プロローグ
702_ay
PROGRESS<2/3 帳の中の誕生日会>3/21 俺達最強2(春コミ)発行予定の転生パロ(記憶あり×記憶なし)本(R18)のプロローグです。
校正前のため発行時には大幅な加筆修正が入ることになると思います。
――五条君、知ってるかい? 自分の物語を楽しめるのは自分だけなんだよ
そう言って笑っていた男は、今、自分のそばにいない。
「……」
唐突に目が覚めた。睡眠と覚醒の中間というものは存在せず、目を開けた瞬間から様々な情報が一斉に頭の中に流れ込んでくる。布団の柔らかさに、今日の天気や気温。窓の向こう側からの騒音。最後は部屋の匂い。あと味覚もあれば、五感のすべてを使用した情報になったのだろうが、残念ながら起き抜けに味覚を感じることは難しいだろう。それでも、味覚以外のすべてを一瞬にして判断することができるくらい、はっきりとした目覚めだった。
目の前の白い天井が、息遣いに合わせてゆっくりと揺れる。ようやくじっとりと寝汗をかいていることを自覚した。部屋の中の空気はぴくりとも動かず、どことなく重いせいだろうか。だが。
11893そう言って笑っていた男は、今、自分のそばにいない。
「……」
唐突に目が覚めた。睡眠と覚醒の中間というものは存在せず、目を開けた瞬間から様々な情報が一斉に頭の中に流れ込んでくる。布団の柔らかさに、今日の天気や気温。窓の向こう側からの騒音。最後は部屋の匂い。あと味覚もあれば、五感のすべてを使用した情報になったのだろうが、残念ながら起き抜けに味覚を感じることは難しいだろう。それでも、味覚以外のすべてを一瞬にして判断することができるくらい、はっきりとした目覚めだった。
目の前の白い天井が、息遣いに合わせてゆっくりと揺れる。ようやくじっとりと寝汗をかいていることを自覚した。部屋の中の空気はぴくりとも動かず、どことなく重いせいだろうか。だが。
arito
DONE北師弟短編集▼子オズを年長者組で育てる話
「愛を紡ぐ」
28P / 北師弟4人 / ※CP無し / プロローグ的な..
※流血・暴力表現、捏造注意
※匙vol.80の北師弟対談のフィガロの口調をふんわり参考にしています
なんでもOKの方推薦 28
34bleu
MOURNING令嬢石田くんプロローグ「結婚が決まったんだ」
春のはじまりの風が、大きな白い格子の窓から吹き込んでいた。その窓を背に、お気に入りの本をぱたりと閉じたこの部屋の主は、まるで世間話をするかのように告げた。
「……え?」
窓の外の若葉がさわさわと揺れる。午前の太陽の光が、優しい木漏れ日となって部屋の中を満たした。
なのに、突然極夜が訪れたように目の前が暗くなるのを感じて、黒崎一護は一歩も動けなくなった。
「五月にはこの家を出ることになると思う」
淡々と話す姿には結婚の歓びも、悲哀も感じられない。街に出かけるだけのような雰囲気だった。
「……相手は、誰ですか?」
喉がはりついて、声が掠れる。周りに誰もいない時は敬語ではなくて良いという約束だった。十年間そういう風にやってきて初めて、一護は誰もいないのに丁寧に尋ねた。
1041春のはじまりの風が、大きな白い格子の窓から吹き込んでいた。その窓を背に、お気に入りの本をぱたりと閉じたこの部屋の主は、まるで世間話をするかのように告げた。
「……え?」
窓の外の若葉がさわさわと揺れる。午前の太陽の光が、優しい木漏れ日となって部屋の中を満たした。
なのに、突然極夜が訪れたように目の前が暗くなるのを感じて、黒崎一護は一歩も動けなくなった。
「五月にはこの家を出ることになると思う」
淡々と話す姿には結婚の歓びも、悲哀も感じられない。街に出かけるだけのような雰囲気だった。
「……相手は、誰ですか?」
喉がはりついて、声が掠れる。周りに誰もいない時は敬語ではなくて良いという約束だった。十年間そういう風にやってきて初めて、一護は誰もいないのに丁寧に尋ねた。
わたがし大動脈ラメラメ
DONEガミイル転生ネタシリーズ「終の棲家で二人きり」
の再編プロローグ
それは春のことだった 日差しが柔らかな昼下がり、イルセはベランダに立ち、吹き抜ける風に身をゆだねて外を眺めていた。
この町に来るのはこれで二度目だ。一度目は内見で、今回は引っ越し。これからはここが帰る場所なのだと思うと、少し不思議な気分だった。今まで生まれ育った町を出て暮らしたことがなかったし、そんな機会はないと思っていた。それで良いと思っていたのに、新天地へとやってきて新たな生活が始まろうとしている。
「なんだか、夢みたい」
「……うっとりしてる所悪いけどな、あんまぼんやりしてると風邪引くぜ」
そう言って来るのはイルセの婚約者のガミジンだった。彼は彼女の肩に自分の上着を掛け、隣に立つ。
