くらむ
DOODLE🌟🎈その鯉は、黄金色に輝いて龍に変化し、天高く昇って行ったのだそうな。
ワンライ『鯉のぼり』『都市伝説』(2023/05/03) ふと気がつくと、夜のセカイで一人立っていた。
どうして、どのような目的で…ここに来たのかを思い出せないまま、夜になり静まり返ったセカイを歩く。
宛も無く歩いていると、花畑に見知った姿を見つけた。
「類!お前も来ていたのか?」
その姿に声をかけると、何かの作業の為か座り込んでいた少年が立ち上がったので近付く。
此方を視認したのか、笑みを浮かべると口を開いく。
「つかさくん」
「またオレ達に内緒で作業しているのか?一人で抱え込むんじゃないぞ」
「はやく形にしてしまいたかったから」
少年に近付きその先を見ると、何やら大きな機械が足元に存在していた。
タイミング良く雲に遮られていた月明かりがその機械を照らし出す。
2264どうして、どのような目的で…ここに来たのかを思い出せないまま、夜になり静まり返ったセカイを歩く。
宛も無く歩いていると、花畑に見知った姿を見つけた。
「類!お前も来ていたのか?」
その姿に声をかけると、何かの作業の為か座り込んでいた少年が立ち上がったので近付く。
此方を視認したのか、笑みを浮かべると口を開いく。
「つかさくん」
「またオレ達に内緒で作業しているのか?一人で抱え込むんじゃないぞ」
「はやく形にしてしまいたかったから」
少年に近付きその先を見ると、何やら大きな機械が足元に存在していた。
タイミング良く雲に遮られていた月明かりがその機械を照らし出す。
くらむ
DOODLE🌟🎈オレ/僕専用の。
ワンライ『オレ/僕にしか分からない』(2023/04/26) ぐっ、と背を伸ばし固まった筋肉を伸ばす。
今日の課題としていた演出の方向性も決まり、あとはワンダーランズ×ショウタイムの四人で作り上げていくだけの段階まで持っていくことが出来た。
簡易図面を机へと運び終えると既にソファに座っていた司が手招きする。
キシ、と二人分の体重を受け止めたソファが音をあげるのを聞きながら、肘置きに体を寄りかからせた司へと背を向け体重を預けた。
彼は定期的にこうして自分を腕の中に閉じ込める。
最初は恥ずかしさもあり抵抗していたこともあったが、なんだかんだ彼から届く体温の温かさが癖になってしまい、今では大人しく腕の中に収まるようになった。
ソファでは狭いだろうからマットレスでも用意しようかと提案をしたが、どうやら彼はソファという狭い空間での触れ合いが好きらしい。
1527今日の課題としていた演出の方向性も決まり、あとはワンダーランズ×ショウタイムの四人で作り上げていくだけの段階まで持っていくことが出来た。
簡易図面を机へと運び終えると既にソファに座っていた司が手招きする。
キシ、と二人分の体重を受け止めたソファが音をあげるのを聞きながら、肘置きに体を寄りかからせた司へと背を向け体重を預けた。
彼は定期的にこうして自分を腕の中に閉じ込める。
最初は恥ずかしさもあり抵抗していたこともあったが、なんだかんだ彼から届く体温の温かさが癖になってしまい、今では大人しく腕の中に収まるようになった。
ソファでは狭いだろうからマットレスでも用意しようかと提案をしたが、どうやら彼はソファという狭い空間での触れ合いが好きらしい。
〆鯖-simesaba
DONEえあすけぶにてリクエスト頂いた左右どっちゲームの🌟🎈です。実はそのゲームに対しての知識がなくてですね…調べたんですけどなんか違うものが出来てしまった感があります。すみません…😢😢でも楽しかったです…☺️ありがとうございました!! 2くらむ
DOODLE🌟🎈君のために、手を伸ばす
