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    プロローグ

    kumo72783924

    PROGRESS前回の続き。少し手直し。流心ドイツ編のプロローグ的な位置づけ。ちなみに楓吾はじいちゃんがドイツ人、ばあちゃんが日本人のクォーターという設定です。
    流心〜ドイツ編〜楓吾1
     川岸に立つ電波塔のライトは、午後六時を示している。塔の側面に灯る明かりが十進法時計になっていて、辺りが暗くなると、小さな光の明滅でさりげなく時刻を教えてくれるのだ。雄大な川の流れを眺めていると時間が経つのを忘れてしまいそうになるけど、ここは基本的に東京よりも気温が低いので、十一月ともなれば上着が無いとかなり寒い。隣に座る魁は、僕のアドバイス通りに持ち込んだダウンジャケットを羽織っている。長旅で疲れていないかと尋ねたら、ずっと座りっぱなしだったからむしろ少し歩きたいと言うので二人で散歩に出ることにした。久しぶりに会う恋人は、少し痩せたようにも見える。だけどそれはやつれたというわけではなく、引き締まったと言った方が良いだろう。僕がドイツに来て以来、いくらメッセージやビデオ通話でコミュニケーションを取ってきたとしても、こうやって直接会って触れられる喜びは何にも替えられない。空港で挨拶代わりのハグをしただけではどうしても我慢出来なくて、駐車場で車に乗り込んですぐ、一度だけキスをした。
    1959

    hirokii_04

    MAIKING暴 🧲×狐🔮のプロローグの冒頭の冒頭
    完成がいつになるかわからないので供養…
    ただこの身が朽ちて消えるその日を待っていた。



    ***

    身に余る大儀を任されて幾百年。

    人々の願いにより神として祭り上げられたその存在は、今はもう薄れていくばかりであった。

    神と成ったばかりの頃は真白であったはずの装束は、力の衰えとともに黒く染まっていき、以前は人里まで降りる事も出来ていた身は今では社のある森の中でしか行動することが出来ない程に弱まっていた。

    消えかけの落ちぶれた神。それが今の己がおかれた立場だ。

    元々は神ですらなければ、その使いでもない。神格など備わっていないただの野狐だった身だ。役目を果たし、人々から必要とされなくなれば消えゆくのは当然のことだろう。 

    その自分の末路に、不満はなかった。

    そもそもの身分を考えれば、神として在ることが出来たこと自体が既に奇跡なのだ。

    そしてそのまま神として往くことが出来るのなら、これ以上の名誉はないだろう。



    「私の最期は君が見届けてくれないか」

    身の内にある力が衰えはじめ、いずれ自分が消える定めにあるとわかった時、古くからの友である鬼にそう言うと、彼はその美しいかんばせを歪ませてしばらく姿を見せてはくれ 1847

    udukihp

    PROGRESS鍾蛍 ぼんじんいちねんめの鍾離先生に蛍ちゃんが恋を教える話 プロローグ「すまない、蛍」
     そっと、吐き出された言葉が、耳朶を打つ。その瞬間、更に続けて口にしようとしていた言葉や感情、あれそれが、喉の奥に詰まってしまうような心地がした。
     言わなければ良かった、と思う。言わなければ関係性を崩すことはなかった。言わなければ、謝らせることなんて、なかった。自分の感情と言葉が、大切な人を曇らせるものになるだなんて、思い知らされることだって、無かっただろう。
     何か言わなければ。冗談だとか、そういう風に言えば良い。それだけでこの場の雰囲気は払拭される。あわよくば、何も言わなかった時のように戻れるかもしれない。そう思う。――思うのに、言葉が出てこない。喉の奥がぎゅうっと縮こまって、言葉が形にならない。
     蛍はじっと鍾離を見つめる。金色の、琥珀のような瞳が、微かに伏せられているのが見えた。長い睫毛も、すっと通った鼻筋も、何もかも綺麗だな、と思う。月の光を凝縮して形にしたなら、こうなっただろうか。体を彩る全ての線が銀を帯びているように、見える。
     鍾離を眩しく思い始めたのは、いつのことだろうか。あまりきちんと覚えて居ない。ただ、綺麗な人だと思った。見た目もさながら、その 2302