「風が気持ちよかったから、つい」
「日も出てて温いが、それでもまだ春だ。すぐ寒くなる。また病院に行くのは嫌だろ」
1046この町に来るのはこれで二度目だ。一度目は内見で、今回は引っ越し。これからはここが帰る場所なのだと思うと、少し不思議な気分だった。今まで生まれ育った町を出て暮らしたことがなかったし、そんな機会はないと思っていた。それで良いと思っていたのに、新天地へとやってきて新たな生活が始まろうとしている。
「なんだか、夢みたい」
「……うっとりしてる所悪いけどな、あんまぼんやりしてると風邪引くぜ」
そう言って来るのはイルセの婚約者のガミジンだった。彼は彼女の肩に自分の上着を掛け、隣に立つ。
「風が気持ちよかったから、つい」
「日も出てて温いが、それでもまだ春だ。すぐ寒くなる。また病院に行くのは嫌だろ」
siosioaaa
DOODLEここから短編まとめにするかもしれない最終的にシリアスな🐹🔧のプロローグ
夢の続きが見たいのはまっさらな空間に、ただひとつだけ絵本が置かれている。
「それは、アンタ達の行く末を書き連ねた絶対的なシナリオよ。」
軽薄そうな女の声がどこからか問いかけた。まるで監視でもしているかのようにその声は男を嘲笑う。
「シナリオ、ってなんだよ」
「私様には先輩達の行動全てがお見通しなの。予想した通りに事は運んでいく…絶望的でしょう?」
威嚇するような声色の彼の質問は楽しげな少女の笑い声に遮られる。自分を認識していながら噛み合わせようとしない会話に苛立って男は舌打ちした。
「ねぇ、左右田センパイ。このままだとアンタ達みんなこの島に…プログラムに残り続けることになるけど本当にそれでいいわけ?今なら私様のご好意で全員生き返らせることもできるんだ、け、ど?」
2681「それは、アンタ達の行く末を書き連ねた絶対的なシナリオよ。」
軽薄そうな女の声がどこからか問いかけた。まるで監視でもしているかのようにその声は男を嘲笑う。
「シナリオ、ってなんだよ」
「私様には先輩達の行動全てがお見通しなの。予想した通りに事は運んでいく…絶望的でしょう?」
威嚇するような声色の彼の質問は楽しげな少女の笑い声に遮られる。自分を認識していながら噛み合わせようとしない会話に苛立って男は舌打ちした。
「ねぇ、左右田センパイ。このままだとアンタ達みんなこの島に…プログラムに残り続けることになるけど本当にそれでいいわけ?今なら私様のご好意で全員生き返らせることもできるんだ、け、ど?」
misaka_akari
DOODLE鍾タルプロローグ
神様の忘れた契約の話・1「指切りって知ってる?」
何の話の流れだったか、それとも、ふと何かを思い出したのか、そう訊ねてきたタルタリヤに何と返したかはよく覚えていないが、彼は童謡のようなリズムに乗せて「指切りの歌」なるものを歌ってみせた。
「旅人がどこかで仕入れてきた歌なんだよ」
稲妻だったかなと言いつつ、食材を箸で綺麗に掴んで口元に運ぶ。それはみずみずしい緑の野菜だった気がするし、よく煮込まれた鶏肉だった気もする。何しろ重要なのは彼の口に放り込まれて、ゆるゆると身体に溶け込んでいく食べ物ではなくて、彼がそれを箸で上手に食べてみたことにある。
「随分上手くなったものだな」
箸を手にした当初は子供よりも下手だったものだから、負けず嫌いのきらいのあるタルタリヤはそれはもう真剣に練習に取り組んでいた。その努力が実を結んだ姿を眺めているのは、他人事であるのにどこか誇らしく感じる。
1110何の話の流れだったか、それとも、ふと何かを思い出したのか、そう訊ねてきたタルタリヤに何と返したかはよく覚えていないが、彼は童謡のようなリズムに乗せて「指切りの歌」なるものを歌ってみせた。
「旅人がどこかで仕入れてきた歌なんだよ」
稲妻だったかなと言いつつ、食材を箸で綺麗に掴んで口元に運ぶ。それはみずみずしい緑の野菜だった気がするし、よく煮込まれた鶏肉だった気もする。何しろ重要なのは彼の口に放り込まれて、ゆるゆると身体に溶け込んでいく食べ物ではなくて、彼がそれを箸で上手に食べてみたことにある。
「随分上手くなったものだな」
箸を手にした当初は子供よりも下手だったものだから、負けず嫌いのきらいのあるタルタリヤはそれはもう真剣に練習に取り組んでいた。その努力が実を結んだ姿を眺めているのは、他人事であるのにどこか誇らしく感じる。
shian1224
Deep Desire神と悪魔の話。プロローグ。神と悪魔「これで大丈夫でしょうか…」
自信なさげであったが、理想は完成した。
少女はくるりと振り返る。その長い髪は、持ち主の少女を包み込んでさらりと溶けた。