ワンライ『サイン』(2023/04/19) それは、本当に微かな違和感。
稽古をしている時はいつも通りに見えるというのに、休憩中にふと視界に入った彼は何かが違うように見えた。
司は役作りの為なら限界まで挑もうとする…それが、無茶だと止めてしまいたくなるような事だとしても。
彼の良い所で有るその挑戦的な姿勢は、一歩間違えれば二度と体を使えなくてしまうかもしれない危険性を孕んだ行動でもある。
それを失念する程愚かな人間ではないと理解しているが、念には念を入れて置いた方が良いのかもしれない。
「司くん、この後少し時間を貰ってもいいかい」
「ん?ああ、構わないぞ」
女性陣には少し残る旨を伝えると、鳳家の送迎車に乗って二人は去っていった。
その様子を見届け更衣室に戻ると、扉を閉める。
2109稽古をしている時はいつも通りに見えるというのに、休憩中にふと視界に入った彼は何かが違うように見えた。
司は役作りの為なら限界まで挑もうとする…それが、無茶だと止めてしまいたくなるような事だとしても。
彼の良い所で有るその挑戦的な姿勢は、一歩間違えれば二度と体を使えなくてしまうかもしれない危険性を孕んだ行動でもある。
それを失念する程愚かな人間ではないと理解しているが、念には念を入れて置いた方が良いのかもしれない。
「司くん、この後少し時間を貰ってもいいかい」
「ん?ああ、構わないぞ」
女性陣には少し残る旨を伝えると、鳳家の送迎車に乗って二人は去っていった。
その様子を見届け更衣室に戻ると、扉を閉める。
くらむ
DOODLE🌟🎈夢から醒めて
ワンライ『実感』(2023/04/12) ピピピ。
目覚ましにセットしたアラームの音に起こされ、ソファから体を起こし体を伸ばすと欠伸が漏れる。
ガレージのシャッターを開くと、外には清々しいほどの青空が広がっていた。
何となく、その至って普通な青空に気持ちが引き上げられ行動を起こす。
制服に着替え母屋に顔を出すと、母は笑いながら朝食を作り出した。
いつもは時間ギリギリまでのんびりしているので、この時間に類が顔を出すのは希少なのだ。
取りに来るように言われ、二人分の目玉焼きをテーブルまで運ぶ。
「いただきます」
手を合わせて挨拶すると、早速中央へと箸を運ぶ。
少し力を入れただけで溢れ出すトロトロの黄身は美味しさを際立てるが、何より見ていて楽しい。
4571目覚ましにセットしたアラームの音に起こされ、ソファから体を起こし体を伸ばすと欠伸が漏れる。
ガレージのシャッターを開くと、外には清々しいほどの青空が広がっていた。
何となく、その至って普通な青空に気持ちが引き上げられ行動を起こす。
制服に着替え母屋に顔を出すと、母は笑いながら朝食を作り出した。
いつもは時間ギリギリまでのんびりしているので、この時間に類が顔を出すのは希少なのだ。
取りに来るように言われ、二人分の目玉焼きをテーブルまで運ぶ。
「いただきます」
手を合わせて挨拶すると、早速中央へと箸を運ぶ。
少し力を入れただけで溢れ出すトロトロの黄身は美味しさを際立てるが、何より見ていて楽しい。
くらむ
DOODLE🌟🎈「本当に、よかった」
ワンライ『変わらないもの』(2023/04/05) 夕食後の家族との団欒も解散となり、自室で明日の準備をしているとスクールバッグから台本が出てきた。
『ピーターパン』と背表紙に書かれたその台本は、今日の稽古の時にワンダーランズ×ショウタイムの皆と共有する為に持ち込んだものだった。
「ピーターパン」と己の事を呼ぶ声を思い出す。
突然始まった台本を皆で囲んでの読み合わせは、当たり前だが先日とは違うキャラの一面が見えて新鮮で楽しかった。
