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    Namako_Sitera

    @Namako_Sitera
    ヘキに忠実に生きたい。

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    Namako_Sitera

    DOODLEもしもフィナとヨルンが知り合いだったら名授ifの続き。えっ知り合いの状態で名授を!? の本編。ずっと分かってるフィナ、ずっと分かんないサザントス、全部知ってるので奇行をするヨルン。もしかして:最初から破滅が決まってる? そうかも……
    いつかの話。【2】 サザントスが原初の洞窟に追いついたころには、全てが終わっていた。物静かな祭壇からは炎は消え、選ばれし者の手にあったはずの採火燈はセラフィナの元にある。先行したはずの選ばれし者はセラフィナと対峙してはいるものの、彼女の計画を阻止することは叶わなかったようだ。
     聖女の皮を被った邪悪は出遅れたサザントスをみやると、まるで憐れなものをみるかのような目でさざ波の様に嘲笑う。どういった意味を含んだものなのかサザントスには分からなかった。しかし、問いかけを叫ぶ暇もなくセラフィナは黒呪炎に包まれて消える。
     サザントスは選ばれし者へ……ヨルンへ視線をやる、”何をしていたのか”と。”一体何があったのか”と。選ばれし者は普段通り気だるげに、今サザントスの姿に気が付いたかのように小さく首を傾げた。サザントスの問いの意味自体を理解していないように、わざとらしく。
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    Namako_Sitera

    DOODLEもしもフィナとヨルンが知り合いだったらという名授のif。えっ知り合いの状態で名授を!?みたいなセルフ地獄の幻覚。
    いつかの話。【1】 一年の何度か、師はエンバーグロウに赴き大聖堂に向かう。その間ヨルンは大聖堂の神官や聖火騎士に預けられ、広間で師匠を待ちながら神官さまの話を聞いたり見様見真似で祈ったりしたりと他の子どもたちと同じように過ごす遊びに勤しむ。そうして時間を潰していると師匠が迎えに来て、また盗餓人狩りの仕事へと戻っていく。
     ヨルンが遊んでいる間に師匠が教会から金を受け取り、仕事の情報を仕入れていたことを知ったのは師匠に拾われて年が二回りほどしたあるく日のことだった。
     具体的な仕事を教わり始めた頃のことだ。盗餓人狩りにも支援者がおり、その支援者は聖火教会であること。枢機卿団と呼ばれる教会の実務を担う者たちから仲介人を通し依頼を受け、仕事場に向かう。その報酬として金銭や物資を受け取り、また仕事を受ける。盗餓人狩りの罪を背負うのは、人々を導く聖火を守るためでもあるのだと師匠は語った。そして師匠が行う冥銭に扱う金銭は教会から受け取った金を使っているのだという。私たちは金のために盗餓人を狩るのではなく、盗餓人のためにそして人々のために金を稼ぐのだと。ヨルンの髪を撫でながらそう言っていたのを覚えている。
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    Namako_Sitera

    DOODLEお題箱より師匠とヨルンの話。師からクッキーを手渡された幼き日のヨルンの祝福に満ちたある日の記憶。
    そういう日も多分あったんじゃないかな……と。
    8才、或いは1年目のきみへ。「ヨルン、」

     ヨルンの中にある師の記憶の大抵は、己の名を呼ぶ声ではじまる。
     幼かったあの日々、師はヨルンを呼びつけると息を吸う様にヨルンの頭を撫でた。そのがさついた指先はくすぐったく、いつも温かい。名を呼ばれることも、頭を撫でられることも、常に不可視の恐怖に苛まれていた当時のヨルンにとっては安堵できる数少ないひと時だった。

    「なんでしょうか、お師さま」
    「お前に渡すものがある、おいで」
     
     手招かれるまま師の隣に座る。足のつかない酒場のカウンター席にうまく乗ると、師からするはずの酒の匂いが少しばかり薄いことに気が付いて首を傾げた。珍しい、呑んでいない。
     とはいっても今日は仕事に出たわけではなく、町で行われていた小さな祭りを見て回った日だったのでそういう気分ではなかったのだろうとヨルンは思った。その祭りはその近辺で引き起こされた戦の戦死者を弔う鎮魂祭だったのだが、当時幼くあまり周囲に興味を持たなかったヨルンには理解できないことだったろう。
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    DOODLEヨルン×ウ・ルダイ。ウ・ルダイのトラスト匂わせアリ。身長差に関する捏造もあり(ヨルンがちょい小柄、ウ・ルダイが長身設定)
    付き合ってるのか付き合ってないのか微妙なラインだけど少なくともウ・ルダイはもうめちゃくちゃ好きみたいな感じになってるヘキの詰め合わせみたいな小話。問題は略称に困ること。ヨルウ・ル?ヨルダイ?
    ウ・ルダイさんの特別な虫除け。「(うーん 杞憂だとは思うんだけど……ねぇ? どうしよっか、ウ・ルダイさん?)」