「大丈夫ですよ。何も心配することはありません。貴方なのですから。」
跪いて、もうひとりの少女は答えた。
「もう、そんなにかしこまらないでください。なんだか恥ずかしいです。」
黒いローブの少女がそう言うと、跪いた少女は顔を伏せてぎゅっと表情を強張らせた。顔は赤く、口からうぅ…と高い声が漏れた。
「…それではアリス、頼みましたよ。……私はここで戦いますから」
「はい。」
アリス、と呼ばれた少女は立ち上がった。
そして、一礼して部屋を後にした。
残された黒いローブの少女は、魔法陣に指を添えた。
435自信なさげであったが、理想は完成した。
少女はくるりと振り返る。その長い髪は、持ち主の少女を包み込んでさらりと溶けた。
「大丈夫ですよ。何も心配することはありません。貴方なのですから。」
跪いて、もうひとりの少女は答えた。
「もう、そんなにかしこまらないでください。なんだか恥ずかしいです。」
黒いローブの少女がそう言うと、跪いた少女は顔を伏せてぎゅっと表情を強張らせた。顔は赤く、口からうぅ…と高い声が漏れた。
「…それではアリス、頼みましたよ。……私はここで戦いますから」
「はい。」
アリス、と呼ばれた少女は立ち上がった。
そして、一礼して部屋を後にした。
残された黒いローブの少女は、魔法陣に指を添えた。
6aAp5
DONEGEGO DIGさんで展示の転生夏五6歳×18歳漫画です。プロローグは駄文。傑くんは3度目の生を生きています。
「夏五転生物語」
ギャグ漫画です。単発ネタで細々と続く予定。
本日は店舗から飛べるようにぽいぴくです。
①天使いたもんのネタはこれで終わりです。その他小ネタは時々描いてきます!
楽しんで頂けますと幸いです✨ 4
oriya16kf
SPUR ME曦澄AU 龍神×蓮の精霊1 プロローグpixivに移行しましたのでそちらで続きをどうぞ。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=16835020
蓮の精霊の江澄は、龍神の藍曦臣と道侶になり、幼い頃から憧れていた龍神のことを回想するお話です。 2
オレオクラッシャー
DONE #ヒーローズ・シンドロームプロローグ
ヒーローズ・シンドローム…或いは英雄症候群。現代に蔓延した奇病の名だ。
感染経路も原因も不明、治療法はおろか予防法すら確立されておらず、それどころか患者同士の共通点すら碌に発見されていないなどと、その実態は全くもって解明されていない。
確かなのは、
一つ、発症すると異能が発現すること。
そして、
病状が進行した患者は意思の無い怪物と化すこと。
全く傍迷惑な病だ、と路面電車の線路の上をかつかつと革靴の底を鳴らしながら歩く長身の男は、一つに結った黒の長髪を靡かせながら顔を顰めた。視線の先では現在進行形で異形の怪物が暴れている。男は気怠げな顔で溜息を吐いて、怪物を見据える。
男が片腕をゆるりと上げて怪物を指すと、一際強い風に煽られて空を覆う闇のように拡がった黒髪が突如意志を持った様に蠢き始めた。それは忽ち一束に収束し、定められた照準に向けて漆黒の槍を形作ると、
1305感染経路も原因も不明、治療法はおろか予防法すら確立されておらず、それどころか患者同士の共通点すら碌に発見されていないなどと、その実態は全くもって解明されていない。
確かなのは、
一つ、発症すると異能が発現すること。
そして、
病状が進行した患者は意思の無い怪物と化すこと。
全く傍迷惑な病だ、と路面電車の線路の上をかつかつと革靴の底を鳴らしながら歩く長身の男は、一つに結った黒の長髪を靡かせながら顔を顰めた。視線の先では現在進行形で異形の怪物が暴れている。男は気怠げな顔で溜息を吐いて、怪物を見据える。
男が片腕をゆるりと上げて怪物を指すと、一際強い風に煽られて空を覆う闇のように拡がった黒髪が突如意志を持った様に蠢き始めた。それは忽ち一束に収束し、定められた照準に向けて漆黒の槍を形作ると、
bun_0000
MAIKING現時点ではあまり要素はないですが、ちあみど・ジュンひよになる予定のお話です。安楽椅子探偵巴日和が書きたくてちまちま進めているもの、の、プロローグ的な何か。
思いっきりパロですのでご注意ください! 4
umemhyk
PROGRESSブラッドリー×名無しモブの夢小説的な何か。「もしもあなたが、違うかたちでブラッドリーに出逢ったら?」をテーマにしたお話を鋭意執筆中です!一作目は、西の国の銀細工屋でアクセサリー作りの修行に励むモブ視点のお話です。
イベントに間に合わなくて申し訳ないです…😭せっかくなのでプロローグだけ公開させていただきます🙇♀️💦💦あと何日かかるか分かりませんがいつか必ず完成させます!
