敦
zero_1xxx
MEMO*どーる芥敦♀*にぱーと笑って手でハート作ってくれる敦ちゃん、サービス精神旺盛ですね。旦那がめちゃくちゃ見てます。
アソートボックス、イーゼル(今回敦ちゃんに使ってます)が含まれてたので、芥用に通常イーゼルも買ってみました。クリア素材なのであんまり目立たない。嵩張らないし高さとか角度の調整も楽。良き良き。
potemaru2021
MOURNING南国事中(蓮キョえっち)パスは敦賀さんが沖縄ロケにいってるときにモブ男子が「京子」のこと話題にしてるのを、顔は涼しいくせにめっちゃ聞き耳たててるやんて描写がある巻数は?
bunbun0range
DONE敦隆。クソ甘い。ジャンケンで受けを決める話。
じゃんけん「じゃんけん、ポイッ!」
じゃんけんをした。文字通りの他愛もない、シンプルで知名度も高い勝敗の決め方である。誰しも一度ではなく何度も勝った負けたを経験しているはずだ。
しかし、俺たちがしているのは、ただのじゃんけんではない。今後続いていく夜の営みのポジションという己の尊厳をかけた大勝負だった。
「……」
「……」
杁が出した一手は、硬く握りしめられたもの。けれど、俺の手は平和の象徴の形をしていて、サーッと血の気が一気に引いた。
「……さ、三回勝負だ」
「いや、お前が一回だって決めただろ」
「一回じゃ勝負がつかない時もある」
「おいおい。そんなことあるはずねぇだろ。今まさに勝敗がついてるじゃねぇか」
目の前の現実を受け入れられず、支離滅裂なことを呟いてしまった自覚はある。しかしここで食い下がらなければ、今後こいつに組み敷かれ続ける羽目になる。二十年以上出口だと思っていた部位が入口になるのだから、不具合を起こす心配を今後何十年もしなくてはならないのだ。痔になって病院にお世話になるということは避けたい。
1254じゃんけんをした。文字通りの他愛もない、シンプルで知名度も高い勝敗の決め方である。誰しも一度ではなく何度も勝った負けたを経験しているはずだ。
しかし、俺たちがしているのは、ただのじゃんけんではない。今後続いていく夜の営みのポジションという己の尊厳をかけた大勝負だった。
「……」
「……」
杁が出した一手は、硬く握りしめられたもの。けれど、俺の手は平和の象徴の形をしていて、サーッと血の気が一気に引いた。
「……さ、三回勝負だ」
「いや、お前が一回だって決めただろ」
「一回じゃ勝負がつかない時もある」
「おいおい。そんなことあるはずねぇだろ。今まさに勝敗がついてるじゃねぇか」
目の前の現実を受け入れられず、支離滅裂なことを呟いてしまった自覚はある。しかしここで食い下がらなければ、今後こいつに組み敷かれ続ける羽目になる。二十年以上出口だと思っていた部位が入口になるのだから、不具合を起こす心配を今後何十年もしなくてはならないのだ。痔になって病院にお世話になるということは避けたい。
bunbun0range
DONEIt's always darkest before dawn.(明けない夜はない)敦隆オンリーで無料公開していた小説です。
It's always darkest before dawn. 生活必需品というものは常にストックを家に備えておかなくてはいけない。何があった時では手遅れになる場合が多いのだと隆景はその時改めて思った。
真っ暗な部屋。何度押し込んでも反応を示さないスイッチ。スマホのライトがリビングを照らす唯一の灯りだった。
「はぁ……」
——嘘だと言ってくれ。
カチカチと数え切れないほどの回数スイッチを押すが、部屋に灯りは戻ってこない。キッチンや脱衣所の灯りは難なく点灯したため、家全体の問題とは考えにくく、単に照明の取り換えタイミングがきたと結論づけるのが妥当だった。
豆電球の小さい光りがないと寝られないわけではないので、真っ暗なまま寝てしまえば問題はない。しかし、あいにく現在時刻は午後七時で、就寝時刻というよりは夕餉の時刻であった。
6697真っ暗な部屋。何度押し込んでも反応を示さないスイッチ。スマホのライトがリビングを照らす唯一の灯りだった。
「はぁ……」
——嘘だと言ってくれ。
カチカチと数え切れないほどの回数スイッチを押すが、部屋に灯りは戻ってこない。キッチンや脱衣所の灯りは難なく点灯したため、家全体の問題とは考えにくく、単に照明の取り換えタイミングがきたと結論づけるのが妥当だった。
豆電球の小さい光りがないと寝られないわけではないので、真っ暗なまま寝てしまえば問題はない。しかし、あいにく現在時刻は午後七時で、就寝時刻というよりは夕餉の時刻であった。
maguro_is_tuna8
MEMO「ソープスクール」作:ねこずし卓様
KP:ルマ
HO1:春ちゃん/眞邊 勉
HO2:八坂まぐろ/日野 翔貴
HO3:Rabi/夜来 薫
HO4:雪うさぎ/雪村 敦
全生還です!そぷすく〜〜!!楽しかったよ〜〜!!ほに〜〜!!楽しかったよ〜〜!!自陣〜〜!!仲良くして〜〜!!(懇願)
後日ふせ書くのでよろしくお願いします 2
高間晴
DOODLE敦太。季節ものは書いてて楽しいな~炬燵と蜜柑 晩秋。後二ヶ月もすれば今年も終わろうかという頃だった。
太宰が炬燵を買ったらしい。なので、敦は道すがら蜜柑を六つ程買って袋に入れてもらい、それを片手に太宰のアパートを訪れた。
炬燵。昔に本で読んだことはあるけれど体験するのは初めてだな。とても楽しみでうきうきした気分を抑えられない。
チャイムは鳴らさず、渡されていた合鍵で玄関を開ける。
「太宰さーん、来ましたよー」
「いらっしゃーい、敦君」
敦は「蜜柑買ってきましたよ」と云いながら靴を脱ぎ、部屋に上がる。部屋の中央に置いてあった卓袱台が炬燵に替えられている。
「これが炬燵ですか?」
