

     それは確かに事実でもある。
     なにせ、パオズ山は緑豊かといえば聞こえはいいが、実際は大型肉食獣も住まう辺境という言葉が相応しく、人が住む場所といえば限られていて村と呼べる存在は山の麓の方にあり、そこから町、都会へとなるとずっと遠くなりそれなりの移動手段が必要だ。

     そんな場所で暮らしているものだから、ハイスクールへの登校にも時間がかかってしまう。孫家の長男、悟飯は時間にルーズではないがやはり朝はばたばたしがちだし、悟飯や悟天の父親である孫悟空が現世の人として戻ってきたため家事(主に食事面)が増えたため子供達の母であり、悟空の妻であるチチも所々は慌ただしい。
     しかしながら、子供達が成長すれば各々時間の使い方はうまくなっていくし、悟空に至っては修行に出てしまえば家を不在にする時間も長くなり心配はするものの家事の負担は減る。

     あと、これは知るものは孫家の面々くらいだが、農作業が終わり昼食も終わったあとの孫家は意外とのんびりとした時間が流れる。

     茶を淹れて、ゆっくりと飲む時間。
     それはチチがひとりで家を支えてい 2050

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第5試合 『おはよう』

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    最愛の人におはようを言えることは幸せで、おはようを毎日聞けることは当たり前ではないということを、チチは知っている。なにせ、二度ほど未亡人になっていたので。

     一度目は先に述べた、「おはよう」についてはあまり考えられる余裕がなかった。とはいえ、二度目が余裕だったのかといえばそうではなく、こちらは当時永遠の別離が確定していたと思っていたので悲しみと喪失をゆるゆると飲み込みこれからの時間を我が子のために使おうと決意してからのことである。

     しかしそれが予想もせずひっくり返って、夫が現世の人となって。
     子供達への「おはよう」は大好きな夫へも送ることができて、こちらに返されるようになった。

     長男からは幸せそうと言われ、次男からはきれいになったなんて言われたのだから、自分の変化は如実なのだろうとチチは思う。
     家族がそろったからだと子供達には返すチチだったが………、好きな人の腕の中で、二人だけで交わす「おはよう」のやりとりがあるのも理由なのだが、それは夫婦だけが知っていればいい。

     男と女として、唇を触れ合わせながらのそれをして、チチと悟空は母親と父親として子供達と朝の挨拶を交わして、 552

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    第4試合 『牛〜Cow〜』

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    #悟チチ #Gochichi
    農家には農家のための情報誌や、ネットサイトがある。
     そのどちらもチチは確認するが、紙媒体をお茶を飲みながらのんびり眺めるのが好きだ。

     畑仕事を終えて、昼食後の後片付けも終わっての夕方までにある少しの落ち着いた時間に珈琲と軽い菓子をお供にダイニングテーブルで情報誌を拡げていると、向かいの席に悟空が座った。彼は市場から戻ってきたところでチチが持たせていた弁当の外に軽い軽食をとった後にシャワーを浴びたのでハーフパンツにタンクトップというかなりラフな格好でいる。

    「お、牛」
    「んだ、牛だな」

     首からタオルを下げた夫はチチが見ている雑誌にでかでかと掲載されている写真を見て眼を輝かせている。動物が好きな人だからなとチチは思ったが、なにやら期待に満ちた眼でこちらを見ているものだからチチは小首をかしげて見せた。

    「牛、飼うんか?」
    「飼わねぇだよ」

     短いこのやり取りであからさまにがっかりするものだから、その感情の分かりやすさに少し吹き出してしまう。

    「たまたまこの雑誌が酪農の特集もしてるだけだべ。そりゃあ興味がないことはねぇけんど、うちはふたりだけだしなぁ、牛や鶏とかの世話までは考 1013

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第3試合 『春 〜Spring〜』

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    #悟チチ #Gochichi
    茄子に胡瓜にトマト。アスパラ、カブ、ピーマン、春菊―――。

     春に種まき、ないしは苗植えを行う作物のことを考えながら、チチは起こされて湿り気を含んだ独特の匂いのする土の香りを胸いっぱいに吸い込んだ。 

     トラクターで掘り起こされた土は黒々としていて、春の陽射しをぐんぐんと吸いこんでいるのが分かる。この、畑の「目覚める」様子がチチはとても好きだ。
     もちろん冬にも幾つか作物は育てていたが、やはり秋までに比べれば幾分縮小させていたし、この春に備えて手入れをし、休ませていた畑もある。

     雑草などで作った堆肥を含んだ土に器具を入れてひっくり返すときにわくわくすると言うと夫である悟空に笑われてしまったが、それはマイナスな意味ではなく「チチらしい」という明るくてどこか嬉しそうなそれであった。
     
     もう二度と会うことは叶わないと思っていた夫が現世の人となり、チチが生業として選んだ「農業」に加わったことで、孫家の農業はぐんと幅を広げた。
     トラクターなどを使って畑を耕していたとはいえ、パオズ山の土地はその内に大小様々な土をはらんでいることも多いし、また土も農作物を育てるにはまず土を育てて整えて 1425

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    TRAINING悟チチ版ワンドロワンライ『天下一悟チチ武道会』
    第2回戦 お題『マフラー』

    #悟チチ版ワンドロワンライ
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    年齢を重ねてきたことで、ようやく見えてきたことがある。
     自分の中に流れる戦闘本能については純血のサイヤ人のそれということでどうしようもないとしても、闘いがない日常でもそれなりに生きていけて、それを悪くないと思えるのは「地球人」としての自分の一面で、近しい者に危害が加わることは良しとはしないあたり、色濃いことだ。

     穏やかな昼下がり。
     最近自分から望んでやるようになった農作業も終えての、自由時間。悟空には瞬間移動があるので西の都にでも行ってベジータと組手などすることも多いのだが、この日はパオズ山の自宅に居る。

    「ん。大丈夫だべ、ビーデルさ。ちゃあんと出来てるだよ」
    「本当ですか…?」
    「んだ。やり始めたばかりのおらよりも、ずうっと上手だ」

     この時間は窓から入ってくる陽光で陽だまりになるソファに、ビーデルとチチが並んで座っている。
     ビーデルの手には鈎針が握られていて、彼女はいつもは勝気な眉を少しばかりハの字にしながら手を動かし、ソファ前のテーブルの上に乗せられた籠の中の紫の毛糸玉がゆっくりと回る。編み物をしているのだ。

     ビーデルは悟飯のハイスクールのクラスメイトだが、それ 1835