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    プロローグ

    umemhyk

    PROGRESSブラッドリー×名無しモブの夢小説的な何か。「もしもあなたが、違うかたちでブラッドリーに出逢ったら?」をテーマにしたお話を鋭意執筆中です!
    一作目は、西の国の銀細工屋でアクセサリー作りの修行に励むモブ視点のお話です。

    イベントに間に合わなくて申し訳ないです…😭せっかくなのでプロローグだけ公開させていただきます🙇‍♀️💦💦あと何日かかるか分かりませんがいつか必ず完成させます!
    名も無き花はひだまりに揺れて 一輪目・名も無き銀細工師カランカラン。

    その魔法使いは前触れもなくやって来た。
    まるで私の旅立ちを見計らったかのように。

    漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。

    「ようじじい」

    「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」

    「あ、お前あん時のちっちゃいのか」

    「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」

    「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」

    お師匠が何やら親しげに話しているのは、数十年ぶりにうちの店に来た“常連”だ。

    西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。
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    bossa_trfy

    PROGRESS2月発行予定の全年齢とらふゆ本『この夜が明けたら』より、プロローグのみ。
    千冬が死ぬ日の朝、夜明けの海に行く二人です。
    今夜きり 肌寒さに、ふと目が覚めた。
     ぼんやりした視界いっぱいに艶のある黒が映る。静かな空間には、放置されたパソコンのシーク音だけがジリジリと遠慮がちに響いていた。フロアライトの心許ないオレンジに照らされた部屋は薄暗く、それは暗に、俺が今日も千冬の帰りを待っているうちに寝落ちてしまったことを物語っていた。
     いったいどれくらい眠ってしまっていたのだろう。
     お世辞にも寝心地がいいとは言えないソファからのっそり身を起こす。ひじ掛けに手をついて体重を支えると、ギシギシと革の生地が擦れる音がした。重厚で肌ざわりのいい絨毯も、裸足で踏めば当然冷たい。十一月も半ば。季節は秋なんてさっさと追い越して、もうすっかり冬の空気になってしまっていた。その証拠に、寝ている間、なんとか寒さに耐えようと無意識に丸めていた背中には、ジンジンと鈍い痛みが纏わりついたままだ。せめて上に何か羽織っておけばよかった、なんてどうしようもない後悔をしていると、追い討ちをかけるように冷たい夜風が吹いて、さあっと肌を撫でつけていった。
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    mame

    DONE出ロデ
    未来捏造、再会のプロローグ
     378000㎢
     この数字は日本の国土面積、らしい。
     だから、まあ、はっきり言って。会えるなんて、微塵も思っていなかったのだ。
     ロディは頭上にパチパチと光る緑の残像を呆然と目で追いながら、フライトの担当が決まってから叩き込んだ情報を頭の中で反芻する。肩に乗っている己の魂が、ピィと僅かに鳴いて震えているのを感じて、しかしどうするわけでもなく。網膜と脳に焼き付けるように高層ビルの合間を走っていった眩い閃光を見つめた。
    「ピノ、見たか」
    「ピピッ」
    「笑ってたなあ、デク」
     目の奥がじわりと熱い。視界が滲みそうになって、ロディは消えゆく閃光の更に向こうにある青空を見る。口角はあがったが、唇は戦慄いていた。
     オセオンにまた来ると言った出久に、二度と来るなとロディが言ったあの日以降、ふたりの間でなにもやりとりはなかった。一方的にオセオンに届くワールドニュースの欠片をひとつひとつ拾い集めて、ロディは出久が生きていることを祈るような気持ちで確かめていた。文字や映像、媒体越しに見ては安堵して、また無茶してるんだななんて呆れて、勝手に勇気づけられて。しまいには一度諦めた夢だったパイロットになって、この度日本便の副操縦士にまでなってしまって。
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    samuiwaks

    PROGRESS【司類】アンラッキーな俺の話 その1

    プロローグから第一章が完成しました。(以前中途半端なとこだけあげていたものです。その節はすみませんでした…)
    不穏な長編の導入です。
    テーマは不運。
    【司類】アンラッキーな俺の話 その1Prologue 繰り返しているよ





     これが夢であることを神代類は知っている。それでもこの夢は、幻とはとても思えない密度と温度で類に襲い掛かってくる。類は瞬きをしながら、叫びたくとも喉が引きつりただの一つも言葉を紡げない口をはくはくと金魚のように動かして、目の前の景色を青ざめた顔で呆然と眺めていた。思考は既に止まっている。しかし地面についた膝は鮮やかな赤色の液体を吸い、わなわなと震える手には生塗感触が這いずる。類の鼻腔をうずめるのは死の香りだ。遠くのほうで名も知らぬ誰かの悲鳴がぼんやりと聞こえるが、鼓膜には膜が張られたようにうまく音を拾わず、ノイズが混じって言葉になってくれない。
    「……」
    ざわざわとうるさい脳内は徐々に狂気に侵食されていく。夢だということは理解していながら、類は自分の目の前で血だまりに沈む彼の、くすんだ物言わぬ瞳から目を逸らせなかった。きらめく金髪が見る影もなく血に浸されているその人に、類は恐る恐る手を伸ばす。破壊された思考回路はこの場に適した言葉をたたき出してはくれない。しかし、どうせ言葉が浮かんだところで類の心が何を叫ぼうと、もはや息をしない彼には届かないことを、類は知っている。
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    potetittu

    TRAINING少しずつ描き始めているINFINITISM軸の「ジャマル漂流記(仮)」の一部です。設定がほぼ凄ノ王ですが色々混ぜ込んだ上にオリジナルの捏造を足しているのでもうなにがなんだかな状態です。起承転結の全体の内の転のプロローグ的なシーンなのですが、先に形にしておきました。後から組み込むときに描写を変更するかもしれないですし、初稿的な意味で出しました。
    少年と実のなる樹 少年には空気が必要なかった。
     彼は宇宙を漂流していた。何年、何十年、もっと永い永い間。ある目的があった。それをするために星を巡ってはまた旅をくり返していた。
     少年が空気を必要としないわけは、超能力があったからだ。超能力とは道具を使わずとも物を動かしたり、テレパシーが使えたり、テレポートができたりと多種多様だが、この少年の超能力は異常に飛び抜けていた。無から有を生み出すことができるのは、相当の精神エネルギーも体力も消費するのだが、彼はそのキャパシティが人の比ではなかった。
     あれだ――。
    行き着いた先は小さな惑星だった。重力圏内に入り、降下に身を任せながら超能力で衝撃を抑え着地する。まるで散歩にきたように身軽に降り立った様子に原住民たちは目を丸くした。
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