四角い卓袱台から四方に布団が生えたような形状をしている。太宰はその布団に両手足を突っ込んでいる。奇しくもその布団は蜜柑の色に似ていた。
1310太宰が炬燵を買ったらしい。なので、敦は道すがら蜜柑を六つ程買って袋に入れてもらい、それを片手に太宰のアパートを訪れた。
炬燵。昔に本で読んだことはあるけれど体験するのは初めてだな。とても楽しみでうきうきした気分を抑えられない。
チャイムは鳴らさず、渡されていた合鍵で玄関を開ける。
「太宰さーん、来ましたよー」
「いらっしゃーい、敦君」
敦は「蜜柑買ってきましたよ」と云いながら靴を脱ぎ、部屋に上がる。部屋の中央に置いてあった卓袱台が炬燵に替えられている。
「これが炬燵ですか?」
四角い卓袱台から四方に布団が生えたような形状をしている。太宰はその布団に両手足を突っ込んでいる。奇しくもその布団は蜜柑の色に似ていた。
まつり🦀
1111定番のあの日ですね。せっかくなので並ぶ時間に予約投稿しました。
(私はきっと絶賛仕事ちう)
太敦です。タイトル通り後はお好きなように妄想してくださいませ❤️
あとはお好きなように:
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:
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:
今日はそういう日らしい。
突発的な依頼も難解な案件もなくわりかし平和な昼下がり、時刻はお八つ時。
一息つこうとパソコンの画面から顔を上げた敦の手元に、細い棒状のチョコレート菓子……○ッキーの袋が渡された。
「ナオミと春野さんが、ポ○キーの日だからって」
こういうイベント好きなんだ、ナオミは。そう笑いながら谷崎は徳用大袋から個包装された一袋を取り出して、敦の手許に、そして隣の太宰の机に置いた。
太宰は朝から都内の依頼先に出向いているので不在だ。いつ帰るのか敦も聞いていない。異能特務課が絡んでる様なのでどの位かかるのか解らないのだ。
殆どの社員が比較的のんびりと事務作業を執務室で行っている中で、一番のんびりと寛ぎたがる太宰だけが忙しいという珍現象に、誰もが日頃の行い、という言葉を脳裏に浮かべていた。
1790:
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今日はそういう日らしい。
突発的な依頼も難解な案件もなくわりかし平和な昼下がり、時刻はお八つ時。
一息つこうとパソコンの画面から顔を上げた敦の手元に、細い棒状のチョコレート菓子……○ッキーの袋が渡された。
「ナオミと春野さんが、ポ○キーの日だからって」
こういうイベント好きなんだ、ナオミは。そう笑いながら谷崎は徳用大袋から個包装された一袋を取り出して、敦の手許に、そして隣の太宰の机に置いた。
太宰は朝から都内の依頼先に出向いているので不在だ。いつ帰るのか敦も聞いていない。異能特務課が絡んでる様なのでどの位かかるのか解らないのだ。
殆どの社員が比較的のんびりと事務作業を執務室で行っている中で、一番のんびりと寛ぎたがる太宰だけが忙しいという珍現象に、誰もが日頃の行い、という言葉を脳裏に浮かべていた。
rirakuma725
PROGRESSクリスマス太敦の話…あまりクリスマス感はないかも…?完成はちゃんとさせる君と過ごす特別な日「子供達喜んでもらえてよかったですね!」
「そうだね、贈呈品も好評だったみたいだし、善かったね、敦君」
「はい!と云っても僕だけじゃなくて鏡花ちゃんやナオミさん達にも手伝ってもらいましたが…」
「こういうのは女性の方が詳しいものだからねぇ~敦君の判断は間違っていなかったよ」
「そうでしょうか?それならよかったです!」
今日は保育園でのクリスマス会があり武装探偵社の面々は先生達に頼まれて子供達に楽しんでもらえるように色々企画を立てた。国木田が細かく計画を立てようとしたが乱歩にクリスマスまでそんなつまらないことするなと言われ、与謝野に「乱歩さんがああ云ってるだ、諦めな」と肩に手を置かれた。計画を立てられない国木田はならば飾り付けは完璧にと賢治や谷崎と共にとても保育園のクリスマス会とは思えない見事な飾り付けをした。鏡花を始めとする女性陣は料理を担当。乱歩は指示出しをしつつ、子供達と遊んでいた。社長である福沢は子供は苦手(嫌いではないが怖がられる)のと国木田に社長に準備をさせるわけにはいかないということで先生達とお茶を飲んでいた。そして肝心の敦と太宰は贈呈品選び担当だった。敦と一緒なら太宰もサボらないだろうということと保育園の先生(女性)を口説かせない為だった。
536「そうだね、贈呈品も好評だったみたいだし、善かったね、敦君」
「はい!と云っても僕だけじゃなくて鏡花ちゃんやナオミさん達にも手伝ってもらいましたが…」
「こういうのは女性の方が詳しいものだからねぇ~敦君の判断は間違っていなかったよ」
「そうでしょうか?それならよかったです!」
今日は保育園でのクリスマス会があり武装探偵社の面々は先生達に頼まれて子供達に楽しんでもらえるように色々企画を立てた。国木田が細かく計画を立てようとしたが乱歩にクリスマスまでそんなつまらないことするなと言われ、与謝野に「乱歩さんがああ云ってるだ、諦めな」と肩に手を置かれた。計画を立てられない国木田はならば飾り付けは完璧にと賢治や谷崎と共にとても保育園のクリスマス会とは思えない見事な飾り付けをした。鏡花を始めとする女性陣は料理を担当。乱歩は指示出しをしつつ、子供達と遊んでいた。社長である福沢は子供は苦手(嫌いではないが怖がられる)のと国木田に社長に準備をさせるわけにはいかないということで先生達とお茶を飲んでいた。そして肝心の敦と太宰は贈呈品選び担当だった。敦と一緒なら太宰もサボらないだろうということと保育園の先生(女性)を口説かせない為だった。