棚へと台本を戻すと、隣にしまっていた台本が目に入る。
今年の正月に行った季節限定のショーは、落ち込んでいた獅子舞ロボに沢山活躍してもらうために様々な地へと赴いた。
様々な立地での経験もそうだが、何よりも行く先々であった様々な出会いも大きな経験になった。
3332『ピーターパン』と背表紙に書かれたその台本は、今日の稽古の時にワンダーランズ×ショウタイムの皆と共有する為に持ち込んだものだった。
「ピーターパン」と己の事を呼ぶ声を思い出す。
突然始まった台本を皆で囲んでの読み合わせは、当たり前だが先日とは違うキャラの一面が見えて新鮮で楽しかった。
棚へと台本を戻すと、隣にしまっていた台本が目に入る。
今年の正月に行った季節限定のショーは、落ち込んでいた獅子舞ロボに沢山活躍してもらうために様々な地へと赴いた。
様々な立地での経験もそうだが、何よりも行く先々であった様々な出会いも大きな経験になった。
くらむ
DOODLE🌟🎈貴方の手で象って
ワンライ『コーディネート』(2023/03/30) カチ、カチ、時計が時を刻む静かな空間の中、天馬司は頭を抱えていた。
悩ましげに視線が投げられた先には、様々なロゴがプリントされた袋が鎮座しており解放される時を今か今かと待ち続けている。
明日は類が、台本の最終確認のために家に来ることになっている。
最終確認を行う時は、司の部屋、類のガレージで交互に行なっていたため、いつもの流れで了承してしまった。
類が来る前にこの袋たちをどこかへ隠したい気持ちと、類の前で袋を解放したい気持ちがせめぎ合い、時間だけが過ぎていく。
ふと、時計に目を向けると、ベッドで横になり夢の世界へと旅立っているはずの時間を過ぎていることに気が付き溜息が漏れる。
「先送りにする理由は、無いな」
2416悩ましげに視線が投げられた先には、様々なロゴがプリントされた袋が鎮座しており解放される時を今か今かと待ち続けている。
明日は類が、台本の最終確認のために家に来ることになっている。
最終確認を行う時は、司の部屋、類のガレージで交互に行なっていたため、いつもの流れで了承してしまった。
類が来る前にこの袋たちをどこかへ隠したい気持ちと、類の前で袋を解放したい気持ちがせめぎ合い、時間だけが過ぎていく。
ふと、時計に目を向けると、ベッドで横になり夢の世界へと旅立っているはずの時間を過ぎていることに気が付き溜息が漏れる。
「先送りにする理由は、無いな」
ほに@🌟🎈
DOODLE口説きあいっこしてる🌟🎈らぶらぶ付き合ってる
ほとんど🌟←🎈の口説きターンしかないです
「───きみの瞳って、赤色がきらきらして綺麗だよね。太陽みたいだ」
うっとりと細められた月光の視線が、オレの眼を覗きこむ。目のきわ、涙袋を親指でするりとなでられてくすぐったい。
ショーに使う機材の打合せで訪れた類の部屋。さきほどまで白熱していたショーバカたちの会話は一段落して、いまはふたり、ソファの上で寄り添って愛を囁きあっている。
今は類のターン。オレはただ目の前のとろけた瞳をじっと見つめて、紡がれる睦言に酔いしれていればいい。
いつからか類の提案で始まったこの「口説きあいっこ」は、みずからの恋心にすらどこか冷静で、人前ではかたくなに恋人関係を明かそうとしない類が思いのままオレへの好意を伝えるための免罪符になっているらしい。
1776うっとりと細められた月光の視線が、オレの眼を覗きこむ。目のきわ、涙袋を親指でするりとなでられてくすぐったい。
ショーに使う機材の打合せで訪れた類の部屋。さきほどまで白熱していたショーバカたちの会話は一段落して、いまはふたり、ソファの上で寄り添って愛を囁きあっている。