名も無き花はひだまりに揺れて 一輪目・名も無き銀細工師カランカラン。
その魔法使いは前触れもなくやって来た。
まるで私の旅立ちを見計らったかのように。
漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。
「ようじじい」
「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」
「あ、お前あん時のちっちゃいのか」
「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」
「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」
お師匠が何やら親しげに話しているのは、数十年ぶりにうちの店に来た“常連”だ。
西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。
356その魔法使いは前触れもなくやって来た。
まるで私の旅立ちを見計らったかのように。
漆黒と白銀の髪、射抜くような夕闇色の瞳。
「ようじじい」
「いらっしゃいませ…おお、これはこれはブラッドリー様。久方ぶりですなあ」
「あ、お前あん時のちっちゃいのか」
「ははは、こんな老いぼれにちっちゃいのは止してくださいよ」
「よく言うぜ。俺様の半分も生きてねえのによ」
お師匠が何やら親しげに話しているのは、数十年ぶりにうちの店に来た“常連”だ。
西の国の北東部、北の国との国境に近いこの銀細工屋は北からの来客も多い。なかでも盗賊を名乗る魔法使いの太客が数十年に一度来るとは聞いていたけれど、まさかたった一年修行に来ている私がその姿を見られるなんて。しかもここから旅立つ前日に。
限界羊小屋
DONEリンフレ プロローグif、超暗いリスタがなかった世界線 「墨絵」のフレット視点
幽霊 渋谷は今日も晴れ模様。ビルの群れに切り取られた痛いほどの青色の上を、強い風に圧された雲が快速で横切っていく。眠くなりそうに真っ白な日差しが燦々と休日の光景を照らしている。短く刈りそろえられた芝生が気持ちよさそうに太陽を満喫していた。人々はテイクアウトのコーヒーを片手に、連れと睦みあって笑っている。
友人はその中を縫って歩いていた。ただ独り、光を拒絶するように画面に目を落としたままで歩いていた。
ミヤシタパークを降り、山手線の高架下を潜る。
グロい、とすら思えなかった。それはもはや人の形を留めていなかった。奇妙なことに俺はその場でリンドウが行手を遮られて遠くに離され、自分の体だったものが車に乗せられていくのを見ていた。リンドウが見なくてよかったと思う。それに見たところで自分と判別できるかどうかすら微妙なラインだった。
2940友人はその中を縫って歩いていた。ただ独り、光を拒絶するように画面に目を落としたままで歩いていた。
ミヤシタパークを降り、山手線の高架下を潜る。
グロい、とすら思えなかった。それはもはや人の形を留めていなかった。奇妙なことに俺はその場でリンドウが行手を遮られて遠くに離され、自分の体だったものが車に乗せられていくのを見ていた。リンドウが見なくてよかったと思う。それに見たところで自分と判別できるかどうかすら微妙なラインだった。
限界羊小屋
DONEリンフレ プロローグifで超暗いリスタがない世界線
墨絵 ミヤシタパークを降り、山手線の高架下を潜る。晴れた日でもこの高架下はまるで光を拒絶するように暗く、淀んでいる。道路の脇に白い花と菓子がひっそりと据えられていた。白い靴が退屈なテンポでアスファルトを踏み、神宮通りに向けてトンネルを抜けると再び陽光が眩しく視界を埋め尽くす。
赤い絵の具を垂らしたみたいだった。
乾いたその色が、今も風景の端を染めているように錯覚する。
スマホを取り出して”ポケコヨ”の画面を開く。マップを開いて辺りを確認すると、道の向こうにカーバンクルが一匹表示された。レアリティは高くないがどうせ暇だしいないよりはマシだ。そのまま交差点を渡ろうとして、高く鋭い警告音に咎められた。視線を上げると歩行者用信号はとっくに赤に変わってしまっている。追い立てられるように急いで歩道に駆け戻り、スミマセン、と心の中で謝った。信号待ちの人並みがうんざりしたようにこちらを睨んでいる。
1974赤い絵の具を垂らしたみたいだった。
乾いたその色が、今も風景の端を染めているように錯覚する。
スマホを取り出して”ポケコヨ”の画面を開く。マップを開いて辺りを確認すると、道の向こうにカーバンクルが一匹表示された。レアリティは高くないがどうせ暇だしいないよりはマシだ。そのまま交差点を渡ろうとして、高く鋭い警告音に咎められた。視線を上げると歩行者用信号はとっくに赤に変わってしまっている。追い立てられるように急いで歩道に駆け戻り、スミマセン、と心の中で謝った。信号待ちの人並みがうんざりしたようにこちらを睨んでいる。
kagu_ao
