Recent Search

    tsuyuirium

    @tsuyuirium

    ☆quiet follow Yell with Emoji 🍬 🍮 🍨 🍪
    POIPOI 29

    tsuyuirium

    DONE大学三年生になって長期休みにまなちゃんと二人で京都旅行にきた聡実くんのお話です。
    まなちゃんのキャラクター造形を大幅に脚色しております(留学していた・そこで出会った彼女がいる)ので、抵抗がある方は閲覧をお控えください。
    狂児さんは名前だけしか出てきませんが、聡実くんとはご飯を食べるだけ以上の関係ではある設定です。
    とつくにの密話「おーかーぴ、こっちむーいて」
     歌うように弾む声で、呼ばれた自分の名前に顔を上げれば、スマホを構えたまなちゃんと画面越しに目が合う。撮るよー、という掛け声のもと、本日何枚目かのツーショット写真の撮影がはじまる。ぎこちなさが前面に押し出されている僕とは対照的に、綺麗な笑顔をした彼女の姿を切り取ることに成功したらしい。ツーショットに満足したまなちゃんは、今度は建物の外観をおさめようとカメラを構えていた。シャッターを切り続ける彼女の横で、せっかくならばと僕も彼女の真似をして二、三枚の写真を撮ってみた。
    「そんな待たなくて入れそうでよかった〜おやつどき外して正解だった」
    「ほんまやね。ここ人気なんやろ?」
    「週末だと予約したほうが無難ぽい。あとアフタヌーンティーするなら予約はマスト」
    6237

    tsuyuirium

    DONEきょうじさんの脚に青痣を見つけたさとみくんが青痣を押す話です。ほんとにそれ以上でも以下でもないです。
    押してだめなら押し続けてみるのはどうでしょうか 狂児の左膝の内側に青痣を見つけた。脚の間に抱えられて、暇つぶしに見ていたはずのテレビでは想定外に暇がつぶせず、うとうとしかけていたところで見つけた。寝苦しい夏の間は部屋着としてハーフ丈のさらさら素材のパンツを着用しているため、膝から下が露わになる。無防備に放り出された脚。刺青や普段からの活動時間のこともあってか、隠されていることが多い狂児の脚はひょっとすると僕のものよりも生白い。立てていた膝をさりげなく伸ばして、狂児がやっているのと同じように真正面に放り出して並べてみる。比べやすいように横に沿わせてみれば、そうすれば若干、狂児のほうが白いのか? というほどの差だった。
     理解したところで特にカタルシスなどはない。きっと明日には忘れているであろう意味のない発見だ。ふくらはぎの側面、狂児の側に触れているほうがひんやりとしてこちらの熱を奪う。風呂上がりで冷房環境もお世辞にも十分ではないはずの中、自分よりも涼しげに見えるのはどうしてだろう。脚の間に挟まれて、開かれた狂児の胸に全面的に背中を預けている。通常よりも密着した姿勢でも、狂児から伝わってくるのは穏やかで一定の脈拍だけだった。
    1696

    tsuyuirium

    DONE一緒にお風呂に入って会話してる狂聡
    きょうじさんがセンチメンタルでリリカル気味です。
    ずばりな表現はなくてフレーバー程度だと思われますが、性的な接触を匂わせる意図はありますのでご注意ください。
    内側にあるという豊饒 ぴかぴか、ちかちか。きらきら、つやつや。
     開かれた冷蔵庫の扉から漏れ出す煌々とした光が、全ての電気が落とされた部屋に広がる。それは逆光となり仄暗い空間の中で、たちまちそこに立つ聡実くんのなだらかな背中の線を模るものになった。
     まるで宇宙空間で見る星の誕生のようであり、もしくはともすると、最期のときの超新星爆発のようでもあった。
     暗闇に馴染んでしまって光に慣れないままに細めた目が、内側からじんわりと熱をもつ。起き抜けでまだ少しぼんやりとする頭では、それが生理的な反応からくるものなのか、それとも目に見えたものが心に働きかけた結果のものなのかは判別がつかない。
     美しいかたちをしている。
     容姿や外見的特徴をたとえ好意的な意味であったとしても論うのは昨今ハラスメントにもなりかねないので気をつけなければいけないところではあるが。その状況を差し置いても、誉めそやされて然るべきだと思った。
    3759

    tsuyuirium

    PAST狂児さんの賭けとそんなことはつゆ知らずの聡実くん。
    映画の演出を踏まえた描写がございます。
    大穴ばかり外すギャンブラーに明日はない 今日は振り返るやろうか。慣れた帰り道を少し俯きながら歩く背中に変わったところはなさそうだ。ベッティングまでに残された時間はあと少し。何か見落としていることはないか。可能な限りの情報を集めるために、対象の観察をしばし続ける。
     屋内での部活だからか、日に焼けていない頸がヘッドライトに照らされると幽霊みたいに白いこと。助手席で寝てしまってシートに押し付けられた後ろ髪が癖になってたまにはねていることも、後ろから見送るようになって初めて知った。
     初めて送り届けた日。家を教えられないと健気にも突っぱねながらも可哀想に、車に乗っている時点で無理だと告げたあの日から始まったことだ。
     家を知られたくないなんて面と向かって言った相手にすらも礼を尽くせるこの子の心根が、心配になるほど清らかで美しいのを目の当たりにして、そこにつけ込んだと言う自覚は正直、あった。着いたらラインして。心配やもん。そう言うとあの時の聡実くんはぎょっとした表情で目を丸くしてこちらを見ていた。あの顔を思い出すと今でも愉快な気持ちになれる。
    2331

    tsuyuirium

    PAST聡実くんお誕生日おめでとう🎂
    わぬ友情出演の狂聡です。わぬが普通にお隣に住んでてコミュニケーションをとってます。
    わたぬきの日隣に住むわぬから、衣替えの手伝いを頼まれた。桜ももうすっかり見頃になるくらい暖かく、天気がいい今日が頃合いのようだ。
     僕よりもおしゃれに気を遣っていて衣装待ちなわぬの冬服を、指示を受けながら衣装箪笥へと収納していく。
    「だいぶ片付いたで。僕より服持っとるな」
     ふかふかの胸板を少し大仰に逸らして、自慢げな素振りを見せてもちっとも威厳がない。ちぐはぐさがおかしくて、つい小さな笑いが溢れる。
     わぬは僕たちとは同じ言葉は喋らなかったが、不思議と言いたいことや意思が伝わってくるもので、コミュニケーションの上で困ることはない。今も喋らずとも、身振り手振りや豊かな表情で僕に指示を出してくれる。
     冬の間によく見かけていた、綿の入ったふかふかの半纏。一度このタイミングで虫干しをするそうで、半纏を受け取るとわぬはとてとてと日が差し込む窓辺へ駆け寄っていく。ベランダで風にあてたいのだろう。わぬはちらとこちらを見て、引き戸の前で立ち止まる。やっぱりそうだったことを確認して腰を上げる。
    2311