今は類のターン。オレはただ目の前のとろけた瞳をじっと見つめて、紡がれる睦言に酔いしれていればいい。
いつからか類の提案で始まったこの「口説きあいっこ」は、みずからの恋心にすらどこか冷静で、人前ではかたくなに恋人関係を明かそうとしない類が思いのままオレへの好意を伝えるための免罪符になっているらしい。
くらむ
DOODLE🌟🎈掴んだ手は、離さない
ワンライ『春の嵐』(2023/03/22)『明日は全国的に春の嵐となるでしょう』
司と約束したデート前日の夜、テレビから聞こえてきた声は良くない知らせを発していた。
春の嵐…メイストームデーとなるであろう明日は、不要不急の外出は控えるべきだろう…怪我をしてしまう可能性が高い場に私情で体を晒す訳にはいかない。
折角久しぶりに諸々の休みが重なり時間が出来たというのに…沈み始めている気持ちに気付かないふりをする様に、ガレージへと戻る。
早いうちに連絡を取らないといけないと分かっているはずなのに、約束を無かったことにしたくない我儘な感情がコールボタンを押す気力を減らし続けていた。
いっその事知らなかった振りでもしてしまおうか…そう考えてしまった己に自己嫌悪を抱き端末をソファへと投げ出すと、端末が振動を始めた。
2585司と約束したデート前日の夜、テレビから聞こえてきた声は良くない知らせを発していた。
春の嵐…メイストームデーとなるであろう明日は、不要不急の外出は控えるべきだろう…怪我をしてしまう可能性が高い場に私情で体を晒す訳にはいかない。
折角久しぶりに諸々の休みが重なり時間が出来たというのに…沈み始めている気持ちに気付かないふりをする様に、ガレージへと戻る。
早いうちに連絡を取らないといけないと分かっているはずなのに、約束を無かったことにしたくない我儘な感情がコールボタンを押す気力を減らし続けていた。
いっその事知らなかった振りでもしてしまおうか…そう考えてしまった己に自己嫌悪を抱き端末をソファへと投げ出すと、端末が振動を始めた。
くらむ
DOODLE🌟🎈僕達に有って、僕たちに無いもの
ワンライ『ごっこ遊び』(2023/03/15) 秒針が時を刻む音だけが響く類のガレージにて。
久し振りに諸々の休みが重なった二人は、どちらからともなく共に時間を過ごすことを選んだ。特に何をするでもなく、ソファで身を寄せあい寛ぐのは存外心地が良かった。
流れに身を任せ脱力していると、頭に温かい感触が届く。
視線だけ動かすと、類が司の頭を撫でていた。
「司くん、僕の事を…兄と、読んでみてくれないかい」
「なんだ、何かの練習か?…………『兄さん』」
確かに弟役の練習はいつかしてみたいとは感じているが…。
突然の要求に意図が見えないまま言葉を返す。
「…………うん、すまない。何でもないから元に戻っていいよ」
「む?何かの練習ではないのか」
「…その…ね、司くんを、弟のように甘やかしたいと…思ってしまって」
1852久し振りに諸々の休みが重なった二人は、どちらからともなく共に時間を過ごすことを選んだ。特に何をするでもなく、ソファで身を寄せあい寛ぐのは存外心地が良かった。
流れに身を任せ脱力していると、頭に温かい感触が届く。
視線だけ動かすと、類が司の頭を撫でていた。
「司くん、僕の事を…兄と、読んでみてくれないかい」
「なんだ、何かの練習か?…………『兄さん』」
確かに弟役の練習はいつかしてみたいとは感じているが…。
突然の要求に意図が見えないまま言葉を返す。
「…………うん、すまない。何でもないから元に戻っていいよ」
「む?何かの練習ではないのか」
「…その…ね、司くんを、弟のように甘やかしたいと…思ってしまって」