rirakuma725
DONEハロウィンらしくない太敦ハロウィン。可愛い敦君はどこにもいません。カッコいいだざさんもどこにもいません。何でこんな方向に向かったのか私にも分かりません
お菓子より甘いもの敦君、お菓子はいらないからお菓子のように甘い悪戯させて」
「…最早ハロウィン関係ないですよね」
「お菓子より敦君が欲しいからね」
「……はぁ、好きにして下さい」
「おや、随分素直だね?」
「どうせ、厭だと云ってもするんでしょう?」
「まぁね」
「…なら抵抗するだけ無駄です」
「初な反応しなくなったよね…」
「そういう反応みたいなら他当たって下さい。別に怒りませんから」
「敦君!?せめて怒って!じゃないと私死んじゃう」
「怒るだけ無駄ですから」
「敦くーん!!」
おまけ
「あ、太宰さんに用意したお菓子は中也さんにあげますね」
「何で蛞蝓に!」
「だって太宰さんいらないんでしょう?今年は僕が手作りしたんですけど僕の手作りなんて太宰さん欲しくありませんもんね」
408「…最早ハロウィン関係ないですよね」
「お菓子より敦君が欲しいからね」
「……はぁ、好きにして下さい」
「おや、随分素直だね?」
「どうせ、厭だと云ってもするんでしょう?」
「まぁね」
「…なら抵抗するだけ無駄です」
「初な反応しなくなったよね…」
「そういう反応みたいなら他当たって下さい。別に怒りませんから」
「敦君!?せめて怒って!じゃないと私死んじゃう」
「怒るだけ無駄ですから」
「敦くーん!!」
おまけ
「あ、太宰さんに用意したお菓子は中也さんにあげますね」
「何で蛞蝓に!」
「だって太宰さんいらないんでしょう?今年は僕が手作りしたんですけど僕の手作りなんて太宰さん欲しくありませんもんね」
まつり🦀
Reuse Halloween何年か前のハロウィンのあつぴとがれ君の妄想がこうなって中途半端に止まってる。今度こそダークファンタジーぽくて最終的には太敦の工口に持ち込みたい。
forest:
:
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:
「やつがれ達は贄の仔羊だからな」
いったいどのぐらいこの暗い森の中を彷徨っていただろうか。森の入り口に立っていたときには、確か丸い月が東の空にあがり始めていたのを見たような気がする。
今は天頂で冴え冴えとした光を、敦たちのいる森に向けていた。
夕方、敦は幼なじみの龍之介と共に森の奥に棲む、村人達が賢者として恐れ敬う世捨て婆に祭の供物を届けるように村長から仰せつかった。
賑やかな祭の様子に背を向けてふたりは森へと見送られる。
とっぷりと日が暮れてもなお、目的である世捨て婆の根城にはたどり着かない。敦が疲れた、少し休もうと提案したところ、龍之介がいつも以上に冷めた声でそう言ったのだ。
「贄だなんて、そんな事聞いてないし」
5555:
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「やつがれ達は贄の仔羊だからな」
いったいどのぐらいこの暗い森の中を彷徨っていただろうか。森の入り口に立っていたときには、確か丸い月が東の空にあがり始めていたのを見たような気がする。
今は天頂で冴え冴えとした光を、敦たちのいる森に向けていた。
夕方、敦は幼なじみの龍之介と共に森の奥に棲む、村人達が賢者として恐れ敬う世捨て婆に祭の供物を届けるように村長から仰せつかった。
賑やかな祭の様子に背を向けてふたりは森へと見送られる。
とっぷりと日が暮れてもなお、目的である世捨て婆の根城にはたどり着かない。敦が疲れた、少し休もうと提案したところ、龍之介がいつも以上に冷めた声でそう言ったのだ。
「贄だなんて、そんな事聞いてないし」
@ようかいとういか14
DONE結構前に描き終わったけどまだ投稿してなかった水木漫画に出てきそうな絵柄で百鬼キャラ
おまけ憑き
※元ネタキャラ紹介
鳥口&青木→モブ的などこにでもいる顔面を拝借
益田→ねずみ男を意識
敦子→ミコちゃん=最新版悪魔くんに登場する少女
悪魔くん=マガジン版悪魔くんの主人公で、いわゆる山田悪魔くん
榎木津→ミカエルちゃん=上記のシリーズの、悪魔くんノストラダムス大予言に登場する少女 2
高間晴
TRAINING敦太。ほんのりえろ。最早800文字の軛から解き放たれた私は自由。
たちの悪い酔っぱらい 太宰と同居しているアパート。敦は団扇片手にベランダで夜風に当たっていた。足元では蚊取り線香が橙色の火を灯している。
――太宰さん、今日は国木田さんや与謝野女医と飲みに行ってくるって云ってたけど……早く帰ってこないかな。
敦は酒も飲める歳になったが、単純に酒の味が好きではないので誘いを断って太宰を送り出した。でも今になって思うと、一緒に行けばよかったと思ってしまう。
すると玄関のチャイムが鳴った。こんな夜中に誰だろう、とベランダから部屋へ戻ると、再びチャイムが鳴る。そして国木田の声がした。
「おい敦! 早く出て来い」
なんで国木田さんが――?
そう思いながら敦は急いで玄関を開ける。其処には太宰の肩を担いだ国木田の姿があった。見れば太宰はぐったりしている。相当飲んだのだろう。
1719――太宰さん、今日は国木田さんや与謝野女医と飲みに行ってくるって云ってたけど……早く帰ってこないかな。
敦は酒も飲める歳になったが、単純に酒の味が好きではないので誘いを断って太宰を送り出した。でも今になって思うと、一緒に行けばよかったと思ってしまう。
すると玄関のチャイムが鳴った。こんな夜中に誰だろう、とベランダから部屋へ戻ると、再びチャイムが鳴る。そして国木田の声がした。
「おい敦! 早く出て来い」
なんで国木田さんが――?