DOODLEドルパロいままでのラクガキ。あとプロローグ的なあらすじ。入る設定メモ
・握手会には来ないシナズくん、とシナズくんの話をレンキョにするファン友達
・AKIBAスタイルは正装・友情の証
・二回目の待ち合わせは公園
・🍃川と交流していくとギャップ萌えにおちていく🔥ジュロ
・実は🐍さんは🔥さんと知り合いだけど内緒
・レンキョのストーカー撃退するシナズくん 9
kurosakisaki09
DONE流血注意!血を流しているのはさまときさんのお父さんです。ほぼプロローグです…イチャ終わったらひっこめて加筆修正します…
これをサマイチと呼ぶのだろうか…えっちなシーンが書きたかったのになあ…
夫婦ってなんだろうねってお話です。
地獄を泳ぐ1 飲んだくれて、帰ってくる父親のことは嫌いではなかったと思う。酔いが顔に出やすい血統なのだと、真っ赤な顔をしながら気に入った映画のことを自分や合歓を抱きしめ、頬擦りしながら話をする姿はむしろ好きだった。自分も大人になって酔っ払ったらこうなってしまうのか、と、どこかもどかしい気持ちにもなった。それから、母に対して、今度はこんな脚本がいいなあとねだる父はものすごく母のことを愛しているように見えた。
そんな父に、「私、ミステリーなんて書けないわ」なんて言いながら三ヶ月後には俺も合歓も父も世間も縮み上がる結末を書き上げ、父はその本を撮ると息巻いていた どんなジャンルでも母は自分のものにしていった。
だからだ。
3794そんな父に、「私、ミステリーなんて書けないわ」なんて言いながら三ヶ月後には俺も合歓も父も世間も縮み上がる結末を書き上げ、父はその本を撮ると息巻いていた どんなジャンルでも母は自分のものにしていった。
だからだ。
bossa_trfy
PROGRESS2月発行予定の全年齢とらふゆ本『この夜が明けたら』より、プロローグのみ。千冬が死ぬ日の朝、夜明けの海に行く二人です。
今夜きり 肌寒さに、ふと目が覚めた。
ぼんやりした視界いっぱいに艶のある黒が映る。静かな空間には、放置されたパソコンのシーク音だけがジリジリと遠慮がちに響いていた。フロアライトの心許ないオレンジに照らされた部屋は薄暗く、それは暗に、俺が今日も千冬の帰りを待っているうちに寝落ちてしまったことを物語っていた。
いったいどれくらい眠ってしまっていたのだろう。
お世辞にも寝心地がいいとは言えないソファからのっそり身を起こす。ひじ掛けに手をついて体重を支えると、ギシギシと革の生地が擦れる音がした。重厚で肌ざわりのいい絨毯も、裸足で踏めば当然冷たい。十一月も半ば。季節は秋なんてさっさと追い越して、もうすっかり冬の空気になってしまっていた。その証拠に、寝ている間、なんとか寒さに耐えようと無意識に丸めていた背中には、ジンジンと鈍い痛みが纏わりついたままだ。せめて上に何か羽織っておけばよかった、なんてどうしようもない後悔をしていると、追い討ちをかけるように冷たい夜風が吹いて、さあっと肌を撫でつけていった。
11225ぼんやりした視界いっぱいに艶のある黒が映る。静かな空間には、放置されたパソコンのシーク音だけがジリジリと遠慮がちに響いていた。フロアライトの心許ないオレンジに照らされた部屋は薄暗く、それは暗に、俺が今日も千冬の帰りを待っているうちに寝落ちてしまったことを物語っていた。
いったいどれくらい眠ってしまっていたのだろう。
お世辞にも寝心地がいいとは言えないソファからのっそり身を起こす。ひじ掛けに手をついて体重を支えると、ギシギシと革の生地が擦れる音がした。重厚で肌ざわりのいい絨毯も、裸足で踏めば当然冷たい。十一月も半ば。季節は秋なんてさっさと追い越して、もうすっかり冬の空気になってしまっていた。その証拠に、寝ている間、なんとか寒さに耐えようと無意識に丸めていた背中には、ジンジンと鈍い痛みが纏わりついたままだ。せめて上に何か羽織っておけばよかった、なんてどうしようもない後悔をしていると、追い討ちをかけるように冷たい夜風が吹いて、さあっと肌を撫でつけていった。
wits_jikenbo
DONE【プロローグ/忘れた記憶】⚪︎月⚪︎⚪︎日
新しい日記帳を買いました。
これで何冊目になるのかな
この日記はどんな物語になるんだろう。
明日大型討伐任務に向かいます。
あの子と私の同期も沢山派遣されるみたい
顔見知りが多いのは嬉しい
誰一人欠ける事なく早く帰ってこれたらいいな 6
palco_WT
MOURNING書きつけてたものがあったのでちょこっと手を入れました。これがいっそ恋なら https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=12257813 のエピローグというか、続きになる別の話のプロローグかもって感じ。
約束になんてならない 少し話さねェーか、と本部の廊下を歩く迅に声をかけた時、彼が少しも驚いた様子を見せなかったのは『視えていた』のだろうか。
「ぼんち揚げ、食う?」