くらむ
DOODLE🌟🎈ホワイトデー
贈答 ピロリン。
机から聞こえてきた電子音に、意識が引き起こされる。
二本の針は共に上を指しており、日付が変わった事に気が付く。
新しい演出道具の開発に時間を忘れてのめり込んでしまっていたようだ。
軽く伸びをして立ち上がり机に置いてある端末を確認すると、メッセージが一件届いていた。
『放課後、教室へ迎えに行くから待っていてくれ』
(あぁ…そうか)
一ヶ月前、イベントに肖って贈り物をした類に対して、先日司は伝えてきた。
三月十四日、二人っきりになれる時間が欲しい、と。
どんな事をしてくれるのだろうか…期待に胸を躍らせていると、再び電子音が響く。
『やはり起きていたか。早く寝るんだぞ』
メッセージを確認した時に付いた既読に気付かれてしまったようで、睡眠を促すメッセージだった。
1591机から聞こえてきた電子音に、意識が引き起こされる。
二本の針は共に上を指しており、日付が変わった事に気が付く。
新しい演出道具の開発に時間を忘れてのめり込んでしまっていたようだ。
軽く伸びをして立ち上がり机に置いてある端末を確認すると、メッセージが一件届いていた。
『放課後、教室へ迎えに行くから待っていてくれ』
(あぁ…そうか)
一ヶ月前、イベントに肖って贈り物をした類に対して、先日司は伝えてきた。
三月十四日、二人っきりになれる時間が欲しい、と。
どんな事をしてくれるのだろうか…期待に胸を躍らせていると、再び電子音が響く。
『やはり起きていたか。早く寝るんだぞ』
メッセージを確認した時に付いた既読に気付かれてしまったようで、睡眠を促すメッセージだった。
くらむ
DOODLE🌟🎈些細な事も、見逃さない様に
ワンライ『気まぐれ』『困惑』(第112回お題拝借) 放課後、部活のある生徒はとうに姿を消し、用がない生徒も各々の場へと去っていった教室。
そのクラスの日直当番であった司は、迅速にかつ美しい文字で端から端まで余すことなく日誌を書き記していた。
最近忙しく授業の合間は仮眠してしまっていた為、すっかり忘却の彼方へ追いやってしまった付けが回ってきてしまったのである。
「別に、そこまでしっかり埋める必要はないと思うのだけれど」
「いや、だめだ。このオレが記しているのだから、完璧でなくてはならない…!」
忘れていたからという理由で、普段きっちりとこなしている日誌の手を抜いてしまえばいつか後悔するのは目に見えていた。
そもそもとして元々手を抜くという事をしない司にとって、日誌と向き合うことは確定事項だった。
2191そのクラスの日直当番であった司は、迅速にかつ美しい文字で端から端まで余すことなく日誌を書き記していた。
最近忙しく授業の合間は仮眠してしまっていた為、すっかり忘却の彼方へ追いやってしまった付けが回ってきてしまったのである。
「別に、そこまでしっかり埋める必要はないと思うのだけれど」
「いや、だめだ。このオレが記しているのだから、完璧でなくてはならない…!」
忘れていたからという理由で、普段きっちりとこなしている日誌の手を抜いてしまえばいつか後悔するのは目に見えていた。
そもそもとして元々手を抜くという事をしない司にとって、日誌と向き合うことは確定事項だった。
くらむ
TRAINING🌟🎈今しか出来ないことを
ワンライ『鍋パ』(ワンライ第113回お題拝借)「秘技…仕切り鍋、だ!!」
珍しく司の家に招待されたかと思うと、テーブルに置かれていたのは真ん中で二分割されている仕切り鍋で。
鍋が置かれているということは、今回の目的はつまり。
「司くんにしては突然の要件も無い呼び出しだったのはこういう事かい」
「む、だから言っているだろう!秘技だと!」