そう思いながら敦は急いで玄関を開ける。其処には太宰の肩を担いだ国木田の姿があった。見れば太宰はぐったりしている。相当飲んだのだろう。
高間晴
TRAINING敦太のつもりで書いてたんだけど逆にしか見えねえ……字数はもう800字のルールを守るのは諦めました。
うれし涙 休日。敦と太宰は二人で海の見える公園へ来ていた。辺りを吹く潮風はもう夏のように涼やかではなく、少し肌寒いくらいである。
公園の入口近く。自販機を見つけた敦は笑うと、指で示した。
「太宰さん、喉渇きません? 何か飲みます?」
「ああ、私は珈琲がいいな。温かいやつ」
敦は「はい!」と満面の笑顔で頷いて、自販機へと駆け寄っていく。それを横目で見ながら、太宰は近くのベンチへ腰を下ろす。背もたれに寄りかかると、周囲を見渡した。公園は恋人たちや家族連れの姿で賑わっている。奥の方にはクレープのキッチンカーも来ていて、年若い女性たちの黄色い声が響いている。
――たまにはこういうのもいいなぁ。
太宰の頭に去来するのは過去に関係を持ったことがある女性たち。彼女らとデートでこんな処に来る、なんて無かったことだ。
1533公園の入口近く。自販機を見つけた敦は笑うと、指で示した。
「太宰さん、喉渇きません? 何か飲みます?」
「ああ、私は珈琲がいいな。温かいやつ」
敦は「はい!」と満面の笑顔で頷いて、自販機へと駆け寄っていく。それを横目で見ながら、太宰は近くのベンチへ腰を下ろす。背もたれに寄りかかると、周囲を見渡した。公園は恋人たちや家族連れの姿で賑わっている。奥の方にはクレープのキッチンカーも来ていて、年若い女性たちの黄色い声が響いている。
――たまにはこういうのもいいなぁ。
太宰の頭に去来するのは過去に関係を持ったことがある女性たち。彼女らとデートでこんな処に来る、なんて無かったことだ。
高間晴
TRAINING敦太。また800字をオーバー……お題ガチャで出たお題をお借りしました。
最凶のふたり「ん……うーん……」
――うちの蒲団、こんなに固かったっけ?
そんなことを思いながら敦は目を覚ます。目に映るのは白い天井。明らかに社員寮の見慣れた木目の天井ではない。畳の匂いもしない。そこではっとして敦は寝そべっていた床から飛び起きる。
「此処……何処だ!?」
見渡す限り白一色の手狭な部屋。出入口らしきものはドアが一つ。
「はぁい敦君、やっとお目覚めかい?」
太宰の声がしたので傍らを振り仰ぐと、何時ものコートを纏った痩身が其処に立っていた。
「太宰さん……何なんですか、此処。確か僕達、街を歩いていた筈じゃ」
「それがねぇ、私にもわからないんだ。私も突然背後から薬を嗅がされたと思ったら此処に放り込まれてたから」
1283――うちの蒲団、こんなに固かったっけ?
そんなことを思いながら敦は目を覚ます。目に映るのは白い天井。明らかに社員寮の見慣れた木目の天井ではない。畳の匂いもしない。そこではっとして敦は寝そべっていた床から飛び起きる。
「此処……何処だ!?」
見渡す限り白一色の手狭な部屋。出入口らしきものはドアが一つ。
「はぁい敦君、やっとお目覚めかい?」
太宰の声がしたので傍らを振り仰ぐと、何時ものコートを纏った痩身が其処に立っていた。
「太宰さん……何なんですか、此処。確か僕達、街を歩いていた筈じゃ」
「それがねぇ、私にもわからないんだ。私も突然背後から薬を嗅がされたと思ったら此処に放り込まれてたから」
左@萌え垢
TRAINING太敦です。白虎に触れないことを悔やむ人。さわれないキミ「しゃちょーが好きなものは僕も好き~だからさ、敦――」
私はその日いつものように、国木田君と共に外に調査に出かけていた。
無論、私は外になんて出かけたくないから、ありとあらゆる方便を立てていたが、それも国木田君に首根っこを掴まれて、ずるずると外へと引っ張りまわされることとなった。
だが、私だって無駄に外に居たいわけではない。それなりに国木田君をサポートしながら、調査を終えて探偵社に戻ってみれば――これだ。
「グルルルル……」
そこには、巨大な虎がいた。社の片隅にある乱歩さんの机がわずかにどけられ、乱歩さんはソレにのしかかりながら、優雅に駄菓子を食べていた。それも、床に丁寧に絨毯まで敷かれて。
「一度、やってみたいと思ってたんだよね~。高級なクッションに身体を埋めながら、駄菓子を食べるってヤツ」
1831私はその日いつものように、国木田君と共に外に調査に出かけていた。
無論、私は外になんて出かけたくないから、ありとあらゆる方便を立てていたが、それも国木田君に首根っこを掴まれて、ずるずると外へと引っ張りまわされることとなった。
だが、私だって無駄に外に居たいわけではない。それなりに国木田君をサポートしながら、調査を終えて探偵社に戻ってみれば――これだ。
「グルルルル……」
そこには、巨大な虎がいた。社の片隅にある乱歩さんの机がわずかにどけられ、乱歩さんはソレにのしかかりながら、優雅に駄菓子を食べていた。それも、床に丁寧に絨毯まで敷かれて。
「一度、やってみたいと思ってたんだよね~。高級なクッションに身体を埋めながら、駄菓子を食べるってヤツ」
高間晴
TRAINING敦太。800字を大幅にオーバーしてしまった。未だ知らぬ人 太宰が取引先へ書類を届けに行ったまま帰ってこない。なので、国木田は「あの唐変木を捜して連れて帰れ」と敦に言いつけた。
敦は仕方なく太宰を捜してヨコハマの街を歩く。
辺りは秋の気配で満ちていて、空気は吸い込むと肺の奥を少し冷やした。見れば、クレープの店には期間限定の栗味がある。それに街路樹の銀杏は黄色い葉を歩道に散らしている。行き交う人も半袖を着ているような人間は見かけない。
「秋だなぁ」
誰にともなく呟いた敦だが、はっと言いつけを思い出す。
――太宰さんを捜さなきゃ。
敦には虎の鋭い嗅覚がある。だから国木田は敦に太宰捜しを命じたのだ。
