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    スピンオフ

    tsushino_toman

    DONEお友達のれい子ちゃん( https://twitter.com/re_1106_tr )にねだりにねだって書いて貰ったばじふゆです♡

    好きにしていいよ~とのことだったので、ばじふゆ本に入れさせて貰おうと思っていたのですが、公式スピンオフのタイトルを見て、これはこのタイミングで出さねばならぬ……!!!と、謎の使命感を抱いてしまったので、れい子ちゃんの許可を得てアップしました☆
    卍(ばじふゆ)場地が手紙を書いているのをこうして後ろ向きに椅子に座って見守るのは二度目だった。
    手紙など書いたこともない千冬だったが、場地が手紙を書き慣れていないことはすぐにわかった。
    手紙どころか、文字を書くことにすら慣れていないのではないかと思うくらい、その筆跡は辿々しい。
    それでも自分の中にある言葉を必死にかき集めて、原稿用紙の向こうの相手になにかを伝えようとする姿は真剣だった。
    「千冬さあ」
    ぴったりの言葉が見つからないのか、さっきから埋まらないマスをいったん諦めてボールペンを机に転がして、場地は指を組んで腕を頭の上に伸ばした。
    「字うまいよな」
    「えっ!?そう、っすかね」
    「この前書いてくれただろ。虎の字」
    言われて思い出したけれど、そういえばあまりにひどい誤字だったから思わず指摘してしまって、正しいものを書いてみせたのだった。
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    サクライロ

    SPUR ME「好きと言ったら死ぬ病」竜神に救いを求めたメリバ√、終わらなかった…!途中ですが一度投稿します。1月中には書き上げたい!今年最後がこんな鬱いのですみません

    全編通して別れの匂いしかしない。これここまでの歴史があるからこそ哀しいんだと思うんです(号泣)そう思うとやっぱり、このまま終わらせるわけにはいかないなって思うんですよね。

    ※死ネタ有
    ※BAアフタースピンオフ構想とは少し違う世界線
    好きと言ったら死ぬ病...merrybad√【前編】 天女のようなそのひとは、ぼんやりと、白い椅子に腰掛けて遠くを見ていた。



     高い雲の、遥か上。常春の、抜けるような空がどこまでも青く続く。遮るものがない陽射しはなだらかで、けれど肌に刺さる寒さが、ここが地上ではないことを知らしめる。
     ここまで登ってくる間、雲海の下は雪だっただろうか。
     殺風景な、白い石造りの城壁。神殿を思わせる静謐で荘厳な空間。その奥まった一室の片隅に、彼女は空ばかり眺めて坐る。
     面識のない人間が彼女を見れば、本物の女神だと思ったかもしれない。
     女性の面差し、姿は数年前とほとんど変わらなかった。白磁の肌に埋め込まれた宝石のような翡翠色の瞳、長い睫毛は髪と同じ空の色をしている。純白の滑らかなローブドレスの膝に細い手を重ねて、左手の薬指には蒼石を埋め込んだ白銀の指輪が光っている。桜貝の唇は薄く開かれているが、およそ生気も呼気も感じられない。初めて見た時と同じ華奢な体つきで、伸ばしっぱなしなのだろう、髪だけがあの頃よりずっと長い。
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