本部の屋上で、周囲を取り巻く廃墟になりかかった警戒区域を背に、迅はいつもの《、、、、》人懐こい笑顔を浮かべた。
「ああ」
差し出された揚げ煎餅の袋から、一枚取り出すと弓場は口に放り込んで噛み砕く。弓場は迅とは高校は別だったから知らないが、学校でもそれを持ち歩いていて、教師に取り上げられてもどこからともなく取り出すんだ、と嵐山が笑っていたことを思い出す。
甘めの醤油味が香ばしいそれを飲み下すと、弓場は少し迷って口を開いた。
さしもの弓場とて、差し出口ではないか、と迷わなくもないのだ。だから。
2138「ぼんち揚げ、食う?」
本部の屋上で、周囲を取り巻く廃墟になりかかった警戒区域を背に、迅はいつもの《、、、、》人懐こい笑顔を浮かべた。
「ああ」
差し出された揚げ煎餅の袋から、一枚取り出すと弓場は口に放り込んで噛み砕く。弓場は迅とは高校は別だったから知らないが、学校でもそれを持ち歩いていて、教師に取り上げられてもどこからともなく取り出すんだ、と嵐山が笑っていたことを思い出す。
甘めの醤油味が香ばしいそれを飲み下すと、弓場は少し迷って口を開いた。
さしもの弓場とて、差し出口ではないか、と迷わなくもないのだ。だから。
sakuttoRPg
MAIKINGエデン組の学パロの部活妄想のプロローグ的なやつ学パロエデン組「諸君!!本日はお集まりいただき誠に感謝する!!」
放課後の空き教室の扉が開くのと共に響く大声。
それはある一つの不思議な部の活動開始の合図だ。
もっともそれを部活と呼んでいいのかは参加している自分自身甚だ疑問ではある。
「こんにちはレオス君。皆揃って待ってましたよ。」
「ヴィンさんこんパタ!それで今日は何して遊ぶんだー?」
上級生3年のオリバー・エバンスは読んでいた本を閉じると和やかに笑い、
2年生でこの部の紅一点であるレイン・パターソンは早く活動内容を知りたくてうずうずしているようだ。
そんな二人の言葉を聞いて同じく3年生の創部者であるレオス・ヴィンセントは、
皆の期待を煽る様にインテリキャラさながらな素振りで眼鏡に手を添えてニヤリと笑った。
861放課後の空き教室の扉が開くのと共に響く大声。
それはある一つの不思議な部の活動開始の合図だ。
もっともそれを部活と呼んでいいのかは参加している自分自身甚だ疑問ではある。
「こんにちはレオス君。皆揃って待ってましたよ。」
「ヴィンさんこんパタ!それで今日は何して遊ぶんだー?」
上級生3年のオリバー・エバンスは読んでいた本を閉じると和やかに笑い、
2年生でこの部の紅一点であるレイン・パターソンは早く活動内容を知りたくてうずうずしているようだ。
そんな二人の言葉を聞いて同じく3年生の創部者であるレオス・ヴィンセントは、
皆の期待を煽る様にインテリキャラさながらな素振りで眼鏡に手を添えてニヤリと笑った。
nyoran15
MAIKING吸血鬼悠×社会人七ハロウィンになんかあげたくて書き始めたらめちゃくちゃ長くなりそうなプロローグができました。
ハロウィンに間に合いそうにないので、ちょっとずつ書いてくかも
吸血鬼悠×社会人七「君、本当に吸血鬼なんですか?」
どこにでもあるチェーン店の珈琲屋。
日中のまだ日が高い空の下で、私の目の前に座っている彼は季節限定の新メニューを美味しそうに味わっている。
「…まだそれ言う?」
コテンと首を傾げる人物はどうみても高校生。よくて大学生ほどにしか見えないのに、歳を聞けば「多分200歳ぐらい…?途中からわかんなくなっちゃった」と言っていた。
「それは、まぁ…。理解はしているつもりですが未だ信じられませんので」
非日常な会話は、どこかの誰かが聞いていたら頭は大丈夫かと病院にでも連れていかれそうだ。
「ふーん。まだ信じられないんだ」
純粋無垢な少年のような顔から、大人の顔に変わるのは一瞬で、細められた目元と、三日月を描くように上がる口元に体が強ばる。
3412どこにでもあるチェーン店の珈琲屋。
日中のまだ日が高い空の下で、私の目の前に座っている彼は季節限定の新メニューを美味しそうに味わっている。
「…まだそれ言う?」
コテンと首を傾げる人物はどうみても高校生。よくて大学生ほどにしか見えないのに、歳を聞けば「多分200歳ぐらい…?途中からわかんなくなっちゃった」と言っていた。
「それは、まぁ…。理解はしているつもりですが未だ信じられませんので」
非日常な会話は、どこかの誰かが聞いていたら頭は大丈夫かと病院にでも連れていかれそうだ。
「ふーん。まだ信じられないんだ」
純粋無垢な少年のような顔から、大人の顔に変わるのは一瞬で、細められた目元と、三日月を描くように上がる口元に体が強ばる。
mix_maze
PROGRESSこれで大体プロローグ的な感じになります霊エク執筆中 「それでは霊幻さん、当時のことについて、詳しくお伺いしたいんですが……」