少し鼻腔をひくつかせると、捜していた匂いが漂ってきた。いつも思うことだが、あの人の匂いは何処か落ち着く。例えるなら花のように芳しく何処か甘い気がする。それは自分があの人のことを好いているからなのかもしれない。
968敦は仕方なく太宰を捜してヨコハマの街を歩く。
辺りは秋の気配で満ちていて、空気は吸い込むと肺の奥を少し冷やした。見れば、クレープの店には期間限定の栗味がある。それに街路樹の銀杏は黄色い葉を歩道に散らしている。行き交う人も半袖を着ているような人間は見かけない。
「秋だなぁ」
誰にともなく呟いた敦だが、はっと言いつけを思い出す。
――太宰さんを捜さなきゃ。
敦には虎の鋭い嗅覚がある。だから国木田は敦に太宰捜しを命じたのだ。
少し鼻腔をひくつかせると、捜していた匂いが漂ってきた。いつも思うことだが、あの人の匂いは何処か落ち着く。例えるなら花のように芳しく何処か甘い気がする。それは自分があの人のことを好いているからなのかもしれない。
高間晴
TRAINING敦太。らんぽさんが仕事をしてくれない。まちがいさがし 武装探偵社、某日。
「太宰さ~ん……」
敦が眉尻を下げしょんぼりとした顔で太宰の傍に立つ。デスクで全くやる気の出ないPC作業をしていた太宰は「どうしたんだい?」と首を傾げた。
「国木田さんから頼まれた書類を乱歩さんに持って行ったんです。でも、乱歩さんが『これが解けたら仕事してあげる』って云って……僕には全然解けなくて……」
そう云って一枚の紙を差し出してくるので受け取る。上の方には『まちがいさがし:むずかしい』とあり、その下には一見全く同じに見える絵が二つ並んでいた。子供用の塗り絵にも似た簡単な絵だ。それは夜空の月を見上げる兎と、風に靡くススキと三方に乗った団子が描かれている。ついでに下の方には『まちがいは四つ!』とある。心の中で溜息をついた。
860「太宰さ~ん……」
敦が眉尻を下げしょんぼりとした顔で太宰の傍に立つ。デスクで全くやる気の出ないPC作業をしていた太宰は「どうしたんだい?」と首を傾げた。
「国木田さんから頼まれた書類を乱歩さんに持って行ったんです。でも、乱歩さんが『これが解けたら仕事してあげる』って云って……僕には全然解けなくて……」
そう云って一枚の紙を差し出してくるので受け取る。上の方には『まちがいさがし:むずかしい』とあり、その下には一見全く同じに見える絵が二つ並んでいた。子供用の塗り絵にも似た簡単な絵だ。それは夜空の月を見上げる兎と、風に靡くススキと三方に乗った団子が描かれている。ついでに下の方には『まちがいは四つ!』とある。心の中で溜息をついた。
8_sukejiro
DONE文豪とアルケミストの夢小説。ルビ振りの消し忘れ、誤字脱字があるかもしれません。
侵食は一般人の小冊子。
司書が持ってた学生時代の小冊子が侵食され、文豪2人…佐藤春夫と中島敦を巻き込み潜書する。
司書の学生時代、その周りにいた人間との関係性、恋人である江戸川乱歩とのこれからを考える話です。
夢小説サイトに他の夢も載せてます。
https://lyze.jp/hachi3511/
密心と恋慕密心と恋慕
涙海(るいかい)
著:オカルト研究部
「では、私はこれで失礼しますね」
「なんだ、もう行くのか?」
席を立つ司書、蜂巣の近くに座る佐藤春夫が声をかける。
佐藤春夫は、お碗を持つ手を机に置いて蜂巣へとそう問いかけた。
「ええ。司書室にやりかけの書類がありますから。それに、そろそろ有碍書を探索していた乱歩さんや徳田秋声さん達が帰ってくる頃ですし…、」
それの対応にも…と言った所で蜂巣は、はたと周りを見る。
蜂巣は周りの視線に言葉を止めて「…なんですか?」と訝しげに問いかけた。
微笑むというよりは、ニヤニヤと揶揄うような視線を向ける国木田独歩は「いやぁ〜…」と声を溢すと、言葉を続ける。
「"乱歩さん"ねぇ…と思ってな」
15857涙海(るいかい)
著:オカルト研究部
「では、私はこれで失礼しますね」
「なんだ、もう行くのか?」
席を立つ司書、蜂巣の近くに座る佐藤春夫が声をかける。
佐藤春夫は、お碗を持つ手を机に置いて蜂巣へとそう問いかけた。
「ええ。司書室にやりかけの書類がありますから。それに、そろそろ有碍書を探索していた乱歩さんや徳田秋声さん達が帰ってくる頃ですし…、」
それの対応にも…と言った所で蜂巣は、はたと周りを見る。
蜂巣は周りの視線に言葉を止めて「…なんですか?」と訝しげに問いかけた。
微笑むというよりは、ニヤニヤと揶揄うような視線を向ける国木田独歩は「いやぁ〜…」と声を溢すと、言葉を続ける。
「"乱歩さん"ねぇ…と思ってな」
C-3PK
INFO新刊『スタンドバイミー』とらのあな様で予約開始しました。今回は未成年の人でも楽しんで貰えるようにと全年齢になってます。鏡花ちゃんを軸に、太宰と中也がそれぞれ抱えたままにしている感情を描いたつもりになってるだけの本です。どうぞ宜しくお願いします(他は織田作・国木田君・敦君・社長・乱歩さん・安吾がちょっとだけ出てきます)高間晴
TRAINING敦太。カルピスおいしい。甘酸っぱいのはカルピス 休日、太宰の部屋。二人で何をするでもなく卓袱台を囲んでテレビを見ていたら、ふと敦が訊いた。
「――あの、台所借りてもいいです? お茶か珈琲淹れますから」
「ああ、うちお茶っ葉もインスタント珈琲も無いよ」
返ってきた言葉に敦はぎょっとする。
「普段何飲んでるんですか?」
「え~、ペットボトルのお茶とか水。コンビニで買えるやつ」
そう云って立ち上がった太宰が、台所へ行き冷蔵庫を開ける。背後に敦もついて行った。太宰は五百ミリリットルのお茶のペットボトルを二本取り出す。
「ほら、こういうの」
それを見た敦は深い溜息をつく。頭が痛いと云った様子で額を押さえた。
「太宰さん、なんでそんな勿体無い事をするんですか。お茶なんて絶対茶葉から淹れる方が安く済みますって」
832「――あの、台所借りてもいいです? お茶か珈琲淹れますから」
「ああ、うちお茶っ葉もインスタント珈琲も無いよ」