「僕は野菜を見るのも得意では無いのだけれど」
「…む、ぅ……そう言うと思ってな…秘技その二、だ!」
叫ぶや否やキッチンへ駆け込んだ司は、冷蔵庫を勢いよく開く。
そのまま中に入っている何かを掴むと、また駆け足で返ってきた。
「今回は…これを使う!」
「これは…『しゃぶしゃぶ用豚肉』……なるほど。これなら、僕でも大丈夫だね」
1325珍しく司の家に招待されたかと思うと、テーブルに置かれていたのは真ん中で二分割されている仕切り鍋で。
鍋が置かれているということは、今回の目的はつまり。
「司くんにしては突然の要件も無い呼び出しだったのはこういう事かい」
「む、だから言っているだろう!秘技だと!」
「僕は野菜を見るのも得意では無いのだけれど」
「…む、ぅ……そう言うと思ってな…秘技その二、だ!」
叫ぶや否やキッチンへ駆け込んだ司は、冷蔵庫を勢いよく開く。
そのまま中に入っている何かを掴むと、また駆け足で返ってきた。
「今回は…これを使う!」
「これは…『しゃぶしゃぶ用豚肉』……なるほど。これなら、僕でも大丈夫だね」
一色あさぎ
DONE猫の日(遅刻)の司類🌟🎈セカイで猫耳と尻尾が生えた類と、その原因の司のちょっとしたわちゃわちゃのお話
ねこだまし ことの発端は、昨日咲希に見せられた猫の動画に違いない。
高いところから下りられないとわかるとすぐに飼い主を呼びつける様子、おやつの場所を突き止めて床一面に袋をばらまく様子、キーボードの上で歩き回って意味不明な文字の羅列を作った後に眠り始める様子。
SNSで何万回とシェアされているらしいそれらを見ている間、オレは今隣に座っている、すみれ色の猫耳と尻尾を生やした男を思い浮かべてしまったのだ。
「毎度のことながら、司くんも飽きないねえ」
「うっ……さすがに怒らせてしまったか……?」
「怒っていないし、別に構わないさ。なんだかんだ興味深い体験だしね」
その男は——まあ類のことなんだが、頭にぴょこんと付いている三角の耳をつまんで摩りながらそう話す。声のトーンは呆れ三割、楽しさ七割といったところで、本当に機嫌を損ねているわけではないようだった。
3045高いところから下りられないとわかるとすぐに飼い主を呼びつける様子、おやつの場所を突き止めて床一面に袋をばらまく様子、キーボードの上で歩き回って意味不明な文字の羅列を作った後に眠り始める様子。
SNSで何万回とシェアされているらしいそれらを見ている間、オレは今隣に座っている、すみれ色の猫耳と尻尾を生やした男を思い浮かべてしまったのだ。
「毎度のことながら、司くんも飽きないねえ」
「うっ……さすがに怒らせてしまったか……?」
「怒っていないし、別に構わないさ。なんだかんだ興味深い体験だしね」
その男は——まあ類のことなんだが、頭にぴょこんと付いている三角の耳をつまんで摩りながらそう話す。声のトーンは呆れ三割、楽しさ七割といったところで、本当に機嫌を損ねているわけではないようだった。
司の生姜焼き定食
MEMO煩悩のるいくんなう覚書です。全然絵は描けてないけど司類+αに対する煩悩は毎日湧いてくるのでメモだけが溜まっていく…消化できたらするわ
※※何でも許せる人向け※※たまに他CP※※思いついた順な書き殴りなので深く考えないで※※そのうち消します
くらむ
DOODLE🌟🎈感謝を、貴方に
ワンライ『愛を込めて』『手作り』(2023/02/15) 二月十四日…カレンダー上は特に祝日でもなんでもないただの平日。それでも学校にいる生徒の多くが浮き足立った雰囲気を作り出している。女子は集まりコソコソと話をしているし、男子は何事もないかのように靴箱や机の引き出しを覗き込んでは一喜一憂している。恋人や家族など大切な人に贈り物をするという日が派生し、好きな人にチョコレートを送る日となっているこの日はチョコと共に告白し結ばれるカップルも少なくない。