眩しすぎる照明に照らされながら、司会者は俺にそう言った。だだっ広いスタジオの中で、声がよく通る。営業スマイルに定評のある俺でも、今回ばかりは表情がぎこちなくならないように必死だった。例のスキャンダル以降、どうもカメラに囲まれるのが慣れない。一種のトラウマのようになっている。そもそも、このスタジオの天井の高い感じが嫌いなんだよな。もうちょっとこじんまり出来ないものなのか?出演者達は、全員俺に注目している。普段より少し多めに息を吸って心臓を落ち着けようとしたその時。
「一丁前に緊張していやがるな」
聞き馴染みのある声が頭上から降ってきて、その瞬間張り詰めていた糸が一気に緩んだのが分かった。少しだけ目線を上げると、緑の光が視界の端にチラついた。
6216眩しすぎる照明に照らされながら、司会者は俺にそう言った。だだっ広いスタジオの中で、声がよく通る。営業スマイルに定評のある俺でも、今回ばかりは表情がぎこちなくならないように必死だった。例のスキャンダル以降、どうもカメラに囲まれるのが慣れない。一種のトラウマのようになっている。そもそも、このスタジオの天井の高い感じが嫌いなんだよな。もうちょっとこじんまり出来ないものなのか?出演者達は、全員俺に注目している。普段より少し多めに息を吸って心臓を落ち着けようとしたその時。
「一丁前に緊張していやがるな」
聞き馴染みのある声が頭上から降ってきて、その瞬間張り詰めていた糸が一気に緩んだのが分かった。少しだけ目線を上げると、緑の光が視界の端にチラついた。
mame
DONE出ロデ未来捏造、再会のプロローグ
378000㎢
この数字は日本の国土面積、らしい。
だから、まあ、はっきり言って。会えるなんて、微塵も思っていなかったのだ。
ロディは頭上にパチパチと光る緑の残像を呆然と目で追いながら、フライトの担当が決まってから叩き込んだ情報を頭の中で反芻する。肩に乗っている己の魂が、ピィと僅かに鳴いて震えているのを感じて、しかしどうするわけでもなく。網膜と脳に焼き付けるように高層ビルの合間を走っていった眩い閃光を見つめた。
「ピノ、見たか」
「ピピッ」
「笑ってたなあ、デク」
目の奥がじわりと熱い。視界が滲みそうになって、ロディは消えゆく閃光の更に向こうにある青空を見る。口角はあがったが、唇は戦慄いていた。
オセオンにまた来ると言った出久に、二度と来るなとロディが言ったあの日以降、ふたりの間でなにもやりとりはなかった。一方的にオセオンに届くワールドニュースの欠片をひとつひとつ拾い集めて、ロディは出久が生きていることを祈るような気持ちで確かめていた。文字や映像、媒体越しに見ては安堵して、また無茶してるんだななんて呆れて、勝手に勇気づけられて。しまいには一度諦めた夢だったパイロットになって、この度日本便の副操縦士にまでなってしまって。
1573この数字は日本の国土面積、らしい。
だから、まあ、はっきり言って。会えるなんて、微塵も思っていなかったのだ。
ロディは頭上にパチパチと光る緑の残像を呆然と目で追いながら、フライトの担当が決まってから叩き込んだ情報を頭の中で反芻する。肩に乗っている己の魂が、ピィと僅かに鳴いて震えているのを感じて、しかしどうするわけでもなく。網膜と脳に焼き付けるように高層ビルの合間を走っていった眩い閃光を見つめた。
「ピノ、見たか」
「ピピッ」
「笑ってたなあ、デク」
目の奥がじわりと熱い。視界が滲みそうになって、ロディは消えゆく閃光の更に向こうにある青空を見る。口角はあがったが、唇は戦慄いていた。
オセオンにまた来ると言った出久に、二度と来るなとロディが言ったあの日以降、ふたりの間でなにもやりとりはなかった。一方的にオセオンに届くワールドニュースの欠片をひとつひとつ拾い集めて、ロディは出久が生きていることを祈るような気持ちで確かめていた。文字や映像、媒体越しに見ては安堵して、また無茶してるんだななんて呆れて、勝手に勇気づけられて。しまいには一度諦めた夢だったパイロットになって、この度日本便の副操縦士にまでなってしまって。
そよご
SPOILER2部プロローグ感想です 終始ネタバレ文章ぐちゃぐちゃで読みにくいです・・・すみません!
2部プロローグ感想.
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言峰綺礼がいたことにハチャメチャにビックリしました なんかもう2部どころじゃないです 言峰綺礼が居たんです 死ぬほどスクショ撮りました
なんかあの立ち絵はたまに見かけるので知ってはいたのですが、まさか言峰綺礼として出てくるとは思わなくてエッッッ・・・てなっています コトミネ~・・・😭😭😭
『おまえは信用できない』っていう選択肢がありましたが言峰に"おまえ"呼びは恐れ多すぎたので無理でした
ギルちゃんしか許されんでしょとか思ってしまった
コヤンスカヤちゃん こんなすぐ出てくると思ってなかったのでそこにも驚きました
フォウくん踏んだので正直好感度下がり気味ですが今後の出方に期待したいです あとやっぱりお顔かわいい・・・
1837.