返ってきた言葉に敦はぎょっとする。
「普段何飲んでるんですか?」
「え~、ペットボトルのお茶とか水。コンビニで買えるやつ」
そう云って立ち上がった太宰が、台所へ行き冷蔵庫を開ける。背後に敦もついて行った。太宰は五百ミリリットルのお茶のペットボトルを二本取り出す。
「ほら、こういうの」
それを見た敦は深い溜息をつく。頭が痛いと云った様子で額を押さえた。
「太宰さん、なんでそんな勿体無い事をするんですか。お茶なんて絶対茶葉から淹れる方が安く済みますって」
高間晴
TRAINING敦太。指輪の話。契り交わすに指輪は要らぬ 太宰と付き合い始めて早数年。敦はそろそろ貯金で指輪を買おうか悩んでいた。
何故悩むのかと云えば、太宰の指には指輪が似合わないような気がしているからだ。あのしなやかで白くすらりと長い指。それには、指輪なんてつける方が趣が無い気がしてならない。
きっと今の自分が指輪を渡せば、喜んで嵌めてくれるだろうという自信があった。でも、だからこそ敦は困っているのである。
彼の人に似合わない指輪なんて贈っても仕方ないだろう。それは只の自惚れだろうと、心の声が止まない。
赤茶けた夕陽の射し込む太宰の部屋。二人、万年床に寝転がりながら敦は隣の太宰の左手を取る。何時も通りの少し低い体温が感じられた。その手の甲を目の前に持ってきて薬指の付け根にそっと唇で触れた。少し擽ったそうに太宰が笑う。その様子に敦は思うのだ。
859何故悩むのかと云えば、太宰の指には指輪が似合わないような気がしているからだ。あのしなやかで白くすらりと長い指。それには、指輪なんてつける方が趣が無い気がしてならない。
きっと今の自分が指輪を渡せば、喜んで嵌めてくれるだろうという自信があった。でも、だからこそ敦は困っているのである。
彼の人に似合わない指輪なんて贈っても仕方ないだろう。それは只の自惚れだろうと、心の声が止まない。
赤茶けた夕陽の射し込む太宰の部屋。二人、万年床に寝転がりながら敦は隣の太宰の左手を取る。何時も通りの少し低い体温が感じられた。その手の甲を目の前に持ってきて薬指の付け根にそっと唇で触れた。少し擽ったそうに太宰が笑う。その様子に敦は思うのだ。
高間晴
TRAINING敦太。フォロワーさんから頂いたネタで「ゲームをする二人」。ハッピーエンドは何処に在る? 敦が太宰の部屋で使った掃除機を仕舞っていると、ぽんと肩に手が置かれた。振り返れば太宰が笑顔で立っている。
「あーつーしーくーん♡」
太宰の手にはゲームソフトのパッケージがあった。敦は孤児院育ちなのでテレビゲームの類には疎い。何かアニメ風の可愛い女の子がいっぱい描かれているなあ、くらいの感想しか出てこない。太宰は敦にソフトを渡した。
「これは昔買った恋愛シミュレーションゲーム。
でもどの女の子も誰も私と心中してくれないんだよ。ひどくない? みんな私と結婚しちゃうんだ」
「ええと、少なくとも恋愛ゲームで心中がハッピーエンドになるものは無いと思います」
ひどく真っ当な答えだが、太宰は笑うと人差し指を立てた。
861「あーつーしーくーん♡」
太宰の手にはゲームソフトのパッケージがあった。敦は孤児院育ちなのでテレビゲームの類には疎い。何かアニメ風の可愛い女の子がいっぱい描かれているなあ、くらいの感想しか出てこない。太宰は敦にソフトを渡した。
「これは昔買った恋愛シミュレーションゲーム。
でもどの女の子も誰も私と心中してくれないんだよ。ひどくない? みんな私と結婚しちゃうんだ」
「ええと、少なくとも恋愛ゲームで心中がハッピーエンドになるものは無いと思います」
ひどく真っ当な答えだが、太宰は笑うと人差し指を立てた。
高間晴
TRAINING敦太。コンビニの700円くじ。明日の約束 深夜。敦と太宰はコンビニに来ていた。偶然二人揃って空腹で目が覚めたので、一寸した夜食を買いに来たのだ。
財布を持っている太宰が敦の持つ籠を覗き込む。
「敦君はポテチとコーラでいいの? アイスも食べない?」
「えっ、いいんですか」
「いいよ。その代わりに七百円くじ引いてくれたらね」
その台詞に敦はまたか、と苦笑する。何故か太宰は必ず敦に七百円くじを引かせるのだ。曰く、「死にたいと思っているのに毎度失敗する私と、私に拾われて武装探偵社に入れた敦君の運の良さは月とスッポン。比べ物にならない。だから敦君が引けば絶対当たる」という事らしい。実際に敦は云われるままくじを引いて外れたことはない。だいたい太宰の喜ぶものが当たるので、敦は最近これも何かの異能力ではないのかと疑い始めているくらいだ。
852財布を持っている太宰が敦の持つ籠を覗き込む。
「敦君はポテチとコーラでいいの? アイスも食べない?」
「えっ、いいんですか」
「いいよ。その代わりに七百円くじ引いてくれたらね」
その台詞に敦はまたか、と苦笑する。何故か太宰は必ず敦に七百円くじを引かせるのだ。曰く、「死にたいと思っているのに毎度失敗する私と、私に拾われて武装探偵社に入れた敦君の運の良さは月とスッポン。比べ物にならない。だから敦君が引けば絶対当たる」という事らしい。実際に敦は云われるままくじを引いて外れたことはない。だいたい太宰の喜ぶものが当たるので、敦は最近これも何かの異能力ではないのかと疑い始めているくらいだ。
高間晴
TRAINING敦太。同棲している。誕生日に欲しい物 季節は春を過ぎて梅雨に入っている。カーテンを開けてみれば休日の今日も雨。仕方ないとは云え、敦はちょっと溜息をつきたくなった。それから気分を切り替えて朝食の支度を始める。
ふいに思い出す。そういえばもうすぐ、太宰との同棲開始から初めての太宰の誕生日が来る。
遡れば数ヶ月前。敦が太宰のアパートに通い詰めるものだから、「いっその事うちに住んでしまえば?」と訊かれて敦は一も二もなく頷いたのであった。
太宰が、台所に立つ敦の肩に手を置いて手元を覗き込む。洗面所で顔を洗ってきたらしく、洗顔料の爽やかな香りが敦の鼻先を擽る。