しかし周りの浮ついた雰囲気に呑まれる事無く通常運転の天馬司は、それでも上履きに履き替えるべく開いた靴箱から零れ落ちてきた小さな箱を慌ててキャッチする。予め用意しておいた紙袋を広げ、靴箱の中に詰め込まれた小箱を入れると教室へ向かう。変人いう不名誉な肩書きを与えられている司だが、それはそれとして女子に好意的な目を向けられることも少なくなかった。昔多量の箱に困惑していた時、他の男子が持参した紙袋に箱を詰めているのを見て以降は、バレンタインデーは必ず紙袋を持参するようにしている。貰える数以上に、貰った想いを落としてしまったりして無下にしたくないからだ。バレンタインならば周りにバレることなく好意を伝えることの出来る絶好の機会な為、こうして直接手渡されることは少なくとも沢山の好意を紙袋に詰める日となっている。
3926しかし周りの浮ついた雰囲気に呑まれる事無く通常運転の天馬司は、それでも上履きに履き替えるべく開いた靴箱から零れ落ちてきた小さな箱を慌ててキャッチする。予め用意しておいた紙袋を広げ、靴箱の中に詰め込まれた小箱を入れると教室へ向かう。変人いう不名誉な肩書きを与えられている司だが、それはそれとして女子に好意的な目を向けられることも少なくなかった。昔多量の箱に困惑していた時、他の男子が持参した紙袋に箱を詰めているのを見て以降は、バレンタインデーは必ず紙袋を持参するようにしている。貰える数以上に、貰った想いを落としてしまったりして無下にしたくないからだ。バレンタインならば周りにバレることなく好意を伝えることの出来る絶好の機会な為、こうして直接手渡されることは少なくとも沢山の好意を紙袋に詰める日となっている。
くらむ
DOODLE🌟🎈#chocobox_kolumnsvn ありがとうございました。
「できたよ司くん!司くんロボ型チョコさ!」
彫刻 突然メッセージで呼び出されたため、家を出る。
慣れた様子で類のガレージへ足を向け、扉を開いた。
「できたよ司くん!司くんロボ型チョコさ!」
開口一番飛び出た言葉と光景に、言葉を失った。
いつだったか、自分そっくりな姿をしたロボットを持ってきた時の姿と重なる。あの時とは違い、全身茶色だが。
そして、あの嫌な予感のする爛々とした瞳で期待気にこちらを見ている様子に一つの確信が生まれる。
こいつ、また寝ていないな?
「それは、どうやって食べるんだ…大きすぎるだろう」
「そんな…!せっかく作ったのに食べてしまうのかい…!?」
「チョコを食べない訳にはいかんだろう!?」
類は、よよよ…と声を漏らしながら司くんロボ型チョコに抱きつく。熱で少し溶けてしまったらしいチョコが、類の頬を茶色く染めていた。
850慣れた様子で類のガレージへ足を向け、扉を開いた。
「できたよ司くん!司くんロボ型チョコさ!」
開口一番飛び出た言葉と光景に、言葉を失った。
いつだったか、自分そっくりな姿をしたロボットを持ってきた時の姿と重なる。あの時とは違い、全身茶色だが。
そして、あの嫌な予感のする爛々とした瞳で期待気にこちらを見ている様子に一つの確信が生まれる。
こいつ、また寝ていないな?
「それは、どうやって食べるんだ…大きすぎるだろう」
「そんな…!せっかく作ったのに食べてしまうのかい…!?」
「チョコを食べない訳にはいかんだろう!?」
類は、よよよ…と声を漏らしながら司くんロボ型チョコに抱きつく。熱で少し溶けてしまったらしいチョコが、類の頬を茶色く染めていた。