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言峰綺礼がいたことにハチャメチャにビックリしました なんかもう2部どころじゃないです 言峰綺礼が居たんです 死ぬほどスクショ撮りました
なんかあの立ち絵はたまに見かけるので知ってはいたのですが、まさか言峰綺礼として出てくるとは思わなくてエッッッ・・・てなっています コトミネ~・・・😭😭😭
『おまえは信用できない』っていう選択肢がありましたが言峰に"おまえ"呼びは恐れ多すぎたので無理でした
ギルちゃんしか許されんでしょとか思ってしまった
コヤンスカヤちゃん こんなすぐ出てくると思ってなかったのでそこにも驚きました
フォウくん踏んだので正直好感度下がり気味ですが今後の出方に期待したいです あとやっぱりお顔かわいい・・・
millustacc
MEMO龍羽の転生パロ(長編)をぼんやり考えてるやつですとりまプロローグだけ…その内直したり続いたりするかもしれない。
誤字脱字があっても気にしないでね
目で追う先は1.prologue
「うわあああああああん」
1人の少年に出会った。少年、と言っても小学1年生になったばかりの自分よりは年上であろう。背丈や落ち着きからして恐らく小学5、6年といったところだろうか。
互いに目が合った際、俺が急に泣き出してしまったものだから年上の彼は少し困った様子だった。
なぜ俺がこのように大声で泣いているのか、話を少し前に戻そう。
春はまだ終わらないぞと言わんばかりに桜の花がまだ咲き続けている4月下旬。小学1年生で現在6才、七海龍水は親の仕事の関係で中途半端な時期に今日この街に引っ越してきたばかりだ。
親が業者の人とやりとりをしている様が退屈で、近場の公園に1人向かうことにした。ほぼ目の前にある、というか目の届く距離にある公園だったので親の了承はなんとか得た。退屈そうにしている子供心を察してくれたのだろう。
2537「うわあああああああん」
1人の少年に出会った。少年、と言っても小学1年生になったばかりの自分よりは年上であろう。背丈や落ち着きからして恐らく小学5、6年といったところだろうか。
互いに目が合った際、俺が急に泣き出してしまったものだから年上の彼は少し困った様子だった。
なぜ俺がこのように大声で泣いているのか、話を少し前に戻そう。
春はまだ終わらないぞと言わんばかりに桜の花がまだ咲き続けている4月下旬。小学1年生で現在6才、七海龍水は親の仕事の関係で中途半端な時期に今日この街に引っ越してきたばかりだ。
親が業者の人とやりとりをしている様が退屈で、近場の公園に1人向かうことにした。ほぼ目の前にある、というか目の届く距離にある公園だったので親の了承はなんとか得た。退屈そうにしている子供心を察してくれたのだろう。
samuiwaks
PROGRESS【司類】アンラッキーな俺の話 その1プロローグから第一章が完成しました。(以前中途半端なとこだけあげていたものです。その節はすみませんでした…)
不穏な長編の導入です。
テーマは不運。
【司類】アンラッキーな俺の話 その1Prologue 繰り返しているよ
これが夢であることを神代類は知っている。それでもこの夢は、幻とはとても思えない密度と温度で類に襲い掛かってくる。類は瞬きをしながら、叫びたくとも喉が引きつりただの一つも言葉を紡げない口をはくはくと金魚のように動かして、目の前の景色を青ざめた顔で呆然と眺めていた。思考は既に止まっている。しかし地面についた膝は鮮やかな赤色の液体を吸い、わなわなと震える手には生塗感触が這いずる。類の鼻腔をうずめるのは死の香りだ。遠くのほうで名も知らぬ誰かの悲鳴がぼんやりと聞こえるが、鼓膜には膜が張られたようにうまく音を拾わず、ノイズが混じって言葉になってくれない。
「……」
ざわざわとうるさい脳内は徐々に狂気に侵食されていく。夢だということは理解していながら、類は自分の目の前で血だまりに沈む彼の、くすんだ物言わぬ瞳から目を逸らせなかった。きらめく金髪が見る影もなく血に浸されているその人に、類は恐る恐る手を伸ばす。破壊された思考回路はこの場に適した言葉をたたき出してはくれない。しかし、どうせ言葉が浮かんだところで類の心が何を叫ぼうと、もはや息をしない彼には届かないことを、類は知っている。
5625これが夢であることを神代類は知っている。それでもこの夢は、幻とはとても思えない密度と温度で類に襲い掛かってくる。類は瞬きをしながら、叫びたくとも喉が引きつりただの一つも言葉を紡げない口をはくはくと金魚のように動かして、目の前の景色を青ざめた顔で呆然と眺めていた。思考は既に止まっている。しかし地面についた膝は鮮やかな赤色の液体を吸い、わなわなと震える手には生塗感触が這いずる。類の鼻腔をうずめるのは死の香りだ。遠くのほうで名も知らぬ誰かの悲鳴がぼんやりと聞こえるが、鼓膜には膜が張られたようにうまく音を拾わず、ノイズが混じって言葉になってくれない。
「……」
ざわざわとうるさい脳内は徐々に狂気に侵食されていく。夢だということは理解していながら、類は自分の目の前で血だまりに沈む彼の、くすんだ物言わぬ瞳から目を逸らせなかった。きらめく金髪が見る影もなく血に浸されているその人に、類は恐る恐る手を伸ばす。破壊された思考回路はこの場に適した言葉をたたき出してはくれない。しかし、どうせ言葉が浮かんだところで類の心が何を叫ぼうと、もはや息をしない彼には届かないことを、類は知っている。