「あ、やっぱり味噌汁だ。敦君の作るのは具沢山だし味の素が入ってて美味しいんだよね~」
885ふいに思い出す。そういえばもうすぐ、太宰との同棲開始から初めての太宰の誕生日が来る。
遡れば数ヶ月前。敦が太宰のアパートに通い詰めるものだから、「いっその事うちに住んでしまえば?」と訊かれて敦は一も二もなく頷いたのであった。
太宰が、台所に立つ敦の肩に手を置いて手元を覗き込む。洗面所で顔を洗ってきたらしく、洗顔料の爽やかな香りが敦の鼻先を擽る。
「あ、やっぱり味噌汁だ。敦君の作るのは具沢山だし味の素が入ってて美味しいんだよね~」
高間晴
TRAINING敦太。幸せになるのが怖いあつし。禍福は糾えるなんとやら 太宰の部屋。敦がふと夜中に目を覚ませば、カーテンの隙間から月明かりが射し込んでいる。蒲団から体を起こして隣を見れば太宰が静かに横になって目を閉じている。なんだか心配になって敦は太宰の口許に耳を近づけた。すると、すう、すう、と規則的に静かな寝息が聞こえたので、ほっとして敦は天井を見上げる。
ほんの少し開いたカーテンからは、夜闇を切り裂く月光。それが二人の寝ている掛け布団と擦り切れた畳を横切って伸びている。そういえば今夜は月が眩く大きく見えるスーパームーンの夜だと、ナオミさんが云っていたっけ。
敦は愛しい恋人の髪をそっと撫でる。最近「髪が伸びたけれど切りに行くのがめんどくさい」とぼやいていたので、今度自分が切ってあげようかと敦は思う。敦は太宰の癖のある猫っ毛が好きだった。指先からするする逃げていく髪を一通り弄ぶと、膝を抱えて蹲った。
808ほんの少し開いたカーテンからは、夜闇を切り裂く月光。それが二人の寝ている掛け布団と擦り切れた畳を横切って伸びている。そういえば今夜は月が眩く大きく見えるスーパームーンの夜だと、ナオミさんが云っていたっけ。
敦は愛しい恋人の髪をそっと撫でる。最近「髪が伸びたけれど切りに行くのがめんどくさい」とぼやいていたので、今度自分が切ってあげようかと敦は思う。敦は太宰の癖のある猫っ毛が好きだった。指先からするする逃げていく髪を一通り弄ぶと、膝を抱えて蹲った。
高間晴
TRAINING敦太(未満)。残り半分のスティックシュガー 敦はうずまきで珈琲を頼むと、必ずミルクとスティックシュガーを入れる。それを見ていて太宰は気づいた。彼はいつも半分だけ砂糖を残すのだ。向かいで同じく珈琲を飲み乍ら、それは孤児院時代の名残だろうなと太宰は思う。
「ねえ敦君。砂糖いらないなら貰っていいかな」
そう声をかけると、はっとした顔の敦と目が合う。
「ど、どうぞ。そういえばいつも癖で余らせてしまってました」
口を折りたたんだスティックシュガーの残りを敦の手から受け取り、太宰は微笑む。ブラックの珈琲に砂糖を溶かし乍ら、その琥珀色した水面を見つめる。
「君は優しいから、孤児院でいつも小さな子に砂糖を分けてあげていたんだろう?」
「なんで分かるんですか」
心底驚いたらしい敦が訊き返す。孤児院では甘いものは貴重で、よく取り合いになるだろうと太宰は思ったのだ。
831「ねえ敦君。砂糖いらないなら貰っていいかな」
そう声をかけると、はっとした顔の敦と目が合う。
「ど、どうぞ。そういえばいつも癖で余らせてしまってました」
口を折りたたんだスティックシュガーの残りを敦の手から受け取り、太宰は微笑む。ブラックの珈琲に砂糖を溶かし乍ら、その琥珀色した水面を見つめる。
「君は優しいから、孤児院でいつも小さな子に砂糖を分けてあげていたんだろう?」
「なんで分かるんですか」
心底驚いたらしい敦が訊き返す。孤児院では甘いものは貴重で、よく取り合いになるだろうと太宰は思ったのだ。
高間晴
TRAINING敦→太。まだ片想い。あの人となら、 今日も太宰はデスクで仕事もせずに愛読書を開いている。それが何かと云えば『完全自殺読本』。数年前に手に入れたその稀覯本はびっしり付箋が貼り付けられている。
「ねえねえ、国木田君。入水と練炭だったらどっちが楽に死ねるかな」
「知らん。というか仕事をしろこの自殺嗜癖が。死ぬなら過労死でもしろ」
「厭だよぉ。私は苦しいの嫌いなのに」
向かいのデスクでPC作業をしながら、国木田がファイルの角で太宰の頭を小突く。そこへ隣のデスクから敦がおずおずと割り込んできた。
「あの、練炭自殺はすごく怖いって聞いたことありますよ」
「えっ、なになに? 敦君も自殺に興味あるの?」
太宰が仲間を見つけたとばかりに目を輝かせる。その様子を見ても国木田は何も云わない。敦は書類の束を整理しながら続けた。
867「ねえねえ、国木田君。入水と練炭だったらどっちが楽に死ねるかな」
「知らん。というか仕事をしろこの自殺嗜癖が。死ぬなら過労死でもしろ」
「厭だよぉ。私は苦しいの嫌いなのに」
向かいのデスクでPC作業をしながら、国木田がファイルの角で太宰の頭を小突く。そこへ隣のデスクから敦がおずおずと割り込んできた。
「あの、練炭自殺はすごく怖いって聞いたことありますよ」
「えっ、なになに? 敦君も自殺に興味あるの?」
太宰が仲間を見つけたとばかりに目を輝かせる。その様子を見ても国木田は何も云わない。敦は書類の束を整理しながら続けた。
左@萌え垢
TRAINING太敦です。敦君が小虎化しています。そうして彼はミャウと鳴いた『彼が朝起きたら小虎になっていたので、ここに置いておきます』
よろしくお願いいたします。自宅の扉に貼られた短い書置きには、そう書かれていた。それは女性らしくも達筆な字で、泉鏡花の書いたものであることを私は察した。
そういえば、彼女とはまだ連絡先を交換していなかったか。私はそう思いながら、足元のそれを眺める。それは通販の段ボール箱に入れられており、暖の代わりか新聞紙が1枚上に乗せられていた。ミャウミャウと鳴く謎の段ボールの新聞紙をそうっと捲ってみれば、金色のくりくりとした小さな瞳が此方を見ていた。
