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    shidu_k13

    @shidu_k13

    雑食なのでいろいろ
    黒🏀練習中

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    shidu_k13

    DOODLE
    がーでんぷれいすで待ち合わせ、あかくろ 午後七時まで、あと二分。
     黒子は、とてもとても急いでいた。

     仕事終わりの赤司と外で待ち合わせることも月に数回の頻度であることだけれど、今日はいつもより少し、特別だ。
     丁寧にアイロンをかけた白いシャツに、赤司に勧められて買ったは良いものの今まで着る機会のなかったジャケットと、シンプルなグレーのパンツを合わせる。普段は動きやすさ重視のカジュアルな服が多い黒子にしてはかなり綺麗めにまとめた服装だ。果たして本当にこれで良いのか、不安が募りすぎて仕方ないけれど、事前に相談した黄瀬にお墨付きを貰っているので大丈夫だと信じるしかない。
     それから、赤司の部屋にあるヘアアイロンを拝借してコンセントを差し込む。温まったプレートに毛先を挟んで整えた。これも使い慣れていないので、余計なことはしない。ただ跳ねた髪をまっすぐに伸ばして、良い感じにまとまってくれれば十分だ。鏡の中の自分は相も変わらず面白みのない無表情を貫いていたけれど、それなりに身なりを整えたからみすぼらしい姿ではないとは思う。たぶん。自分がどう思われようがどうでも良いが、自分のせいで隣を歩く彼まで何かを言われてしまうことは避けたかった。
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    shidu_k13

    DOODLE
    猫舌あかしくんの赤黒どうしてか、忘れられない日がある。
    あの日は、珍しく赤司くんと二人で帰っていた。何故かはあまり覚えていない。たぶん、他の皆んなは何かしら用事があるとかで、部活後は早めに切り上げて帰って行ったのかもしれない。
    もう夜に近い校舎の外は真っ暗で、風が少し冷たかったことは記憶にある。だいぶ秋も深まって、少しずつ冬への支度を始めているような、そんな気候だった。激しい運動で火照っていた身体が、じんわりと冷えていく。汗を掻いていた指先は、夕刻の気温であっという間に冷たくなってしまった。
    「やっぱり、朝と夜はだいぶ冷えてきましたね」
    「風邪引くなよ」
    「気をつけます」
    赤司くんと二人きりは珍しくて、何を話して良いのかもよくわからず、けれどなんとなく、話は途切れることなく続いていた気がする。バスケの話がほとんどだったと思うけれど、好きな本の話や、勉強の話、今朝見たニュースの話なんかもした。赤司くんは、とっつきにくそうに見えて意外と話しやすかった。姿勢良く歩く姿はぴんと背筋が伸びていて、話す様子は時事ニュースを読み上げるアナウンサーみたいに澱みなく、声も凛と澄んでいてきれいだった。とても同い年には思えない。かっこよくて、憧れで、ボクを導いてくれた、神さまみたいな人だ。
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