     あくる日のサンシェイド。照り付ける日差しも中々の陽気な街並みを歩きながら、行商人ウ・ルダイはとあるちょっとした懸念にため息をついた。
     今回の用事は討伐依頼、砂漠で徒党を組んだ盗賊団を蹴散らす仕事だ。とはいっても砂漠の盗賊は曲者だらけ、居所を特定しないと話にならない。なのでもちろん情報収集からになるのだが、ウ・ルダイのちょっとした懸念はそこにあった。
     サンシェイドの大通り、一歩前を歩いてそれとなく歩きやすいようにしてくれているヨルンの横顔を見る。印象的な目つきに銀の髪、武骨な雰囲気だけどよく見たら小柄で実はウ・ルダイよりも背が低い。いや身長に関してはウ・ルダイが勝手にでかいだけなので仕方がないのかもしれないが。顔がいいというわけではないが目を惹く容姿をしているのは違いない、このウ・ルダイが目を離せないのだから絶対そうなのだ。しかもそれに対して本人はまったく無頓着なのが猶更悩ましい。
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    Namako_Sitera

    DOODLEステッドとアラウネの話。女帝裁判の話。
    命火拝領 〈4〉 灯火の守り手と選ばれし者がホルンブルグへの遠征に向かったその一方、現世に残った朱の黎明団は副団長クレスの指揮のもとオルステラ各地で起こるボヤ騒ぎの処理に追われていた。
     西方の女帝タトゥロックの処刑が未知の敵によって中断され、その未知の敵……つまり亡者がクラグスピア及びエドラスを襲ったということそのものが衝撃的な事件であった。タトゥロックの処刑も結果的にうやむやになり民の感情も制御どころではなく、亡者への恐怖はさらにそれを加速させるものである。情勢は揺れ、そしてその揺れを格好の機会と捉えるものたちも多いのがこのオルステラの現実だ。
     サザントスと呼ばれる神に反旗を翻した男の脅威に対抗すべく灯火の守り手は協定を組んだが、その手はあまりにも少なく小さい。国単位でしか動くことが出来ない灯火の守り手たちを補佐すべく、朱の黎明団は彼らの手では取りこぼすこのボヤ騒ぎに対処することに決めた。以前からアライアンスを分け各地に展開していたからこそ出来ることだったのだろう、その手際の良さは最近加入したばかりのステッドの目に鮮烈に映ることになった。
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    Namako_Sitera

    DOODLEやっぱ辺獄ホルンブルグの聖火の試練書きたいよなぁ!!!!!! となって書き始めた地獄の辺獄巡礼の話。全授編で正式加入することになったステッドと、辺獄と呪王戦でわりと深刻なダメージを受けっぱなしなヨルンの話。
    命火拝領 〈1〉 ドニエスクに自警団ができるという。曰く、かの戦の生き残りである兵士が中心となって動き出した話だとか。そんな話を聞きつけステッドは渦中の人物に会うことにした。
     ドニエスク崩壊後塞ぎ込んだままの人物は多い、どうして彼が自ら立ち上がることができたのか? ステッドは己の疑問の思うがまま彼に訊ねた、一体何があったのかと。
     答えは単純だった。

    「機会を貰った……か」

     盗餓人を生み出してしまった過ちと偶然居合わせた旅の剣士との出会いを経て、彼はようやっとするべきことを見つけたのだという。
     夜闇への恐怖を飲み干し覚悟を決めた兵の表情は、ステッドにとって印象的なものであった。
     しかしドニエスク周辺の底にまで干上がった戦火の傷は根深く、周辺を見やれば知った顔が道端に転がっている。当然、その中にはステッドの友人たちもいた。祈りを捧げながら戦地の跡を歩く、一歩進むたびに恐怖と諦観が背を凪いでいく。だがその暗闇の中に、ステッドは何かきらりと光るものを見つけた。
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