私の能力をもってすれば、一秒とかからず解決する問題だ。彼女もそれを解っていたから、私に彼を預けたのだろう。私であれば、彼の虎化は触るだけで、元の人間の姿に戻すことができる。そう、これは実に簡単な問題だ。
1660よろしくお願いいたします。自宅の扉に貼られた短い書置きには、そう書かれていた。それは女性らしくも達筆な字で、泉鏡花の書いたものであることを私は察した。
そういえば、彼女とはまだ連絡先を交換していなかったか。私はそう思いながら、足元のそれを眺める。それは通販の段ボール箱に入れられており、暖の代わりか新聞紙が1枚上に乗せられていた。ミャウミャウと鳴く謎の段ボールの新聞紙をそうっと捲ってみれば、金色のくりくりとした小さな瞳が此方を見ていた。
私の能力をもってすれば、一秒とかからず解決する問題だ。彼女もそれを解っていたから、私に彼を預けたのだろう。私であれば、彼の虎化は触るだけで、元の人間の姿に戻すことができる。そう、これは実に簡単な問題だ。
高間晴
TRAINING敦太。ナチュラルに後朝。三日後もよろしく 太宰の住むアパートの一室。カーテンの隙間から朝日が射し込んでいた。
「……ん?」
敦が布団の中、自分の携帯でカレンダーを見ていると、三日後の日付でリマインダーが設定されている。曰く『可燃ごみの日』。しかし自分はそれを設定した覚えはない。しかも敦の住む社員寮の可燃ごみの日は昨日だった。なんだろうと思っていると隣で太宰が怠そうにのっそり体を起こす。「おはよう敦君」と欠伸を噛み殺しながら云うので、敦もおはようを返す。それから、この人に訊けば分かるんじゃないか? と敦は隣の太宰に携帯の画面を見せた。
「ねえ太宰さん。この『可燃ごみの日』ってなんですかね。僕こんなの設定した覚えないのに」
「ああ、それは私がやったのだよ」
856「……ん?」
敦が布団の中、自分の携帯でカレンダーを見ていると、三日後の日付でリマインダーが設定されている。曰く『可燃ごみの日』。しかし自分はそれを設定した覚えはない。しかも敦の住む社員寮の可燃ごみの日は昨日だった。なんだろうと思っていると隣で太宰が怠そうにのっそり体を起こす。「おはよう敦君」と欠伸を噛み殺しながら云うので、敦もおはようを返す。それから、この人に訊けば分かるんじゃないか? と敦は隣の太宰に携帯の画面を見せた。
「ねえ太宰さん。この『可燃ごみの日』ってなんですかね。僕こんなの設定した覚えないのに」
「ああ、それは私がやったのだよ」
高間晴
TRAINING敦太。心中したいだざいさん。もう諦めてほしい 敦が武装探偵社に入社して二年ほどが経つ。身の回りもだいぶ落ち着いてきたので鏡花との同居をやめて、二人は寮の部屋で別々に一人暮らしをするようになった。
そんな敦の最近の困り事と云えば。
「宅配便でーす」
その声に敦は玄関を開けて荷物を受け取る。少し重い。見ればよく知った通販サイトの箱だ。しかし何かを頼んだ覚えはない。はあ、とひとつ溜息をつくと、部屋の中に戻って箱を卓袱台の上に置く。
「太宰さんってば、また僕んちを届け先に設定したな……」
そう。これは今に始まったことではない。
「だって寝てる時に荷物持って来られたら受け取れないじゃない」というのが太宰の言い分だ。時間指定するなりなんなりすればいいだろうと敦は言ったが、太宰は「やだ。めんどくさい」の一言で敦の家を荷物の届け先にしている。
892そんな敦の最近の困り事と云えば。
「宅配便でーす」
その声に敦は玄関を開けて荷物を受け取る。少し重い。見ればよく知った通販サイトの箱だ。しかし何かを頼んだ覚えはない。はあ、とひとつ溜息をつくと、部屋の中に戻って箱を卓袱台の上に置く。
「太宰さんってば、また僕んちを届け先に設定したな……」
そう。これは今に始まったことではない。
「だって寝てる時に荷物持って来られたら受け取れないじゃない」というのが太宰の言い分だ。時間指定するなりなんなりすればいいだろうと敦は言ったが、太宰は「やだ。めんどくさい」の一言で敦の家を荷物の届け先にしている。
han_bun_dead
DOODLEイギリスの打ち上げ花火は秋冬の風物詩と聞いて浮かんだ話です。コウ様14歳時空なので、テンペスト前として解釈を歪めています。テンペスト後、お盆にコウ様の元にレイジさんが現れてくれたら一緒に花火を見てほしいなあ。敦豪と花火に行く続編もいつか書きたい。特等席で待っていて福岡支部エントランスの一角を飾る地域情報掲示板。今日貼りだされたばかりの一枚のチラシを視界に入れたコウは思わず足を止めた。
「花火大会……」
『第十八回納涼花火大会』の文字が大きく踊るそのチラシに記載された日時は約2週間後、七月末の土曜日だ。
「連れて行ってやろうか?」
「っ、敦豪」
「日本の夏は初めてだろ」
突然声をかけられ驚くコウの隣に立った敦豪が、同じようにチラシを見つめる。
「別に行きたいわけじゃない」
「ならどうして見てたんだよ」
「こっちでは夏に花火が上がるのか、と思って」
「花火といや夏だろ。イギリスは違うのか?」
「イギリスでは、花火が打ち上がるのはだいたい秋か冬だった」
言って、コウは口を閉ざした。
イギリスでは十一月に各地で打ち上げ花火を鑑賞できる。しかしコウの生まれ育った村は、花火の光どころか音さえ届かなかった。
1128「花火大会……」
『第十八回納涼花火大会』の文字が大きく踊るそのチラシに記載された日時は約2週間後、七月末の土曜日だ。
「連れて行ってやろうか?」
「っ、敦豪」
「日本の夏は初めてだろ」
突然声をかけられ驚くコウの隣に立った敦豪が、同じようにチラシを見つめる。
「別に行きたいわけじゃない」
「ならどうして見てたんだよ」
「こっちでは夏に花火が上がるのか、と思って」
「花火といや夏だろ。イギリスは違うのか?」
「イギリスでは、花火が打ち上がるのはだいたい秋か冬だった」
言って、コウは口を閉ざした。
イギリスでは十一月に各地で打ち上げ花火を鑑賞できる。しかしコウの生まれ育った村は、花火の光どころか音さえ届かなかった。