    水玉@nonbinobi

    DONESHAMBARA TALE

    プロローグ書きました。
    『かの地をゆく諚』

     シャン、シャンと豪奢なその籠には赤、黄色、緑、白、黒の五色の布で飾られ大ぶりなものから小ぶりなものまで沢山の鈴がついていた。
     その籠を六人の男達が支えて運び、うやうやしく行列を作って運んでいたがみな男達は修行僧のような貫頭衣でその籠をみた人々は籠に向かって祈るようにお辞儀をして行列を見送った。
     俺は、その籠の中身がなんなのか知っていて行列に加わり道具を運ぶ役目を担っている。
     あの籠の中には、少女が入っていた。齢14の女の子で、神の子と崇められ、今から神の住まう土地に行きそこで生涯神の元で御役目を果たすのだ。
     この土地ではなんら不思議ではない昔からの風習がまだ根強いしきたりを俺は恨んでいた。
     どうして彼女が、これは人身御供ではないのか。この地に生まれなければ、ここで人間でなければ、どんなによかった事だろう。
     男は彼女が好きだった、彼女も同じように好いていてくれたが、村の決まりで神の子と決まってからこのしきたりのため決意を固めてしまった。
     「ごめんなさい、さようなら」
     泣きながら最後に交わした彼女の口づけが震えていた事を男は知っている。
     なにが神だ 1909

    黒姫です

    DONEちいさいケイ様といっしょ【一日目】
    初めて会った日の出来事。プロローグ的なものなので短い。
    ピンポーン────

    家のチャイムに、動いていた右手が止まる。すると作業に没頭していた脳と身体が急激に疲労を訴えてくる。時計を見ると、作業開始から数時間は経っていた。
    脂肪にまみれた首と肩を回し、凝りをほぐす。
    そうしているうちに二回目のチャイムが鳴り、慌てて腰を上げる。
    「はい」
    『〇〇急便でーす!お届け物です』
    「あ、はい。今行きます」
    はて、何か頼んだだろうかと首を傾げながら玄関に向かう。着払いではないと良いのだが。
    ドアを開けると、筋肉質な30代ほどの男性が、その体格に合わない小さな小包を片手に立っていた。
    「宛名にお間違えないでしょうか?」
    「…はい。あってます」
    「では、ここにサインお願いします」
    ボールペンで名前を書き、返すのと一緒に小包を渡される。
    「ありがとうございます。では失礼します!」
    「あ、お疲れ様です」
    小走りで去っていく足音を聞きながら、ドアを閉める。


    「差出人は……不明…?でも宛先は僕なんだよな…」
    あまりにも怪しい。
    箱を軽く揺らしてみる。ぽふぽふという音がする。異臭がするわけでもない。中身が全く検討もつかない。このまま廃棄した方がいいだろうか。

    3570

    kosho_karasi

    TRAINING転生猗窩煉のプロローグ。
    校正してないです。
    「家賃含む光熱費と食費は俺が賄うので、平日の家事全般は君が担当だ。休日は仕事に余裕があるから、俺も多少は手伝おう。ああ、性交渉についてだが……多くても週に二回で頼む。教員というのは基本的に朝が早いから毎晩は付き合えないんだ、可能ならしない方が有難いが、俺の条件を呑んでくれる限りはこちらも応える必要がある。甘んじて受け入れてやる」

     つらつらと、凛とした表情のままおくびもせず言葉を並べる男。金色の髪をハーフアップに束ね、少ない瞬きのまま俺に視線を向けている。
    男の名は、煉獄杏寿郎。俺――素山猗窩座の高校時代の恩師であり、「恋人」である男だ。

    「……なんだその顔は。家事の大半を任された事が不満なのか? その代わり金銭面はすべて俺が責任を負うと言っているだろう。君はまだ大学生なのだし、」
    「いやいや杏寿郎。俺が言いたいのはそういうことじゃない」
    「? じゃあなんだ、その鳩が豆鉄砲を食ったような顔は」
    「――あまりに色気がなさすぎると言っているんだよ杏寿郎!」

     マンションの一室に、俺の悲痛な叫び声がこだました。
     ここは杏寿郎が所有するマンションの一室。正しくは、煉獄家が代々持つ土地の 6585