Recent Search
    You can send more Emoji when you create an account.
    Sign Up, Sign In

    sub

    natsu_mdzs

    MAIKING交換のための新刊サンプルです。
    曦 澄でDom/Subユニバース、現代AUです。ほんのり聶瑶が含まれています。
    現時点でまだ3/4ほどしか書けていません…
    Switchプロローグ

    藍曦臣は、幼い頃から人に好かれる子供だった。天使のようだと評される際立って美しい容姿に、素直さと聞き分けの良さが合わされば、周りの大人たちはこぞって藍曦臣を可愛がった。それでも父と母は別邸にこもったまま見向きもしてくれなかったので、もっといい子にならなければと更なる努力を己に課したが、それが実らぬうちに火災事故であっけなく両親は他界してしまう。藍曦臣がまだ八つになったばかりの頃だった。
    思春期を過ぎてダイナミクスがDomだと分かってからは、Subたちから熱い視線を受けるようになって、パートナーになって欲しいという申し出を星の数ほど受けた。誰か一人を選ぶことなどできなかったし、面倒を見てくれていた叔父からは他人に平等に接するようにと教えられていたから、断らずに全員と関係を持つことにした。そのやり方を了承し初めは喜んでいた彼ら彼女らも、藍曦臣が自分だけを特別視してくれることは絶対にないと気づくと悲しみながら離れていった。そのくせ何処か期待するように周りをうろつく者もいたけれど、藍曦臣が彼らを引き止めることはなかった。そのことを知った、パートナーが見つけられなくて困っているSubたちから、プレイ相手になって欲しいと請われるようになり、人助けと思って全て受け入れていると、いつの間にか沢蕪君という通り名がついていて希望者はますます増えていった。
    49475

    waremokou_2

    DOODLEDom/subパロディのねやね
    こうちゃのはなし
     たかが茶の一杯を淹れるため、どうしてこうも手間を掛けなきゃならんのだ。当初はそう呆れた三毛縞も、今や給仕の残したメモなしに黒柳の好む紅茶の淹れ方を覚えてしまった。当初こそ、突如発現した黒柳のドミナント性のコントロールに付き合うという関係性だったはずが、今や黒柳のダイナミクスは安定しており、コントロールにも問題ないどころか自らのダイナミクスを使いこなす様にまでなった。一方の三毛縞はと言えば、未だ命令にも、褒美を与えられることにも、仕置きをされることにも慣れずにいる。成り行きで結んだパートナーという関係性も、気づけば紆余曲折、三毛縞は黒柳から艶めいた黒革の首輪まで贈られ、今それは彼の首筋でくすむことなく輝き続けている。三毛縞の、パートナーのためだ、というのが、使用人をすべて解雇した黒柳の言い分である。無論、黒柳邸に尽くしてきた彼らは今、黒柳の口添えで新たな職場で活躍し、黒柳法律事務所の事務員として雇用され、また新たな分野で自らの夢を追いかけている。問題は、それまで家事などしたこともない三毛縞がそれらをいっぺんに任されたことだ。幸い、給仕たちは皆三毛縞に優しく、引き継ぎのための手記を残してくれていたものの、そのすべてを恙なく実行することはあまりにも大変すぎた。当初はもう、黒柳もろとも野垂れ死ぬんじゃないかと思うような問題の連続ではあったが、今――ぼんやりと考え事をしながらでも、完璧に紅茶を淹れられるようにまでなったことはもはや奇跡に近かった。
    2624

    あをあらし

    DONEDom/Subユニバースのにほさに。其の二。前回からちょっと進んだ。


    ―――
    こちら参考にさせて頂いた資料になります。

    Dom/Subユニバースのススメ(アドバンス編追加版)
    https://www.pixiv.net/artworks/52626061

    HOW to dom/sub ユニバース
    https://estar.jp/novels/25517129
    コマンド 寡黙な人だと思ってた。よく笑うくせに喋らないから、愛想笑いが豪快なだけかも、とも思ってた。
     そんな不本意な誤解が判明したのは、パートナーとなってから一ヶ月ほど経った頃。暖かな春の陽射しを浴びながらソファに凭れていた、とある昼下がりのことだった。やや大きめの声で伝えられる言葉を繋げていけば、会話が長続きしないだけでなく、コマンドさえも発さないものだから、声を出すこと自体が嫌いなんじゃないか、とまで思っていたらしい。どうして付き合いだしてから饒舌になったのかは疑問だけれど、本当にお喋り嫌いだったわけじゃなくて良かった、なんて言いながら、愛おしきSubはマグカップを両手にキッチンから顔を覗かせた。

     声を出すことが嫌い。それはあながち間違いではない。自惚れを抜きにしても、俺の声はそれなりに『良い声』をしているという自覚がある。ただ、そのせいで面倒事が起きることもままあった。特に一番多かったのは、出会って間もないSubからコマンドを求められることだ。あなたのSubになりたいと迫られるのはまだいい。Subにとって誰かに従いたいという欲は本能に基づくものであり、こいつはそれがとにかく強い個体なんだなと受け流せばそれで済む。しかし、あまり宜しくない手段でコマンドを引き摺り出そうとする奴も、いるにはいる。酔い潰そうだとか、自白剤や興奮剤のような薬を仕込むだとか、そういう方向へ会話を誘導しようだとか。全部未遂で終わったが、正直反吐が出そうだった。
    2375